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にしおかすみこさん、認知症の母の介護認定を受けなかった理由とは?




にしおかすみこ、認知症母の介護認定まだ受けず 介護4年、調査員の訪問で二の足によれば、9月は認知症月間であることから、「羽鳥慎一モーニングショー」では認知症の介護を特集し、その中でにしおかすみこさんが認知症の母親の介護について語ったことが話題になっています。

にしおかさんのお母さんは記憶障害(もの忘れ、例:にしおかさんの仕事を書店のバイトだと記憶違い)や複数の薬を誤って服用するなどの認知症の症状があるそうです。

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今回気になったのはにしおかさんが要介護・支援の認定を受けるために地域包括支援センターへの相談をしていないことです。

その理由としては、介護認定調査を受けるときに母が質問に答えられずショックを受けて傷つかないかが心配だから。

柴田理恵さんと駒村多恵さんのそれぞれの介護への取り組み方の違いから見えてくるものとは?では親の介護の考え方や取り組み方も様々だと思い、考えさせられます。

柴田理恵さんの場合は、介護認定が要支援がいきなり要介護4になったタイミングで「東京に来る?」と尋ねたところ、「私の人生は私のもので、あんたの人生はあんたのもの。あんたが仕事を辞めて私の介護をするのは賛成しない」とお母さんに言われたことで、一緒に暮らして介護をする以外の選択肢を考える必要がありました。

駒村多恵さんの場合は、在宅介護はお母さんの希望であり、「母を支えたい一方、好きな仕事も辞めたくない。」ということで、介護と仕事を両立することを目指しました。

どちらが正しいというわけではなくて、介護に対する親の考え方と子の考え方によってこのパターンは様々に変化します。

ただ大事なことは親は自分の子供の幸せを望んでいるからこそ、親の犠牲になってほしいわけではないということ。

柴田さんのケースでは、親子だと本音で話してケンカをすることもあるので、介護のプロの方に間に立ってもらった方が物事がスムーズに進んでよかったようですし、駒村さんのケースでは介護について学びトライ&エラーを繰り返しながら、時には専門家からアドバイスをもらったりして、やりがいを感じているようです。

柴田さんと駒村さんのケースでは、介護の仕方として上手くいっているケースと言えます。

しかし、にしおかさんのケースは「毎日私も疲れる」とコメントしているように、介護疲れのサインが明らかに表れています。

地域包括支援センターへ相談すること=困っていること・プライベートを話すことへの抵抗感があるのはわかります。

ただそのことを話すことができる相手がいることは助けになります。

にしおかさんの場合は現在の状況を書籍にしていることもありますが、ほかの方の場合は、介護というのは周りに話すことへの抵抗感があっても不思議ではありません。

だからこそ「こういう困りごとがあるんですよ」と話す相手がいることは介護する側にとって心の救いになると思います。

自分が勝手にこうじゃないかなと思い込んでいたことが実はこういうサービスであるんですよということで解消することもあることでしょう。

にしおかさんの場合は介護を受けるお母さん側の気持ちに寄り添いすぎて、介護をする自分側の気持ちには寄り添えていないでしょうか?

私たちも介護サービスを受けていますが、介護サービスを受けたことにより、ばあちゃん(母)はリハビリを受けたり、入浴介助をしたり、家族以外の人と話す機会ができました。

12の危険因子を知って認知症を予防しよう!によれば、認知症予防には、社会的交流・社会的接触を増やして社会的孤立を防ぐことも大事です。

人によって違うかもしれませんが、家族から介護を受けるよりもプロの介護を受けるほうが気軽にできるという人もいるでしょうし、家族には言えないことが話せる機会があるというのは健全なのではないでしょうか?

自分以外の視点を入れるというのはいいことだと思います。

私の場合は仕事をしながら介護をしているので、少しの時間でも介護を任せられることにより、安心して仕事ができるようになりました。

例えば、仕事に行っている間に、ご飯の心配をしなくて済む、火事の心配をしなくて済む、倒れた時もすぐに駆け付けてくれるということは安心して仕事ができることにつながります。

介護認定を受けて介護サービスを受けることは、介護される側だけが助かるのではなく、介護する側も助けてくれることなのだと改めて思いました。

【追記(2024年9月25日)】

【9月は認知症月間】にしおかすみこ、認知症の母に地域包括支援センターを予約「4年越しに一歩進みそう」によれば、にしおかすみこさんは、最近になって「この間、地域包括支援センターに電話して予約を取って、今度行くというところまできている。」と一歩前進したことをコメントしています。

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→ 認知症の症状|認知症予防に良い食べ物・栄養 について詳しくはこちら







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「AI野々村真」が介護施設で高齢者の話し相手になり認知機能が改善するかの実証実験




高齢者の認知機能改善に向け、「野々村真」氏のAIキャラクターを活用する実証実験に全研ケアが参画!~AI技術を活用し介護施設で有名人と会話を楽しめる実験に協力~(2024/6/17、Zenken)によれば、AIキャラクターに野々村真さんを起用し、「AI野々村真」を介護施設で活用し、施設利用者の認知機能の改善やサービス満足度の向上を目指す実証実験を行なうそうです。

野々村真AI・デジタルヒューマンプロジェクト開始!撮影裏側&製作の途中経過を大公開!

12の危険因子を知って認知症を予防しよう!には認知症を予防する方法として「社会的交流・社会的接触を増やして社会的孤立を防ぐ」があります。

つまり、今回の実証実験ではデジタルヒューマン(AI野々村真)との会話も社会的交流の一つになり得るかというのがポイントになります。

オキシトシンで痛みやストレスが和らぎ、血圧が下がる|簡単タッチケアの方法|#ガッテン(#NHK)によれば、安心できる人と電話をするだけでもオキシトシンというホルモンが出てストレスが軽減するそうです。

有名人というのは全く知らない誰かではないため、もしかすると「安心できる人」に含まれるかもしれません。

そう考えると、AIを活用したデジタルヒューマンとの会話によっても、オキシトシンが出てストレスが軽減されることになれば、介護の現場でも役立ちそうですね。

■まとめ

今回もう一つ気になったポイントは認知症の改善効果が期待されるコミュニケーション用ロボット「テレノイド」が宮城県の介護施設に導入という記事との比較です。

2017年のニュースによれば、大阪大学の石黒浩教授が開発した、認知症の予防や症状の進行を抑える効果が期待されるコミュニケーション用ロボット「テレノイド」が宮城県の介護施設に導入されました。

デンマークと日本における存在感対話メディアの実証的研究によれば、ほとんどの認知症高齢者がテレノイドに強い愛着を示し、うつ傾向がある人や無反応な人が自ら話しかけるようになるそうです。

また、テレノイドには積極的に身体的接触を図る傾向があるそうで、これには「触れ合い」によるストレス軽減効果があると考えられるそうです。

オキシトシンで痛みやストレスが和らぎ、血圧が下がる|簡単タッチケアの方法|#ガッテン(#NHK)によれば、カラダに触れられると脳から出てくる「オキシトシン」というホルモンは、痛みやストレスを緩和し、血圧を下げたり、認知症にも効果的だったり、ストレスや不安も軽減してくれるそうです。

乱暴な言動や徘徊をしていた認知症の人にタッチケアをすると、乱暴な言動が減り、徘徊もしなくなったそうです。

痛みやストレス、強い不安に襲われると脳の中では、扁桃体が興奮します。

前頭前野が扁桃体の興奮を抑えているのですが、慢性的にストレスや痛みがかかり続けると、前頭前野では扁桃体の興奮を抑えることができずに、血圧が上がったり、不眠になってしまうそうです。

そこで、身体に触れられることによりオキシトシンが出ると、扁桃体の興奮を鎮めることにより、血圧が下がったり、痛みが治まるそうです。

オキシトシンは触れられることによってだけ出るわけではなく、安心できる人と電話をするだけでもオキシトシンが出てストレスが軽減するそうです。

オキシトシンを効果的に出す方法として紹介されたのは、抱き枕を抱きながら安心できる人と電話をすることで、声+触り心地によって、オキシトシンが出るそうです。

声を聞くだけよりも、抱き枕など抱えて抱き心地が加わると、より相手の存在を強く感じるため、安心の効果が大きくなるという研究結果があるそうです。

この研究と先ほどの実証実験を組み合わせて考えると、抱き枕など触れられるものを抱えて行えば、より安心の効果が大きくなるではないでしょうか?

