■ロボットが人間と触れ合う分野(医療・介護)で役立つ!?人工筋肉(ソフトアクチュエーター)を開発|コロンビア大学
参考画像:Soft Materials for Soft Actuators|YouTubeスクリーンショット
参考画像:Soft Materials for Soft Actuators|gifs.com
One Step Closer to Lifelike Robots
(2017/9/19、Columbia University)
The new material has a strain density (expansion per gram) that is 15 times larger than natural muscle, and can lift 1000 times its own weight.
<中略>
It was tested in a variety of robotic applications where it showed significant expansion-contraction ability, being capable of expansion up to 900% when electrically heated to 80°C.
コロンビア大学の研究者が開発したのは、3Dプリンタで作る人工筋肉で、温度を80度まで上げると900%膨張し、また自重の1000倍の重量のものを持ち上げることができるそうです。
Unlike rigid robots, soft robots can replicate natural motion—grasping and manipulation—to provide medical and other types of assistance, perform delicate tasks, or pick up soft objects.
剛性のロボットよりも柔軟な材料で作られるソフトロボットは、人間と触れることがある領域(例えば、医療やそのほかの支援)や細かい作業や柔らかいものを拾うなどといった場面での活躍が期待されます。
Soft Materials for Soft Actuators
【参考リンク】
- Aslan Miriyev, Kenneth Stack & Hod Lipson Soft material for soft actuators Nature Communications 8, Article number: 596 (2017) doi:10.1038/s41467-017-00685-3
■人工筋肉の他のアイデア
●ナイロン素材の人工筋肉繊維
Nylon fibers made to flex like muscles
(2016/11/23、MIT)
Now, MIT researchers have come up with one of the simplest and lowest-cost systems yet for developing such “muscles,” in which a material reproduces some of the bending motions that natural muscle tissues perform.
The key ingredient, cheap and ubiquitous, is ordinary nylon fiber.<中略>
Spinks adds, “Bending-type actuators are needed for robotic grippers, microscopic tools, and various machine components. These new bending actuators could have immediate application.”
MITの研究者が開発したのは、製造が容易で低コストでできるナイロン素材の人工筋肉繊維です。
曲げることのできるアクチュエータ(入力されたエネルギーを物理的運動に変換する機構のこと)は、ロボットグリッパー(ロボットが物をつかむ・握るためのもの)や顕微鏡ツール、様々な機械部品、医療分野など様々な用途での活躍が期待できるそうです。
●食べられる素材でできたアクチュエーター
Soft Pneumatic Gelatin Actuator for Edible Robotics
An Edible Actuator for Ingestible Robots
(2017/10/5、IEEE Spectrum)
The components of such edible robots could be mixed with nutrient or pharmaceutical components for digestion and metabolization. Potential applications are disposable robots for exploration, digestible robots for medical purposes in humans and animals, and food transportation where the robot does not require additional payload because the robot is the food.
ゼラチン、グリセリン、および水の混合物から作られた空気圧式アクチュエータは、野生動物の行動観察のためのロボットや探索のための使い捨てができるロボット等への活用が期待されます。
●やわらかい素材でできたロボットグリッパー
Custom Soft Robotic Gripper Sensor Skins for Haptic Object Visualization
カリフォルニア大学サンディエゴ校のエンジニアが開発した新しいロボットグリッパーは、シリコンゴム製で導電性カーボンナノチューブで作られたセンサーが埋め込まれており、ドライバー(ねじ回し)を回したり、電球をねじ込んだり、紙を持つことができます。
【参考リンク】
●傷口を自己治癒するソフトロボット
A robot that heals a little like Wolverine
【参考リンク】
- Seppe Terryn, Joost Brancart, Dirk Lefeber, Guy Van Assche and Bram Vanderborght Self-healing soft pneumatic robots Science Robotics 16 Aug 2017: Vol. 2, Issue 9, eaan4268 DOI: 10.1126/scirobotics.aan4268
【関連記事】
●折り紙からインスピレーションを受けた折り畳み式の人工筋肉
[vimeo]https://vimeo.com/241349581[/vimeo]
Origami-Inspired Artificial Muscles
NEW ARTIFICIAL MUSCLES CAN GIVE SOFT ROBOTS SUPERPOWERS
(2017/11/27、MIT CSAIL)
The team constructed dozens of muscles using materials ranging from metal springs to packing foam to sheets of plastic, and experimented with different skeleton shapes to create muscles that can contract down to 10 percent of their original size, lift a delicate flower off the ground, and twist into a coil, all simply by sucking the air out of them.
MIT CSAILとハーバード大学のWyss Instituteの研究者は、折り紙からインスピレーションを受けた、折り畳み式の人工筋肉を開発したそうです。
ソフトロボットについて最近よく取り上げる機会が多いのですが、柔軟性と機敏性が増すと強度が低下するというトレードオフの関係があり、柔らかい素材は柔軟性のない素材ほど強度がなく弾力性がないため使用が制限されると考えられますが、今回の研究では空気や水圧だけで体重の1,000倍まで持ち上げることができるそうです。
BostonDynamics(ボストンダイナミクス)の「Atlas(アトラス)」がまるで「パルクール(Parkour)」のような動きでバク宙をしている動画が公開されていますが、実際どんなアクチュエータ(入力されたエネルギーを物理的運動に変換する機構のこと)が用いられているのでしょうか?
【関連記事】
■まとめ
これからは、介護や生活支援などの場面で、ロボットと触れ合う機会が増えていくことが考えられますが、その際に硬い素材だと冷たい印象を受けるかもしれません。
そういった場面において、柔らかい素材のロボットであれば、温かみのある印象を与えられるのではないでしょうか。
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