「DEL-1(デルワン)」というタンパク質をご存じでしょうか?
DEL-1は体内で作られるタンパク質で、炎症や骨代謝、老化細胞などとの関係が研究されています。
テレビ番組では「抗老化タンパク質」「若返りタンパク質」として紹介されたこともあり、
「DEL-1とは何?」
「DEL-1を増やす方法は?」
「何を食べたらいいの?」
「オメガ3を摂ればDEL-1は増えるの?」
と気になった方も多いのではないでしょうか。
私がDEL-1について初めて知ったのは、2025年1月14日放送の『カズレーザーと学ぶ。』でした。
番組ではDEL-1とオメガ3脂肪酸との関係や、アマニ油、サバなどが紹介されていました。
その後、DEL-1の研究はさらに進んでいます。
そこでこの記事では、DEL-1とは何か、増やす方法、オメガ3や食べ物との関係について、『カズレーザーと学ぶ。』で紹介された内容と、その後の研究をあわせて整理します。
■DEL-1(デルワン)とは?
DEL-1(Developmental Endothelial Locus-1)とは、おもに血管の内皮細胞から産生される抗炎症作用をもつタンパク質です。
以前から抗炎症作用や骨代謝などとの関係が研究されてきました。
デルワンは主に血管内皮細胞から出てきて体の中をぐるぐると回っており、炎症を抑える役割があることが発見されています。
デルワンは腎臓や腸管、神経系でたくさん作られていて、再生もでき、肌にも効果的なのだそうです。
デルワンは老化細胞に「(免疫細胞に)食べてくれ!」という自らの除去をお願いするシグナルを出すことを判断/指令してくれることで、細胞の再生を促進することがわかりました。
デルワンの産生量は加齢とともに減少して、30-40代から激減します。
老化細胞が増えると、炎症性サイトカインが出てきて、DEL-1を抑制して、悪循環を起こします。
また、若返りの効果もあり、歯を支える骨を再生してくれます。
老化すると、破骨細胞(骨を溶かす細胞)が活性化すると同時に骨を作る機能が少しずつ遅れてきて、破骨細胞のほうが強くなってくると、骨粗しょう症のようになります。
デルワンは骨を壊す細胞に対して強力に作用して抑え、骨芽細胞に働きかけて骨の再生を手助けすることがわかってきました。
デルワンの数値が高いとスキンケアの反応が良いそうです。
肥満になるとデルワンは下がる。デルワンを欠損させたマウスは太っている。
例えば2015年に発表された研究では、DEL-1が破骨細胞への分化を抑え、非ヒト霊長類における炎症性の骨減少を抑制したことが報告されています。
さらに2026年には、DEL-1が老化した骨髄間葉系幹細胞を選択的に死滅させ、その後の除去も促す「生体内セノリティック(老化細胞除去)タンパク質」として働くことが、新潟大学などの研究グループによって報告されました。
つまりDEL-1は、炎症だけではなく、骨や老化細胞との関係からも研究されているタンパク質ということになります。
■DEL-1を増やす方法は?
では、一番気になる、「DEL-1を増やすことはできるの?」という疑問について見てみましょう。
DEL-1との関係で注目されているのが、オメガ3脂肪酸です。
私が最初にDEL-1について知った『カズレーザーと学ぶ。』でも、DEL-1とオメガ3脂肪酸の関係が紹介されていました。
また、DEL-1についてはオメガ3に由来する炎症収束性脂質メディエーター「リゾルビン」との関係についても研究されています。
元の記事で紹介した研究資料では、減少したDEL-1発現がリゾルビンによって定常状態まで回復したことが報告されています。
つまり、DEL-1とオメガ3の関係には研究上の背景があります。
ただし、「オメガ3を摂れば誰でもDEL-1が増える」とまで単純に考えないことも大切です。
細胞や動物などを対象とした研究で分かったことと、私たちが毎日の食事としてオメガ3を摂った場合の影響は分けて考える必要があります。
■DEL-1と関係する食べ物は?
