■現在40代の人たちはどんな生き方をしてきたの?
by Osamu Kaneko(画像:Creative Commons)
高齢世帯は2040年に44.2%に、一人暮らしの高齢者も増加|「日本の世帯数の将来推計」厚労省推計で紹介した国立社会保障・人口問題研究所が行なった2018(平成30)年推計の「日本の世帯数の将来推計(全国推計)」によれば、全世帯主に占める 65 歳以上世帯主の割合は2015年の36.0%から2040年には44.2%を占めることがわかったそうです。
2040年はこれから22年後ですので、2040年に65歳以上に当てはまるのは、現在43歳(1975年・昭和50年生まれ)以上の人たちになります。
■2040年の日本の構造変化・社会構造
●2040年の日本の構造変化
参考画像:IoT新時代の未来づくり検討委員会事務局資料(2017/11/17、総務省)|スクリーンショット
(出典)国土交通省国土審議会長期展望委員会(第2回)(2010年12月17日) 「国土の長期展望に向けた検討の方向性について」より
(出典)総務省「自治体戦略2040構想研究会(第1回)」 事務局提出資料
IoT新時代の未来づくり検討委員会事務局資料(2017/11/17、総務省)によれば、2040年には人口が約1億1千万人を下回り、毎年100万人近く減少し、2042年には団塊ジュニア世代が高齢者となり、高齢者人口がピークになるそうです。
●2040年の日本の社会構造
参考画像:IoT新時代の未来づくり検討委員会事務局資料(2017/11/17、総務省)|スクリーンショット
●生産年齢人口が激減し、高齢者人口が増加
生産年齢人口:7728万人(2015年)→5978万人(2040年)
高齢者人口:3921万人(2040年)
(出典)国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口」(H29)
●インフラ・公共施設の老朽化、赤字交通機関の廃止
建築後50年以上経過する社会資本(2033年)
- 道路橋(67%)
- トンネル(50%)
- 河川管理施設(64%)
(出典)国土交通省「社会資本の老朽化の現状と将来」(H26)
●ハードウェア産業(自動車等)のコモディティ化のリスク、AI等の技術競争力の低下
電気自動車への移行やAI研究等への取り組みの遅れ
●65歳以上の独居高齢者世帯の急増、15歳未満の人口が4分の3に
独居高齢者世帯:約760万世帯(2035年)
15歳未満人口:1583万人(2015年)→1194万人(2040年)
(出典)国立社会保障・人口問題研究所「日本の世帯数の将来推計(全国推計)」(H25)、「日本の将来推計人口」(H29)
●国内市場が縮小、米中等との国際競争の激化
人口:1.27億人(2015年)→1.11億人(2040年)
GDPシェア:6.3%(2014年)→3.8%(2040年)
(出典)国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口」(H29) OECD GDP long-term forecast
●医療費が増大、認知症患者が激増、介護離職の急増
医療費:41.3兆円(2016年)→約50兆円(2040年)
認知症患者:約950万人(2040年)
(出典)厚生労働省「平成28年度医療費の動向」、「医療保険制度改革の背景と方向性」(H27)
●未来年表
参考画像:IoT新時代の未来づくり検討委員会事務局資料(2017/11/17、総務省)|スクリーンショット
2023年
企業の人件費がピークを迎え、経営を苦しめる
労働人口が5年間で約300万人も減る一方、団塊ジュニア世代が高賃金をもらう50代に突入
2024年
3人に1人が65歳以上の「超高齢者大国」へ
全国民の6人に1人が75歳以上、毎年の死亡者は出生数の2倍。老老介護がのしかかる。
2025年
ついに東京とも人口減少へ
2026年
認知症患者が700万人規模に
2030年
百貨店も銀行も老人ホームも地方から消える
生産年齢人口が極端に減り、全国の都道府県の80%が生産力不足に陥る
2040年
自治体の半数が消滅の危機に
2042年
高齢者人口が約4000万人とピークに
就職氷河期世代が老い、独居高齢者が大量に生まれる2042年こそ「日本最大のピンチ」
講談社現代新書「未来の年表」(河合雅司著、講談社、2017年)より抜粋
■【仮説】「現在40代の経済状況が日本の将来を映し出すのではないか」
そこで、一つ考えたのが、「現在40代の経済状況が日本の将来を映し出すのではないか」という仮説です。
40代“所得”300万円未満の世帯割合 20年で1.5倍に
(2017/10/24、テレビ朝日系)
厚生労働白書によりますと、世帯主が40代で年間所得が300万円未満の世帯の割合は、2014年までの20年間で11%から17%に増えました。単独世帯やひとり親世帯が増加し、全体的に所得が下がったことが影響しています。
厚生労働白書によれば、40代で所得が300万円未満の世帯の割合が20年間で1.5倍になったそうです。
今の40代が就職した頃である20年前である1997年ごろの景気はどうだったのでしょうか?