→ 認知症対策|認知症に良い食べ物・栄養 について詳しくはこちら







少子高齢化による労働人口の減少の問題を、家事の大変さをスマートライフ市場が代替することで、働き手を増やし、約100兆円の家事市場を創出しよう!




■少子高齢化による労働人口の減少の問題を、家事などをスマートライフ市場が代替することで、働き手を増やし、約100兆円の家事市場を創出しよう!

スマートライフのイメージ
スマートライフのイメージ

参考画像:「Connected Industries」東京イニシアティブ2017(2017/10/2、経済産業省)|スクリーンショット

日本では少子高齢化が進んでおり、労働人口の減少が問題となっています。

日本の人口の推移|平成28年版情報通信白書|総務省
日本の人口の推移|平成28年版情報通信白書|総務省

参考画像:少子高齢化の進行と人口減少社会の到来|平成28年版情報通信白書|総務省スクリーンショット

少子高齢化の進行と人口減少社会の到来|平成28年版情報通信白書|総務省

総務省の国勢調査によると、2015年の人口は1億2,520万人、生産年齢人口は7,592万人である。。国立社会保障・人口問題研究所の将来推計人口(出生中位・死亡中位推計)によると、総人口は2048年に1億人を割り、2060年には8,674万人にまで減少すると推計されている

総務省の国勢調査によれば、日本では少子高齢化が進んでおり、生産人口が減少し、総人口も減少を始めています。

経済産業省では、様々な業種、企業、人、機械、データなどがつながって、AI等によって、新たな付加価値や製品・サービスを創出、生産性を向上し、高齢化、人手不足、環境・エネルギー制約などの社会課題を解決するという「Connected Industries」というコンセプトを掲げています。

「Connected Industries」の取組の方向性として、5つの重点取組分野(自動走行・モビリティサービス、ものづくり・ロボティクス、バイオ・素材、プラント・インフラ保安、スマートライフ)を挙げています。

その中の一つの「スマートライフ」では、少子高齢化が進む中で起こる労働人口の減少を、家事などによる無償労働をスマートライフ市場が代替することによって、労働人口(時間)を増やすと同時に、市場を作ろうと提案しています。

「Connected Industries」東京イニシアティブ2017

(2017/10/2、経済産業省)

少子高齢化が進む中で、人手不足等の社会課題への対応が求められており、家事等の無償労働をスマートライフ市場が代替することで、働き手(労働時間)を創出していくことが必要。

なお、家電市場は約7兆円だが、家事市場は約100兆円との試算あり。

※内閣府の「家事活動等の評価について」によると、2011年の無償労働貨幣評価額は108兆円~97兆円と試算されている。

アメリカのプライム世代の女性の36%が「介護」を理由に仕事に就けない!?|働き盛り世代が無償の介護をしなければならない問題を解決するアイデアで紹介した米ブルッキングス研究所(Brookings Institution)のハミルトン・プロジェクト(The Hamilton Project)が発表した報告書によれば、アメリカでは2016年、成人の3分の1(37.2%)以上が仕事に就いておらず、そのうち「働き盛り世代」(25~54歳)に当たる人たちの5分の1近くが就業していないそうです。

その理由は「介護」にあります。

アメリカのベビーブーマー世代が高齢化するにつれて、介護の需要に供給が追い付かず、自宅で介護を受けており、親の介護をする結果、就労することができないというのが現状のようです。

就労できずに自宅で親の介護をしなければならない理由としては、必要な介護を受けるための経済的な仕組みが整っていないこと、介護を必要とする高齢者の増加、そして、介護を必要とする期間の長期化が挙げられています。

また、看護師・看護職員の離職理由とは|看護師の離職率を改善するための提案では、看護師の離職理由として、1.妊娠・出産・結婚・子育て・配偶者の転勤といった人生の転機が理由、2.勤務時間が長い・超過勤務が多い・夜勤の負担が大きいといった労働条件が理由、があり、看護師の離職率を改善するためには、ライフプランに合わせた働き方を検討していくことと一人一人への負担を軽くする働き方を検討していく必要があると書きました。

一部の例をあげましたが、このように、現時点では働こうという意欲があっても事情で働くことができない人がいるという現状があるわけです。

反対に考えれば、働きたくても働くことができない人の悩みを解決することができれば、働く人にとっては無償から有償の労働となり、社会にとっては労働人口の確保や市場の拡大というメリットが期待できるわけです。

どんな悩みがあるのでしょうか?

スマートライフのイメージ
スマートライフのイメージ

参考画像:「Connected Industries」東京イニシアティブ2017(2017/10/2、経済産業省)|スクリーンショット

■悩み

●安全

  • 宅配便を受け取れない

●家事

  • 買い物に行くのが面倒
  • スーパーまでの移動手段がない
  • 炊事・洗濯・掃除の時間がない

●健康

  • 日々の体調管理ができない
  • 認知症にならないようにしたい

●医療

  • 病院に行くのが大変
  • 病院間でカルテが共有されない

●介護

  • 両親の浴室事故を防ぎたい
  • 孤独死が怖い

●子育て

  • 遠隔での帰宅確認
  • 学校からの連絡がプリント
  • 塾へ行かせたいけど高い

■解決策

●安全

  • IoT宅配(不在配達+スマートロック)

【働き方調査】日本は今どれくらい忙しいの?|23.4%の人が、平日の家族との時間は1時間未満|「生活の中でAIに任せることができたら便利だと思うこと」ランキング|「生活で最も重視すること」では41.5%が「お金」では、「生活の中でAIに任せることができたら便利だと思うこと」ランキングでは、第4位「防犯/安全の管理」が選ばれていましたが、スマートロックやスマートスピーカーによる戸締り(セキュリティ)をするサービスが出てきていることを紹介しました。

その他の可能性としては、ブロックチェーンとIoTで「本人のみ受け取り可能な宅配ボックス」ができ、”荷物を受け取ったタイミングで自動で課金を実施する着払い型の宅配ボックス”ができるようになると再配達がなくなるのではないでしょうか。

また、宅配という面だけを見れば、ドローン宅配ということも可能性として考えられそうです。

【関連記事】

●家事

  • 献立提案・ネット宅配サービス
  • デマンド交通ソリューション
  • 家事代行サービス、家電の遠隔制御等

買物弱者対策に関する実態調査 結果報告書

(平成29年7月、総務省)

我が国では、高齢化や単身世帯の増加、地元小売業の廃業、既存商店街の衰退等により、過疎地域のみならず都市部においても、高齢者等を中心に食料品の購入や飲食に不便や苦労を感じる方(いわゆる「買い物難民」、「買い物弱者」、「買い物困難者」)が増えてきており、「食料品アクセス問題」として社会的な課題になっています。

買い物に行くのが面倒だったり、移動手段がないという問題に対しては、必要人数分の食材(献立も提案)を自宅まで宅配するサービスやドアtoドアの乗合タクシー・バス型のデマンド交通システム、移動販売が登場しています。

【参考リンク】

また、掃除や洗濯、料理(食器洗い乾燥機を含めて)の全自動化や家事代行サービスでいかに時間を作るかが重要になっています。

●掃除

iRobotのロボット掃除機「ルンバ」や床拭きロボット「ブラーバ」、Panasocicのロボット掃除機「RULO」、ダイソンの「360 Eye」

ルンバ980紹介ムービー

床拭きロボット ブラーバ<公式サイト>

●料理

クックフォーミー エクスプレス「圧力調理でスピード革命!」short ver. /T-fal

ホットくクッキング!

