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ゲームデザイナー小島秀夫さんインタビュー|メタルギアは制約から始まった|ゲームとは人間を知る勉強|ゲームセンターCX(2004年)

【目次】




■ゲームデザイナー小島秀夫さんインタビュー|ゲームセンターCX(2004年)

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by Alex Ortega(画像:Creative Commons)

2004年12月1日のゲームセンターCXで行われた小島秀夫さん(当時コナミ)へのインタビューは興味深いものでした。

小島秀夫さんといえば、メタルギアシリーズの監督として有名です。

このインタビューは、メタルギアソリッド3が発売される前に行われたもので、メタルギアソリッドがどのように始まったのか、小島監督にとってゲームとは何なのかについて語られています。




■メタルギアソリッドは制約から始まった

当時はアーケードゲームで戦争を題材にしたコンバットゲームが流行っていて、それをMSX(1983年マイクロソフトとアスキーが共同で企画・開発したコンピューターの規格)で作るようにいわれたが、MSX はスプライト(2Dゲームで動くキャラクターを動作させる技術)の裏示能力が弱く、キャラタターが画面上に多く登場するゲームを苦手としていたため、敵兵を二人並べると玉が出ないというような画面上に敵を多く出すことができない(処理の限界)という誰がチャレンジしてもできないゲームが回ってきた。

それでできたのが「メタルギア」。

小島さんは「敵が多く出なくても戦闘にリスクを持たせる」「戦闘シーンを作ることが困難なら、戦闘シーンを回避すること自体をゲームにすればいい」という逆転の発想をしたことで、「なるべく戦闘を回避しながら、敵から隠れながら進む」という画期的なシステムが誕生することになったそうです。(そのため最初は武器を持たない設定なのです)

なんでもいいよというように自由であるほうが創造力が発揮しやすいわけではなく、制約があることで生まれるアイデアもあることがわかります。

任天堂の宮本茂さんが考えて、任天堂の岩田聡さんとほぼ日の糸井重里さんが広めた次のフレーズがあります。

「アイデアというのは複数の問題を一気に解決するものである」
“something which solves multiple issues at once”.

アイデアというのはなにか

(2007/8/31、ほぼ日)

問題となっている事象の根源を辿っていくと、
いくつもの別の症状に見える問題が
じつは根っこでつながってることがあったり、
ひとつを変えると、
一見つながりが見えなかった
別のところにも影響があって、
いろんな問題がいっしょになくなったりする。

一つの問題を解決しようとすると、「あちらを立てればこちらが立たず」というようなトレードオフの関係になってしまっている印象を受けます。

それは、問題の本質ではないものにフォーカスを当ててしまい、結局はまた問題が残ってしまっているのではないかと思うのです。

ゲーム機の性能上アクションシーンが難しい、ミリタリーアクションとして面白いものをという2つの課題を解決するために生まれたのが、「なるべく戦闘を回避しながら、敵から隠れながら進む」というアイデアだったわけです。

【関連記事】

【参考リンク】

ゲームの制約といえば、ドラクエの音楽制作における制約に関するエピソードも興味深いです。

社長が訊く『ドラゴンクエストⅨ星空の守り人』

岩田

当時のファミリーコンピュータは
音源の数がとても少なくて、
出せる音の種類の幅も狭かったんですよね。

すぎやま

ノイズ音を除いて、3(スリー)トラックでしたから。

社長が訊く『ドラゴンクエストⅨ星空の守り人』

すぎやま

でもね、『ドラクエI』の曲は1週間でつくったんですよ。

ドラゴンクエストIは、ゲームで使える容量が限られていて、また出せる音の種類の幅も狭く、製作期間も1週間しかなかったそうです。

堀井雄二氏がゲームデザイナーとなったきっかけや,「ドラゴンクエスト」のゲーム作りを語る。「黒川塾(十弐)」聴講レポート

(2013/9/30、4gamer)

