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BiliScreen|スマホカメラの自撮りで膵臓がんを簡単にスクリーニングできるアプリ|膵臓がんのサイン「黄疸」の原因となる「ビリルビン値」を測定|ワシントン大学

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【目次】

■「BiliScreen」|スマホカメラの自撮りで膵臓がんを簡単にスクリーニングできるアプリ|膵臓がんのサイン「黄疸」の原因となる「ビリルビン値」を測定|ワシントン大学

「BiliScreen」|スマホカメラの自撮りで膵臓がんを簡単にスクリーニングできるアプリ|膵臓がんのサイン「黄疸」の原因となる「ビリルビン値」を測定|ワシントン大学
「BiliScreen」|スマホカメラの自撮りで膵臓がんを簡単にスクリーニングできるアプリ|膵臓がんのサイン「黄疸」の原因となる「ビリルビン値」を測定|ワシントン大学

参考画像:BiliScreen: Smartphone-based App for Measuring Adult Jaundice|YouTubeスクリーンショット

ワシントン大学の研究者らが研究・開発しているのは、スマホのカメラで自撮りをすることで、膵臓がんなどの病気を簡単にスクリーニング(ふるいわけ)できるアプリ「BiliScreen」です。

膵臓がんの初期症状の一つには、ビリルビンの蓄積によって肌や目に黄色の変色が起こる「黄疸(おうだん)」があり、「BiliScreen」は、スマホカメラ、コンピュータビジョンアルゴリズム、マシンラーニングを使用して、目の強膜または目の白い部分のビリルビン値の増加を検出します。

BiliScreen: Smartphone-based App for Measuring Adult Jaundice

■なぜ膵臓がんになると黄疸の症状が現れるのか?

黄疸|メルクマニュアル家庭版

黄疸は、血液中の色素であるビリルビンの濃度が異常に高くなったことが原因で、皮膚や白眼の部分が黄色く変色することです。

黄疸|日本消化器学会

黄疸とはビリルビンという色素が何らかの原因で血液中に増加し、その結果、全身の皮膚や粘膜に過剰に沈着した状態を意味します。

黄疸とは、血液中のビリルビン濃度が高くなることによって、皮膚や白目の部分が黄色く変色することを言います。

また、尿の色が濃い、皮膚がかゆくなる、全身の倦怠感、発熱などの症状も現れます。

では、なぜ血液中のビリルビン濃度が高くなるのでしょうか。

ビリルビンは、赤血球に含まれる酸素や二酸化炭素を運ぶヘモグロビンの一部が代謝されて出来たものです。

ビリルビンは肝臓に運ばれて、グルクロン酸という物質と結合し、胆汁(肝臓で生成される消化液)として胆管を通り、便の中へ排泄されています。

しかし、何らかの原因によって、血液中のビリルビン濃度が高くなると、黄疸の症状が現れるのです。

では、なぜ膵臓がんになると黄疸の症状が現れるのでしょうか?

膵がん|東京医科歯科大学

肝臓から総胆管という管が膵臓の頭部を貫いて十二指腸に流れており、肝臓で作られた胆汁という消化液を十二指腸に運んでいます。膵がんにより胆管が圧迫されることがあり、胆管への圧迫が進むと、胆汁の流れがさまたげられ、全身が胆汁により黄色くなる黄疸という症状が出現します。

膵臓がんにより、胆管が圧迫されて胆汁の流れが悪くなることにより、胆汁中にビリルビンを排出できなくなり、血液中でビリルビン濃度が高くなり、白目の部分が黄色くなる黄疸の症状が現れると考えられます。




■すい臓がんの検査

すい臓がんはなぜ「最悪のがん」だといわれるのか?|膵臓がんの5年生存率はあらゆるがんの中で最も低い!によれば、すい臓がんが早期に発見されにくい理由は、自覚症状がなかなか現れず、また、すい臓がん特有の特徴的な症状がないためです。