●健康

  • デバイスデータ連携ソリューション
  • コミュニケーションロボット

ICT医療においては、ICTを活用した個人の健康管理がスタートであり、カギとなります。

医療・健康分野におけるICT化の今後の方向性(平成25年12月、厚生労働省)によれば、

健康寿命を延伸するためには、ICTを利用した個人による日常的な健康管理が重要

だと書かれています。

ICTとは、Information and Communication Technology(インフォメーション・アンド・コミュニケーション・テクノロジー:情報通信技術)の略です。

ICTを活用した医療分野への活用の例としては次の通り。

  • 電子版お薬手帳や生活習慣病の個人疾病管理など患者・個人が自らの医療・健康情報を一元的、継続的に管理し活用する仕組み
  • 地域包括ケアシステム(電子カルテ情報を地域の診療所が参照する)
  • ICTを活用してレセプト等データを分析し全国規模の患者データベースを構築し、疾病予防を促進
健康・医療・介護データを経年的に把握できるリアルデータプラットフォームの構築|新産業構造ビジョン|経済産業省
健康・医療・介護データを経年的に把握できるリアルデータプラットフォームの構築|新産業構造ビジョン|経済産業省

参考画像:「新産業構造ビジョン」(2017/5/29、経済産業省)|スクリーンショット

経済産業省の「新産業構造ビジョン」によれば、個人が自らの生涯の健康・医療データを経年的に把握するため、また、最適な健康管理・医療を提供するための基盤として、健康・医療・介護のリアルデータプラットフォーム(PHR:Personal Health Record)を構築し、2020年度には本格稼働させていくことが必要と提案されています。

医療機関での「Pepper」を使ったコミュニケーションシステムにおける共同研究開発を開始|フライトシステム・東京慈恵会医科大学・ジェナで医療ICT化推進を目指すでは、Pepperとの自然な対話を通して認知症の疑いを発見する仕組みの開発がスタートしています。

認知症の改善効果が期待されるコミュニケーション用ロボット「テレノイド」が宮城県の介護施設に導入によれば、大阪大学の石黒浩教授が開発した、認知症の予防や症状の進行を抑える効果が期待されるコミュニケーション用ロボット「テレノイド」が宮城県の介護施設に導入されたそうです。

デンマークと日本における存在感対話メディアの実証的研究によれば、ほとんどの認知症高齢者がテレノイドに強い愛着を示し、うつ傾向がある人や無反応な人が自ら話しかけるようになるそうです。

また、テレノイドには積極的に身体的接触を図る傾向があるそうで、これには「触れ合い」によるストレス軽減効果があると考えられるそうです。

Pepperにもこうしたことができれば、認知症の早期発見だけでなく、予防や症状の進行を抑えることもできるようになるかもしれません。

●医療

  • 遠隔診療サービス
  • お薬手帳・母子手帳の電子化

厚生労働省の通達「情報通信機器を用いた診療について」に対応した遠隔医療機能を持たせたサービスがいよいよスタートによれば、厚生労働省が2017年7月14日付けで出した通達「情報通信機器を用いた診療について」に対応して遠隔医療機能を持たせたサービスの展開が始まりました。

医療現場における、IoTやAI等の革新的技術の利活用|遠隔診療・AIを活用した診療
医療現場における、IoTやAI等の革新的技術の利活用|遠隔診療・AIを活用した診療

参考画像:新産業構造ビジョン(2017/5/30、経済産業省)

新産業構造ビジョン(2017/5/30、経済産業省)によれば、患者のQOLの最大化に向けて、個人の健康・医療データを活かす新たなシステムが必要であるとして、患者自らが納得して選択できる医療、患者の満足度の⾼い医療、時間・場所を問わず、必要な医療が提供される環境の実現が必要とあり、その中でも「遠隔診療」、「AIを活⽤した診療」といったIoTやAI等の革新的技術を医療現場におけて利活用する取り組みが重要となるとあります。

医療とテクノロジーを組み合わせることによって、時間・場所を問わず、必要な医療が提供される環境が実現すれば、より医療が身近なものとなっていくことが期待されます。

第一生命が取り組む「INSTECH」とは?|保険(INSURANCE)とテクノロジー(TECHNOLOGY)|医療ビッグデータの解析・健康な人ほど得をする保険商品の開発によれば、第一生命、ネオファースト生命、電子お薬手帳である「お薬手帳プラス」アプリを独自に開発している日本調剤が業務提携を行ない、新たなサービスや保険商品の開発を行なっていくそうです。

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電子母子手帳アプリ提供開始 「マイME-BYO(未病)カルテ」と連携でお薬情報も管理できる|神奈川県によれば、神奈川県では母親や子供の健診情報や予防接種のスケジュール管理ができる電子母子手帳アプリの提供を開始したそうです。

●介護

  • 浴室見守りソリューション
  • 家電のモニタリングによる異常検知

【IoT×介護】溺水事故を防ぐ!マイクロ波を使った「浴室センサー」|失禁への不安を軽減!排尿センサー|SOMPOによれば、損害保険会社のSOMPOホールディングスは、入浴時に浴室でおぼれてしまう事故を防ぐために、「浴室センサー」と呼ぶIoT機器を浴室内に設置し、マイクロ波を活用した「浴室センサー」で状態を把握できるようにし、動きがない時にはアラートを通知するようになっているそうです。

マイクロ波を活用する理由は、カメラでの検知のほうが安全性は確保できるものの、カメラで撮影され続けるというプライバシーの問題があるため、マイクロ波を選んでいるそうです。

腕時計型端末が異常を検知した時に、緊急時に職員を急行させたり、救急車を手配する新見守りサービス「セコム・ホームセキュリティNEO」では、セコムは、高齢者らが急病で倒れたことなどを検知する腕時計型の端末「セコム・マイドクターウォッチ」を開発し、端末が異常を検知したときには、緊急時に職員を急行させたり、救急車を手配するなどの新サービスを始めています。

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●子育て

  • 入退出見守りソリューション
  • ICTコミュニケーション
  • オンライン学習サービス

クラウドで教育をより良く教育ICTガイドブック|総務省によれば、ICT(Information & Communications Technology:情報通信技術)を教育分野で活用する意義には、主体的・協働的に深い学びを実現するなど学びを活性化する「Active」、ビッグデータ、AI関連技術により習熟度が見える化され、学びが個々に最適化された「Adaptive」、地理的制約や心身の障害、貧困などの困難を抱える子供たちの学びを支援する「Assistive」という3つのAに整理できるそうです。

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■少子高齢化による高齢化社会は日本にとってのビジネスチャンスになる!?

アンバンドル・リバンドル・エンハンスを視点の一つに組み込もう!|#FINTECH #INSURTECH #HEALTHTECH #AGRITECH #EDTECH の次は?では、金融分やのFintech(フィンテック)、保険分野のInsurtech(インシュアテック)、ヘルスケア分野の「Healthtech」、農業分野のAgritech(アグリテック)、教育分野のEdtech(エドテック)が起きていることを紹介しましたが、スマートライフでいえば、Hometech(ホームテック)・Lifetech(ライフテック)とでも呼べるものが起き始めています。

そして、少子高齢化社会の訪れに対して悲観的ではなく、逆にチャンスととらえようという動きも出ています。

例えば、大人用紙オムツの売上が子供用オムツの売上を追い抜いた!?|日本の紙おむつが国際規格化|高齢化社会がビジネスチャンスに変わる!?によれば、大人用紙おむつの評価方法に関する規格「ISO15621尿吸収用具―評価に関する一般的指針」が改訂し、欧米の「テープ止め型(体にテープで固定するタイプ)」ではなく、日本が提案する装着車の症状や生活環境に合わせたきめ細かい高齢者介護学科脳になるパンツ型やテープ止め型のおむつに吸着パッドを挿入するタイプなどを規格化されました。

つまり、世界に先行して高齢化社会に突入している日本は、医療費削減のアイデアやよりよい介護の方法を実行できる立場にあり、それらのやり方をスタンダードにすることができるというビジネスチャンスがあるのではないでしょうか?

また、こうした考え方を発展させれば、人間と機械(人工知能・ロボット)と一体化して、人間の能力を強化・拡張していくことによって、未来の社会基盤を構築していくことにもつながると思います。

この考え方は、ヒューマンオーグメンテーション(Human Augmentation)という暦本純一さんが提唱するコンセプトで、人間とテクノロジー・人工知能が一体化することで、知覚、認知、身体、存在感の4つの分野で人間の能力を強化・拡張していくIoA(Internet of Abilities:能力のインターネット)という未来社会基盤の構築を視野に入れた、最先端の研究を体系化していく学問領域です。

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https://twitter.com/ochyai/status/863280246140698624で落合陽一さんはAIやロボットなど自動化技術によって、高齢化社会で成長する方法を提案しています。

自立支援に軸足を置いた介護への移行|インセンティブ設計|介護現場での人工知能の導入加速
自立支援に軸足を置いた介護への移行|インセンティブ設計|介護現場での人工知能の導入加速
利用者の生活の質の維持・向上と介護者の負担軽減を実現する介護ロボットの開発・活用促進|現場ニーズに基づく介護ロボット開発支援
利用者の生活の質の維持・向上と介護者の負担軽減を実現する介護ロボットの開発・活用促進|現場ニーズに基づく介護ロボット開発支援

参考画像:新産業構造ビジョン(2017/5/30、経済産業省)

新産業構造ビジョン(2017/5/30、経済産業省)によれば、患者のQOLの最⼤化に向けて、⾼齢となっても⾃分らしく⽣きることの出来る「⽣涯現役社会」の実現に向けて、⾃⽴⽀援に向けた介護や質・⽣産性の⾼い介護の提供の実現が必要であるとして、ケアプラン作成を⽀援するAI(人工知能)や介護現場のニーズに基づいた介護ロボット(センサー含む)を開発・活⽤が必要になるとあります。

高齢化社会をベースにすると発想を転換すると、それに合わせたテクノロジーが生まれることによって、もしかすると、若者にとっても過ごしやすい社会になるかもしれませんし、すでにそうした兆しも見えています。

少子高齢化こそ新しいものを生み出すチャンスととらえると、また違った世界が見えてくるかもしれませんね。

The reasonable man adapts himself to the world; the unreasonable one persists in trying to adapt the world to himself. Therefore all progress depends on the unreasonable man.

