「社会的インパクト投資」タグアーカイブ

ヘルスケア分野におけるソーシャル・インパクト・ボンド(SIB)とは?|福岡県大川市の認知症予防の実証実験|神戸市の糖尿病性腎症等の重症化予防事業|八王子市における大腸がん検診受診率・精密検査受診率向上事業




■社会的インパクト投資(ソーシャルインパクトボンド)とは?

ソーシャルインパクトボンド(SIB)とは、民間資金を活用して社会課題解決型の事業を実施し、その成果に応じて地方公共団体が対価を支払うスキーム|経済産業省
ソーシャルインパクトボンド(SIB)とは、民間資金を活用して社会課題解決型の事業を実施し、その成果に応じて地方公共団体が対価を支払うスキーム|経済産業省

参考画像:地方公共団体向けヘルスケア領域におけるソーシャルインパクトボンド導入ノウハウ集(平成29年12月、経済産業省 平成29年度健康寿命延伸産業創出推進事業)|スクリーンショット

「社会的インパクト投資(ソーシャルインパクトボンド、SIB)」とは、障がい者支援や低所得者(貧困)支援、難民、失業、引きこもりの人の就労支援などの社会問題の解決と収益の両立を目指す社会貢献型の投資のことです。

『サードウェーブ 世界経済を変える「第三の波」が来る』(著:スティーブ・ケース)では、インパクト投資についてこのように書かれています。

インパクト投資は、従来のビジネスとフィランソロピー(慈善活動のひとつで、困っている人を出さないようにする仕組みを作る)、そして投資収益とソーシャルグッド(社会貢献に類する活動を支援・促進するソーシャルサービスを含む社会的善行)をつなぐ架け橋である。

通常、新しい企業に投資をするときは、資金を最終的に回収したうえに、さらなる利益を手にすることを期待する。それに対して、非営利組織に資金を提供するときは、金銭的な利益は求めず、その資金でよいことが行なわれることだけを期待する。

インパクト投資は、その両方の良いところを与えてくれる。

つまり、ソーシャルインパクトボンドは、金銭的利益と社会貢献の両方を実現できる仕組みなのです。

【参考リンク】

社会的インパクト投資がヘルスケアの分野でも行われるようになっているそうです。




■福岡県大川市における認知症予防の実証実験

社会的インパクト投資(ソーシャルインパクトボンド)とヘルスケア分野(認知症・がん)の可能性|#サキドリ↑(NHK)では、福岡県大川市の高齢者施設では、学習教材を使っての認知症予防への取り組みに社会的インパクト投資が使えるのかの実証実験を紹介しました。

福岡県大川市の高齢者施設では、学習教材を使っての認知症予防への取り組みに社会的インパクト投資が使えるのかの実証実験として、高齢者100人が参加して、5か月間実験したそうです。

実験に参加した多くの高齢者の要介護度が下がり、公的介護費用が削減するという結果になったそうです。

■神戸市における糖尿病性腎症等の重症化予防事業

地方公共団体向けヘルスケア領域におけるソーシャルインパクトボンド導入ノウハウ集(平成29年12月、経済産業省 平成29年度健康寿命延伸産業創出推進事業)を参考にして、まとめてみたいと思います。

●テーマの抽出

  • 糖尿病腎症は第5期に至ると人工透析が必要となり、年間500~600万円の医療費を要する。
  • 神戸市における国保人工透析患者の年間医療費は約40億円であり、当該患者の約4割(約350人)が糖尿病性腎症。
  • よって、糖尿病性腎症の重症化予防は神戸市にとって重要な政策課題。従前より予防に取り組んでおり、成果の向上を目指してSIB導入を検討。

●成果と行政コストの因果関係の考え方

  • 腎症第5期の医療費が約500万円/人・年であるのに対して、第4期の医療費は約50万円/人・年。
  • 第5期への移行を抑制することによって、大幅な医療費削減(約450万円/人・年)が見込まれる。

●成果と成果指標の事例

神戸市における糖尿病性腎症等の重症化予防事業|ソーシャルインパクトボンド導入ノウハウ集|経済産業省
神戸市における糖尿病性腎症等の重症化予防事業|ソーシャルインパクトボンド導入ノウハウ集|経済産業省

