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非肥満者でも首回りのサイズが睡眠時無呼吸の重症度に影響

Neck flex

by Dylan(画像:Creative Commons)

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非肥満者でも首回りのサイズが睡眠時無呼吸の重症度に影響

(2009/6/18、nikkei net)

肥満が閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)の主要な危険因子(リスクファクター)となることは知られているが、肥満でない人でも多くの人にこの症状がみられることが、新しい研究で示された。

今回の研究では、ボディ・マス・インデックス(BMI、肥満指数として用いられる)が18.5~27の非肥満成人5,426人のうち54%にOSAがみられ、そのうち約半数は軽度であったが、残りの半数は中等度から重度のOSAであった。

特に、首回りの太い中高年の男性に中等度から重度のOSAがよくみられたという。

肥満だけでなく、首回りが太いほど閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)のリスクが高いそうです。

閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)は、様々な病気との関わり合いが高いとして注目を集めています。

過去の研究では、OSAが心疾患、肥満、糖尿病、高血圧、死亡リスクの増加などの重大な健康上の問題と関連することが示されている。

閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)には注意したいものです。

■睡眠時無呼吸症候群(SAS)に注意

「熟睡感がない」という方はもしかするとこんな症状がありませんか?

  • 大きないびき(いびきがうるさいと言われる)
  • 眠っている間に呼吸が止まる
  • 日中の眠気
  • 熟睡感がない(よく眠れた感じがしない)
  • 起床時に頭痛やだるさを感じる
  • 睡眠中に何度も目が覚める

こういう症状がある人は、「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」かもしれません。

睡眠時無呼吸症候群は、簡単に言うと、眠っている間に呼吸が何度も止まってしまう病気のことを言います。

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の方にはこのような治療が行われます。

減量・ダイエット

肥満が原因による睡眠時無呼吸症候群の治療・予防するためには、食生活の改善や運動不足の解消など生活習慣の改善が重要となります。

睡眠前の深酒に注意

アルコールは気道周辺の筋肉を弛緩させ、鼻づまりを引き起こしやすいので、いびきをかきやすくなります。

横向きに寝る

軽度のいびきなら、舌が喉に落ち込んで気道を塞がないよう、横向きに寝るようにしましょう。

腰枕

ファスナーを開いて背中にボールを装着できる腰枕を使うことで、横向きの姿勢を保つことができます。

パジャマの背中に袋を縫い付けて、中にテニスボールなどを入れるお手製腰枕もおすすめです。

ベッドの頭側を高くする

体を少し起こした姿勢にしておけば舌が落ち込みにくくなります。

マウスピース

中等症より軽いいびきには、舌や下あごを前に出させる特殊なマウスピースを使うと軽減することもあるそうです。

CPAP療法

中等症以上や重度のSAS患者の治療には、寝るときに呼吸用のマスクを付け、圧力をかけた空気を機械で持続的に送り込む「CPAP療法」が有効とされています。

睡眠時無呼吸症候群とメタボリックシンドロームによれば、「CPAP(Continuous Positive Airway Pressure=シーパップ)」は、睡眠中に装着した鼻マスクから圧力をかけた空気を送り込み、上気道を開いた状態に保って無呼吸をなくす方法です。

CPAP療法で治療すると無呼吸やいびき、日中の眠気が消失するだけでなく、高血圧や、メタボリックシンドロームのひとつの病態であるインスリンの効きが悪くなるインスリン抵抗性も改善します。

つまり、CPAP療法で睡眠時無呼吸症候群を治療すると、心筋梗塞などのリスクも低下します。

ナステント

「ナステント」とは、緊急救命時の気道確保の手法を応用し、鼻にソフトなシリコーン製の柔らかいチューブを挿入することで気道を確保するという発想で作られた治療器具です。

チューブ状の医療デバイスを、使用者自身で、鼻から口蓋垂(のどちんこ)まで挿入することで、空気の通り道をしっかり確保できます。

そのため、空気の通り道が狭くなることで起こる「いびき」や空気の通り道が閉塞してしまうことで起こる「無呼吸」を回避することで、呼吸をサポートできるのがナステントです。

→ 睡眠時無呼吸症候群(SAS)の症状・原因・検査・治療法 について詳しくはこちら







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ゆで卵を生卵状に戻す方法はがん治療などの医療にも応用できる|カリフォルニア大学

Hard boiled eggs

by Lisa Williams(画像:Creative Commons)




カリフォルニア大学、ゆで卵を“生卵”に戻す新しい方法を発明

(2015/1/27、ねとらぼ)