- George Bernard Shaw (バーナード・ショー) -

理性的な人間(物わかりのいい人)は自分自身を世界に適応させる。
非理性的な人間(わからず屋)は世界を自分自身に適応させようと固執する。
それゆえに、すべての進歩は非理性的な人間のおかげである。

■まとめ

Society5.0につながるConnected Industries
Society5.0につながるConnected Industries

参考画像:「Connected Industries」東京イニシアティブ2017(2017/10/2、経済産業省)|スクリーンショット

「Connected Industries」東京イニシアティブ2017(2017/10/2、経済産業省)によれば、経済産業省は将来サイバー空間とフィジカル空間が高度に融合したSociety 5.0(超スマート社会)を目指していますが、現状では事業所・工場、技術・技能等の電子データ化は進んでいますが、それぞれバラバラに管理され、連携していないという課題があります。

「Connected Industries」というコンセプトは、様々な業種、企業、人、機械、データなどがつなげることが重要です。

ただ、どんなにつなごうとしても、それぞれがバラバラの操作方法であったりすると、つなぎ方がシンプルではなく複雑なものになってしまうかもしれません。

「HEMS(Home Energy Management System)」は、電気やガスなどの使用量をモニターで可視化したり、自動制御することによって、家庭の省エネルギーのための管理システムですが、「アート×テクノロジーの時代」(著:宮津大輔)によれば、THE Eugene STUDIO Visualization Dept.の所員が“家にまつわる総合的なOS開発”を行なった「未来のHEMS OS」開発プロジェクトのゴールは、住む人が求めるあらゆる機能を、それぞれ独立した家電製品からではなく、住宅それ自体で提供することを目指す、と書かれていました。

※「アート×テクノロジーの時代」(著:宮津大輔)では、このプロジェクトについてわかりやすく説明がされていますので、ぜひ読んでみてください。

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【参考リンク】

このように「Society5.0 OS」を開発するというイメージでみながイメージを共有しながら進んでいくことが重要なのではないでしょうか?

→ 【人手不足で悩む社長さんへ】求人を増やす方法(給与前払いサービス・AIの活用・ワクワクする仕事をPR) について詳しくはこちら







【遠隔医療 関連記事】
続きを読む 少子高齢化による労働人口の減少の問題を、家事の大変さをスマートライフ市場が代替することで、働き手を増やし、約100兆円の家事市場を創出しよう!

高齢者向け住まい(特別養護老人ホーム、老人保健施設、介護療養型医療施設、養護老人ホーム、軽費老人ホーム、有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅)と医療・介護の連携について考えることが未来の生活・社会を考えることにつながる!?




■高齢者向け住まいと医療・介護

The Coopers

by Ted Van Pelt(画像:Creative Commons)

高齢者向け住まい(特別養護老人ホーム、老人保健施設、介護療養型医療施設、養護老人ホーム、軽費老人ホーム、有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅)の概要|平成28年版厚生白書
高齢者向け住まい(特別養護老人ホーム、老人保健施設、介護療養型医療施設、養護老人ホーム、軽費老人ホーム、有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅)の概要|平成28年版厚生白書

参考画像:高齢者向け施設・住まいの概要|平成28年版厚生白書|スクリーンショット

高齢者向け施設・住まいといっても、特別養護老人ホーム、老人保健施設、介護療養型医療施設、養護老人ホーム、軽費老人ホーム、有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、認知症高齢者グループと、高齢者のそれぞれの状態に応じて必要な生活支援、介護等のサービスを利用しながら生活できるような、様々な住まいの確保が必要です。

高齢者向け住まい・施設の件数|平成28年版厚生白書
高齢者向け住まい・施設の件数|平成28年版厚生白書

参考画像:高齢者向け住まい・施設の件数|平成28年版厚生白書|スクリーンショット

平成28年版厚生白書

有料老人ホームや2011(平成23)年の「高齢者の居住の安定確保に関する法律」(平成13年法律第26号)の改正によって創設されたサービス付き高齢者向け住宅など、高齢者向け住まいについては、近年に急激に増加している

平成28年版厚生白書によれば、サービス付き高齢者向け住宅など、高齢者向け住宅は、近年急激に増加しているそうです。

高齢者向け住まいと医療・介護の連携イメージ|平成28年版厚生白書
高齢者向け住まいと医療・介護の連携イメージ|平成28年版厚生白書

参考画像:高齢者向け住まいと医療・介護の連携イメージ|平成28年版厚生白書|スクリーンショット

「サービス付き高齢者向け住宅」「有料老人ホーム」などの高齢者向け住まいに、24時間対応の「定期巡回・随時対応サービス」などの介護サービスや、診療所などの医療機関や訪問診療などの医療を組み合わせた仕組みの普及を図る。

その人(家族)に最も適切な高齢者向け住宅を選び、どんな介護サービスや医療を組み合わせるのが最適かを考えていくことは、まさに「Society5.0」の考え方ではないでしょうか?

CYBERDYNE株式会社と損害保険ジャパン日本興亜株式会社の包括的業務連携のお知らせ~サイバニクス技術とリスクファイナンスの融合による健康で豊かな社会システム䛾構築~

(2017/10/25、サイバーダインプレスリリース)

Society5.0: 「狩猟社会」「農耕社会」「工業社会」(Society1.0、2.0、3.0)、そして、現在の「情報社会」(Society4.0)に続く未来社会として政府によって掲げられた「超スマート社会」(5 番目の社会)のコンセプト。科学技術イノベーションが先導する新たな社会のイメージで、AI(人工知能)や IoT (モノのインターネット)等が本格的に社会実装されます。

Society5.0 Connected Industriesを実現する「新産業構造ビジョン」
Society5.0 Connected Industriesを実現する「新産業構造ビジョン」

参考画像:Society5.0・Connected Industriesを実現する「新産業構造ビジョン」(2017/5/30、経済産業省)|スクリーンショット

Society5.0・Connected Industriesを実現する「新産業構造ビジョン」
Society5.0・Connected Industriesを実現する「新産業構造ビジョン」

参考画像:Society5.0・Connected Industriesを実現する「新産業構造ビジョン」(2017/5/30、経済産業省)|スクリーンショット

Society5.0・Connected Industriesを実現する「新産業構造ビジョン」(2017/5/30、経済産業省)

「必要なもの・サービスを、必要な⼈に、必要な時に、必要なだけ提供し、社会の様々なニーズにきめ細かに対応でき、あらゆる⼈が質の⾼いサービスを受けられ、年齢、性別、地域、⾔語といった様々な違いを乗り越え、活き活きと快適に暮らすことのできる社会。」(第5期科学技術基本計画)

「Society5.0」とは、必要なモノ・サービスを、必要な人に、必要な時に、必要なだけ提供し、AI(人工知能)や IoT (モノのインターネット)などのテクノロジーを活用することで、社会の多様なニーズにきめ細やかに対応でき、生き生きと快適に暮らすことができる社会のことを言います。

これまでの社会は、あらゆるものを標準化することによって、人間がその標準化された社会に合わせて生活をすることで問題を解決してきましたが、Society5.0では、多様な違いを持ったままで、必要なサービスを、必要な時に、必要な分だけ提供される社会になっていくことを目指しています。