参考画像:地方公共団体向けヘルスケア領域におけるソーシャルインパクトボンド導入ノウハウ集(平成29年12月、経済産業省 平成29年度健康寿命延伸産業創出推進事業)|スクリーンショット

●資金調達手法に関する事例

神戸市における糖尿病性腎症等の重症化予防事業の資金調達スキーム|ソーシャルインパクトボンド|経済産業省
神戸市における糖尿病性腎症等の重症化予防事業の資金調達スキーム|ソーシャルインパクトボンド|経済産業省

参考画像:地方公共団体向けヘルスケア領域におけるソーシャルインパクトボンド導入ノウハウ集(平成29年12月、経済産業省 平成29年度健康寿命延伸産業創出推進事業)|スクリーンショット

■八王子市における大腸がん検診受診率・精密検査受診率向上事業

●テーマの抽出

  • がん(悪性新生物)は、国内の死亡要因第一位であり、年々増加傾向。医療費増大の大きな要因。
  • 大腸がんは、がんによる女性の死亡原因の第一位。
  • 八王子市の国民健康保険が負担する大腸がん(確定診断後)の年間医療費は約6.5億円。(国民健康保険レセプトデータより。疑い例は除く。)
  • これに対し、八王子市はがん対策で全国的にも先進的な取組(有効性の確立したがん検診による早期発見)を実施しているものの、受診率の伸び悩みが課題。
  • 更なる成果の向上を目指してSIB導入を検討。

●成果と行政コストの因果関係の考え方

  • 早期以外のがん患者の医療費が約252万円/人・年であるのに対して、早期がん患者の医療費は約65万円/人・年。
  • 早期がんのステージ進行を抑制することによって、大幅な医療費削減(約187万円/人・年)が見込まれる。

●成果と成果指標の事例

八王子市における大腸がん検診受診率・精密検査受診率の向上事業|ソーシャルインパクトボンド|経済産業省
八王子市における大腸がん検診受診率・精密検査受診率の向上事業|ソーシャルインパクトボンド|経済産業省

参考画像:地方公共団体向けヘルスケア領域におけるソーシャルインパクトボンド導入ノウハウ集(平成29年12月、経済産業省 平成29年度健康寿命延伸産業創出推進事業)|スクリーンショット

●資金調達手法に関する事例

八王子市における大腸がん検診受診率・精密検査受診率向上事業の資金調達スキーム|ソーシャルインパクトボンド|経済産業省
八王子市における大腸がん検診受診率・精密検査受診率向上事業の資金調達スキーム|ソーシャルインパクトボンド|経済産業省

参考画像:地方公共団体向けヘルスケア領域におけるソーシャルインパクトボンド導入ノウハウ集(平成29年12月、経済産業省 平成29年度健康寿命延伸産業創出推進事業)|スクリーンショット

■まとめ

医療費、初の40兆円超え|予防医療に力を入れて医療費を削減しようによれば、高齢化や医療技術の高度化を背景に、平成25年度の国民医療費は40兆610億円と、7年連続で過去最高を更新し、初めて40兆円を超えました。

【関連記事】

健康保険組合の4分の1超が2025年度に解散危機を迎える試算ー健保連|改善するために必要な2つのプランによれば、健康保険組合連合会(健保連)は、2025年度に団塊の世代が全て75歳以上となり、健保組合が高齢者医療に拠出するお金が急増するため、健康保険組合の4分の1超が解散危機を迎えるという試算を発表しました。

国民皆保険による医療、医師の半数「持続不能」|「#健康格差」を広げないために私たちができることで紹介した日本経済新聞社などが実施したアンケート調査によれば、医師の半数が国民皆保険による医療が「持続不能」と答えているそうです。

年齢階級別一人当たり医療費(平成25年度)
国民医療費の約2割が80歳以上の医療費であり、その多くを入院費用が占めている。(年齢階級別一人当たり医療費(平成25年度))

参考画像:不安な個人、立ちすくむ国家~モデル無き時代をどう前向きに生き抜くか~|経済産業省PDF

厚生労働省「人口動態調査」, 「医療給付実態調査報告」, OECD Health Data 2014 OECD Stat Extractsによれば、国全体医療費の23%(9.2兆円)が80歳以上の医療費であり、その多くを入院費用が占めているそうです。

つまり、高齢化は今後も進んでいき、医療費の増大が見込まれることから、国や健康保険組合の財政が悪化していく傾向は変わりないでしょう。

この状況を変えるためにも、大きく舵を切る必要があるのではないでしょうか?