しかし今回発表された方法は、固まったたんぱく質に尿素を加えて液化し、その後機械で圧力をかけて小さなタンパク質の塊をバラバラにするというもの。この方法であれば多くの時間や費用を費やさなくても、ゆで卵を生卵のような透明な液状に戻すことが可能になる。

アメリカ合衆国のカリフォルニア大学アーバイン校とオーストラリアの化学者らは、ゆで卵を“生卵(のような透明な液状)”に戻す方法を発明したそうです。

ただ、今回の記事のポイントは、「ゆで卵を生卵に戻してすごいね」というところではなく、医療に応用できるというところ。

これらの技術を応用すれば大腸菌などのタンパク質を安価に速く作り替えられ、癌治療などの医療にも応用できるとしている。

この技術の発明によって、タンパク質の作り替えが速く安価にできるようになり、がん治療などの応用など医学が進むというわけですね。







世界初、iPS細胞から作った視細胞の移植で網膜色素変性症マウスの視力回復を確認 2年以内に臨床申請へ|理研

Lights

by Tim Parkinson(画像:Creative Commons)

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<理研>網膜の難病、iPSで光…マウスで治療成功

(2017/1/11、毎日新聞)

研究チームは、マウスのiPS細胞から作った細胞のシートを末期の変性症のマウスの網膜に移植し、光を当てた5秒後に電気ショックを与える実験を実施。すると、移植に成功したマウスの約4割が健康なマウスと同じように、光を感知して電気ショックを避けるようになった。また、移植したシートは網膜内の他の細胞と連携し、脳に伝わる直前の細胞まで視覚情報が届いていた。

理化学研究所は、「網膜色素変性症」のマウスにiPS細胞から作った網膜で光を感じる視細胞を移植し、光を感じられるようにすることに成功したと発表しました。

iPS細胞から作成した視神経細胞をマウスに移植したケースはありましたが、今回の研究では、視力の回復を確認したそうで、チームは2年以内に臨床研究を申請したいとしています。

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ナノカプセルで疾患部位にピンポイントで治療薬を届ける技術|ドラッグデリバリーシステム(DDS)

Capsules

by vinod velayudhan(画像:Creative Commons)




がんの日帰り治療を可能とするナノマシン – 東大などが開発

(2015/6/10、マイナビニュース)

東京工業大学(東工大)や東京大学(東大)、放射線医学総合研究所(放医研)などで構成される研究グループは6月10日、日帰りがん治療の実現に向けたナノマシン技術を開発したと発表した。

片岡一則氏らのグループが研究しているのは、「ドラッグデリバリーシステム(DDS)」というナノカプセル(ミセル化ナノ粒子)の中に薬を入れて、体の中の疾患部位にその薬を届けるという技術です。

目には見えないほど小さなナノカプセルでがんを直撃

(2015/8/26、日経ビジネス)

ナノカプセルとはその名の通り、直径数十ナノメートル(ナノは10億分の1)ほどの小さなカプセルだ。これを使い、狙った患部だけに薬剤を届ける仕組みを「ドラッグ・デリバリー・システム(DDS)」と呼ぶ。

現在は様々なテクノロジーでアプローチしているものの、疾患部位にピンポイントで治療薬を届けるというアイデアに注目が集まっているようです。

新しいがん治療法開発 「ノーベル有力」崇城大特任教授

(2016/9/30、朝日新聞)

前田さんは、薬を作用させたいところにだけ送る「ドラッグ・デリバリー・システム(DDS)」の研究に長年取り組む。がん治療の場合、従来の抗がん剤だと正常細胞も傷つけるが、がん細胞だけに薬を届けられれば効果が高く、副作用の少ない「患者に優しい治療」が期待できる。

 正常細胞の血管には小さい隙間が空いているのに対し、がん細胞では大きな隙間が多い特徴がある。低分子型の従来の抗がん剤はサイズが小さく、小さな隙間を通って正常細胞にも漏れてしまうが、サイズが大きな高分子型の抗がん剤なら正常細胞に漏れることを防げる「EPR効果」を1986年に発見。その後、従来の抗がん剤に高分子をくっつけた新しい抗がん剤の開発につなげた。正常細胞より20~100倍高い濃度でがん細胞に薬を集められるという。

ノーベル化学賞の有力候補に挙げられた崇城大の前田浩・特任教授(77)はドラッグデリバリーシステム(Drug Delivery System, DDS)研究の第一人者です。