オメガ3脂肪酸は、大きく見ると
・αリノレン酸
・EPA
・DHA
などがあります。
食品としては、
αリノレン酸を含む食品
・アマニ油
・えごま油
・クルミ
EPA・DHAを含む食品
・サバ
・イワシ
・サンマなどの魚
などがあります。
『カズレーザーと学ぶ。』では、オメガ3脂肪酸を含む食品としてアマニ油やサバが紹介されていました。
→ オメガ3脂肪酸を含む食品 について詳しくはこちら
ただ、ここで注意したいのは、
「DEL-1を増やす食品=○○」
と一つの食品に決めてしまわないことです。
現時点では、「DEL-1との関係が研究されているオメガ3脂肪酸を含む食品」くらいに考えておくのがよさそうです。
■『カズレーザーと学ぶ。』ではDEL-1について何が紹介された?
ここで、私がDEL-1について知るきっかけになった『カズレーザーと学ぶ。』で紹介された内容をまとめておきます。
2025年1月14日放送のテーマは「2025年イイ顔になる最新科学」。
番組では、新潟大学の前川知樹研究教授がDEL-1について解説しました。
番組をもとに当時の記事に記録したポイントを整理すると、
DEL-1は抗炎症作用をもつタンパク質
加齢とともにDEL-1の産生が減少する
老化細胞とDEL-1の関係
DEL-1と骨の維持・再生との関係
DEL-1とオメガ3脂肪酸との関係
などが紹介されていました。
■スキンケアだけでは老化は防げない!
老化細胞が肌の中で増えてしまうと、体の外から行う通常のスキンケアではその細胞を取り除くことが難しいため、シミやシワの原因となってしまいます。
そこで必要になるのが体の中からのアプローチであり、そのカギとなるのが抗老化タンパク質「DEL-1」です。
DEL-1をコントロールすることができれば、肌の再生力もアップし、肉体も若返る可能性があるそうです。
その中でも、食生活という観点から興味深かったのがオメガ3でした。
当時の記事には、番組で紹介された内容として「10歳の高齢サルにオメガ3脂肪酸を与える実験では、4カ月後にDEL-1発現量が約1.5倍に増加した」と記録しています。
そしてオメガ3を含む食品として紹介されたのが、アマニ油やサバでした。
この番組を見たときには、
「オメガ3とDEL-1にはこんな関係があるんだ!」
というところに興味を持ったのですが、その後研究を追ってみると、DEL-1と老化細胞との関係もさらに詳しく分かってきました。
■その後の研究で分かってきたDEL-1と老化細胞の関係
2026年1月、新潟大学などの国際共同研究グループからDEL-1について新たな研究成果が発表されました。
研究グループは、DEL-1が老化細胞を選択的に死滅させ、さらにマクロファージによる除去を促す「生体内セノリティック(老化細胞除去)タンパク質」であることを報告しています。研究成果は2026年1月20日に国際学術誌「Advanced Science」に掲載されました。
老化細胞は、ストレスや加齢などによって増殖を停止した細胞です。
新潟大学によると、こうした老化細胞は炎症物質を放出し、周囲の組織に影響を与えます。
今回の研究では、
DEL-1
↓
老化した骨髄間葉系幹細胞に選択的に作用
↓
老化細胞の死滅を促す
↓
マクロファージによる除去も促す
という仕組みが示されました。
新潟大学は、この仕組みを体に備わった「天然の老化細胞除去システム」と表現しています。
2025年に『カズレーザーと学ぶ。』を見た時に興味を持った「DEL-1と老化にはどんな関係があるのだろう?」という疑問について、その後の研究でさらに仕組みが見えてきたわけですね。
■DEL-1と骨粗しょう症・歯周病との関係
DEL-1では「骨」との関係についても研究が続けられています。
2026年の研究では、DEL-1を欠損させたマウスでは老化細胞が蓄積して骨粗しょう症が重症化した一方、DEL-1を過剰発現させたマウスでは老化細胞が効率よく除去され、骨密度が維持されたと報告されています。
こうした研究成果から、骨粗しょう症や歯周病などの治療法への応用が期待されています。
ただし、「DEL-1を増やせば人間が若返ることが証明された」という意味ではありません。
ここはテレビなどで使われる「若返りタンパク質」という言葉と、実際の研究成果を分けて考える必要があります。
■運動でもDEL-1は増える?