健康・医療・介護データを経年的に把握できるリアルデータプラットフォームの構築|新産業構造ビジョン|経済産業省
健康・医療・介護データを経年的に把握できるリアルデータプラットフォームの構築|新産業構造ビジョン|経済産業省

参考画像:「新産業構造ビジョン」(2017/5/29、経済産業省)|スクリーンショット

がん検診といった予防医療・予防医学に取り組んでいくことは医療費の削減するためにも今後重要になっていくと考えられますし、また、QOL(生活の質)の向上といった間接的なコスト削減も期待できると考えられます。

『サードウェーブ 世界経済を変える「第三の波」が来る』(著:スティーブ・ケース)では、第三の波(あらゆるモノのインターネット)によって、あらゆるモノ・ヒト・場所が接続可能となり、従来の基幹産業を変革していく中で、企業や政府とのパートナーシップが重要になると書かれています。

サードウェーブ 世界経済を変える「第三の波」が来る (ハーパーコリンズ・ノンフィクション)

第二の波では、インターネットとスマートフォンの急速な普及によってソーシャルメディアが激増し、盛況なアプリ経済が誕生した。その中でもっとも成功を収めたスナップチャットやツイッターのような企業は、小規模なエンジニアリング・チームからスタートして一夜にして有名になり、第一の波の特徴であったパートナーシップをまったく必要としなかった。しかし、こうしたモデルは現在がピークであり、新たな時代は第二の波とはまったく違う―そして最初の波とよく似た―ものになることを示す証拠が増えている

この第三の波には「インパクト投資」も含まれているそうです。

「IoT」や「インパクト投資」といった「第三の波」で社会は大きく変化をしていきますが、社会問題を解決する手段として、一人の力ではなく、これからますますいろんな人たちとのパートナーシップが重要になってくるでしょう。

ソーシャルインパクトボンドは、金銭的利益と社会貢献の両方を実現できる仕組みなので、私たちが解決してほしいと思う社会問題に対して、私たち自身が投資をできるようになるといいですね。







P.S.
続きを読む ヘルスケア分野におけるソーシャル・インパクト・ボンド(SIB)とは?|福岡県大川市の認知症予防の実証実験|神戸市の糖尿病性腎症等の重症化予防事業|八王子市における大腸がん検診受診率・精密検査受診率向上事業

社会的インパクト投資(ソーシャルインパクトボンド)とヘルスケア分野(認知症・がん)の可能性|#サキドリ↑(NHK)

2016年8月28日放送「サキドリ↑」(NHK)では「社会をよくするインパクト投資・公費削減に効果大!?」を取り上げました。




■社会的インパクト投資(ソーシャルインパクトボンド)とヘルスケア分野(認知症・がん)の可能性

Health Care Assistants 2013 11

by University of the Fraser Valley(画像:Creative Commons)

「社会的インパクト投資(ソーシャルインパクトボンド、SIB)」とは、障がい者支援や低所得者(貧困)支援、難民、失業、引きこもりの人の就労支援などの社会問題の解決と収益の両立を目指す社会貢献型の投資のことです。

社会的インパクト投資がヘルスケアの分野でも行われるようになっているそうです。

福岡県大川市の高齢者施設では、学習教材を使っての認知症予防への取り組みに社会的インパクト投資が使えるのかの実証実験として、高齢者100人が参加して、5か月間実験したそうです。

実験に参加した多くの高齢者の要介護度が下がり、公的介護費用が削減するという結果になったそうです。

経済産業省は、今後も社会的インパクト投資の検証を進めていく予定なのだそうです。

伊藤健(慶應大学大学院政策メディア研究科特任講師)によれば、がん検診事業を社会的インパクト投資で行なうことも考えられているそうです。




■がん予防

男性のがん、「大腸がん」が初の1位、「胃がん」を抜きによれば、男女別がんの部位別症例数は次のようになっています。

<男性>

  1. 大腸がん
  2. 胃がん
  3. 前立腺がん
  4. 肺がん

<女性>

  1. 乳がん
  2. 大腸がん
  3. 肺がん
  4. 胃がん

大腸がん予防

1975年型食事が健康によい!?|世界一受けたい授業によれば、2000年代は脂質が多くなってくるのですが、肉を多く食べると大腸がんになるリスクが高いによれば、肉を多く食べる日本人は大腸がんになるリスクが高いことが、約8万人を対象にした約10年におよぶ国立がん研究センターの追跡調査でわかっています。

