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ポートと東京女子医大、IoT活用で高血圧を対象に遠隔診療の実証研究を開始
(2016/9/6、マイナビニュース)
今回の実証研究の対象となるのは、特定の原因に寄らない「本態性高血圧症」と診断された20歳以上の男女で、Bluetooth通信機能を搭載したオムロンの自動血圧計「HEM-9200T」に接続可能な通信機器を利用できる患者。被験者は、同血圧計を用いて自己血圧測定を週3回以上実施し、スマートフォンなどの通信機器を介して測定データをサーバに送信する必要がある。
一方、担当医は、定期的に患者からの家庭血圧データを参照し、治療方針を決定。テレビ電話やチャット、メールなどの通信手段を用いて所見と治療方針を伝え、内服薬を処方する。内服薬は、ポートメディカルサービスにより、自宅に郵送される。
東京女子医科大学とポートは共同で、高血圧治療におけるIoTを活用した都市部での非対面型遠隔診療の安全性および有効性に関する実証研究を開始すると発表しました。
具体的な方法としては、患者は血圧計を用いて週3回以上測定し、そのデータをサーバーに送信を行ないます。
そして、医師はその家庭血圧データを参考に治療方針を決めて、テレビ電話やチャット、メールなどの方法で治療方針を伝えて、薬を処方するという流れです。
【参考リンク】
- 東京女子医科大学とIoT×都市型遠隔診療において共同研究実施のお知らせ(2016/9/6、ポート)
今回は高血圧における遠隔治療ですが、正確には遠隔治療ではないのですが、糖尿病予備軍に電話で予防のアドバイスを行なうことにより、発症率が4割下がったというケースも既にあります。
■糖尿病予備軍に電話で予防のアドバイスを続けることで発症率が4割下がる
国立病院機構京都医療センターによれば、糖尿病予備軍の人に電話で予防のアドバイスを続けることで、糖尿病の発症率が4割下がったそうです。
糖尿病患者の治療継続は半数にとどまるによれば、糖尿病の合併症を予防するには、医師と相談しながら、治療を継続していく必要があり、患者の大半もその治療方針を理解し、治療の重要性を認識しているのですが、治療を継続していくことができない人が半数もいるそうです。
その理由としては、治療に伴う経済的な負担や治療継続へのストレスから治療を続けていくことができないないことが主な理由でしたが、その他の理由としては、継続するのが面倒という人もいるのではないでしょうか。
また、保健指導で4人に1人が脱メタボに成功(2012/3/17)によれば、生活習慣病になりやすいメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)と判定され、保健師らによる特定保健指導を受けた人を対象に、厚生労働省が行った大規模な追跡調査で、約4人に1人が1年間でメタボ状態を脱していたことがわかっています。
対面・非対面問わず、励ましたり、長続きする運動法を一緒に考えるなど寄り添って治療を行うことが治療を継続に導く方法なのかもしれません。
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■Iotと遠隔医療
遠隔医療には様々なアイデアが出てきています。
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いま注目のIot(モノのインターネット)を利用して、アプリや薬剤ケース・ボトルを連動させて薬を飲むタイミングを通知する飲み忘れ防止システムも広い意味でのIoTを活用した遠隔診療に含まれるのではないでしょうか。
先日脳梗塞患者向けの薬の飲み忘れを知らせる「IOTピルケース」と専用アプリの開発へ|大塚製薬・NECによれば、大塚製薬とNECは、脳梗塞の患者が薬を飲み忘れないように、決められた時間になるとLEDが点滅して知らせるIot錠剤入れを開発すると発表しましたが、両社によれば、脳梗塞の患者の場合、薬をうっかり飲み忘れたり、自己判断で止めたりすると、服薬率が半年で約5割まで下がる――という研究結果があり、服薬の継続が課題になっているそうです。
薬の飲み忘れは脳梗塞に限ったことではありません。
高齢者宅には年475億円分の残薬(飲み残し・飲み忘れの薬)がある!?|解決する4つの方法によれば、厚労省がまとめた75歳以上の患者の薬剤費から推計すると、残薬の年総額は475億円になるそうです。
糖尿病患者の治療継続は半数にとどまるによれば、糖尿病の合併症に不安を感じ、糖尿病の治療の重要性を認識していても、治療を継続できている人は半数なのだそうです。
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どんなに治療が大事だと認識していても、何らかの理由で治療が継続できないことがあることで、処方された薬を適切に服用できずに、その結果、症状が悪化して薬が増えてしまい、また、その薬を飲み残してしまい、症状が更に悪くなっていく悪循環に陥ってしまうこともあるようです。
その問題を解決する方法の一つとして注目されているのが、いま注目のIot(モノのインターネット)を利用して、アプリや薬剤ケース・ボトルを連動させて薬を飲むタイミングを通知する飲み忘れ防止システムです。
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■「家庭血圧」による診断を優先する|高血圧治療ガイドライン2014
今回の研究のポイントの一つは「家庭血圧」にあります。
2014年4月に5年ぶりに改訂された「高血圧治療ガイドライン」(日本高血圧学会)での大きな変更点は、「診察室血圧と家庭血圧の間に診断の差がある場合、家庭血圧による診断を優先する」という「家庭血圧」を重視している点です。
家庭血圧とは、病院ではなく家庭で血圧を測ることです。
家庭血圧が重視される一つの理由は、診察室血圧・白衣高血圧という現象があります。
白衣高血圧(白衣現象)とは|病院で緊張して血圧が上がるによれば、白衣高血圧とは、通常は血圧が正常なのに、病院で血圧を測定すると血圧の値が高くなってしまうことです。
そうしたことから、平常の血圧を測定する方法として、病院ではなく家庭で血圧を測ることが重視されるようになったようです。
また、家庭血圧を測定することによって見えてきたものもあります。
それは、「仮面高血圧」という新しい病態(病気のぐあい)です。
仮面高血圧とは?健診では正常、職場では高血圧によれば、健診や病院では正常血圧なのに、職場や家庭で血圧を測ると135/85mmHg以上になる状態を「仮面高血圧」といいます。
仮面高血圧は、正常血圧とされる一般成人の10~15%が相当するといわれており、脳卒中や心筋梗塞を併発する危険性は、正常血圧の2~3倍あり、心臓の肥大や動脈硬化の進行が非常に早いこともわかってきています。
そのため、現在では、家庭血圧(病院ではなく家庭で血圧を測ること)のほうが正しい血圧の数値がわかり、また病気の発見にもつながるため、家庭血圧が重要だと考えられているようです。
→ 高血圧とは|高血圧の症状・食事・予防・原因・対策 について詳しくはこちら
→ 血圧を下げる方法(食べ物・サプリメント・運動) について詳しくはこちら
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■まとめ
今回は、高血圧治療におけるIoTを活用した遠隔診療ですが、今後は、糖尿病や脂質異常症などの生活習慣病にもこの仕組みがつかわれるようになるかもしれません。
ますます広い意味でのテクノロジーを活用した遠隔治療が注目されるのではないでしょうか。
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