すい臓がんの症状として共通しているのが、胃のあたりや背中が重苦しい、お腹の調子がよくない、食欲不振やだるさ、体重の減少などがありますが、いずれもすい臓がん特有の症状ではなく、胃腸の調子が悪い程度のもので見過ごしてしまいがちです。

すい臓がんがある程度進行すると、はっきり黄疸が出たり、腹痛も強くなり、背中や腰に痛みが走り、体重の減少といった症状もみられるようになります。

しかし、小さなすい臓がんでは腹痛や黄疸などの症状も出ないことがあるため、すい臓がんが見つかった時にはすでに手遅れという場合も多いそうです。

●すい臓がんの検査

  • 腹部超音波(エコー)検査と血液検査は早期発見率が低い。
  • 「コンピューター断層撮影法」(CT)が比較的有効とされるが、撮影のために使用する「造影剤」には、重篤な副作用リスクがある。
  • MRI(核磁気共鳴画像法)を利用した「MRCP」という検査が、早期発見にある程度有効
  • より高度な検査方法として「内視鏡的逆行性胆管膵管造影」(ERCP)や「超音波内視鏡」(EUS)があるが、実施している医療機関が少ないうえ、費用が高額。

エコー検査や血液検査といった一般的な検査ではすい臓がんの早期発見は難しく、有効な検査方法にも副作用がある造影剤が必要であったり、費用が高額なものであったり、気軽に検査ができるものではなく、今後新しい検査方法が期待される分野であり、今回紹介したワシントン大学が開発したスマホでスクリーニングできるアプリというのはよいアイデアといえるのではないでしょうか。

ただ、黄疸の症状は肝臓の機能が悪化した場合にも現れるため、膵臓がんのみを見分けるのではなく、ビリルビン値が上昇していることをチェックすることで体に何らかのサインを出していることを示すアプリというほうが正確なのではないでしょうか。

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■膵臓がんの早期発見方法に関する研究

膵臓がんの早期発見方法については様々な研究が行なわれています。

検索の質問履歴からすい臓がん早期発見につながる方法|マイクロソフトの研究者らによれば、米マイクロソフトの研究者(MSヘルス部門CTOで情報検索が専門のライエン・ホワイト博士と、MSの研究所長で人工知能を担当し医師の資格も持つエリック・ホービッツ博士、MSのインターンだったコロンビア大学の博士課程大学院生ジョン・パパリゾス氏の3人)が、病気の症状について検索した過去の検索履歴の質問パターンから、将来膵臓がんの診断を示唆する質問内容の出現を5~15%の割合で特定し、病気を予測することにつながる手法を編み出したそうです。

すい臓がんを早期発見する「尾道方式」とは?|5年生存率、全国推計の3倍で紹介した「尾道方式」とは、JA尾道総合病院の花田敬士診療部長(消化器内科)が尾道市医師会と連携して始めたもので、「糖尿病」「肥満」「喫煙」「家族に膵臓がん患者がいる」など膵臓がんのリスクの高い患者がいた場合に、膵臓の検診を受けてもらい、がんの疑いがある場合はすぐにJA尾道総合病院を紹介して、体内に内視鏡を入れるなどをしてがんの有無を調べるという仕組みです。

すい臓がんを早期発見する方法を開発したのは15歳!?将来的には生存率が100%になる可能性も?によれば、当時15歳のジャック・アンドレイカ君は2013年にすい臓がんを早期発見する画期的な方法を発見しました。

すい臓がんになると検出される8000種類のタンパク質を納めたデータベースの中から

・がんの初期段階からすべての患者において血中レベルが高くなる

・がんである場合のみ変化が見られる

というタンパク質を発見し、一種類の特定のタンパク質にだけ反応するという性質をもつ「抗体」の性質を組み合わせるというものです。

すい臓がんを血液検査で早期発見する方法を開発 RNAに着目|東大によれば、東京大学のチームによれば、すい臓がん患者の血液に特定のRNAが健康な人より多く含まれていることに着目し、膵臓がんを血液検査で見つけ出す技術を開発したそうです。