1997年度の金融および経済の動向(要旨)|日本銀行
大型の金融機関の破綻が相次ぐ中で、将来の雇用・所得環境に対する不安が高まったり、財政赤字や年金制度改革に関する議論が活発化する中で、将来の家計負担に対する不確実性が強まった可能性などが考えられる。
家計支出の低迷は、国内最終需要の伸び悩みや在庫調整に伴う収益の悪化を通じて、企業マインドや設備投資にも影響を与えた。
このころは、将来への不安が高まる中で、家計支出の低迷を招いています。
1998 年を節目とした日本経済の変貌~「失われた 20 年」以外の成長低迷とデフレの見方~|大和総研グループ
我が国全体としてのマクロの雇用者報酬は 1998 年度から低下を開始した。その要因としてチェックすべきは、まず、①雇用者数と、②賃金である。この2つを掛け合わせたものが雇用者報酬である。さらに、近年の我が国固有の構造的要因として、③フルタイムからパートタイム、あるいは正規から非正規への転換、もみる必要がある。
また、1998年ごろから雇用者報酬の低下、「リストラ」の増加など急激な雇用情勢の変化、フルタイムからパートタイムまたは正規から非正規雇用への雇用の仕方の転換など労働環境が大きく変わった時期でもあり、このことは人々の悩みや不安のもとになっています。
悩みや不安の内容として、今後の収入・資産を挙げる人は、1997 年までは 30%以下であったが、1999 年に 30%を超え(1998 年には調査は実施されていない)、これまで 40%台前半に高止まりしている。
この年代は、1990年のバブル崩壊から景気が後退する中で、企業が新規採用を抑制していき、新卒者が困難な就職活動を強いられる、いわゆる「就職氷河期」に当たる年代ですよね。
つまり、現在40代の人たちは「就職氷河期」に直面し、困難な就職活動を強いられていて、その中で現在の年間所得が300万円未満の世帯の割合が増加し、経済状況のため結婚することをためらったり、結婚された方も晩婚化・晩産化傾向にあり、両親の介護問題と重なり、育児と介護を同時に行なう「ダブルケア」の状況になるなど、日本で最も大変な思いをしている年代・世代と考えられます。
【追記(2018/6/6)】
2018年6月3日放送のクロ現プラスのテーマは「アラフォークライシスⅡ」でも取り上げられているように、アラフォー世代は就職、結婚、介護といった問題に直面してきた世代なのです。
【アラフォー世代が歩んだ20年】
2000年(22歳) 就職氷河期
2004年(26歳) ワーキングプア
2008年(30歳) 派遣切り
2018年(40歳) 7040問題(親は70代で年金頼み、子は40代になっても稼げない)
【関連記事】
■日本の人口構成は40代が多い!
■現在40代の経済状況が日本の未来のヒントになる!?
逆に考えれば、いかに40代の世代が生きやすい社会にすることが日本の将来につながっていくということではないでしょうか?
少子高齢化による労働人口の減少の問題を、家事などをスマートライフ市場が代替することで、働き手を増やし、約100兆円の家事市場を創出しよう!で紹介した「スマートライフ」では、少子高齢化が進む中で起こる労働人口の減少を、家事などによる無償労働をスマートライフ市場が代替することによって、労働人口(時間)を増やすと同時に、市場を作ろうと提案しています。
参考画像:「Connected Industries」東京イニシアティブ2017(2017/10/2、経済産業省)|スクリーンショット
アンバンドル・リバンドル・エンハンスを視点の一つに組み込もう!|#FINTECH #INSURTECH #HEALTHTECH #AGRITECH #EDTECH の次は?では、金融分やのFintech(フィンテック)、保険分野のInsurtech(インシュアテック)、ヘルスケア分野の「Healthtech」、農業分野のAgritech(アグリテック)、教育分野のEdtech(エドテック)が起きていることを紹介しましたが、スマートライフでいえば、Hometech(ホームテック)・Lifetech(ライフテック)とでも呼べるものが起き始めています。
そして、少子高齢化社会の訪れに対して悲観的ではなく、逆にチャンスととらえようという動きも出ています。
例えば、大人用紙オムツの売上が子供用オムツの売上を追い抜いた!?|日本の紙おむつが国際規格化|高齢化社会がビジネスチャンスに変わる!?によれば、大人用紙おむつの評価方法に関する規格「ISO15621尿吸収用具―評価に関する一般的指針」が改訂し、欧米の「テープ止め型(体にテープで固定するタイプ)」ではなく、日本が提案する装着車の症状や生活環境に合わせたきめ細かい高齢者介護学科脳になるパンツ型やテープ止め型のおむつに吸着パッドを挿入するタイプなどを規格化されました。
つまり、世界に先行して高齢化社会に突入している日本は、医療費削減のアイデアやよりよい介護の方法を実行できる立場にあり、それらのやり方をスタンダードにすることができるというビジネスチャンスがあるのではないでしょうか?
40代の人たちを中心にして日本の未来を考えてみてはいかがでしょうか?
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