Nature Aging誌に掲載された2026年の研究によれば、果物や清涼飲料、果汁飲料などに含まれる「果糖(フルクトース)」が卵巣がんの細胞同士の接着を弱め、がんが腹腔内に広がりやすくなる可能性が示されました。
対象となったのは、卵巣がんの中でも悪性度が高い「高異型度漿液性卵巣がん」です。
このがんは化学療法(特にシスプラチンなどのプラチナ製剤)がよく使われますが、再発しやすく、お腹の中に広がる「腹膜播種」が問題になります。
化学療法を受けると、がん細胞の一部は死なずに「細胞老化」という状態になります。
老化した細胞はもう分裂しませんが、周囲にさまざまな物質を分泌します(これをSAS=細胞老化関連分泌物と呼びます)。
研究チームは、このSASの中に含まれる果糖が、近くにいる元気ながん細胞に作用することを明らかにしました。
具体的には、
- 果糖の影響でがん細胞同士の「くっつき」が弱まる
- 腫瘍の塊から剥がれやすくなる
- その結果、腹腔内に広がり(転移)やすくなる
という流れです。
マウス実験では、老化したがん細胞やその分泌液を投与すると腫瘍の広がりが増え、高果糖食を与えた場合でも同様の傾向が見られました。
細胞が増えやすくなるというより、「離れやすくなる」ことが主なメカニズムです。
今回私たちが知っておきたいことは「果糖ががん細胞の接着を弱め、広がりを助ける可能性がある」ということです。
ただし、これは主にマウスや培養細胞での結果であり、人間で果糖を減らせば転移が減ると証明されたわけではありません。
ただ過剰に反応する必要はありませんが、果糖を多く含む清涼飲料や加工食品を日常的に大量に摂取する習慣がある人はその習慣を見直すきっかけにするとよいのではないでしょうか?
がんは近年、身近なニュースとしても取り上げられることが増え、誰にとっても関心の高い病気です。
この研究は「食事と病気の進行」のつながりを具体的に示した点で参考になります。やはり食事は健康にとって大事な要素なのですね。
【参考文献】
- Cole, A.R., Buj, R., Uboveja, A. et al. The chemotherapy-induced senescence-associated secretome promotes cell detachment and metastatic dissemination through metabolic reprogramming. Nat Aging (2026). https://doi.org/10.1038/s43587-026-01172-5
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