女性ホルモンであるエストロゲンが甘味嗜好性を上昇させることが明らかに〜エストロゲンは、内因性オピオイド(脳内麻薬様物質)を介して甘味の嗜好性を上昇させる〜(2025年6月9日、奈良女子大学)
この研究で行ったラットの実験によれば、女性ホルモン「エストロゲン」が甘いものへの欲求を高めることを明らかになりました。
■どんな研究?
この研究は、女性ホルモンであるエストロゲンが、甘いもの(特に砂糖水)を好む傾向(甘味嗜好性)を高めることを、ラットを使った実験で明らかにしたものです。
エストロゲンは、女性の体で生殖機能だけでなく、食欲やエネルギー調節にも影響を与えます。
この研究では、エストロゲンが「甘いものが食べたい!」という気持ちを強くし、脳内の報酬系やオピオイド(快感に関わる脳内物質)がその仕組みに関わっていることを発見しました。
■なぜこの研究が重要?
女性と甘いものの関係: 「女性は甘いものが好き」と言われることがありますが、その理由の一つがエストロゲンにある可能性が示されました。
性差と健康: 女性は閉経や月経周期でホルモンバランスが変化し、食行動や肥満リスクに影響が出ます。この研究は、女性の食行動や生活習慣病(特に肥満)の予防に役立つ新しい知識を提供します。
食行動の仕組み: 食べる行動は「体が必要とするエネルギー調節(恒常性調節)」と「食べる楽しさ(快楽性調節)」の2つでコントロールされます。この研究は、エストロゲンが「楽しさ」の部分にどう影響するかを調べた初めての研究です。
■結果
エストロゲンは甘いもの好きを増やす:
エストロゲンを補充したラットは、人工甘味料や砂糖水をたくさん飲み、普通のエサを食べる量が減りました。
つまり、エストロゲンは「エネルギー補給のため」ではなく、「甘いものが好きだから」摂取量を増やしていることがわかりました。
エネルギー調節への影響:
砂糖水を飲むとカロリーが増えるため、エストロゲンが本来持つ「食欲を抑える効果」が打ち消されました。
ただし、体重増加は抑えられ、エストロゲンの「肥満を防ぐ効果」は残っていました。
脳内メカニズム:
エストロゲンが甘味嗜好性を高めるのは、脳内の報酬系(特に側坐核という部分)とオピオイドが関わっていることがわかりました。
オピオイド受容体をブロックすると、砂糖水の摂取量が減ったため、オピオイドが重要な役割を果たしていると考えられます。
■この研究のポイント
エストロゲンは、甘いものを「もっと食べたい!」という気持ちを強くする。
この効果は、脳の「快感」を司る部分(報酬系)とオピオイドが関与。
女性のホルモン変化(例:閉経や月経周期)が食行動や肥満に影響を与えるため、女性の健康管理に役立つ知識。
■まとめ
この研究は、女性ホルモン「エストロゲン」が甘いものへの欲求を高めることを明らかにしました。
女性が甘いものを好む背景には、ホルモンが影響している可能性があり、これは性差や健康管理を考える上で重要です。
ただ一つ気になる調査結果があります。
更年期世代の女性は糖質を摂りすぎている!?糖質依存度チェックによれば、糖質の基準値(男性 250g/女性 200g)に対し、実際に一日の食事で摂取している糖質の総量の平均は男性 309g(角砂糖約15個分が過剰)、女性 332g(角砂糖約33個分が過剰)と過剰に摂っている傾向にあることがわかりました。
このデータによれば、特に50代女性では 400g(角砂糖換算で約 104 個相当)を超える量となっており、これはこの年代層の「糖質を中心とした間食が多い」生活習慣が一因と考えられるそうです。
つまり、女性ホルモンが低下する更年期にも糖質を中心とした間食が多いということは、これは女性ホルモンだけの問題ではないのではという一つの疑問が生まれます。
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→ 更年期障害の症状・原因・チェック|40代・50代の更年期の症状 について詳しくはこちら
例えば、女性ホルモンの影響で長期間甘いもの好きであったために、それが生活習慣となり、女性ホルモンが低下した後でもその生活習慣だけが残ってしまうということもあるのでしょうか?