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AEH(Ambient Experience Healthcare)|スキャンの質を向上させるために「『よい診察』とは何か?」という問いから始める|フィリップス




■AEH(Ambient Experience Healthcare)|スキャンの質を向上させるために「『よい診察』とは何か?」という問いから始める|フィリップス・デザイン

Dutch Masters | Philips improves patient experience with music & art
Dutch Masters | Philips improves patient experience with music & art

参考画像:Dutch Masters | Philips improves patient experience with music & art|YouTubeスクリーンショット

突破するデザイン あふれるビジョンから最高のヒットをつくる

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「突破するデザイン」(著:ロベルト・ベルカンティ)では、レントゲン、超音波、CTスキャン、MRIといった医療用映像機器の製造においてよく知られているフィリップス・デザインの当時CEOだったステファノ・マルツァーノが「よい診察」とは何かという問いに対して、技術発展ではなく、アンビエント(周囲に溶け込む)技術が答えることができないかと考えから、AEH(Ambient Experience Healthcare)というLEDの温かみのある照明や映像(アニメ)、音楽(音響システム)、RFIDセンサーを組み合わせることで、リラックスできる環境を作り出し、患者とスタッフ両方のストレスを軽減する医療用撮影システムを開発しました。

【補足】AEH(アンビエント・エクスペリエンス)とは?

フィリップス、MRI装置専用ライティングソリューション「In-bore solution」を発売

(2015/4/10、フィリップス)

アンビエント エクスペリエンスは、フィリップスの医療機器事業部と照明機器事業部が共同で開発したもので、MRIやCTなどの撮影室の天井に光の三原色である赤、青、緑の光が無段階に調光できる光源を配置して、部屋全体の色調を変えるものです。これにより、撮影室に入るとまるで虹の中にいるように、壁面も天井も思いのままの色調に変化させることができます。さらに、壁面には患者さんを和ませる宇宙空間や森林といった風景や、小児が好きなアニメーションを投影し、その情景をかもし出すBGMを流すことができます。これにより患者さんが撮影室に入るとまるで別世界にいるような気分になり、リラックスすることができるのです。

どうしてこのようなシステムを考えるに至ったのでしょうか?




■背景

1つ目は、スキャンの品質は機器のスペックのみでなく、患者のストレスレベルにも依存するということである。例えば、子供たちはCTスキャンでの診察の際、大きな不安を抱えがちで、多くの場合、落ち着かせるために鎮静剤が必要となる。しかしその方法では、子供たちの安全面での懸念が増加するとともに、スキャン時間も長くなる。

2つ目に、もっと根幹的な問題として、患者のストレスレベルは診察中に起きることのみならず、診察の前後に起こる出来事、つまり「病院で診察を受ける」という一連の環境に大きく影響を受けるということだ。

スキャン産業のイノベーションはスキャンの質が画素数と処理速度で決まるという意味から、より多くのデータを、より短時間で撮影できる機器の開発にターゲットが置かれていたそうですが、スキャンの品質は患者のストレスレベルも関係していて、特に子供たちはCTスキャンでの診察の際に不安を抱えてしまうため、落ち着かせるための鎮痛剤を必要とし、またスキャンの時間も長くなっていたそうです。

■どのようなシステムにしたの?

Dutch Masters | Philips improves patient experience with music & art

MR In Bore Experience Update Demo

「突破するデザイン」(著:ロベルト・ベルカンティ)を参考に、どのようなシステムを創りだしたのかを簡単にまとめます。

●病室にあるLEDによるやわらかくて温かみのある照明によって、患者・スタッフ両方のリラックス効果

●子供が選んだ人形につけられたRFIDセンサーによって、診察室に入るときにリラックスできるアニメーション、照明、音響にする

●子供に診察中にしてほしい態度をビデオの中で説明する

●待合室でおもちゃのCTスキャンで診察ごっこを行ない、疑似体験をすることで、診察の手順を理解し、恐怖感を緩和させる

●子供の家族やスタッフとのテレビ電話でやり取りをすることにより孤独感を減らす

患者がリラックスできれば、それだけ迅速な診察が可能となり、嫌がられる可能性も減る。このアプローチはより優れた方法であり(例:三歳以下の子供への鎮静剤投与が30~40%低減、使用する放射線量を4分の1~2分の1に低下)、より効率的である(例:機器の情報処理時間が15~20%短縮、CTスキャン利用の手順の簡素化)と判明した。

