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ほぼ完全な人間の脳の培養に成功―オハイオ州立大のルネ・アナンド教授

Brain

by dierk schaefer(画像:Creative Commons)




ほぼ完全な人間の脳、実験室で培養成功 米大学研究

(2015/8/20、AFP)

米オハイオ州立大学(Ohio State University)の報告によると、小さな脳の培養に成功したのは、同大のルネ・アナンド(Rene Anand)教授。脳の成熟度は、妊娠5週の胎児に相当するという。

オハイオ州立大のルネ・アナンド教授が小さな脳の培養に成功したそうです。

今回の研究によって期待されるのは、脳や神経系の疾患に対する治療法を開発する上での実験に必要な脳モデルとしての役割です。

このことについては、「数学的相関法や統計的手法はそれ自体、因果関係を特定するには不十分だ。実験システム、つまり人間の脳が必要なのだ」と説明している。

自分の想像を超えるような発想を聞くと恐ろしいと感じてしまいますが、神経系疾患の治療に大きな進歩をもたらしてくれるということでしたら、すばらしいことですね。







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3Dプリンタで作った薬を初認可、米FDA(米国食品医薬品局)

Drain the pressure from the swelling,

by Jason Rogers(画像:Creative Commons)




おクスリも3Dプリントの時代が来たようです

(2015/8/5、ギズモード)

米国食品医薬品局(FDA)が、患者ごとのニーズに合わせた薬の実現に向け、初めて3Dプリント技術を使用した薬にGOサインを出したようです。

FDAは、3Dプリンターで製造された医薬品の認可を初めて認可したそうです。

その薬とはどういったものなのでしょうか?

てんかんと闘うための補助療法として設計された「Spritam」という薬を医薬品企業Apreciaが開発しており、3Dプリントを活かした同社独自のZipDose技術によって、一口舐めるだけでも急速に溶ける多孔質製剤になっているようです。

今回認可されたのは、てんかんのための薬ですが、今後も3Dプリンタ技術で作られる薬が増えていくのでしょうか?

Aprecia ZipDose Product Demonstration

FDA approves first prescription drug made by 3D printing







P.S.

薬を印刷する技術

(2013/5/31、@IT)

化学者のリー・クローニン(Lee Cronin)氏は、分子を印刷できる3Dプリンタの開発に取り組んでいる。「これを応用すれば、いずれ3Dプリンタで化学物質を作れるようになる。3Dプリンタで作った化学物質をインクにし、薬を印刷できる時代がくる」と、リー氏は言う。

化学物質を3Dプリンタにセットし、分子の設計図をダウンロードすれば、へき地で病気が発生しても、すぐに対応できるようになるのではないかというのが良い使い方の例ですね。

悪い使い方をどうコントロールしていくかがポイントになってきそうです。

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iPS細胞から作った腎前駆細胞をマウスに移植したところ、急性腎不全の症状を抑制することに成功

Travail en laboratoire

by Campus France(画像:Creative Commons)




iPS由来細胞、腎不全に効果=急性症状抑制、マウスで確認―京大など

(2015/7/21、時事通信)

人の人工多能性幹細胞(iPS細胞)から作製した、腎臓のさまざまな細胞の基になる腎前駆細胞をマウスに移植し、急性腎不全の症状を抑制させることに京都大iPS研究所とアステラス製薬などの研究グループが成功した。

iPS細胞から作った腎前駆細胞をマウスに移植したところ、急性腎不全の症状を抑制することに成功したそうで、人の急性腎不全にも効果が期待できるそうです。

■急性腎不全とは?

急性腎不全は、血液の不足や薬の副作用などで、数時間~数日の間に急激に腎機能が低下する病気で、急性腎障害とも呼ばれる。日本では入院患者の約5%が発症。死亡率が50%超と高い上、腎臓がダメージを受け、慢性腎臓病となるケースも多い。

腎臓の病気によれば、慢性腎臓病(chronic kidney disease;CKD)とは、簡単に言うと、腎臓の機能が60%未満に低下することを言います。

国民のほぼ1割、1,100万人の腎機能が60%以下に低下していると言われ、慢性腎臓病は、 “新たな国民病”として注目されています。

※今回の記事でコメントしている京大iPS研の長船健二教授によれば、慢性腎臓病の患者は日本に1300万人以上患者がいるそうです。

腎機能が低下すると、むくみ・だるさ・疲れ・多尿・頻尿などの症状が現れますが、慢性腎臓病は、早期では症状はありません。

慢性腎臓病がさらに重症化した状態を慢性腎不全といい、慢性腎不全とは、腎臓の機能が低下し、血中の老廃物が排泄できなくなる状態です。

今回の研究が進めば、急性腎不全の抑制だけでなく、慢性腎臓病の進行抑制も期待できるそうなので、注目ですね。

→ 腎臓の病気 について詳しくはこちら







難病(クローン病や潰瘍性大腸炎)の発症防ぐ腸内のタンパク質確認―神戸大




クローン病や潰瘍性大腸炎 難病防ぐ腸内物質確認 神戸大

(2015/7/21、神戸新聞NEXT)