【関連記事】

「少子高齢化による高齢化社会は日本にとってのビジネスチャンス(医療・介護など)になる!」と発想を転換してみない?では、世界に先行して高齢化社会に突入している日本は、医療費削減のアイデアやよりよい介護の方法を実行できる立場にあり、それらのやり方をスタンダードにすることができるというビジネスチャンスがあるのではないか?と提案しました。

これからの介護のための車イスはどのように変わっていくの?では、テクノロジーが安全をサポートする車いすのようなアイデアが標準的なものになると考えれば、車いすの人の世界も広がっていくのではないかと書きました。

また、日常の買い物に困る「買い物弱者(買い物難民とも呼ばれる)」や移動手段に困る「交通弱者(移動弱者とも呼ばれる)」も増えていて、そうした社会的問題を解決する一つのアプローチとして、スマートモビリティやパーソナルモビリティについて考えられていますが、こうした問題を解決する際に、「一人乗り用のシェアできる無人自動運転が可能な車いす」といった新しいアイデアが役立つようになるかもしれません。

【参考リンク】

つまり、高齢者向け住宅、そしてそれに伴う医療・介護の連携を考えることは、未来の世界を創造することにつながるのではないかと考えられるのです。

■スマートホーム

最近では、スマートホームに関するアイデアもニュースになっています。

Meet the 3rd generation Nest Learning Thermostat

スマートホームのデバイスの一つとしてスマートサーモスタット「Nest」というさまざまなセンサーと人工知能が搭載された温度を調節する装置で、Nestと電化製品との連携によって、室温を快適に保ちながら、節電&省エネもできるというものを以前紹介しましたが、今回MITが開発したワイヤレスで睡眠をモニターできる技術と組み合わせれば、寝室をより快適にするためのデバイスにもなるとも考えられます。

RFID Light Bulb: Enabling Ubiquitous Deployment of Interactive RFID Systems

ディズニー研究機関、RFIDリーダー内蔵LED電球を開発–新規インフラ敷設が不要

(2017/8/4、CNET JAPAN)

Walt Disneyの研究機関Disney Researchは、RFIDリーダーやネットワーク通信機能を組み込んだLED電球を開発。電球用ソケットにねじ込んで構築、拡張できるRFIDシステムを提唱した。

また、Disney Researchが開発したRFIDリーダーやネットワーク通信機能を組み込んだLED電球と組み合わせるというアイデアも面白そうです。

AIスピーカーを搭載した組み込み型スマートステーション端末を新築全戸に標準装備

(2017/11/7、レオパレス21ニュースリリース)

<レオパレス21>スマートスピーカー搭載端末を新築全戸に

(2017/11/12、毎日新聞)

この度採用するスマートステーション端末は、AI音声認識スピーカー機能に加え、既に標準搭載されているスマートロック『Leo Lock』との連携や家電制御、AIスピーカーを利用した様々な音声案内サービス、また、センサー連携による住環境の自動制御が可能な組み込み型設備です。

レオパレス21は、音声で音楽の再生や家電操作、天気予報やニュースといったインターネットサービスとの連携ができるAI(人工知能)スピーカーを搭載し、エアコン、テレビ、照明といった備え付けの家電の制御、スマートロックとの連携などができるスマートステーション端末を、2018年1月からの新築全戸に標準装備すると発表しました。

ICTに係る商品・サービスやビジネス|第2節 経済成長へのICTの貢献~その具体的経路と事例分析等~|第1部 特集 IoT・ビッグデータ・AI~ネットワークとデータが創造する新たな価値~|平成28年版 情報通信白書|総務省

スマートホームとは、住宅とICTが融合して、エネルギーの需給量を調整し、省エネルギー・節電を実現したり、センサー等による宅内の見守りや防犯、宅内の家電等の遠隔制御などを可能とした快適な暮らしを実現できる住まいである

スマートホームは、HEMS(Home Energy Management System)という電気やガスなどの使用量をモニターで可視化したり、自動制御することによって、家庭の省エネルギーのための管理ができたり、また、センサーなどによって家族の見守りや防犯ができる住まいのことですが、今回挙げたアイデアを考えるように、その人(家族)に最も適切な高齢者向け住宅を選び、どんな介護サービスや医療を組み合わせるのが最適かを考えることは大事になりそうです。







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続きを読む 高齢者向け住まい(特別養護老人ホーム、老人保健施設、介護療養型医療施設、養護老人ホーム、軽費老人ホーム、有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅)と医療・介護の連携について考えることが未来の生活・社会を考えることにつながる!?

高齢期における自分の健康についてどのようなことに不安を感じているか|内閣府




【目次】

■高齢期における自分の健康についてどのようなことに不安を感じているか|内閣府

自分の健康について不安に感じること|平成28年版厚生白書
自分の健康について不安に感じること|平成28年版厚生白書

参考画像:自分の健康について不安に感じること|平成28年版厚生白書|スクリーンショット

平成28年版厚生白書で紹介している内閣府の「高齢期に向けた「備え」に関する意識調査(2014年)」によれば、は「高齢期における自分の健康についてどのようなことに不安を感じているか」と質問に対しては、次のような結果となっています。

体力が衰えること 66.8%

がん、心臓病、脳卒中などの重い病気になること 61.0%

認知症になること 53.8%

介護が必要になること 53.1%

生活習慣病糖尿病高血圧など)になること 52.4%

寝たきりになること 43.6%

歯の健康を維持できないこと 30.0%

目の病気白内障緑内障など)になること 26.5%

うつ病など心の病気になること 19.2%

骨粗しょう症になること 13.6%

この結果を大きく分けると、生活習慣病などの病気になることと、「フレイル」(加齢とともに、心身の活力、例えば筋力や認知機能等が低下し、生活機能障害、要介護状態、そして死亡などの危険性が高くなった状態)の問題に分けられ、高齢期における自身の健康については、多くの人が「フレイル」に当てはまる項目で不安を感じているようです。

要介護者等の状況|平成28年国民生活基礎調査の概況|厚生労働省で紹介した平成28年国民生活基礎調査によれば、要介護度別にみた介護が必要となった主な原因として「高齢による衰弱」(16.2%)になっています。

高齢者は健康な状態から急に要介護状態になるわけではなく、食欲の低下や活動量の低下(社会交流の減少)、筋力低下、認知機能低下、多くの病気をかかえるといった加齢に伴う変化があり、低栄養、転倒、サルコペニア、尿失禁、軽度認知障害(MCI)といった危険な加齢の兆候(老年症候群)が現れ、要介護状態になると考えられます。

しかし、フレイルの段階で、適切な介入・支援を行なうことができれば、要介護状態に至らず、生活機能の維持・向上が期待できると考えられます。

ここで1つ考えなければならないことがあります。

それは、中高年における生活習慣病対策・メタボ対策とフレイル対策ではぶつかってしまうところがある点です。

例えば、これまでにも要介護者の中にはたんぱく質が不足する「低栄養」の人が多いということを紹介してきました。

適切な食物摂取ができず、栄養状態が悪化していることを「低栄養」と呼びます。

低栄養になると、免疫が低下したり、筋肉が減少したり、骨が弱くなったりすることで、感染症に掛かりやすくなったり、骨折するおそれが高くなるようです。

たんぱく質摂取と骨格筋|たんぱく質の関与|フレイルティ及びサルコペニアと栄養の関連|高齢者|厚生労働省によれば、高齢者はたんぱく質の摂取量が少ないと、フレイルティの出現リスクが増加するそうです。

なぜ高齢者になるとタンパク質が不足しがちなのでしょうか?