こうした話では、米ゼネラル・エレクトリック(GE)のエンジニアがMRI装置に関する問題を解決したケースが有名です。

病院のMRI検査、機器改良なしで泣き叫ぶ子供を激減させた方法とは?デザイン思考の本質

(2016/5/21、Biz Journal)

磁石が高速でうなりをあげて回転する狭い空間に入り、そこで長い間じっとしていなければならないのは、大人にとっても苦痛である。まして子供たちは怖くて泣いてしまうのが当然だ。正しい検査を受けるために、子供たちの80%が受診前に鎮静剤を打たなければならないという現実を突きつけられたダグ氏は、ショックを受けたのである。

MRIの装置は怖い音がする狭い空間に入っていくため、子供は怖くて泣いてしまい、子どもの8割が鎮静剤を打たなければ検査を受けることができないという問題がありました。

この問題を解決するために用いられたのが「MRIを受診することを海賊船に乗り込むアトラクションに見立てる」という方法です。

彼はMRI受診を海賊船物語に変えてしまったのである。つまり、MRI装置と検査室の壁に絵を描かせ、まるで海賊船の中のように仕上げ、子供たちが海賊たちに見つからないようにじっと隠れているというアトラクションに変えてしまったのだ。
さらに、検査技師たちにも子供たちとの接し方を訓練させた。受診する子供たちには、これは楽しい乗り物なのだよと説明する。こんな具合だ。「今から海賊船に乗り込むよ。海賊たちに見つからないようにじっとしていて!」

MRIを受診することを海賊船に乗り込むアトラクションに見立てることで、鎮静剤を打つ子供は10%に激減したそうです。

スキャンの質は画素数と処理速度のような機器のスペックだけで決まるのではなく、いかにリラックスした環境を作り出すかによって、スキャンをすること自体の品質を向上させるのです。

VRで痛みを軽減し、依存性のある鎮痛剤の使用を抑制しようという取り組み|シーダーズサイナイ医療センターによれば、ロサンゼルスのシーダーズサイナイ医療センターでは、VRによって痛みを軽減するという研究が行なわれていて、リラクゼーション用の映像よりもVRゲームをさせたグループのほうが痛みが緩和されたという結果が出たそうです。

AEHという医療用撮影システムでは、ビデオを活用していましたが、VRゲームを活用して、没入感により痛みを緩和する方法をとるというのもさらに一歩進んだ方法として今後利用されるようになるかもしれません。

【参考リンク】

■意味のイノベーション

診察の質とコストは、診察前、診察中、そして診察後に患者と病院環境がどのような接点を持つかということに依存する、というものである。

病院による診察というのは、診察中だけのパフォーマンスを向上させることが必要だと思っていましたが、診察前からすでに治療は始まっており、どのようにリラックスした環境で治療をできるようにするかを考えることがより良い治療につながり、また治療をする医療者側にとってもリラックスした環境にすることが重要であるということです。

「よい診察」とは何かという「意味のイノベーション」を行なったことでできた新しいシステムですが、このことは他のことにも応用できるのではないでしょうか?

病院のネットワークシステムを改善することによる医療者と患者のメリットとは?|群馬大病院とNECネッツエスアイのケースでは、従来とのシステムと比べて高速化したことにより、患者・医療者にとっての負担軽減につながり、また、データの確認がすぐにできることにより安全性もアップすることが期待されていますが、患者と医療者がコミュニケーションをとる時間も多く取れるようになるというメリットがあります。

女性医師の治療を受けた患者は生存率が高い!?|医師の患者に対する共感・コミュニケーションが重要な役割を果たしている?によれば、医療における医師と患者のコミュニケーションの重要性は高まっています。

