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【モーニングショー】糖尿病治療薬SGLT2阻害薬を使って老化細胞の除去ができる!?




2025年11月13日放送のテレビ朝日「モーニングショー」では「糖尿病治療薬を使って老化細胞を除去する研究」について取り上げました。

臨床応用可能な老化細胞除去薬の同定に成功―アルツハイマー病などの加齢関連疾患への治療応用の可能性―(2024年5月30日、順天堂大学)

順天堂大学の勝海悟郎特任助教、南野徹教授らの研究グループによれば、糖尿病の治療薬として開発されたSGLT2阻害薬が、加齢や肥満ストレスに伴い蓄積する老化細胞を除去することで、代謝異常や動脈硬化、加齢に伴うフレイルを改善し、早老症マウスの寿命を延長しうることを確認しました。

【参考リンク】

■背景

●これまで加齢により組織に老化細胞が蓄積し、慢性炎症が誘発されることで様々な加齢関連疾患の発症や進行につながることが少しずつ明らかになってきている。

●老化細胞除去薬は、抗がん剤として使用されているものが多く、副作用の懸念があった。

●カロリー制限によって寿命が延長した個体では、加齢に伴う老化細胞の蓄積が抑制されている。

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■仮説

尿への糖の排出を促進することで、血糖を低下させる糖尿病治療薬(SGLT2阻害薬)の投与によって、カロリー制限を模倣した状態となり、老化細胞の蓄積が抑制され、その除去が促進されるのではないか?

■結果

高脂肪食によって肥満させたマウスにおいて、短期間の糖尿病治療薬SGLT2阻害薬の投与を行ってみたところ、内臓脂肪に蓄積した老化細胞が除去されるとともに内臓脂肪の炎症が改善し、糖代謝異常やインスリン抵抗性の改善がみられました。

SGLT2阻害薬の老化細胞除去メカニズムのポイントは、SGLT2阻害薬が直接老化細胞を除去しているのではなくて、SGLT2阻害薬は、免疫チェックポイント分子を制御することで免疫系による老化細胞除去を促進して、慢性炎症を改善していることです。

■まとめ

今回の研究のポイントは、「新薬」で「直接」老化細胞を除去をするのではなく、「すでに実績がある薬」で「人間に備わっている免疫システム」を活用して老化細胞除去を促進しているところです。

この発想を聞いて思い出したのが、「ゲームボーイ」生みの親として知られ任天堂の開発者である横井軍平さんが言ったとされる「枯れた技術の水平思考(テクノロジーというものがあって、縦に技術を掘っていくのではなく、水平にそれをどう使って、どう演出して、コンテンツ化していくか、その発想力というのがとても重要)」です。

常に新しいテクノロジーを使えばいいわけじゃなくて、すでに一般化・陳腐化した技術を使うことによって、開発・製造コストを安くすることができるというもの。

これは安全性においても同じことが言えますね。

新薬に比べて、すでにある程度の実績がある薬を応用することは安全性やコストの面でメリットが大きいですね。

こうした発想で医療が進歩するといいなぁと思います。

もう一つ言えることは、この研究を参考にすれば、糖尿病と老化が密接に関係していて、糖尿病にならないような生活習慣をすることが老化予防につながるのではないかと考えられます。

→ 糖尿病の症状・初期症状|糖尿病とは について詳しくはこちら







SGLT2阻害薬により脂肪萎縮性糖尿病に治療に成功|脂肪肝が減少し、糖尿病、インスリン抵抗性が改善|東北大

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■SGLT2阻害薬により脂肪萎縮性糖尿病に治療に成功

SGLT2阻害薬追加→HbA1cの改善→脂肪肝・インスリン抵抗性改善→糖尿病改善
SGLT2阻害薬追加→HbA1cの改善→脂肪肝・インスリン抵抗性改善→糖尿病改善

参考画像:内服薬により難病指定の糖尿病一亜型の治療に成功- 脂肪萎縮性糖尿病に対する新たな治療選択肢を提示 –(2017/3/16、東北大学)|スクリーンショット

内服薬により難病指定の糖尿病一亜型の治療に成功- 脂肪萎縮性糖尿病に対する新たな治療選択肢を提示 –

(2017/3/16、東北大学)

長期にわたってコントロール不良な糖尿病が持続していた先天性全身性脂肪萎縮症に対して、SGLT2 阻害薬であるイプラグリフロジンを投与したところ、脂肪肝が減少し、糖尿病、インスリン抵抗性が著明に改善しました。

SGLT2 阻害薬は脂肪燃焼による内臓脂肪減少効果が報告されており、本例でもそのことがインスリン抵抗性、糖尿病の改善につながったと考えられます。

東北大学病院糖尿病代謝科の今井淳太講師、川名洋平医師、片桐秀樹教授らのグループの研究によれば、脂肪萎縮性糖尿病に対して、尿中へのブドウ糖排泄を促進することにより血糖値を低下させる作用をもつ経口糖尿病治療薬であるSGLT2阻害薬を投与したところ、脂肪肝が減少し、インスリン抵抗性(インスリンが効果を発揮しにくくなる状態)が改善することがわかったそうです。




【背景】脂肪萎縮症とは

脂肪萎縮症は本来脂肪組織から分泌される善玉アディポサイトカイン注 3であるレプチンなどが減少することにより、脂肪肝などの著明な内臓脂肪蓄積、インスリン抵抗性、重症糖尿病を呈します。

皮下注射によるレプチン補充療法が有効な治療法ですが、高価であり、また皮下脂肪がないことによる注射時痛で治療継続が困難な場合があります。

脂肪細胞のホルモン「レプチン」が脳に働き、インスリンの働きを助け、糖尿病を防止するメカニズムを解明|自然科学研究機構・生理学研究所によれば、脳視床下部にある満腹中枢に脂肪細胞のホルモン「レプチン」(「肥満ホルモン」)注入すると、褐色脂肪細胞、心臓での糖の取り込みが促進し、また筋肉においても糖の取り込みが促進したことによって、血糖の上昇が抑えられ、糖尿病の発症を防止すると考えられるそうです。

レプチンは脳の視床下部の満腹中枢に作用して、POMC(プロオピオメラノコルチン)神経と呼ばれる摂食調節神経などの神経回路を活性化させ、交感神経を介して、筋肉や、褐色脂肪細胞、心臓での糖の取り込みを促進し、糖尿病の発症を防止すると考えられるそうです。

脂肪萎縮症はレプチンが減少することで糖尿病が発症しやすい状態になると考えられ、従来の治療法としては、レプチン補充療法が有効なのですが、効果であり、また駐車時の痛みで治療継続が難しいことが今回の研究の背景にありました。

■まとめ

今後、脂肪萎縮性糖尿病の治療法の選択肢の一つとして、SGLT2阻害薬が選ばれるようになるかもしれません。

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→ 糖尿病危険度チェック について詳しくはこちら







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