DEL-1については、食事だけでなく運動との関係も注目されています。
2026年10月に前川研究教授が解説したメディア記事では、普段あまり運動習慣のなかった40~50代の男女24人が1時間のウォーキングを1カ月間続けたところ、DEL-1量が平均約1.5倍になったという取り組みが紹介されています。
同じ記事では、40~50代の男女10人を対象としたアマニ油摂取についてもDEL-1量の変化が紹介されています。
興味深い内容ではありますが、今回確認できたものは小規模な取り組みについて研究者がメディアで紹介した情報です。
そのため、「ウォーキングをすればDEL-1が1.5倍になる」とすべての人に一般化するのではなく、今後の研究にも注目したいところです。
■結局、DEL-1を増やすために何をすればいいの?
ここまで調べて、「じゃあ結局、何をすればいいの?」と思った方もいるかもしれません。
現時点では「DEL-1を増やすためにこの食品だけを食べればいい」と考えるより、
・魚などオメガ3脂肪酸を含む食品を普段の食事に取り入れる
・アマニ油やえごま油なども食生活に取り入れる
・適度に体を動かす
といった健康習慣を考えるきっかけとしてDEL-1研究を見る方がよいのではないでしょうか。
「若返り成分があるから、これだけ食べる」という考え方ではなく、普段の食生活や運動を整える中で、その仕組みの一つとしてDEL-1研究にも注目する。
そんな捉え方が現時点ではよさそうです。
■DEL-1について「分かっていること」と「まだ分からないこと」
●分かってきたこと
DEL-1は体内で作られるタンパク質で、抗炎症作用や骨代謝などとの関係が研究されてきました。
2026年の研究では、DEL-1が老化した骨髄間葉系幹細胞を選択的に死滅させ、その後の除去も促すことが報告されています。
●注目されていること
DEL-1とオメガ3脂肪酸との関係が研究されています。
また、小規模な取り組みとして、運動やアマニ油摂取後のDEL-1量についての情報も紹介されています。
●まだ慎重に考えたいこと
特定の食品を食べることで、人のDEL-1がどの程度増え、それによって老化や健康にどの程度の影響があるのかについては、
「この食べ物を食べればDEL-1が増えて若返る」
と単純化しない方がよいでしょう。
研究結果と毎日の健康習慣の間には、一段階置いて考える必要があります。
■まとめ
DEL-1(デルワン)は、体内で作られ、抗炎症作用や骨代謝、さらに老化細胞との関係が研究されているタンパク質です。
私がDEL-1を初めて知ったのは、2025年1月14日放送の『カズレーザーと学ぶ。』でした。
当時特に興味を持ったのが、「DEL-1を増やす方法」そして、「DEL-1とオメガ3の関係」でした。
番組では、オメガ3を含む食品としてアマニ油やサバなどが紹介されました。
それから研究を追っていくと、2026年にはDEL-1が老化細胞を選択的に死滅させ、その除去を促す生体内セノリティックタンパク質として働くことが報告されました。
つまり、『カズレーザーと学ぶ。』をきっかけに知ったDEL-1について、その後も研究が進んでいるということですね。
ただ、ここから、「若返るために○○をたくさん食べよう」と考えてしまうのは少し違います。
DEL-1とオメガ3や運動との関係は興味深いものですが、魚やアマニ油、えごま油などを含めた日々の食生活や運動について考えるきっかけの一つとしてDEL-1研究を見る。
今のところは、そのくらいの距離感がよいのではないでしょうか。
今後も新しい研究が発表されたら、この記事に追記していきたいと思います。
【参考リンク】
- 新潟大学「体に備わったアンチエイジングの守護神DEL-1が骨の若返りを担う-骨粗鬆症や歯周病の根本治療に光-」(2026年1月30日)。研究成果は2026年1月20日に国際学術誌 Advanced Science に掲載されています。
- Lim JH, Sirisereephap K, Wang H, et al. DEL-1 is an Endogenous Senolytic Protein that Inhibits Senescence-Associated Bone Loss. Advanced Science. DOI: 10.1002/advs.202509263.