コミュニケーションの重要性が高まっているのには以下のような理由があります。

  • 主たる病気が生活習慣病へ移行したことで、ケア(care)やマネジメント(management)が大きな位置を占めるようになった
  • 患者が医療情報に触れる機会が増えたが、その情報に混乱している患者も増加
  • 医学の進歩により市民の一部は医学を万能と考えるようになり、医療への過度の期待を生んでいる

患者に対して適切な医療を行うためには、患者がどのような悩み・苦労を抱えているのか、医師が患者の言葉に耳を傾け(傾聴)、気持ちを受け入れる(受容)ことによって、医師と患者間での信頼関係が生まれ、その後のケアやマネジメントが良好になると考えられます。

しかし、従来のシステムではそうした患者とのコミュニケーションにかけられる時間が少なくなってしまったり、コミュニケーションにかける時間を増やそうとすると、労働時間が増えることにより、医療者の心身の負担が増加してしまっていたのではないでしょうか。

ネットワークシステムを改善することは患者とのコミュニケーションとは直接関係ないように見えて、重要な役割を果たすことが期待されるのです。

これからは、どういう新しい価値を創造するのかを考えるという「意味のイノベーション」が重要なカギになりそうです。




■まとめ

シームレスケアに対するわたしたちのビジョン|Philips HealthCareによれば、フィリップスの目標は、2025年までに、イノベーションを通じて30億人の生活の改善することを掲げています。

現在のヘルスケアのトレンドは、女性医師の治療を受けた患者は生存率が高い!?|医師の患者に対する共感・コミュニケーションが重要な役割を果たしている?によれば、主たる病気が感染症から生活習慣病へ移行したことにより、疾病の治癒や生命維持を目的とする「キュア(cure)」から、患者のQOL(生活の質)の向上を目的とした「ケア(care)」が重要になると考えられています。

【参考リンク】

今後はさらにその考え方を進めて、病気にかからないようにするための予防医学や健康的な生活をする取り組みへの移行が重要になってくるでしょう。

フィリップスの考え方は、「健康的な生活 → 予防 → 診断 → 治療 → ホームケア」という一連のヘルスケアプロセスをシームレスにつないでいくことを大事にしているようです。

フィリップスが仕掛けたビッグデータ戦争――真のIoT活用には医療システム改革も必要

(2016/10/30、ITmedia)

フィリップスの考える一連のヘルスケアプロセス
1)健康な生活 人々が健康な住居環境で健康な生活を送れるようにサポートする
2)予防 人々が自らの健康を管理する
3)診断 診断が個人に合わせた予防的ケアを介して、最初から適切な方法で進める
4)治療 有効な治療、早い回復、良好な転帰を可能にする
5)ホームケア 回復と家庭での長期ケアをサポートする

 「将来に対するフィリップスのビジョンは、この5つに分かれた一連のヘルスケアプロセスの項目をすべてリンクさせることが重要だと認識しています。具体的には、すべてをIoT製品などで有機的につなぐことで、それぞれのデータを活用できるようにすることが実現への第一歩だと考えます」。ここでいう有機的に繋ぐとは、主に一般の患者と医療機関の医師をデータ上、“Face to Face”にすることを意味しているという。

「例えば、個人が毎日の健康な生活するなかで、IoT製品により蓄積したデータを、もし病気になる前の予防段階から医師に提供して、生活習慣などへのアドバイスを受けられれば、それは患者にとっても医師にとっても非常にいいことですよね。どんな予防策を講じた方がいいかを知るだけで、患者は病気になりにくくなりますし、医師としては、患者が病気になる前の段階で食い止められます。また、仮に患者が病気になったとしても、それまでのライフスタイルが分かっていれば、効果的に診断や治療を行うことができるようになります。もちろんに病気になった原因もより明確に診断、特定できると思います」

ヘルスケアプロセスをIoTでリンクすることにより、日ごろからの個人のデータを予防段階で医師と共有できれば、生活習慣病予防のアドバイスを受けることにより、患者は病気になる前の段階で予防ができ、またたとえ病気になったとしても、それまでのデータを活かした病気の診断・治療ができることになるでしょう。