DDSのポイントは、がん細胞だけに薬を届けることで、治療効果が高く、副作用が少ないことです。

■ピンポイントで治療薬を届けるアイデアの例

GOOGLEX、ナノ粒子とウェアラブル端末を用いてがんを早期発見するプロジェクトを発表によれば、「Google X」で生体研究プロジェクトを統括しているAndrew Conrad氏が先日発表したのは、ナノ粒子とウェアラブル端末を用いてがんなどを早期発見するというプロジェクトです。

ナノ粒子を用いたアテローム性動脈硬化症の新治療法とは−米研究によれば、ナノ粒子に抗炎症薬を組み込んで運ばせ、プラークが蓄積されている部位で治療薬を放出させるという研究が行われているそうです。

血液の中を泳いで薬を届ける「3Dプリント魚」が開発される|カリフォルニア大学サンディエゴ校によれば、3Dプリントでできた魚型ロボットが、人間の血液の中を泳いでいって、毒素を探知したり、目的部位に薬を運んだりすることができるようになるかもしれないそうです。

ROBOT ORIGAMI |折り紙からインスピレーションを受けて作られた小さな医療用ロボットが開発によれば、小さな医療用ロボットが人体内部の奥深くに薬品を届けたり、医療行為を行ったりするのに利用できる可能性が期待されています。

■まとめ

以前NHKの子供向けに放送されていた番組「天才てれびくん!」では、将来ナノマシンで治療をするというストーリーのアニメ「ナノセイバー」がありました。

救命戦士ナノセイバー ー Wikipedia

22世紀に入り、子供の社会進出が加速する中、医学界において、体内にナノマシンを投入し疾病を防ぐという、革命的な治療法が開発される。同じく医学界において子供医師として活躍していた恵達ナノセイバーは、これらの技術を応用したバーチャルワールドを利用して体内に入りこみ、バーチャルメディカルステーション(以下VMS)に運び込まれる患者の治療を行なってゆく。

これからはこのアイデアが主流になっていきそうですね。







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Graphene(グラフェン)は将来がん治療に使われるかもしれない!?

Model of graphene structure

by CORE-Materials(画像:Creative Commons)




This is the strongest material on Earth|CNN

CNNのニュースの中で初めて知ったのが「Graphene(グラフェン)」という素材です。

■Graphene(グラフェン)とは

グラフェンの物理

鉛筆の芯にも使われているグラファイトは、蜂の巣状(ハニカム状)に結合した炭素原子のシートが層状に連なった結晶構造をしています。鉛筆で線が書けるのは、この炭素原子のシートがはがれて紙の上に残るからです。ここで、この炭素原子のシートのことをグラフェンと呼びます。

グラフェンは、六角形のハニカム構造(蜂の巣)をした炭素の原子ー個分の厚さのシートのことです。

なぜ、このGraphene(グラフェン)はすごいのでしょうか?

このGraphene(グラフェン)という素材の特徴は、次の記事がわかりやすいです。

■Graphene(グラフェン)とは

驚異の素材グラフェン:成功への道のりは?

(2013/9/5、WIRED)

シリコンの100倍の電気伝導率があり、鋼鉄の200倍の強度があり、驚くべき光学的・熱学的特性をもっていることを。

Graphene(グラフェン)はダイヤモンド以上の強度を持ちながら、ゴムのように柔軟に折り曲げられることができ、銅より電気や熱の伝導率が高いことが特徴です。

すでにこの素材の発見者であるマンチェスター大学のアンドレ・ガイムとコンスタンチン・ノヴォセロフにはノーベル物理学賞が授与されていることからも何となくその凄さはわかるかと思います。

この素材の実用に当たっては、折り曲げ可能なディスプレイやリチウムイオン電池、電球の開発などが行なわれているようです。

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■課題・問題点

ロス・コザルスキは、「例えばカーボンナノチューブのようなナノマテリアルについて議論するときは、性能の高さが常に投資のリターンの大きさに結びつくとはかぎらないことを考慮しなければならない」と主張している。

どんなに性能の高いものであっても、実用できないほど高い素材になってしまっては、世界を変える素材とは言えません。

低コストの大量生産方法の確立が今後の重要な課題です。

【関連記事】

注目のグラフェン、予想より環境に良くない可能性が

(2014/4/30、ギズモード)

表流水、つまり湖や川ではより機動性があがることで、環境に悪影響を及ぼす可能性が高いというのです。

カリフォルニア大学の研究室、RiversideのBourns College of Engineeringは、グラフェンが環境へ与える影響を調査していて、湖や川では環境に悪影響を及ぼす可能性があるそうです。

