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干し芋が腸内環境の改善にどう役立つの?




■簡単に言うと

干し芋が腸内環境の改善にどのように役立つかについてまとめます。

簡単に言うと、干し芋は食物繊維、オリゴ糖、ポリフェノールを含んでいるので、腸内環境の改善に役立つ可能性があると考えられます。

干し芋に、乳酸菌を含むヨーグルトを一緒に食べるとより良い効果が得られるのではないでしょうか?

干し芋の作り方/ばあちゃんの料理教室/How To Make Dried Sweet Potato

■さらに深堀り

干し芋に含まれる食物繊維、オリゴ糖、ポリフェノールが腸内細菌叢(マイクロバイオーム)にどのように影響するかを、関連する研究を基に説明します。

1. 干し芋の栄養成分と腸内環境

干し芋はサツマイモを原料とし、食物繊維、オリゴ糖、ポリフェノールなどの成分を含みます。

(1) 食物繊維の効果

干し芋には水溶性食物繊維(ペクチンなど)と不溶性食物繊維が含まれます。

サツマイモの食物繊維含量は生の状態で約2.3~3.0g/100g、干し芋では乾燥により濃縮され、約5~7g/100g程度と推定されます(データは品種や加工法により異なる)。

論文のエビデンス: 食物繊維は腸内細菌のエサとなり、短鎖脂肪酸(SCFA)である酪酸や酢酸の産生を促進します(Cummings et al., 2001, Gut)。

短鎖脂肪酸(SCFA)は腸粘膜のエネルギー源となり、炎症を抑え、腸のバリア機能を強化します(例: Koh et al., 2016, Cell)。

干し芋の役割: 干し芋の食物繊維はビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌の増殖をサポートし、腸内細菌叢(マイクロバイオーム)のバランスを整える可能性があります。

特に不溶性食物繊維は便のかさを増やし、便通を改善することで腸内環境を整えます(Anderson et al., 2009, Nutrition Reviews)。

【補足1】

【腸活】「短鎖脂肪酸」を増やす「発酵性食物繊維」を多く含まれる食べ物/NHK「あさイチ」によれば、短鎖脂肪酸が増えると次のような効果があるそうです。

〇脂肪が燃えるので、やせ体質になる
〇免疫の暴走を抑えるので、アレルギー改善
〇ほうれい線などのシワを薄くする
〇自律神経が整い、ストレスが減り、疲れにくい体になる

短鎖脂肪酸を増やすためには「発酵性食物繊維」が多く含まれる食べ物をとることが大事。

※正確に言えば、発酵性食物繊維を摂り、腸内細菌が別の物質に変え、その物質を食べた腸内細菌(ビフィズス菌など)が「短鎖脂肪酸」を生み出してくれる。

【補足2】

日本人の食物繊維摂取量が少なくなっている!その理由とは?によれば、日本人における食物繊維摂取量のデータを見ると、食物繊維摂取量が減っていることがわかります。

その中でも穀類からの割合が減っていて、その理由としては米の摂取量が減ったことや雑穀を食べなくなっているからだと考えられます。

食物繊維の多い食品 について詳しくこちら

(2) オリゴ糖(フラクトオリゴ糖など)

サツマイモには少量のオリゴ糖が含まれ、干し芋の加工過程でこれが濃縮される場合があります。

オリゴ糖はプレバイオティクスとして知られ、善玉菌の増殖を促進します。

論文のエビデンス: フラクトオリゴ糖はビフィズス菌やラクトバチルス属の増殖を促進し、腸内細菌叢の多様性を高めることが示されています(Gibson et al., 2004, Nutrition Research Reviews)。