このように考えると、患者と医療機関にとってWin-Winの関係のように見えますが、医療機関の報酬という視点から見ると、医療機関は患者への治療によって報酬を得ているわけですから、医療機関によっては予防医療に取り組むことはよいことであるとはわかっていても、自分たちの収入を減らすことになりかねません。

「医療システム自体を改革し、医者が予防段階から患者に寄り添うことで、そこからも報酬を得られるような仕組みに変更する必要があります。ただ、既存の医療システムに変更を加えることは、当然医療機関だけでは実現できず、各国の政府などを巻き込んで、法令などの変更も含めて、改革し直す必要があります」

そこで、フィリップスは「Co-Creation」を掲げて、医療システムの改革をハブとしてサポートする立場で一緒にクリエイトしようと考えているようです。

『サードウェーブ 世界経済を変える「第三の波」が来る』(著:スティーブ・ケース)では、第三の波(あらゆるモノのインターネット)によって、あらゆるモノ・ヒト・場所が接続可能となり、従来の基幹産業を変革していく中で、企業や政府とのパートナーシップが重要になると書かれています。

サードウェーブ 世界経済を変える「第三の波」が来る (ハーパーコリンズ・ノンフィクション)

第二の波では、インターネットとスマートフォンの急速な普及によってソーシャルメディアが激増し、盛況なアプリ経済が誕生した。その中でもっとも成功を収めたスナップチャットやツイッターのような企業は、小規模なエンジニアリング・チームからスタートして一夜にして有名になり、第一の波の特徴であったパートナーシップをまったく必要としなかった。しかし、こうしたモデルは現在がピークであり、新たな時代は第二の波とはまったく違う―そして最初の波とよく似た―ものになることを示す証拠が増えている

「IoT」といった「第三の波」で社会は大きく変化をしていきますが、社会問題を解決する手段として、一人の力ではなく、これからますますいろんな人たちとのパートナーシップが重要になってくるでしょう。







【参考リンク】
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超高齢社会の医療課題への準備状況を示した評価指数において日本は13か国中最下位|患者と医療従事者における認識のギャップや新しい医療技術に関する認知不足|#Philips




■超高齢社会の医療課題への準備状況を示した評価指数において日本は13か国中最下位|患者と医療従事者における認識のギャップや新しい医療技術に関する認知不足|#Philips

超高齢社会での医療課題が浮き彫りに 13か国意識調査で日本が最下位
超高齢社会での医療課題が浮き彫りに 13か国意識調査で日本が最下位

参考画像:超高齢社会での、日本が抱える医療課題が浮き彫りに~フィリップスの13か国意識調査で最下位~(2016/6/9、フィリップス・ジャパン)|スクリーンショット

超高齢社会での、日本が抱える医療課題が浮き彫りに~フィリップスの13か国意識調査で最下位~

(2016/6/9、フィリップス・ジャパン)

世界13か国(オーストラリア、ブラジル、中国、フランス、ドイツ、日本、オランダ、シンガポール、南アフリカ、スウェーデン、アラブ首長国連邦、イギリス、米国)において、各国の医療環境に対する患者、医療従事者の意識調査「The Future Health Index:How can connected care help answer the Global health challenge?」(未来の医療環境指数:コネクテッド ケアは医療課題にどう対応できるか?)の調査結果によれば、13か国の評価指数の平均が56.5ポイントでしたが、日本の評価指数は13か国中最も低い数値で49.0ポイントでした。




1.医療アクセス

健康な生活、予防、診断、治療、ホームケアへのアクセスについて、患者と医療従事者の間で意識の乖離が存在
健康な生活、予防、診断、治療、ホームケアへのアクセスについて、患者と医療従事者の間で意識の乖離が存在

参考画像:超高齢社会での、日本が抱える医療課題が浮き彫りに~フィリップスの13か国意識調査で最下位~(2016/6/9、フィリップス・ジャパン)|スクリーンショット

・「一連のヘルスケアプロセス」(健康な生活、予防、診断、治療、ホームケア)において、医療に関する情報やリソースへアクセスできると考えている患者の割合はいずれの項目も4割を下回り、医療従事者との間にかい離が存在

