「コーディング」タグアーカイブ

DFRobot’s BOSON Kit|モジュール化したロボットキットがコーディング・IoTなど子供のSTEM教育に役立つ

STEM教育のための知育玩具の可能性として、ロボット×プログラミング×遊び=トイ・プラットフォームtoio(sonyのおもちゃ)を紹介しましたが、STEM玩具として注目を集めそうなKicstarterで面白いキットを見つけました。




■DFRobot's BOSON Kit

参考画像:DFRobot’s BOSON Kit: Powerful Building Blocks For LEGO STEM|スクリーンショット

DFRobot’s BOSON Kit: Powerful Building Blocks For LEGO STEM|Kickstarter

「ウェアラブル人工すい臓」、機能ごとにモジュール化|インスリン治療を低コストにするアイデアとは?では、(1)血糖値モニタリング、(2)血糖値を下げるためのインスリン投与、(3)血糖値を上げるためのグルカゴン投与という機能ごとにモジュール化されたデバイスと同様に、今回のBosonキットは、複雑な回路をわかりやすく、シンプルに、機能ごとに分解してモジュール化していて、そのモジュール化したブロックをコーディングやはんだづけをすることなく、STEM教育ができるキットになっています。

Amazonは、“STEM”の分野に絞った教育おもちゃの定期購入サービスを始めるというニュースを以前取り上げましたが、STEM分野にフォーカスした知育玩具が注目されているのを感じます。

STEM教育とは、Science(科学)・Technology(技術)・Engineering(工学)・Mathematics(数学)のこと。

おもちゃと触れて遊んでいるうちに、好奇心をもって試行錯誤をしながら、自然と学ぶというのがこれからの教育の形になっていくのではないかと思っているのですが、toioのコンセプトも同じように、手を動かして(工作)遊んで、触れあっていくうちに新しい遊びを考えていき、自然と新しい発見をしていくというものです。

猪子寿之の〈人類を前に進めたい〉第6回「もう一つの“体育”で、『身体的知』(身体を固定しない“知性”)を鍛えたい」

(2016/3/1、ほぼ日刊惑星開発委員会)

これまでの学校や知的な訓練って、身体を固定して、もっと具体的に言えば椅子に座って働かせる知性なんだと思うんだよ。

<中略>

「図書室は静かに」というじゃない。この言葉に象徴されるように、従来の知性というのは、まさに美術館でパースペクティブのある絵画を見るときのように身体を固定して、他者も意識していなくて、インプットの情報量がほとんどない中で大脳をフル回転させる知性なんだよね。そもそも文章や記号というもの自体が、情報量としてはバイト数のほとんどないものだしね。でもさ、一方でたとえば、「IQよりも社会性のほうが社会的成功には関連性がある」みたいな主張の論文なんかがあるんだよ。
 それって、「社会性」がバズワードになっているだけで、要は椅子に座っていなくて、図書館みたいな特殊な状況ではない――外部からのインプット情報が極めて多くて、目も耳も感覚を全て使っているような――状態での、人間の能力のことなんじゃないかな。

「チームラボアイランド 学ぶ!未来の遊園地」は未来の教育の形!?で今回体験してみて感じたのは、『身体的知』の話です。

『移動する知性』|「アイデアと移動距離は比例する」(高城剛)をダニエル・ゴールマンと猪子寿之を参考に考えてみる。では、自分なりに猪子寿之さんの考え方を次のように解釈しました。

従来の知性というのは、身体を固定して働かせる知性が重視されていましたが、その状態というのは、自分自身が固定されていた状態で、相手も意識していない状態のため、インプットされる情報量が限られています。

『身体的知』(身体を固定しない知性)というのは、自ら移動しながら(身体が固定されておらず)、相手を意識した状態であるため、そこには五感をフルに働かせたことでおびただしい量のデータのインプットが得られます。

今回体験した「チームラボアイランド 学ぶ!未来の遊園地」ではこの考えを実際のモノとして表現したもののように感じました。

ものがどのようにしたら変化をするのか、お互いがどのように影響しあうのかなどを遊ぶように体験する中で自然と学んでいくことができる、アートでありながら、いろんなことを学ぶことができる新しい形の教育のように感じました。

これからの教育は「遊びながら学ぶ」という方向に進んでいくのではないでしょうか。




■SonyのtoioとDFRobot's BOSON Kitとの違い

両者ともSTEM教育やロボット、プログラミングを目的としていて、入口と出口はほとんど同じように感じるのですが、Sonyのtoioがカートリッジで機能を変えることができるのに対して、Bosonキットはブロックに単一の機能を持たせているという違いがあり、途中のアプローチが違うのが興味深いです。

