世界の見え方はその瞬間に話している言語の影響を受けている!?


thank you note for every language

by woodleywonderworks(画像:Creative Commons)




使う言語が「世界の見え方」を決めている:研究結果

(2015/5/18、WIRED)

オーウェルは、言語と思考は互いに結びついていて、世界を知覚する際に、わたしたちは自分が使う言語の影響を受けているのだと考えていた。

『Psycological Science』誌で発表された新しい研究は、このオーウェルの考えを裏付けるものである。バイリンガルの行動と周りの世界の捉え方は、その瞬間に話している言語に依存する。そして彼らは、使用する言語を変えると、同時に行動や物事の捉え方も変化させるというのだ。

世界の見え方はその瞬間に話している言語の影響を受けているそうです。

『頭のでき』(著:リチャード・E・ニスベット)によれば、東洋人と西洋人では思考習慣に違いがあると書かれています。

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※リチャード・ニスベットと増田貴彦の研究で、アメリカ人は主役である魚に注目したのに対し、日本人はより包括的な視点から情景を説明したことが有名です。

■東洋人=包括的
  • 東洋人は幅広い物事や出来事に注意を払い、物事や出来事同士の関係や類似性に関心を持つ。
  • また、対立する考え方の「中庸」を探すなど、弁証法的な考え方を使って思考する。
  • 東洋人は他者に注意をはらう必要があるため、外部の幅広い社会環境に目を向け、その結果として物理的環境にも意識を注ぐ。
■西洋人=分析的
  • 西洋人の知覚や志向は分析的で、身の回りのうち比較的小さな部分、何らかの方法で影響を与えたいと思う物事や人に意識を集中させる。
  • そして、その小さな部分の属性に注意を向け、それを分類したり、その振る舞いをモデル化しようとしたりする。
  • また、形式的な論理規則を使って推論することが多い。

なぜ東洋人と西洋人とで思考習慣に違いが現れているのかは、『頭のでき』(著:リチャード・E・ニスベット)によれば、

西洋人のほうが規則、分類、論理を重視し、東洋人のほうが関係性や弁証法的推論を重視

していたからだと考えられます。

また、『「無意識」があなたの一生を決める 人生の科学』(著:デイヴィッド・ブルックス)によれば、

英語圏では、親は子供に話をする時、名詞や物事の分類を重視するが、韓国の親が重視するのは、動詞や物事の関係

なのだそうです。

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こうした物事の見え方の違いは、歴史的背景や文化、何(論理性・物・関係性)を重視するか、などによって影響を受けているものと思っていましたが、言語の影響によるものであれば、使用する言語を変えることによって、同時に行動や物事の捉え方も変化させることができるということですよね。

もしかすると、仲の悪い国同士は、相手の国の言語を知ることによって、相手の考え方・捉え方がわかることによって、歩み寄れるようになるかもしれません。

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【追記(2016/9/6)】