それは、肉料理が苦手だったり、以前は、家族のために栄養を考えて、肉や卵などを使って料理をしていた人が、一人暮らしになってから、自分が好きなものだけを食べることで食が偏るようになって、肉や卵を使った料理を食べなくなってしまったり、食事の量自体が減ってしまったり、中高年の頃からのメタボ対策のための粗食を継続してしまったりすることで、たんぱく質が不足してしまうということがあるからです。

つまりは、中高年(メタボ対策)から高齢者(フレイル対応)への食習慣の移行ができていないことが低栄養の原因の一つになってしまっているのです。




■フレイル対策

●食事(栄養管理)

低栄養はタンパク質が不足したことで起こると考えられますが、●たんぱく質(アルブミン)不足を予防するには、肉を食べるとよいそうです。

アルブミンを上げる食事|肉を食べてアルブミンを上げたグループは死亡リスクが低い!?で紹介した熊谷修教授(人間総合科学大学人間科学部)によれば、肉をよく食べてアルブミンを上げたグループはほとんど食べないグループに比べて死亡リスクが低いそうです。

また、アルブミン値を上げるためには、鶏のささみよりも牛肉のほうが良いそうです。

それは、牛肉に含まれる「飽和脂肪酸(アルブミンを作り出すエネルギーとなる)」を一緒に摂ることができるからなのだそうです。

お肉を選ぶ場合には、脂身のある肉(豚肉やもも肉)のほうが良いそうです。

アルブミンを上げる食事|肉を食べてアルブミンを上げたグループは死亡リスクが低い!?によれば、「15の食生活指針」に沿った食生活を実践してもらったところ、アルブミンは増加し、血色素の低下も見られなり、つまり、栄養改善の効果があらわれたそうです。

  1. 3食のバランスをよくとり、食事を抜かずにきちんと食べましょう。
  2. 油脂類の摂取が不足しないようにしましょう。
  3. 肉、魚、乳製品、卵などの動物性たんぱく質を十分に食べましょう。
  4. 肉と魚の摂取は1:1の割合にしましょう。
  5. いろいろな種類の肉を食べましょう。
  6. 牛乳は毎日200ml以上飲むようにしましょう。
  7. 野菜は緑黄色野菜(にんじん、かぼちゃ、ほうれん草など)や根菜(大根、ごぼう、いもなど)など、いろいろな種類を毎日食べるようにしましょう。
  8. 食欲がないときは、おかずを先に食べ、ご飯の量を減らしましょう。
  9. いろいろな調理のしかたや、食品の正しい保存法を覚えましょう。
  10. 酢、香辛料、香り野菜(ねぎ、にんにくなど)を十分に取り入れましょう。
  11. 調味料を上手に使い、おいしく食べましょう。
  12. 和風、中華風、洋風といろいろな料理を食べましょう。
  13. 家族や友人との会食の機会をたくさんつくりましょう。
  14. 噛む力を維持するために、義歯は定期的に点検をしましょう。
  15. 「元気」のための健康情報をすすんで取り入れましょう。

※2から6までの5項目が、低栄養を防ぐための動物性食品や油脂類の摂り方に関する項目です。

お肉はタンパク質が豊富で、実はバランス栄養食品です。

野菜よりも鉄分が豊富で、かつ肉は野菜より鉄分の吸収率が5から10倍高い。

またビタミンも豊富で、特にビタミンB1は豚ヒレ肉100gでレモンの17倍含んでいるそうです。

さらにミネラルも豊富なのだそうです。

→ アミノ酸の多い食べ物・食品|アミノ酸を効果的に摂取するにはアミノ酸スコアを知ろう!

ただ、あなたやあなたの家族の食事をどのようにチェックしたらよいかわからない人もいると思います。

そこで、最近取り上げられているのが、「10食品群チェックシート」です。

「10食品群チェックシート」は、様々な種類の食材が摂れているかをチェックするシートです。

  • 牛乳(チーズなど乳製品)
  • 大豆
  • 緑黄色野菜
  • 果物
  • 海藻

10食品群チェックシート|PDF(NHKチョイス@病気になった時)

http://www.nhk.or.jp/kenko/choice/pdf/160430.pdf

10品目チェックシート|PDF(NHKためしてガッテン)

http://www9.nhk.or.jp/gatten/pdf/10hinmoku.pdf

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●口腔ケア・食事(食べ方)

●オーラルフレイル

自分の歯が多く保たれている高齢者は健康寿命長く、要介護日数短い
自分の歯が多く保たれている高齢者は健康寿命長く、要介護日数短い

参考画像:自分の歯が多く保たれている高齢者は健康寿命長く、要介護日数短い (2017/6/28、東北大学プレスリリース)|スクリーンショット

オーラルフレイルを知って健康寿命を延ばそう|自分の歯が多く保たれている人は、健康寿命が長く、要介護期間が短い|東北大学によれば、東北大学の松山祐輔歯科医師が行なった研究によれば、自分の歯が多く保たれている人は、寿命が長いだけではなく、健康寿命(日常生活に制限のない期間)が長く、要介護でいる期間が短いことがわかったそうです。

食べこぼしやわずかなむせ、噛めない食品の増加というのは一つ一つを見るとささいなことですが、こうした症状が合わさって起こるということは口腔機能の低下のサインであり、オーラルフレイルという口腔機能低下を含む身体の衰えの一つです。

オーラルフレイルについて調べていたところ、「オーラルフレイル仮説」という考え方があることを見つけました。

オーラルフレイル仮説(前フレイル期・オーラルフレイル期・サルコ・ロコモ期・フレイル期)
オーラルフレイル仮説(前フレイル期・オーラルフレイル期・サルコ・ロコモ期・フレイル期)

参考画像:食(栄養)および口腔機能に着目した加齢症候群の概念の確立と介護予防(虚弱化予防)から要介護状態に至る口腔機能支援等の包括的対策の構築および検証を目的とした調査研究(2015年3月、東京大学 高齢社会総合研究機構)|スクリーンショット

食(栄養)および口腔機能に着目した加齢症候群の概念の確立と介護予防(虚弱化予防)から要介護状態に至る口腔機能支援等の包括的対策の構築および検証を目的とした調査研究(2015年3月、東京大学 高齢社会総合研究機構)によれば、オーラルフレイル仮説とは「前フレイル期」「オーラル・フレイル期」「サルコ・ロコモ期」「フレイル期」と4つのフェーズ(段階)に分かれていて、フェーズが移行するに伴い、QOLの低下・日常生活機能の低下、病気にかかりやすくなる、服薬する薬の種類が増えていくという考え方です。

ポイントとなるのは、第1期の「前フレイル期」と第2期の「オーラル・フレイル期」の段階で、歯磨きをしっかり行う、歯科医院に定期的に通ってチェックしてもらうなどいかに対策を行なっていくかということです。

この考え方が浸透すれば、定期的な歯科医院でのチェックで、サルコペニアやロコモティブシンドローム、フレイルに移行する前に、何らかの対策が必要であることを促すという流れができることにより、要介護状態になることを防ぐことができるようになるかもしれません。

●嚥下障害

要介護者の約6割に咀嚼や嚥下に問題がある|嚥下障害チェックテスト・嚥下障害対策(健口体操・嚥下体操)で紹介した日清オイリオグループが60歳以上の要介護者(要介護度1~3)を在宅で介護しており、介護食を作っている100名を対象に実施した「低栄養に関する実態調査」によれば、要介護者の約6割に咀嚼(そしゃく。かむこと)や嚥下(えんげ。飲み込むこと)に問題があるそうです。

高齢者は注意したい!誤嚥性肺炎の気づきにくい症状のサインとは?によれば、厚生労働省の人口動態統計の死因別統計によれば、「肺炎」で亡くなる人が年間12万人を超え、肺炎は「がん」「心臓病」に次ぐ第3位となっています。

高齢者にとって肺炎は怖い病気であり、肺炎を引き起こす原因としては、「嚥下障害(えんげしょうがい)」によって起こる「誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)」が挙げられます。

誤嚥性肺炎の原因は、食べ物や飲み物、唾液に含まれた細菌が気管から入り込むことですが、眠っている間に細菌を含む唾液を少しずつ誤嚥することがあるため、気づきにくいです。

寝たきりや脳血管障害、認知症の患者の場合は、嚥下反射やせき反射が低下し、細菌が気道を通じて肺に入り込みやすくなるため、誤嚥性肺炎のリスクが高くなるそうです。

誤嚥性肺炎の予防は、細菌を含む食べ物や唾液の誤嚥を防ぐことが重要となります。

そのため、口の中を清潔に保つ口腔ケアと誤嚥を防ぐ対策が必要になります。

1.口腔ケア

口の中の細菌を繁殖させないようにするために、歯磨き(入れ歯の人は入れ歯の洗浄)で口の中を清潔に保ちましょう。

また、唾液の分泌が減ると、口が乾きやすくなり、雑菌だらけの唾液が肺に入ることで、誤嚥性肺炎を引き起こすおそれがあるので、唾液の分泌をうながすようにしましょう。

唾液がよく出る健口体操

童謡の「むすんでひらいて」に合わせて口を動かす

「むすんで ひらいて ベロを出して むすんで

またひらいて ベロ出して そのベロを鼻に

ベロを右に ベロを左 ベロをぐるぐる回します」

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また、ドライマウスにも気を付けましょう。

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2.誤嚥を防ぐ対策(嚥下反射を改善する嚥下障害対策)