また、長時間イスに座っているのは、健康に良くないらしいで紹介したアメリカン・ジャーナル・オブ・エピデミオロジー誌に発表された研究によると、デスクワーク(長時間椅子に座ったままでの仕事など)は大腸がんのリスクを増加させる可能性があるそうです。

その他にも、糖尿病の人の大腸がんになるリスクは1.4倍、肝臓がんは1.97倍、すい臓がんは1.85倍も高いによれば、日本糖尿病学会と日本癌学会の合同委員会の報告では、糖尿病の人はそうでない人に比べて大腸がんになるリスクは1.4倍なのだそうです。

糖尿病の患者数の増加に伴い、大腸がんになる人も増えていると考えられないでしょうか。

→ 大腸がん について詳しくはこちら

→ 大腸がん危険度チェック について詳しくはこちら

■ピロリ菌除菌と胃がん検診で胃がん予防

胃がんの原因としては、最近の研究によって、ヘリコバクターピロリ(ピロリ菌)が大きく関わっているのではないかと考えられています。

胃がん検診、内視鏡検査の追加を提言 厚労省検討会によれば、胃の内視鏡検査は胃がんの死亡率を減らす効果が認められているそうです。

早期の胃がんには、自覚症状はほとんどありません。

40歳を越えたら、自覚症状はなくても、年に一回は胃の定期検査を受けましょう。

→ 胃がんの症状・原因・手術・食事 について詳しくはこちら

■肝臓がん予防のために「肝炎ウイルス」の検査

肝臓がんになるほとんどの原因はウイルス性肝炎から肝硬変になったものであるため、肝臓がんの予防するためには、肝硬変になる前に、肝炎を早期に発見し、治療を行うことが第一です。

→ 肝臓ガン について詳しくはこちら

■歯周病予防で生活習慣病予防

歯周病から糖尿病が悪化する?|そのメカニズムと歯周病予防のポイントによれば、歯周病菌の出す毒素が歯肉や歯を支える骨を侵す作用の研究が進むにつれて、これらの毒素は、全身をめぐって糖尿病や心臓血管系の疾患など生活習慣病にも影響を与えていることが明らかになってきています。

歯周病ケアをすることが生活習慣病予防につながります。

→ 歯周病の症状・歯周病とは・歯周病予防 について詳しくはこちら

■舌の汚れを清掃してがん予防

舌の汚れを清掃をすることがガン予防につながる!?によれば、舌の上に付く白い汚れ「舌苔(ぜったい)」の面積が大きいほど、呼気に含まれる発がん性物質アセトアルデヒドの濃度が高いことがわかったそうです。

■まとめ

医療費、初の40兆円超え|予防医療に力を入れて医療費を削減しようによれば、高齢化や医療技術の高度化を背景に、平成25年度の国民医療費は40兆610億円と、7年連続で過去最高を更新し、初めて40兆円を超えました。

がん検診といった予防医療・予防医学に取り組んでいくことは医療費の削減するためにも今後重要になっていくと考えられますし、また、QOL(生活の質)の向上といった間接的なコスト削減も期待できると考えられます。

→ ヘルスケア分野におけるソーシャル・インパクト・ボンド(SBI)とは?|福岡県大川市の認知症予防の実証実験|神戸市の糖尿病性腎症等の重症化予防事業|八王子市における大腸がん検診受診率・精密検査受診率向上事業 について詳しくはこちら







【参考リンク】
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2015年度の医療費は41.5兆円|高齢化や抗がん剤などの高額な新薬が増えている

Prescription Prices Ver3

by Chris Potter(画像:Creative Commons)