また、オリゴ糖の摂取は便秘の改善や腸内pHの低下を促し、病原菌の増殖を抑える効果があります。

干し芋の役割: 干し芋に含まれるオリゴ糖は、善玉菌のエサとして機能し、腸内環境を改善する可能性があります。

ただし、含有量は加工法により異なるため、効果の程度は製品に依存します。

【補足3】

プレバイオティクスは消化管内で特定の腸内細菌に働きかけることでヒトに有益な効果をもたらす食品成分と定義されています。

例えば、プレバイオティクスの一種である食物繊維は腸内細菌に代謝されて短鎖脂肪酸など有益な代謝物を増加させることや食物繊維を多く含む食事は健康増進につながることも知られています

【補足4】

【#たけしの家庭の医学】腸内フローラを改善する方法|善玉菌のエサ・助っ人食材・食べ物・食品

(3) ポリフェノールと抗酸化作用

サツマイモにはクロロゲン酸などのポリフェノールが含まれており、干し芋でもこれが保持されます。ポリフェノールは抗酸化作用を持ち、腸内での酸化ストレスを軽減します。

論文のエビデンス: ポリフェノールは腸内細菌によって代謝され、フェノール性代謝物に変換されて腸の炎症を抑制する可能性があります(Cardona et al., 2013, Journal of Nutritional Biochemistry)。

また、ポリフェノールは特定の善玉菌(例: アッカーマンシア属)の増殖を促進し、腸の健康をサポートします(Dueñas et al., 2015, Food Chemistry)。

干し芋の役割: 干し芋のポリフェノールは腸内細菌叢にポジティブな影響を与え、腸の炎症を抑えることで間接的に腸内環境を改善します。

【補足5】

さつまいもダイエットの効果・方法(やり方)/広瀬アリスさんは朝ごはんと間食をさつまいもにしてダイエットによれば、サツマイモに含まれる「クロロゲン酸」(高い抗酸化作用のある栄養素)が肥満の原因となる糖分の吸収を防いでくれるそうです。

2. 干し芋の具体的な利点

便通改善: 食物繊維による便のかさ増し効果と水分保持効果により、便秘の予防・改善が期待できます(研究例: Slavin, 2013, Advances in Nutrition)。

善玉菌のサポート: 食物繊維とオリゴ糖がビフィズス菌や乳酸菌の増殖を促進し、腸内細菌叢のバランスを整えます。

低GI食品: 干し芋はサツマイモ由来の低GI(グリセミック・インデックス)食品であり、血糖値の急上昇を抑え、腸内環境に悪影響を与える可能性のある代謝ストレスを軽減します(Atkinson et al., 2008, Diabetes Care)。

【補足6】

■さつまいもは食物繊維が豊富で低GI食品

さつまいもは不溶性食物繊維を多く含みます。

不溶性食物繊維は、腸内で水分を保持して便のカサを増やし、腸を刺激してぜん動運動を促す成分で、便秘解消に役立ちます。

また、さつまいもはGI値が低い食品です。

GI値とは、食後血糖値の上がりやすさの指標で、GI値が高い食品は血糖値が急激に上がりやすく、低い食品は緩やかに上昇します。

消化しやすい食品を食べると血糖値が急激に上がり、インスリンが大量に分泌され、残った糖を脂肪に変えてしまいます。

つまり、血糖値を急激に上げないことが、太りにくい体を作ることにつながるということです。

さつまいもは、食物繊維やポリフェノールの働きでゆっくりと糖質が吸収されます。

3. 注意点

糖分の濃度: 干し芋は乾燥により糖分が濃縮されるため、過剰摂取はカロリー過多や腸内での発酵過剰(ガス発生など)を引き起こす可能性があります。適量(1日50~100g程度)が推奨されます。

加工法の影響: 添加糖や油を使用した干し芋は腸内環境への効果が低下する可能性があるため、無添加のものを選ぶと良いでしょう。

個人差: 腸内細菌叢は個人差が大きく、干し芋の効果は人によって異なる場合があります(David et al., 2014, Nature)。

■まとめ

干し芋は食物繊維、オリゴ糖、ポリフェノールを含み、腸内環境の改善に役立つ可能性があります。

具体的には、善玉菌の増殖を促進し、短鎖脂肪酸の産生を高め、便通を改善することで腸の健康をサポートします。

科学的根拠に基づけば、適量の無添加干し芋を日常的に摂取することは、腸内細菌叢のバランスを整え、腸の炎症を抑える効果が期待できます。

【関連記事】

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ブルーベリーのサプリメントによって高脂肪食ラットの腸内細菌叢のバランスの改善、全身の炎症が減り、インスリン抵抗性が改善