●胃液の逆流を防ぐ

嚥下障害と誤嚥性肺炎

ゲップや胸焼けなどがある場合は、胃液の逆流が起こりえます。その場合、食後2時間ほど座って身体を起こしていることで、逆流を防止できます。

誤嚥予防のために、食後すぐに横にならずに、2時間程度座った姿勢を保つことで、胃液の逆流を防ぎましょう。

→ 逆流性食道炎の症状・原因・治し方・食事 について詳しくはこちら

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嚥下体操

嚥下反射を改善させるために、嚥下体操を行ないましょう。

(1)腹式呼吸

鼻から息を吸って、口からゆっくり吐きます。

吸うのを4回、吐くのを8回。

(2)首の体操

  1. 前に後ろに動かします。
  2. 右に左に動かします。
  3. 首筋を伸ばします。

(3)肩の体操・腕の体操

肩をゆっくり上げてそのままにして、ストンと落とす。

片方の腕を上げて、もう片方の手で引っ張ります。

(4)発音練習

唇を使って、「ぱっ・ぱっ・ぱっ」「まっ・まっ・まっ」と発音し、舌を使って「たっ・たっ・たっ」「らっ・らっ・らっ」と発音します。

【参考リンク】

●運動

なぜ農業者は長寿なのか?|「農業者の後期高齢者医療費は非農業者の7割」を証明|早稲田大学によれば、自営農業者は寿命が長く、また死亡年齢と健康寿命の差が短いことから、いわゆる「ピンピンコロリ」の特徴が示されています。

気になるところは、なぜ農業者のほうが非農業者よりも長寿なのか?(要因は働き方にあるのか、体を動かすことにあるのか、食生活か、それともストレスが関係しているのかなど)という点です。

もしかすると、農業者は、農業に携わるということを通じて、食欲の低下や活動量の低下(社会交流の減少)、筋力低下、認知機能低下、多くの病気をかかえるといったフレイルになる前の状態で食い止めているのかもしれません。

例えば、【#ガッテン】1時間座り続けると22分寿命が縮む!?耳石が動かないと自律神経や筋肉の働きが衰えてしまう!30分ごとに立ち上がってアンチエイジング!によれば、長時間同じ姿勢のままでいる=「耳石があまり動かないこと」が全身の筋肉や自律神経の働きが衰え、筋力の低下、循環機能低下、代謝の異常などが起こしてしまうということがわかったと紹介しました。

このことは「農業」が直接関係していることを示すものではなく、長時間同じ姿勢でいないことが健康にとって大事だということを示すものですが、現代人のライフスタイルが長時間同じ姿勢でいることにより不健康になっており、農業者のように体を動かすことが健康にとって良いことだということを示す一つの理由にはなりそうです。

●ロコモティブシンドローム

ロコモティブシンドロームになると要介護のリスクが高くなる?ロコモの原因・予防のためのトレーニング方法によれば、ロコモティブシンドローム(運動器症候群)とは、運動器の障害のために要介護となる危険の高い状態のことをいいます。

加齢による筋力やバランス能力の低下によって、ロコモティブシンドロームになっているそうです。

ロコモティブシンドロームを予防するには、どうしたらよいのでしょうか。

ロコモティブシンドロームの考え方は、痛みに対する治療だけでは不十分で、筋力強化なども併せて運動の状態を向上させ、QOL(生活の質)を保つことを目指す。

それが、介護予防にもつながる。

痛みに対する治療だけでなく、日頃から筋力を強化することで運動の状態を維持していくことが、大事なようです。

毎日運動している人としていない人との間には体力に大きな差がある!?|2014年度体力・運動能力調査で紹介したスポーツ庁の2014年度体力・運動能力調査によれば、高齢者(65~79歳)で、ほとんど毎日運動している人と運動をしない人では、体力に大きな差があることがわかりました。

記事の中には、ロコモティブシンドロームの予防に取り組む目安の五項目が紹介されています。

『要介護』招く運動器症候群 ロコモティブシンドローム

(2009/8/14、東京新聞)

日本整形外科学会は、予防に取り組む目安として五項目を紹介している。

片脚立ちで靴下がはけない
▽階段を上るのに手すりが必要
▽横断歩道を青信号で渡りきれない
▽十五分くらい続けて歩けない
▽家の中でつまずいたり滑ったりする-。

この5項目のうち、一つでも当てはまる人は、ロコモティブシンドロームを予防するロコモーショントレーニングを薦めているそうです。

『要介護』招く運動器症候群 ロコモティブシンドローム

(2009/8/14、東京新聞)

効率よく筋力強化ができるのが目を開けての「片脚立ち」。

松井医長によると、片脚立ちは両脚立ちに比べ二・七五倍の負荷がかかり、一日三回、左右一分間の片脚立ちは、約五十三分間の歩行に相当するという。

支えが必要なら、机に手をついて行ってもよい。

「スクワット」はお尻を低く下ろせばより筋力が鍛えられるが、継続するには浅い角度の方が安全だ。

脚はかかとから三〇度くらい外側に開き、体重が脚の裏の中央にかかるように意識する。

現在の筋肉を維持しようという人がウォーキングだけをしても、筋肉は衰えていってしまいます。

筋肉を衰えさせないためにも、筋トレが必要。

ロコモティブシンドロームを予防するトレーニングとして紹介されているのは、「片脚立ち」と「スクワット」です。

片手だけまたは手を使わずに床に座ったり立ったりできる人は長生きできる?によれば、中高年で床に座ったり立ったりが片手だけで、または手を使わずにできる人は筋骨格がしっかりしており、それができない人に比べて長い寿命が期待できるそうです。

また、おすすめなのが「スロトレ」。

スロトレは、軽い負荷でありながらも、、すべての動作を“ゆっくり、止めずに、連続して行う”ことで筋肉が力を発揮している時間を引き延ばし休ませないため、筋肉量が増えるのに効果的なトレーニング方法です。

●サルコペニア

「メタボウォッチ」|早稲田大学、RESEARCHKITでメタボリックシンドロームになりやすい生活習慣をチェックするアプリを開発によれば、加齢とともに骨格筋が減少し、筋力が大幅に低下するサルコペニア(加齢性筋肉減弱現象)は身体活動量の減少と密接に関係しており、また不適切な食事習慣と合わさることで、内臓脂肪や皮下脂肪の蓄積によるメタボリックシンドロームの発症を招いているそうです。

米国ルイスビル大学の疫学者バウムガルトナー(Baumgartner)によれば、サルコペニアやメタボリックシンドロームが健康寿命に深く関連しているといいます。

フレイルティ及びサルコペニアと栄養の関連|高齢者|厚生労働省

サルコペニアとは「加齢に伴う筋力の減少、又は老化に伴う筋肉量の減少」を指し、Rosenberg により提唱された比較的新しい造語である 34)。

34)Rosenberg IH. Summary comments. Am J Clin Nutr 1989 ; 50: 1231─3

サルコペニアの診断

①筋肉量減少
②筋力低下(握力など)
③身体機能の低下(歩行速度など)

診断は上記の項目 1 に加え、項目 2 又は項目 3 を併せ持つ場合,文献 36)を改変

Cruz-Jentoft AJ, Baeyens JP, Bauer JM, et al. European Working Group on Sarcopenia in Older People. Sarcopenia : European consensus on definition and diagnosis : Report of the EuropeanWorking Group on Sarcopenia in Older People. Age Aging 2010; 39: 412─23.