激しい腹痛や下痢などを伴う難病のクローン病や潰瘍性大腸炎の発症を防ぐ鍵となるタンパク質を、神戸大の研究グループが世界で初めて確認した。このタンパク質が発症を抑止する仕組みの一端も解明。

ここ最近、腸内細菌が出す物質が美肌やダイエットがん糖尿病、うつなどに関わっているとして、テレビで取り上げられていましたが、今回のニュースによれば、激しい腹痛や下痢などを伴う難病のクローン病や潰瘍性大腸炎の発症を防ぐ鍵となるタンパク質を確認し、このたんぱく質が発症を抑止する仕組みの一部も解明したそうです。

的崎教授らは以前、腸の内側を覆う腸上皮細胞の表面にある「微絨毛(じゅうもう)」という細かな突起から「SAP-1」というタンパク質を発見していた。今回、その機能を調べるため、マウスの腸上皮細胞からSAP-1を除去したところ、腸炎の発症率と重症度が著しく高まることを確認した。

さらに、SAP-1が、同じく微絨毛にある「CEACAM20」というタンパク質の機能を抑えることで、腸炎の発症を防いでいる可能性が高いことも判明したという。

まとめてみます。

●「SAP-1」をマウスの腸上皮細胞から除去すると、腸炎の発症率と重症度が著しく高まる

●「SAP-1」が「CEACAM20」というタンパク質の機能を抑えることで、腸炎の発症を防いでいる可能性が高い

SAP-1を増やすまたはCEACAM20の機能を抑えるという薬の考案が待たれます。

この研究が進むことで、根本的な治療薬の開発につながるといいですね。

■クローン病・潰瘍性大腸炎は「指定難病」

クローン病や潰瘍性大腸炎は、腸の粘膜に慢性的な炎症や潰瘍が生じる原因不明の病気で、ともに医療費助成対象の「指定難病」。国内では20~30代を中心に発症し、患者数は合わせて約20万人に上るとされる。







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ジョー・ランドリーナさんが発明した出血を瞬時に止めるジェル「Vetigel」が獣医向けに出荷

vetigel

参考画像:VetiGel: The Band-Aid of the Future Stops Bleeding Instantly|YouTubeスクリーンショット




出血を瞬時に止めるジェル「VetiGel」、動物用出荷へ

(2015/7/13、WIRED)

出血を瞬時に止められるジェルが、米国で獣医向けに出荷される見込みだ。動物用で米食品医薬品局(FDA)の承認が得られたあとには、ヒトでの試験も開始される予定だ。

ジョー・ランドリーナさんが発明した瞬時に出血を止めるジェル「Vetigel」が獣医向けに出荷されるそうです。

■Vetigelとは?

Vetigelは、天然の藻類をベースとしたポリマーからつくられたジェルだ。ランドリーナ氏はこのポリマーが、体の内部で生じる血液凝固作用を促進して、止血を早めることを発見した。損傷した組織に網の目のような構造を形成し、傷の表面でのフィブリン(組織修復タンパク質)の産生を促進するという。

簡単に言えば、植物性のジェルが傷口に入り込み、血液凝固作用を促進して、止血をするというものです。

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■開発のきっかけ

すごい!出血を数秒で止めるジェルを発明したのはNY大学の20歳の青年

(2014/12/3、マイナビウーマン)

それは、「包帯やガーゼ以外に止血の方法が存在していない」ということ。

止血するには包帯やガーゼでするものというのが常識だと思っていましたが、それ自体を疑うというのが重要なんですね。

この発明によって、医療の現場に変化が生まれそうです。

VetiGel: The Band-Aid of the Future Stops Bleeding Instantly

【参考リンク】

【追記(2015/7/16)】

「あたりまえ」を疑う──未来のデザイナーたちが教えてくれたこと #WXD

(2015/7/13、WIRED)

あたりまえを疑う視点をもつこと

見慣れた世界、いまあるものをそのまま受け入れていくだけではなく、そこに独自の視点で問いを立てることがデザインの本質です。

すい臓がんを早期発見する方法を開発したのは15歳!?将来的には生存率が100%になる可能性も?では、すい臓がんは早期発見が難しい病気であるという常識がありましたが、ジャック・アンドレイカ君は、すい臓がんになると検出される8000種類のタンパク質を納めたデータベースの中から

・がんの初期段階からすべての患者において血中レベルが高くなる
・がんである場合のみ変化が見られる

というタンパク質を発見し、一種類の特定のタンパク質にだけ反応するという性質をもつ「抗体」の性質を組み合わせるというすい臓がんを早期発見する画期的な方法を発見しました。

大事なのは常識を疑うという視点を持つことなのです。







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