■期待されるアイデア

【BBC】 驚異の新素材グラフェン、いずれがん治療にも?|YouTube

現在は、シリコン回路の小型化が企業にとって大きな障害となっている。チップが小さくなればなるほど、ナノスケールではカオスが増大する。というのも電子が不安定になり、熱したフライパンの上に落とした水滴のような振る舞いをするようになるからだ。しかし科学者たちによると、グラフェンの量子力学的特徴は、この無秩序から抜け出して、小型で低電力消費でも非常に高速な機器を実現する方法を提供してくれるという。例として、がん細胞を探して人間の静脈の中をさまよう砂糖の粒の大きさの生物学的センサーなどが挙げられる。

GOOGLEX、ナノ粒子とウェアラブル端末を用いてがんを早期発見するプロジェクトを発表では患者がナノ粒子入りのカプセルを飲み込み、血中に溶けたナノ粒子が、細胞やタンパク質にくっつくことで、がん細胞やその他病気を引き起こしそうな物質のデータをウェアラブル端末に逐一送るというプロジェクトについてお伝えしました。

このプロジェクトは夢物語ではなくて、Graphene(グラフェン)を活用することによって、現実的に血液中を流れながら病気の原因となりうるものを発見するセンサーができることも夢ではないということです。

また、グラフェンを酸化した酸化グラフェンは抗がん剤治療に用いられるのではないかという期待もあるそうです。

注目の素材「グラフェン」にガンの幹細胞を封じ込める力がありそうだ

(2015/2/28、FUTURUS)

水の中で安定する酸化グラフェンは、バイオ医療において高い可能性を持っています。細胞の中や表面に難なくとりついて、薬剤の標的になるように変えてしまう性質があるのです。

また、このケースでは酸化グラフェンそのものが効果的な抗がん剤としての効果も見せています。がん幹細胞は、腫瘍表面で小さな細胞の集団を形成するように分化しますが、酸化グラフェンのフレークはその作用を防ぎ、がんではない幹細胞へと分化させるように促す作用があるのです。

研究はまだ初期段階で研究すべきことはまだたくさんありそうですが、期待してしまいます。

ピンポイントで治療薬を届けるアイデアの例

現在さまざまなアプローチからピンポイントで治療薬を届けるアイデアが開発されています。

ナノカプセルで疾患部位にピンポイントで治療薬を届ける技術|ドラッグデリバリーシステム(DDS)によれば、片岡一則氏らのグループが研究しているのは、「ドラッグデリバリーシステム(DDS)」というナノカプセル(ミセル化ナノ粒子)の中に薬を入れて、体の中の疾患部位にその薬を届けるという技術です。

ナノ粒子を用いたアテローム性動脈硬化症の新治療法とは−米研究によれば、ナノ粒子に抗炎症薬を組み込んで運ばせ、プラークが蓄積されている部位で治療薬を放出させるという研究が行われているそうです。

血液の中を泳いで薬を届ける「3Dプリント魚」が開発される|カリフォルニア大学サンディエゴ校によれば、3Dプリントでできた魚型ロボットが、人間の血液の中を泳いでいって、毒素を探知したり、目的部位に薬を運んだりすることができるようになるかもしれないそうです。

ROBOT ORIGAMI |折り紙からインスピレーションを受けて作られた小さな医療用ロボットが開発によれば、小さな医療用ロボットが人体内部の奥深くに薬品を届けたり、医療行為を行ったりするのに利用できる可能性が期待されています。

Carbon-based paper that walks when hit with a laser|YouTube

中国のチームが酸化グラフェンを素材として活用した研究によれば、熱や光に反応して、まるで折り紙のように折れ曲がったり、開いたりします。

温度に反応するセンサーやロボットの人工筋肉への活用が考えられるそうです。

■まとめ

Graphene(グラフェン)という素材をいかに活用していくかがこれからの未来のカギになるかもしれません。







【追記(2016/11/7)】

蚕にグラフェンやカーボンナノチューブを食べさせたら…強化シルク誕生

(2016/10/16、ギズモード)

新繊維の開発に取り組んだのは北京の精華大学、Yingying Zhang氏のチームです。水の重量に対して0.2%の割合で、グラフェン、またはカーボンナノチューブを水と混ぜ、その液体をスプレーしたクワの葉を蚕に食べさせました。

その結果、通常の絹を作り出すプロセスと同じようにできた繊維は、従来のシルクよりも50%強度が高く、1,050℃まで熱すると電気伝導も可能な強化シルクとなりました。

蚕にグラフェンやカーボンナノチューブを食べさせることにより、強度の強いシルクができたそうです。