■2015年度の医療費は41.5兆円|高齢化や抗がん剤などの高額な新薬が増えている

医療費41兆円、膨らむ薬代 15年度3.8%増

(2016/9/13、日本経済新聞)
2015年度の医療費は昨年度に比べて3.8%増えて、41.5兆円となったそうです。

その理由としては、高齢化や抗がん剤などの高額な新薬が増えていることにあり、今後も医療費は増えていく予想がされているそうです。

参考画像:不安な個人、立ちすくむ国家~モデル無き時代をどう前向きに生き抜くか~|経済産業省PDF

厚生労働省「人口動態調査」, 「医療給付実態調査報告」, OECD Health Data 2014 OECD Stat Extractsによれば、国全体医療費の23%(9.2兆円)が80歳以上の医療費であり、その多くを入院費用が占めているそうです。

医療費最高41・5兆円…高齢化や薬剤費急増で

(2016/9/14、読売新聞)

特に調剤は前年度から6800億円(9・4%)増と大幅に伸びており、厚労省は「C型肝炎の治療薬など高額薬剤の使用が増えたことが全体を押し上げた」と分析している。

医療費が増えている理由の一つに「薬の飲み忘れ問題」と「高齢者の薬のもらい過ぎ問題」が隠されているのではないでしょうか。

■薬の飲み忘れ問題

高齢者宅には年475億円分の残薬(飲み残し・飲み忘れの薬)がある!?|解決する4つの方法によれば、厚労省がまとめた75歳以上の患者の薬剤費から推計すると、残薬の年総額は475億円になるそうです。

糖尿病患者の治療継続は半数にとどまるによれば、糖尿病の合併症に不安を感じ、糖尿病の治療の重要性を認識していても、治療を継続できている人は半数なのだそうです。

【関連記事】

脳梗塞患者向けの薬の飲み忘れを知らせる「IoTピルケース」と専用アプリの開発へ|大塚製薬・NECによれば、脳梗塞の患者の場合、薬をうっかり飲み忘れたり、自己判断で止めたりすると、服薬率が半年で約5割まで下がる――という研究結果があり、服薬の継続が課題になっているそうです。

どんなに治療が大事だと認識していても、何らかの理由で治療が継続できないことがあることで、処方された薬を適切に服用できずに、その結果、症状が悪化して薬が増えてしまい、また、その薬を飲み残してしまい、症状が更に悪くなっていく悪循環に陥ってしまうこともあるようです。

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■「高齢者の薬のもらい過ぎ問題」

なぜ高齢者の薬のもらい過ぎという問題が起きるのか?によれば、次のような理由で高齢者の薬のもらい過ぎという問題が起きています。

  • 高齢者になると複数の病気にかかることが多い
  • 複数の医療機関・複数の薬局にかかる
  • 薬剤師は「お薬手帳」で患者がどんな薬を飲んでいるか把握するが、薬の重複がわかっても、薬の整理までは手が及ばない
  • 医療機関に問い合わせてもすぐに返事がもらえず、患者を待たせないため、処方箋通りに薬を渡せばよいと考える薬剤師がまだ多い
  • 薬の情報が、医師や薬剤師間で共有されていない

個人と服薬情報をかかりつけ医・かかりつけ薬剤師が見れるようにすることができれば、高齢者の薬のもらい過ぎ問題の解決につながり、服薬忘れの防止につながるのではないでしょうか。

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■予防医療・予防医学に取り組もう

医療費、初の40兆円超え|予防医療に力を入れて医療費を削減しようによれば、高齢化や医療技術の高度化を背景に、平成25年度の国民医療費は40兆610億円と、7年連続で過去最高を更新し、初めて40兆円を超え田とお伝えしましたが、今回のニュースによれば、2015年度の医療費は昨年度に比べて3.8%増えて、41.5兆円となったそうです。

がん検診といった予防医療・予防医学に取り組んでいくことは医療費の削減するためにも今後重要になっていくと考えられますし、また、QOL(生活の質)の向上といった間接的なコスト削減も期待できると考えられます。

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【参考リンク】

男性のがん、「大腸がん」が初の1位、「胃がん」を抜きによれば、男女別がんの部位別症例数は次のようになっています。

<男性>

  1. 大腸がん
  2. 胃がん
  3. 前立腺がん
  4. 肺がん

<女性>

  1. 乳がん
  2. 大腸がん
  3. 肺がん
  4. 胃がん

大腸がん予防

1975年型食事が健康によい!?|世界一受けたい授業によれば、2000年代は脂質が多くなってくるのですが、肉を多く食べると大腸がんになるリスクが高いによれば、肉を多く食べる日本人は大腸がんになるリスクが高いことが、約8万人を対象にした約10年におよぶ国立がん研究センターの追跡調査でわかっています。