まるでSonyのtoioがゲーム機のようにソフトを入れ替えることで遊び方を変えているようであり、Bosonキットは一つの機能を持たせたLEGOブロックを組み合わせることで新しい動かし方・遊びを創造しようというものであるように感じます。

Sony PlayStation at GDC

by Josh Hallett(画像:Creative Commons)

P1140398

by Bill Ward(画像:Creative Commons)

■まとめ

DFRobot’s BOSON Kit: Powerful Building Blocks For LEGO STEM

「ファンタジア」(著:ブルーノ・ムナーリ)では「創造力」と「遊び」についてこのように書かれています。

ファンタジア

新品価格
¥2,592から
(2017/2/13 13:26時点)

創造力を刺激する遊びを通じて、子供の知識が広げられないと、すでに知っている事柄同士の関係を築くことはできない。仮に関係を築くことができたとしても、それは非常に限定された方法でなされたにすぎず、それでは子供のファンタジアを発達させるに至らない。

子供を創造力溢れ、のびのびしたファンタジアに恵まれた人間に育てたいなら、可能な限り多くのデータを子供に記憶させるべきだ。記憶したデータが多ければ、その分より多くの関係を築くことができ、問題に突き当たってもそのデータをもとに毎回解決を導き出すことができる。

創造力とは、知識同士の関係性をつなぎあわせ、それを表現する方法であるとするならば、Bosonキットが提供するモジュールを組み合わせて新しいモノを生み出すというのがその発想に近いのではないでしょうか。

子供が描いた絵に対して大人が「創造力がある」と表現することがありますよね。

なぜ大人は子供が描いた絵に対して創造力があると表現するのでしょうか。

それは、無関係なもの同士をつなげたことによって、大人では想像できなかったものを描いたからです。

ただ、それは、ランダムに組み合わせたものが意図せず偶然作られたもの(子供によっては意図して作るケースもあるかと思います)であり、また、子供たち自身がメッセージ性をもって作り上げたものではありません。

「ファンタジア」(著:ブルーノ・ムナーリ)にはこう書かれています。

無知こそが最大の自由を与えると信じるのは間違っている。
むしろ知識こそが自己表現の手段を完全に操る力を与えるのだ。
それにより、手段とメッセージに一貫性をもたせ、明確に自己表現できるようになる。

子供に対しては、遊びや授業を通して、様々な表現方法があることを記憶させることによって、自分が本当に伝えたい・解決したいことができた時に、最も気持ちと一致した表現方法で表現することができるはずです。

言葉で表現することや絵で表現すること、映像で表現すること、写真で表現することなど様々な表現方法がありますが、多くの知識を持つことが自己表現に役立つのです。

「ファンタジア」(著:ブルーノ・ムナーリ)

創造力を欠いた人は、人生で避けて通ることのできない様々な変化にうまく適応できない。例えば、多くの親が自分の子供を理解できなくなってしまうのがそうだ。

創造力のある人は常に共同体から文化を受け取り、そして与え、共同体とともに成長する。創造力のない人はだいたい個人主義的で頑なに自分の意見をほかの個人主義者のそれと対立させようとする。

創造力が欠けていると、それぞれの関係性を結びつけることが難しく、変化に対応するのが苦手になってしまうのでしょう。

創造力は人生を楽しく生きる上での大事な力になってくれるはずですので、子供の時から遊びや授業を通じて教えてほしいですね。







【関連記事】
続きを読む DFRobot’s BOSON Kit|モジュール化したロボットキットがコーディング・IoTなど子供のSTEM教育に役立つ

なぜ企業はジェンダーダイバーシティ(男女の多様性)を重要視するようになったのか?|AccentureやGoogleは社内男女比「50対50」を目指す




■Accenture、2025年までに社内男女比「50対50」に

wocintech (microsoft) - 172

by WOCinTech Chat(画像:Creative Commons)

アクセンチュアが大胆宣言、2025年までに社内男女比「50対50」に

(2017/6/16、Forbes)

2025年までに社員の男女比を50対50にすると発表。

Women in the Workplace Being Greater Than|Accentureによれば、アクセンチュアは男女の多様性(ダイバーシティ)や平等(賃金格差を縮めることなど)について考えており、その実際の行動として、2025年までに社員の男女比を50対50にすると発表しました。

【参考リンク】

テスラ、21世紀フォックスCEOらを新取締役に任命

(2017/7/18、Forbes Japan)

