by Samuel Hearn(画像:Creative Commons)
脳内金属の研究、アルツハイマー病などの解明の手がかりに
(2012/2/2、ウォール・ストリート・ジャーナル)
鉄、銅、亜鉛などの脳内金属の研究が、アルツハイマー病やパーキンソン病といった変性疾患の謎を解き明かす一助となるかもしれない。
こうした病気の患者の脳には、正常なレベルを上回る鉄分と銅が蓄積されているようだ。
先月29日に公表されたオーストラリアの新たな研究では、脳内の過剰な鉄分を減らすことで、アルツハイマー病のような症状を緩和できる――少なくとも実験用ラットについて――ことが示された。
オーストラリアの研究によれば、鉄・銅・亜鉛などの脳内金属の研究がアルツハイマー病やパーキンソン病などの解明の手がかりになるかもしれないそうです。
■金属のメリット・デメリット
幾つかの金属は人体で不可欠な役割を果たしているが、病気になることでそのバランスが崩れ、害を及ぼす。
体の健康にとって欠かせないものであっても、病気になることでバランスが崩れることで害になると考えられるようです。
●鉄
正常な機能: 酸素の運搬に関わる。細胞のエネルギー生成に必要。
脳内での影響: 鉄分過多は、アルツハイマー病とパーキンソン病に関連。タンパク質と鉄分の供給や吸収に絡む変異は、ルー・ゲーリック病と多発性硬化症に関連があるとみられる。
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しかし、脳内で鉄分が多すぎると、アルツハイマーやパーキンソン病に影響を与えてしまうようです。
また、C型肝炎やNASHの患者さんの場合も、鉄の摂取を制限する必要があります。
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C型肝炎/NASHの場合は、鉄が過剰に貯まる。=鉄過剰
※鉄過剰
肝臓にたまった鉄が酸化する
⇒肝臓に炎症を引き起こす
C型肝炎/NASHの患者さんの場合には、鉄の摂取を制限する
⇒6mg/日以下に抑える
体にとってどんなに大事な栄養素であっても、その時の状況によって、必要なモノがそうでないモノになってしまうんですね。
●銅
正常な機能: 酸素の運搬を助ける。しばしば鉄とともに作用。
脳内での影響:ウィルソン病は、銅の体外排出ができなくなり、言語障害や震え、筋肉のこわばりを生じる。銅の調節の乱れはメンケス病を引き起こし、銅のレベルは異常に低くなる。
●亜鉛
正常な機能:DNAとRNAの生成を助ける。細胞死を調節する。短期の記憶と学習の役割を果たす。
脳内での影響: 亜鉛のレベルが低かったり、通常みられない部分に亜鉛が存在したりすると、記憶障害を引き起こすと考えられている。
また、ミシガン大学の名誉教授ジョージ・ブルーワー氏とニューヨーク州立大学オルバニー校のエドワード・フィッツジェラルド氏が昨年、「アメリカン・ジャーナル・オブ・アルツハイマーズ・ディディーズ・アンド・アザー・ディメンシアズ」に発表した論文によると、鉄分の増加に加え、正常値を下回る亜鉛のレベルが、アルツハイマー病とパーキンソン病の患者で認められた。
マサチューセッツ工科大学(MIT)、デューク大学、トロント大学で化学の教鞭を取るスティーブン・リッパード教授は、学習と記憶に関わる脳の領域である海馬で、亜鉛がニューロンの伝達を助けていることを発見した。この伝達が妨げられたり、亜鉛が本来存在しないところに導かれたりすると、記憶形成に影響を及ぼしたり、てんかん発作を起こしたりする可能性があるという。
正常値を下回る亜鉛のレベルであったり、本来存在しない場所に亜鉛が存在すると記憶障害を起こしてしまう可能性があるそうです。
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