また、長時間イスに座っているのは、健康に良くないらしいで紹介したアメリカン・ジャーナル・オブ・エピデミオロジー誌に発表された研究によると、デスクワーク(長時間椅子に座ったままでの仕事など)は大腸がんのリスクを増加させる可能性があるそうです。

その他にも、糖尿病の人の大腸がんになるリスクは1.4倍、肝臓がんは1.97倍、すい臓がんは1.85倍も高いによれば、日本糖尿病学会と日本癌学会の合同委員会の報告では、糖尿病の人はそうでない人に比べて大腸がんになるリスクは1.4倍なのだそうです。

糖尿病の患者数の増加に伴い、大腸がんになる人も増えていると考えられないでしょうか。

→ 大腸がん について詳しくはこちら

→ 大腸がん危険度チェック について詳しくはこちら

■ピロリ菌除菌と胃がん検診で胃がん予防

胃がんの原因としては、最近の研究によって、ヘリコバクターピロリ(ピロリ菌)が大きく関わっているのではないかと考えられています。

胃がん検診、内視鏡検査の追加を提言 厚労省検討会によれば、胃の内視鏡検査は胃がんの死亡率を減らす効果が認められているそうです。

早期の胃がんには、自覚症状はほとんどありません。

40歳を越えたら、自覚症状はなくても、年に一回は胃の定期検査を受けましょう。

→ 胃がんの症状・原因・手術・食事 について詳しくはこちら

■肝臓がん予防のために「肝炎ウイルス」の検査

肝臓がんになるほとんどの原因はウイルス性肝炎から肝硬変になったものであるため、肝臓がんの予防するためには、肝硬変になる前に、肝炎を早期に発見し、治療を行うことが第一です。

→ 肝臓ガン について詳しくはこちら

■歯周病予防で生活習慣病予防

歯周病から糖尿病が悪化する?|そのメカニズムと歯周病予防のポイントによれば、歯周病菌の出す毒素が歯肉や歯を支える骨を侵す作用の研究が進むにつれて、これらの毒素は、全身をめぐって糖尿病や心臓血管系の疾患など生活習慣病にも影響を与えていることが明らかになってきています。

歯周病ケアをすることが生活習慣病予防につながります。

→ 歯周病の症状・歯周病とは・歯周病予防 について詳しくはこちら

■舌の汚れを清掃してがん予防

舌の汚れを清掃をすることがガン予防につながる!?によれば、舌の上に付く白い汚れ「舌苔(ぜったい)」の面積が大きいほど、呼気に含まれる発がん性物質アセトアルデヒドの濃度が高いことがわかったそうです。

■まとめ

今後医療費の増大が見込まれます。

そのためにも「薬の飲み忘れ問題」と「高齢者の薬のもらい過ぎ問題」を解決する必要があります。

服薬防止システム(いま注目のIotを利用して、アプリや薬剤ケース・ボトルを連動させて薬を飲むタイミングを通知するシステム)や自動的に薬を投与するインプラントなどのテクノロジーで解決するアプローチが考えられますし、また、個人の服薬情報をかかりつけ医・かかりつけ薬剤師が共有にすることができれば、薬の飲み忘れともらい過ぎの両方を解決することにつながるのではないでしょうか。

そして、この医療費増大の問題を解決するにあたって、「社会的インパクト投資(ソーシャルインパクトボンド、SIB)」という障がい者支援や低所得者(貧困)支援、難民、失業、引きこもりの人の就労支援などの社会問題の解決と収益の両立を目指す社会貢献型の投資を活用すればいいのではないでしょうか。

例えば、福岡県大川市の高齢者施設では、学習教材を使っての認知症予防への取り組みに社会的インパクト投資が使えるのかの実証実験として、高齢者100人が参加して、5か月間実験したそうです。

実験に参加した多くの高齢者の要介護度が下がり、公的介護費用が削減するという結果になったそうです。

予防医学に社会的インパクト投資が組み合わさると、良い結果が出るような予感がしますが、どうでしょうか。







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