テスラにはここ一年、役員会メンバーの多様性を欠いているとの批判を受けており、著名な黒人女性エグゼクティブであるジョンソン・ライスらの起用には、その批判を交わす狙いもありそうだ。

テスラは、アフリカ系アメリカ人向けの雑誌「エボニー」の発行元であるジョンソン・パブリッシング(JPC)のトップを務め、国立アフリカン・アメリカン歴史文化博物館のボードメンバーも務めているリンダ・ジョンソン・ライスを取締役会に加えたというニュースがありました。

企業における多様性に注目が集まっていることが分かるニュースです。

【参考リンク】

Apple — Inclusion & Diversity — Open

Inclusion & Diversity|Appleによれば、Appleでの多様性に対する取り組みを公開しています。

【追記(2017/8/7)】


「参考画像:Diversity|Googleスクリーンショット

Google、中の人の「女性は生まれつきエンジニアに向かない」文書回覧で社内騒然

(2017/8/6、ITmediaニュース)

Googleは男女半々になることを目指していますが、8月3日(現地時間)にある男性エンジニアが「女性はコーディングに向いてないから無理に半々にするべきじゃない」と主張する「Google’s Ideological Echo Chamber」(Googleの思想的エコーチャンバー)というタイトルの文書を社内で公開しました。

 これについて複数の従業員が公開ツイートしたものだから米Motherboardが記事にして騒ぎが外部に広がり、これを書いている今、その全文が米Gizmodoで読めるようになっています。

Googleが公開している男女比率を見てみると、女性は全体の約3割で、技術職に占める女性の割合は全体の2割となっています。

ただこの議論に挙がっていないことは、女性も能力で判断してほしいと思っているであろうこと、「コーディング」の定義がどういうものであり、その「コーディング」の能力だけがエンジニアとして必要な能力なのかという視点ではないでしょうか?

多様性(ダイバーシティ)に求められるのは、さまざまな視点を持つ人が増えることだと思います。

「女性はコーディングに向いてない」という根拠を示すことができれば、それをもとに経営陣が判断することも大事なことでしょう。

ただ、コーディングをすることだけが大事なことなのかという意見もあってしかるべきです。

【追記(2018/1/25)】

フォーブス、初の「多様性に優れた米企業」ランキング発表

(2018/1/25、Forbes)

フォーブスが独調査会社スタティスタ(Statista)と共同で行なった「多様性に優れた米企業・組織ランキング」は以下の通り。

  1. Northern Trust
  2. Smithsonian Institution
  3. Levy
  4. Intuit
  5. Harvard University
  6. Principal Financial Group
  7. Emory University
  8. Wegmans Food Markets
  9. Keller Williams Realty
  10. AbbVie

【参考リンク】

■なぜ企業はジェンダーダイバーシティ(男女の多様性)を重要視するようになったのか?

なぜ企業はジェンダーダイバーシティ(男女の多様性)を重要視するようになったのでしょうか?

「How Google Works」(著:エリック・シュミット ジョナサン・ローゼンバーグ)

How Google Works (ハウ・グーグル・ワークス) ―私たちの働き方とマネジメント

新品価格
¥1,943から
(2017/6/16 13:29時点)

「いい人ばかり」の職場は均質的なことが多く、職場の均質性は悪い結果を招きやすいからだ。視点の多様性、すなわちダイバーシティは会社が近視眼的になるのを防ぐ、極めて効果的な政策だ。

社会学者のセドリック・ヘリングによれば、人種のダイバーシティと売上高、顧客数、市場シェア、利益の増加には相関があることを発見しています。

職場の均質性は悪い結果を招きやすく、視点の多様性で会社が近視眼的になるのを防ぐと考えられます。

もう一つは、クリエイティブな人材をひきつけるには多様性に対して開放的な環境である必要があるということです。

「クリエイティブ資本論」(著:リチャード・フロリダ)

クリエイティブ資本論―新たな経済階級の台頭

新品価格
¥2,450から
(2017/6/16 13:30時点)

経済競争力を持ちたいと望むコミュニティには、むしろ真に開放的で包容力のある人的環境が必要である。

それはクリエイティブ・クラスのみならず、アメリカ社会そのものを構成している多様な人々を引きつけることなのである。

すでに移民やボヘミアンを引きつけること、そしてゲイを含めたあらゆる類の多様性に対して開放的な場所になることの重要性を示してきた。

優秀なクリエイティビティを発揮する人材が求めるものは、思考の多様性であり、寛容さがあるところです。

わかりやすい例えでいえば、大学のような雰囲気でしょうか。

大学は、クリエイティブ・クラスを惹きつけ、抱えておくのに役立つような進歩的、開放的、そして寛容な空気を作り出すことにも一役買っている。ゲイやその他のアウトサイダーの居場所でもあり続けた。