「ドラゴンクエスト」の開発にあたっては,64KB(!)というメモリの制約に苦しめられた

当時のゲームでは2~3音しか使えないにも関わらず,あえてクラシック調で作られたすぎやま氏の音楽は,ゲームに多大な深みを与えたと堀井氏は評している。

前述のすぎやま氏のチャレンジなどを踏まえ,堀井氏は「ゲーム機の機能向上に伴い,何でもできてしまうので,今のゲームは驚きを与えにくくなっている」と語る。

現在まで通用する音を一週間で使ったというすぎやまさんにも驚きですが、堀井さんが語る「ゲーム機の機能向上に伴い,何でもできてしまうので,今のゲームは驚きを与えにくくなっている」ということも重要です。

■ゲームとは人間を知る勉強

インタビューで「あなたにとってゲームとは」という質問に対して、サービス業なので、人間をよく理解しないとダメであり、ゲームとは人間を知る勉強と答えます。

「ゲーム作りに大切にしていることは?」という質問に対しては、操作感(ゲームしていて気持ちいいかどうか)を大切にしていて、映画っぽいゲームといわれるが、ユーザーのことを考えていると答えています。

以前、堀井雄二さんがドラクエについて語る中で、『「人間くさい」ゲームにしたかった』と答えていました。

また、ゲームデザインを考えている人たちのインタビューを読むと、数学的な確率とは別に、確率についての体感値という話があり、おそらくその体感値こそが人間らしさ、人間くささなのではないではないかと書きました。

「お金2.0(佐藤航陽)」レビュー|ネットワーク・報酬系・ランダム性の視点から|トークンエコノミーや経済の民主化で自分自身の経済圏を作る時代になる!では、お金のことは「ネットワーク」「報酬系」「ランダム性」という3つの視点で考えられるのではないかと書きましたが、本質を求めようとすると、人間とは何か?という視点に落ち着くような気がします。

■ゲーム実況者を観てる人もクリエイターになる時代が来る!?







P.S.
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健康管理UXをいかに編集してわかりやすくできるか?|#ドラクエ におけるレベルデザインを象徴するアイコン「橋」を参考にしてみよう!




■健康管理UXをいかに編集してわかりやすくできるか?|ドラクエにおけるレベルデザインを象徴するアイコン「橋」を参考にしてみよう!

Forth Bridge Blues

by Chris Combe(画像:Creative Commons)

センサーの付いたウェアラブルデバイスをつけるようになって、これからどんどん健康に関する生体情報は増えていくでしょう。

テクノロジーと医療分野のトレンド|ウェアラブルデバイス・健康アプリ・医学研究|メアリー・ミーカー(MARY MEEKER)レポートによれば、インプットのデジタル化の増加によって、医療データは年間成長率は48%となっているそうです。

ただ、健康管理がどんなに大事だとわかっていても、情報にあふれる現代では数字だけで表現されていても直感的には理解できずに、継続できなければ意味がありません。

健康管理に対する関心は高いのに、なぜウェアラブルデバイス市場の成長は鈍化しているのか?|「リストバンド型」から「腕時計型」へでも取り上げましたが、ウェアラブルデバイスが「リストバンド型」から「腕時計型」へ移りつつあるのも、リストバンド型では直感的に理解できないことが関係しているのかもしれません。

そのため、これからは健康管理をする上で、いかにその情報(言葉、画像、テキスト、動画など)をわかりやすく、受け取りやすい形に編集して、製品やサービスを利用を通じて得られる体験であるUX(ユーザーエクスペリエンス)をよいものにするかが重要だと思います。

そこで、今回健康管理UXを向上させるための提案の参考として挙げるのが「ドラゴンクエスト」です。

ドラゴンクエストの旅の始まりは説明書に頼ることなくゲームの操作を説明するチュートリアルを兼ねているというのが素晴らしいというのが一つのポイントです。

そして、もう一つ、ゲームをする上で大事な要素になっているドラクエにおける「橋」のようなものを健康管理の基準値としての役割を持たせると面白いのではないかと考えました。

ドラクエで堀井雄二はいかに“編集”したか?――初代ドラクエの「1泊2日観光ツアー」革命【ゲーム語りの基礎教養:第二回】

(2016/6/20、電ファミニコゲーマー)