- Shin J, Maekawa T, Abe T, et al. DEL-1 restrains osteoclastogenesis and inhibits inflammatory bone loss in nonhuman primates. Science Translational Medicine. 2015;7(307):307ra155. DOI: 10.1126/scitranslmed.aac5380.
- 歯周病の原因と治療法 ~免疫と再生~抗炎症タンパク質「DEL-1」の機能応用し 健康長寿に寄与する新しい治療法の確立へ(2022年8月24日、新潟大学)
前川准教授が着目したのは、体内で産生され抗炎症作用をもつタンパク質「DEL-1」。歯周病に罹患したマウスやサルにDEL-1を接種した結果、炎症や破骨細胞による骨吸収が抑制された。 - Shin J, Maekawa T, Abe T, Hajishengallis E, Hosur K, Pyaram K, Mitroulis I, Chavakis T, Hajishengallis G. DEL-1 restrains osteoclastogenesis and inhibits inflammatory bone loss in nonhuman primates. Sci Transl Med. 2015 Sep 30;7(307):307ra155. doi: 10.1126/scitranslmed.aac5380. PMID: 26424570; PMCID: PMC4593066.
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また、筋肉で作られる「マイオネクチン」が血液成分として皮膚に運ばれ、シミのもとであるメラニンの生成を抑えていることが示唆され、さらには、体の筋肉量が多いほど、シワ、毛穴の目立ち、色ムラなどが少ないことも明らかになったことから、美肌体質の秘密は、筋肉がカギを握っている可能性があるようです。
今回の番組では運動とデルワンの関係については説明がなかったのですが、筋肉量が多い人ほどど顔のシミやシワ、毛穴の目立ちが少ないことから、もしかすると筋肉とデルワンにも関係もあるのかもしれませんね。
【参考リンク】
減少した DEL-1 発現は、抗炎症作用をもつオメガ3脂肪酸であるリゾルビンを作用させることで、定常状態まで回復させることができた
■まとめ
以前オメガ3の美肌効果については次のように紹介しました。
オメガ3の美肌効果|オメガ3を摂取するとなぜ美肌になるのか?|摂取量の目安によれば、オメガ3が十分にあると、オメガ3は血管にも作用し、血管を拡張する力を持っているため、血流を改善することにより、血液の循環はとてもスムーズです。
その結果、肌には栄養分が運ばれていくことにより、皮膚の細胞の新陳代謝を活発にして、肌を美しくしてくれると考えられます。
しかし、血液中にオメガ3が不足すると、栄養分の運搬が滞ってしまいがちになり、新陳代謝が活発ではないため、肌が荒れてしまうと考えられます。
麻布大学の守口徹教授によれば、オメガ3が細胞にあると本来の細胞の機能が維持でき、皮脂の供給などすべてがバランスよくいくそうです。
また、分泌を促してくれる下の方の細胞にオメガ3がないと指令が来なくなるそうです。
→ EPAを摂ると、赤血球がしなやかになり、顔色が良くなり、目の下のクマがなくなる!【美と若さの新常識】 についてくわしくはこちら
今回の記事を参考にして考えると、オメガ3を摂ることで抗老化タンパク質「デルワン(DEL-1)」が増えて、肌の衰えやシワ、シミの原因となる「老化細胞」を取り除き、肌の再生を助ける役割を果たしているため美肌になっていると考えられるんですね。
→ オメガ3脂肪酸を含む食品 について詳しくはこちら
【追記】
2025年5月29日放送の「ひるおび!」で新潟大学・前川知樹教授が解説し、抗老化タンパク質「デルワン(DEL-1)」が健康寿命を延ばすことに期待されるそうです。
→ 健康寿命を延ばすカギ!?デルワン減少チェックリスト【ひるおび】
→ 抗老化タンパク質「デルワン(DEL-1)」で若返り!デルワンを増やす方法とは?【ホンマでっかTV】 について詳しくはこちら
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