新しいものが学べたり、いろんな人々がいることを許される雰囲気がある場所というのは、自然とクリエイティブな人々をひきつけてしまうものなのでしょう。

そのコミュニティがどれだけ開放的であったり、クリエイティブな人たちが集まっているのかを示す指標として、ゲイ指数やボヘミアン指数というものがあるそうです。

●ゲイ指数

ゲイコミュニティへの開放度は、クリエイティビティを喚起しハイテク産業の成長を促す人的資本への垣根が低いかどうかのよい指標となりうる

●ボヘミアン指数

作家、デザイナー、ミュージシャン、俳優、映画監督、画家、彫刻家、写真家、ダンサーなど芸術を職業とする人口の比率を測定するもの

つまり、多様性があるということは、視点の多様性で会社が近視眼的になるのを防ぐことにつながり、クリエイティブな人々を惹きつけることにつながるのです。

【関連記事】




■まとめ

【追記(2017/9/10)】

最近のトレンドとしては、企業の社員における男女比を50対50にしましょうというのがトレンドであり、良い考え方だと思っていました。

しかし、落合陽一さんの講演を聞いた後、考え方が変わりました。

【SoftBank World 2017】特別講演 落合 陽一 氏(2019年1月18日に改めてチェックしたところ動画は削除されています。)

男女比をフィフティフィフティにしようという考え方は標準化しようという考え方であり、あるところでは男女比が9:1のところがあったほうがよいところもあるはずです。

重要なのは、その時々によってその割合のバランスを変えられるということです。

問題をフィフティフィフティで解決しようとすると、無駄が多い社会になってしまう可能性があるというのが落合陽一さんの意見です。

企業を評価する人たちは「社員の男女比50対50」というような数字はわかりやすくて評価しやすいのだと思いますし、私もそのうちの一人でした。

多様性(ダイバーシティ)を考える際には、何が標準かを決める考え方(この場合には「社員の男女比50対50」)によって多様化を目指すのではなく、その時々によってその割合のバランスを常に変え続けるようにすることで、本来の意味での多様性が実現するのではないでしょうか。

【追記(2017/9/30)】

落合陽一×猪瀬直樹 異色対談「激論! 近代の超克」

(2017/5/19、クーリエ・ジャポン)

落合 対して日本には、「適材適所」という考え方があります。聖徳太子の時代からおこなわれていたことで、たとえば会社は必ずしも男女半々じゃなくてもいい、女性が9割の会社があってもいいじゃないかと考える。それを無理やり対等にもっていこうとすると、むしろ多方面に歪みが出てくる。

「平等」にロジカルに対抗しうる唯一の概念が「適材適所」だと僕は考えていて、しかもそれは、日本人の多くが納得できる考え方だと思うんです。だから「適材適所」は一つの突破口になる概念じゃないでしょうか。

恣意的にではなく、”自然と”男女比が50:50になったとしたら、それは問題ないことだと思いますが、男女比が50:50であることが平等だから制度としてやらなければならないというのはゆがみが出てきてしまうのではないでしょうか。

企業側は適材適所でその人を選んだことをしっかりと説明できるようにすることのほうが重要なのかもしれません。

P.S.

A new generation of tech girls learn to think creatively|Accenture

Women pursuing STEM careers: Trust in your ability|Accenture

Accentureでは、男女の多様性について変えていこうとしているだけでなく、女の子がSTEM(科学、技術、工学、数学)スキルを子供の頃から学び、創造的な力を身につけていくことをすすめています。

【関連記事】

なぜ女は男のように自信をもてないのか

新品価格
¥1,944から
(2017/6/17 10:39時点)

女性の生き方が変われば、社会にも新しい変化が出てくると思いますので、楽しみですね。

【追記(2017/10/9)】

Frauenstimmen werden tiefer – daran könnte es liegen|GEO

ドイツ人女性の声は過去20年で声は低くなり、以前は男性よりも1オクターブが高かった声が、その差は半分になったそうです。

男性の声に変化はなかったことから、女性の声の変化に生物学的要因が影響しているのではなく、社会・文化的な理由が反映されたことにより声が変わったのではないかと考えられるそうです。

【参考リンク】

  • Language pitch(2017/2/1、Erik Bernhardsson)







【関連記事】

P.S.