レベルデザインとは、ゲーム内のマップやエリアの構造、敵の配置や難易度などを設計すること。

<中略>

ドラクエにおけるレベルデザインを象徴するアイコンは「橋」だ。全体マップをいくつかのエリアに区切り、エリア内では強さが同じぐらいのモンスターを出現させる。その区切りが「橋」である。

<中略>

「橋」は、「ここから先はレベルを上げてから進みなさい」と警告する道しるべだ。

人間は「感覚追加」を行うことで新しい世界を見ることができるかもしれない!?|デイヴィッド・イーグルマン「人間に新たな感覚を作り出すことは可能か?」よりによれば、例えば、血糖値を計測して、数値で血糖値が〇〇と出たとしても、人によっては生活習慣を改善しようとまでは思わない人もいると考え、血糖値の高さを別の形で表現するとしたら、どうでしょうかと提案しました。

血糖値の基準値を「ドラクエにおける『橋』」と考えると、これより先は怖いモンスター(糖尿病など)が現れるので気をつけなさいと表現するとわかりやすいのではないでしょうか?

※ただ、ドラクエにおける「橋」は、「ここから先はレベルを上げてから進みなさい」と警告する道しるべだと考えると、間違ったメッセージの伝わり方になってしまう恐れがあるので、別の編集の仕方が必要です。

「Botと話して1分で保険に入った」:スマホD2Cのフィンテック

(2017/7/10、scrum ventures)

保険(Lemonade)、証券(Robinhood)、送金(Venmo)と分野は異なりますが、共通している「スマホに最適化されたUI/UX」というのはこれからのフィンテックの一つの成功の鍵だと思います。

LEMONADE|保険ビジネスにAIと行動経済学を活用したINSURTECHスタートアップで取り上げたInsurTechスタートアップ Lemonade、「スマホ証券会社」のRobinhood、「スマホ送金アプリ」のVenmoに共通するのは「スマホに最適化されたUI/UX」であると紹介されています。

このように「スマホに最適化されたUI/UX」をどの健康管理アプリが見つけることができ、デファクトスタンダード(事実上の標準)になることができるかが次のステップになるのではないでしょうか。




■まとめ

スマートウォッチは病気の早期発見に役立つ|正常値とベースライン値の確立が重要|スタンフォード大によれば、現在進行中の研究の重要な要素は、正常値またはベースライン値を確立することなのだそうです。

Verily(元Google X)のProject Baseline studyの目的は、病気のサインを見つけ病気の予防をすること!?で紹介したプロジェクト「Baseline Study」では、尿・血液・唾液・涙といった成分からデータを収集・解析し、健康の基準値(ベースライン)を見つけることで、生体の状態や病態を示す指標「バイオマーカー」を発見し、健康維持や病気の早期発見に役立てることを目指していました。

病気が発症してからではなく、健康な体が病気になりそうなサインを見つけるというアイデアは、東洋医学における「未病」という考え方に近いものです。

人によっては、健康診断などの検査結果で異常がないにもかかわらず、体がだるい、疲れやすい、頭痛、肩こり、めまい、眠れないなどといった体の不調に悩まされた経験もあるのではないでしょうか。

「はっきりとした症状はでていない」「数値には現れないけどなんだか体調がよくない」というときを、健康な体から病気の身体へと向かう途中だと考えるとすれば、その途中で起きる「サイン」に着目して、何らかの対処を行なうことが最も効果的な医療になっていくのではないでしょうか。

そのためにも、病気かそうではないかの「Baseline(ベースライン)」を見つける研究に注目が集まっていると考えられます。

今回はドラクエの橋を例として挙げましたが、誰もが知っているもので健康管理に関する数字を表現すると、もっと健康について啓発できるのかもしれません。

以前、Cardiolens|Hololensを使って相手のバイタルサインをリアルタイムで可視化するAR・MRアプリでは、MicrosoftのHoloLensを用いて”相手のバイタルサイン”をリアルタイムに見ることができるツールが開発されていることを紹介しましたが、ゲームの要素を組み合わせるとわかりやすくなるかもしれません。







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