サルコペニアの定義とは、筋肉量(骨格筋量)の減少に加えて、筋力の低下(握力など)または身体(運動)機能の低下のいずれかが当てはまる場合、サルコペニアと診断するというものです。

高齢者の筋内脂肪の蓄積はサルコペニアと運動機能低下に関係する|名古屋大学で紹介した名古屋大学総合保健体育科学センターの秋間広教授、田中憲 講師、同大学院生らの研究グループは早稲田大学と行なった共同研究によれば、高齢者の筋肉内に霜降り上に蓄積する脂肪(筋肉脂肪)が、加齢に伴う筋力の減少(サルコペニア)や運動機能低下と関係していることがわかりました。

高齢者は、定期的に運動をすることによって、加齢による筋肉量の減少と運動機能低下を軽減し、筋内脂肪の蓄積の抑制をすることが期待されます。

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●認知症にならないようMCIの段階で食い止める

認知症はじめの一歩|国立長寿医療研究センター もの忘れセンター

MCIでは記憶症状ではなく、言葉が出にくい、道を間違ったりするといった記憶以外の脳機能低下も含まれます。MCIでは、年間約10%が認知症に進行することが知られています。健常者より4-5倍危険性が高い状態です。逆に、MCIから健常に戻る場合もあります。

MCI(Mild cognitive impairment:軽度認知障害)とは、認知症の前段階で、認知機能が年相応といえない程度に低下している状態を指します。

軽度認知障害、運動で防ぐ 暗算しながらで効果増

(2015/8/23、日本経済新聞)

MCIの段階で発症が抑えられるケースも多く、認知症になる人を減らせると考えられるようになってきたため、MCIが注目されるようになっています。

うつ病性仮性認知症対策|前頭葉の血流を増やす方法は有酸素運動(散歩など)+知的刺激(川柳など)|たけしのみんなの家庭の医学によれば、国立長寿医療研究センターでは、暗算やクイズなどの課題を解きながら速足で歩いたりするような、頭を使いながら有酸素運動する、「コグニション」(認知)と「エクササイズ」(運動)を組み合わせ「コグニサイズ」を勧めており、週1回90分の運動プログラムを10か月間参加したグループでは、認知機能や言語機能が維持されており、また脳の特定部位の萎縮傾向がなかったそうです。

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MCI(軽度認知障害)の14%が認知症に進み、46%は正常に戻る|国立長寿医療研究センターによれば、国立長寿医療研究センターによれば、「MCI(軽度認知障害)」の65歳以上の愛知県大府市の住民を4年間追跡調査したところ、14%が認知症に進んだ一方、46%は正常に戻ったそうです。

国立長寿医療研究センターのニュースでは、追跡調査の間に、自然と認知機能が回復したのか、それとも検査した住民が頭を使ったり有酸素運動をすることを積極的に行なったために回復したかどうかはわかりませんが、ただ一つ言えることはMCIになったからといって、必ず認知症になるわけではないということです。

【参考リンク】

認知症の高齢者は2025年には730万人と推計|認知症に役立つ食べ物と生活習慣によれば、2025年には認知症の高齢者は多い場合で730万人に達すると推計されるというニュースを以前お伝えいたしました。

また、世界の認知症患者、2050年に1億3200万人によれば、国際アルツハイマー病協会(Alzheimer’s Disease International、ADI)による「世界アルツハイマー報告書2015」によれば、認知症の数は世界の高齢化につれて増えていき、2050年には今の3倍の1億3200万人になるという予測が発表されています。

そこで、大事なのが、認知症を発症する原因となるリスク要因を減らしていくこと。

認知症の発症リスクが高いのは、脳卒中の経験がある人、糖尿病や心臓病の持病がある人、握力が弱い人、うつ傾向がある人で紹介した国立長寿医療研究センターなどのチームによれば、脳卒中の経験がある人、糖尿病や心臓病の持病がある人、握力が弱い人、学校教育が9年以下の人、うつ傾向がある人、難聴の人は、認知症を発症するリスクが高いそうです。

「認知症予防アプリ」|歩行速度を測定し認知症・MCI(軽度認知障害)のリスクが高い場合に通知する|太陽生命によれば、歩行速度の低下が将来の認知症・MCI(軽度認知障害)のリスク予兆となるそうです。

このように、一つ一つリスク要因を減らしていくにより、「MCI(軽度認知障害)」の段階で食い止めることができれば、将来の認知症リスクを少しでも減らすことにつながることが期待されます。

●社会との交流

なぜ農業者は長寿なのか?|「農業者の後期高齢者医療費は非農業者の7割」を証明|早稲田大学では、自営農業者は定年年齢が高いことによって社会交流が減少しづらいことも長寿に関わっているかもしれないと書きました。

孤独は老化を促進し心臓病のリスクを上げる?によれば、孤独は人の老化を促進し、心臓病のリスクを上げるそうで、コーネル大学の人類生態学教授・アンソニー氏らは、孤独はその機能が衰えるスピードを加速させるとしています。

<脳卒中>「孤独な酒」 リスク2倍|厚労省調査で紹介した厚生労働省研究班の調査によれば、親友がおらず、お酒好きな人が脳卒中になる危険性は飲まない人に比べて、約2倍高いことがわかったそうです。

頼れる人がいる人が適量に飲酒していると脳卒中が少なかったそうです。

飲酒と循環器疾患発症との関連への社会的な支えの影響|多目的コホート研究|国立がん研究センター

脳卒中の発症リスクに関して、少量~中等量のグループ(エタノール換算で週に1~299g)において、支えが多い場合はリスクが低いのですが、支えが少ない場合には、約1.2~1.8倍と高いこと、またその一方で、大量飲酒のグループ(週に300g以上)では、社会的な支えが多い場合でもリスクが高い傾向があることがわかりました(図2)。

この研究では、社会的な支えによる好影響は、週にエタノール換算で1-299gの少量~中等量の飲酒の場合でのみ認められました。週に300g以上になると社会的な支えの多少に関わらず脳卒中の発症リスクが増加する傾向となりました。

国立がん研究センターの多目的コホート研究によれば、脳卒中のリスクに関して、社会的な支えが多い場合には、週にエタノール換算で1-299gの少量~中等量の飲酒のグループの場合はリスクが低いという結果が出たそうです。

ただし、週に300g以上になると、社会的な支えに関係なく、脳卒中のリスクが増加する傾向があることがわかったそうです。

生活を楽しんでいる意識が高い男性は脳卒中や心筋梗塞などの循環器疾患の発症、死亡リスクが低い|厚生労働省研究班によれば、生活を楽しんでいる意識が高い男性は脳卒中や心筋梗塞などの循環器疾患の発症、死亡リスクが低いと発表したそうです。

意識の高いグループは、運動習慣のある人が多く喫煙者が少ないなど生活習慣の違いもあったそうです。

社交的な生活が認知症のリスクを減らす可能性=研究によれば、社会的に活発な人はストレスにさらされにくく、孤独で悩みがちな人に比べて、認知症になるリスクは50%低いそうです。

「圏」を持つ人の76.8%が「幸せだ」と感じているによれば、「圏(目的のある自発的な人のつながり)」を持つ人の76.8%が自分を「幸せだ」と感じているそうです。

今回の研究と併せて考えると、健康で幸せな生活を送るには、人と人同士がつながりを持つことが大事なのではないかと考えられます。

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■まとめ

要介護者等の状況|平成28年国民生活基礎調査の概況|厚生労働省で紹介した平成28年国民生活基礎調査によれば、要介護度別にみた介護が必要となった主な原因として「高齢による衰弱」(16.2%)になっています。

高齢者は健康な状態から急に要介護状態になるわけではなく、食欲の低下や活動量の低下(社会交流の減少)、筋力低下、認知機能低下、多くの病気をかかえるといった加齢に伴う変化があり、低栄養、転倒、サルコペニア、尿失禁、軽度認知障害(MCI)といった危険な加齢の兆候(老年症候群)が現れ、要介護状態になると考えられます。

しかし、フレイルの段階で、適切な介入・支援を行なうことができれば、要介護状態に至らず、生活機能の維持・向上が期待できると考えられます。

【2つの未来予測】1.未病の観点から病気のサインを見つける、2.健康的なライフスタイルがお金のような価値を持つでは、「はっきりとした症状はでていない」「数値には現れないけどなんだか体調がよくない」というときを、健康な体から病気の身体へと向かう途中だと考えるとすれば、その途中で起きる「サイン」に着目して、何らかの対処を行なうことが最も効果的な医療になっていくのではないかと提案しました。

健康 → フレイル(高齢者の虚弱) → 要介護状態

フレイルという考え方はこの考え方に近いもので、高齢者は急に要介護状態になるのではなく、加齢に伴って次第に健康な状態から様々な老化の症状が現れてきて、要介護状態に進んでしまうため、フレイルの段階でしっかりと対策を行なうことにより、要介護の高齢者を少なくしていこうというものだと思います。

多くの人がフレイルという考え方を知り、次第に生活習慣を移行していくことによって、要介護になる人が減っていき、人生100歳時代を健康を保ちながら過ごす人たちが増えていくといいですね。







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