「一連のヘルスケアプロセス」(健康な生活、予防、診断、治療、ホームケア)において、「家族/自らの病気に必要な医療リソース」(アクセスできると考える割合:患者18%、医療従事者38%)、「健康的に生活する為の情報/リソース」(患者27%、医療従事者52%)、「病気の予防を助ける薬や治療」(患者34%、医療従事者67%)、「診断の為の検査」(患者37%、医療従事者76%)、「現在/将来の病状に必要な治療」(患者30%、医療従事者68%)となり、医療に関する情報やリソースへアクセスできる(入手・利用ができる)と考えている患者の割合は、医療従事者を大きく下回り、また医療従事者と患者との間には意識に顕著な差が見られました。

・医療従事者は在宅医療へのリソースとアクセスの改善、患者は医療費のコスト削減を求める割合が高い

患者の71%、医療従事者の90%は高齢化を日本の医療が抱える最大の課題と認識しており、高齢化問題への対応について、医療従事者では「在宅医療へのアクセスの改善」を求める意見が最も多く、32%に上ったのに対し、患者では「医療コストの削減」が55%で最多という結果になりました。

・提供されている医療の水準に対するコストについて、医療従事者と患者の意識が異なっている。

患者と医療従事者の意識差は、医療費の自己負担においても顕著に表れており、患者の57%が、提供される医療の水準に比べて、コストが高すぎると回答する一方で、医療従事者の半数に当たる51%は提供する医療の内容とコストのバランスは「適正」と考えており、医療コストについて医療従事者と患者の意識が異なっています。

2.医療の統合

医療の統合の現状について、患者、医療従事者の半数前後が「まったく統合されていない/あまり統合されていない」と回答
医療の統合の現状について、患者、医療従事者の半数前後が「まったく統合されていない/あまり統合されていない」と回答

参考画像:超高齢社会での、日本が抱える医療課題が浮き彫りに~フィリップスの13か国意識調査で最下位~(2016/6/9、フィリップス・ジャパン)|スクリーンショット

・患者、医療従事者の半数前後が、医療の統合が進んでいないとの認識

「医療の統合」(医療界の関係者がそれぞれ独立して患者に対応するのではなく、効果的なコミュニケーションを行いながら、連携して患者の治療に当たる)について、現状については「まったく統合されていない/あまり統合されていない」(患者:46%、医療従事者:59%)と回答しています。

・医療の統合効果として、患者の医療費負担への影響については意見が割れているものの、質の改善については、患者、医療従事者の過半数が有効と考えている

統合がコストに与える影響について、患者では、統合によりコストが「上昇する」と考える人の割合が39%で、「低下する」(32%)、「影響はない」(29%)を上回り、医療従事者では「低下する」(46%)が最も多く、「上昇する」(29%)、「影響はない」(25%)となっています。

【関連記事】

3.「コネクテッドケア技術」の導入

コネクテッドケア技術の導入について、患者、医療従事者ともに半数が賛成
コネクテッドケア技術の導入について、患者、医療従事者ともに半数が賛成

参考画像:超高齢社会での、日本が抱える医療課題が浮き彫りに~フィリップスの13か国意識調査で最下位~(2016/6/9、フィリップス・ジャパン)|スクリーンショット

医療ICTなどを活用し、医療システムの関係者間(医師や患者、病院、保険会社、政府など)における医療情報の共有を可能にする医療技術である「コネクテッドケア」については、在宅医療の推進や、医療の質の向上などに寄与すると考えられているそうです。

・コネクテッド ケアは、患者、医療従事者ともに現状ではほとんど認知がないものの、将来的な技術の導入については半数以上が賛成

日本はコネクテッドケア技術の導入に関する指数が38.4ポイントにとどまり、13か国の平均指数(47.8ポイント)を大きく下回っています。

コネクテッド ケア技術の認知度については、患者の84%、医療従事者の80%が「よく知らない」と回答し、認知度の低さが浮き彫りとなっています。

ただ、コネクテッド ケア技術の導入については、半数の患者(56%)、医療従事者(50%)が賛成しています。

・海外においてはオンラインビデオ診断などのサービスが始まりつつある一方、日本においては患者、医療従事者の半数以上が対面診療を重視

・オンラインの活用については、対面診療に代わるサービスではなく、補完するものとして関心が寄せられている。

コネクテッド ケアに関連して、オンラインを活用した患者と医療従事者のコミュニケーションのニーズについても質問したところ、患者(54%)、医療従事者(59%)が対面診療によるコミュニケーションを希望しました。