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すい臓がんを早期発見する鍵は「血糖値」|#ためしてガッテン(#NHK)によれば、膵臓がんを早期発見するポイントは、血糖値が理由がないのに急上昇することが挙げられていて、すい臓でインスリンを作るβ細胞が、すい臓がんができると働きが悪くなり、その結果として血糖値が急上昇することがわかってきたのだそうです。

スクリーニング検査とは、定期健康診断や人間ドックなどで、検査を実施する段階では自覚症状がない方を対象に行い、隠れた病気を早期発見することが目的としていますが、今回紹介したワシントン大学のアプリや検索履歴の質問パターンによる病気予測などによって、体に負担がない方法で病気を早期発見することができるようになるといいですね。

→ 膵臓がんの症状(初期症状)・原因・予防 について詳しくはこちら







【参考リンク】
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東京慈恵会医科大学附属病院、DeepMind Healthと乳がんスクリーニングの研究に関するパートナーシップを締結

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■東京慈恵会医科大学附属病院、DeepMind Healthと乳がんスクリーニングの研究に関するパートナーシップを締結

Expanding our research on breast cancer screening to Japan
Expanding our research on breast cancer screening to Japan

参考画像:Expanding our research on breast cancer screening to Japan(2018/10/4、Deepmind)|スクリーンショット

東京慈恵会医科大学附属病院、DeepMind Health と乳がんスクリーニングの研究に関するパートナーシップを締結

(2018/10/4、東京慈恵会医科大学附属病院pdf)

本研究では、東京慈恵会医科大学附属病院と DeepMind が共同で、2007 年~ 2018 年に同病院で、過去に撮影され、かつ匿名化された 約 30,000 人の女性のマンモグラフィの分析を行います。これらのデータは、UK OPTIMAM (英国)が保有するマンモグラフィデータベースに保管されている過去に撮影され、匿名化されたマンモグラフィのデータと合わせて AI 技術による解析を行い、AI 技術が現在のスクリーニング技術よりも効果的に X 線画像上でがん性組織の兆候を検出できるか検討します。また、本研究の過程で、東京慈恵会医科大学附属病院より、約 3 万人の女性の匿名化された乳房超音波検査画像および 3,500 の匿名化された乳房 MRI スキャン画像の共有を予定しています。

東京慈恵会医科大学附属病院は、DeepMind Healthと5年間の医学研究パートナーシップを締結し、人工知能(AI)の利用が乳房スクリーニング及び乳がん検出の改善に寄与するかを調査するそうです。

【参考リンク】

■まとめ

これまでにもDeepmindがAI技術を活用して医療に活用するというニュースを取り上げてきました。

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テクノロジーと医療分野のトレンド|ウェアラブルデバイス・健康アプリ・医学研究|メアリー・ミーカー(MARY MEEKER)レポートで紹介したレポート(スライド300)によれば、インプットのデジタル化の増加によって、医療データは年間成長率は48%となっているそうです。

また、レポート(スライド302)によれば、インプットされるデータ量が増えていくことで、科学論文引用が増加しており、医学研究・知識は3.5年ごとに倍増しているそうです。

以前取り上げたIBMの「WATSON」によってがん治療がスピードアップする!?によれば、医療従事者は、膨大な数の情報(最新の医療研究、論文、医療データ、患者の医療記録)を取り扱っていて、すでに人の頭脳では把握することができないほどなのだそうです。

ゲノム解析が一般的なものになった時、AIが過去の文献や医学論文、データベースを探索するようになる!?で取り上げましたが、人々がセンサーが付いたウェアラブルデバイスなどを今まで以上に活用するようになったり、これまで以上に医療に役立つデータが増加し、医学研究が進むとなると、昨日まで常識だった医学知識が次の日には非常識になってしまうようになることが予想されます。

おそらくそのスピードは日単位ではなく、時間単位になっていくことでしょう。

そう考えると、いかにAIが医療関係者をサポートしていくかが重要になっていくため、今回のような取り組みが大切になっていくのではないでしょうか?