また、対面診療をサポートするオンラインサービスの活用法については、「診察予約」(患者:69%、医療従事者55%)、「検査結果の受け取り」(患者:56%、医療従事者48%)、「医学的な質問」(患者:56%、医療従事者44%)に関心があることが分かりました。




■まとめ

今回の意識調査では、将来の医療課題に対する各国の準備状況として、医療アクセス、「医療の統合」に向けた現状、および「コネクテッド ケア技術」の導入状況に対する患者、医療従事者の意識を検証し、「評価指数」として算出したところ、日本は調査対象となった13か国で最も指数が低いことがわかりました。

調査結果からは、患者と医療従事者における認識のギャップや、新しい医療技術に関する認知不足といった、超高齢社会を支えるための医療環境の整備における課題が明らかになりました。

私たちは高齢化に伴う健康や金融リスクを低く見積もりがち!?|英エコノミスト「リアリティ・チェック:健康・経済プラン・QOLが映し出す未来像と現実のギャップ」で紹介した英国の国際経済誌「The Economist」グループの調査部門であるエコノミスト・インテリジェンス・ユニット(EIU)が、メットライフ生命の協力の下で、8カ国・地域(オーストラリア・中国・香港・インド・日本・マレーシア・韓国・米国)の計1600人を対象としたアンケート調査を実施し、回答者が考える平均余命や、最も不安に感じている疾患、また退職後の所得に関する自国・地域の相対的なランクなど健康管理や金融資産などに関してまとめた国際調査報告書「リアリティ・チェック:健康・経済プラン・QOLが映し出す未来像と現実のギャップ」によれば、人びとは高齢化に伴う健康や金融リスクを低く見積もっているようです。

国民皆保険制度により、多くの国民が比較的低負担で医療にアクセスできることは、日本の医療制度の大きな特徴なのですが、国民皆保険による医療、医師の半数「持続不能」|「#健康格差」を広げないために私たちができることで紹介した日本経済新聞社などが実施したアンケート調査によれば、医師の半数が国民皆保険による医療が「持続不能」と答えているそうです。

【関連記事】

日本はもっと現状を知り、患者と医療従事者のあいだの認識のギャップを埋め、新しい医療技術に関して知る努力をし、高齢化社会を迎えるための医療システム改革が必要なのではないでしょうか?

Why Artificial Intelligence is the Future of Growth
Why Artificial Intelligence is the Future of Growth

参考画像:Why Artificial Intelligence is the Future of Growth – Accenture|スクリーンショット

AIで日本の経済成長率が3倍に?–2035年の成長予測をアクセンチュアが発表

(2016/11/18、cnet japan)

日本では、AIシナリオにおけるGVA成長率が、ベースラインシナリオの場合に比べて3倍以上になる可能性

アクセンチュアが発表した「Why Artificial Intelligence is the Future of Growth」によれば、2035年の各国の経済規模について2つのシナリオで予測を行っており、日本では「AIシナリオ(AIの影響力が市場に浸透した場合に期待される経済成長を示す)」における粗付加価値(GVA)成長率は、「ベースラインシナリオ(従来予想の経済成長を示す)」と比べると3倍以上になる可能性があるそうです。

ほかの国と比べても日本はAIを活用することによる恩恵が得られるという予測が立てられているのですが、反対に考えると、日本はそれだけ労働生産性が低いとも考えられます。

このことが全て医療システムに当てはまるわけではないでしょうが、高齢化社会を迎えるにあたって、医療システム改革は必須であるので、これまで以上に医療アクセスや医療統合、コネクテッドケアについて関心をもつ必要があるのではないでしょうか?







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