ある論文によれば、高脂肪食を食べたラットにブルーベリーを与えると、腸内細菌のバランスが改善し、腸の健康が守られ、全身の炎症が減り、インスリン抵抗性が改善されることがわかりました。

→ ブルーベリーの健康効果 について詳しくはこちら

【参考リンク】

■背景

肥満になると、腸内細菌のバランスが崩れ、慢性的な炎症が起こることが知られています。

この炎症は、インスリン抵抗性(インスリンが効きにくくなる状態)など、肥満に関連する健康問題を引き起こします。

ブルーベリーには「アントシアニン」という抗炎症作用のある成分が豊富に含まれており、腸内細菌のバランスを整える可能性があると考えられています。

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■実験結果

ブルーベリーのサプリメント摂取により、高脂肪食(HF)を与えられたラットの腸内細菌叢が変化し、全身性炎症が軽減され、インスリン抵抗性が改善されるという仮説を立てて、実験した結果、次のような結果が出ました。

1)腸内細菌の変化

ブルーベリーを食べたラット(HF_BB)では、ガンマプロテオバクテリアという細菌の量が増え、腸内細菌のバランスが変化しました。

2)腸の健康

高脂肪食(HF)を与えたラットでは、腸(回腸)の絨毛の高さが約15%低くなりましたが、ブルーベリーを加えると回復しました。

ムチン2(腸の粘膜を保護する物質)の遺伝子発現は、ブルーベリーを食べたラットで高脂肪食だけのラットより約150%高くなりました。

3)炎症の軽減

高脂肪食を与えたラットでは、内臓脂肪で炎症に関わる物質(TNFαやIL1β)の遺伝子発現が300~500%増加しましたが、ブルーベリーを食べたラットではこれが正常レベルに戻りました。

4)インスリン感受性の改善

高脂肪食のラットでは、肝臓でのインスリン感受性が低下していましたが、ブルーベリーを食べたラットでは改善しました。

■結論

高脂肪食を食べたラットにブルーベリーを与えると、腸内細菌のバランスが改善し、腸の健康が守られ、全身の炎症が減り、インスリン抵抗性が改善されました。

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最近の腸内細菌(腸内細菌叢)のニュースをまとめてみました!




最近は腸内細菌(腸内細菌叢)に関するニュースに注目が集まっています。

そこで、今回は腸内細菌に関するニュースをまとめてみたいと思います。

今一番の注目のニュースはコレ!

日本人の大腸がん患者の5割に腸内細菌のコリバクチン毒素が関与か/若年者の大腸がん発症増との関連も

日本人の大腸がん患者の5割に、一部の腸内細菌から分泌されるコリバクチン毒素による変異パターンが存在することであり、コリバクチン毒素による変異パターンは、高齢者症例(70歳以上)と比べて若年者症例(50歳未満、大腸がん全体の約10%を占める)に3倍多い傾向がみられ、日本をはじめ世界的に問題視されている若年者大腸がんの重要な発症要因である可能性が示唆されました。

→ 大腸がんの症状(初期症状)チェック はこちら

砂糖の摂りすぎで腸内細菌叢が変化し脂質代謝異常(脂肪肝や高脂血症)やメタボリックシンドロームが起きている!?

砂糖(ショ糖、スクロース)のとりすぎによって起こるメタボリックシンドロームへつながる脂質代謝異常(脂肪肝)、高中性脂肪血症が腸内環境の変化によるものであることがわかりました。

今回の研究によれば、砂糖の摂りすぎにより大腸の腸内細菌叢が変化していること、腸内細菌叢の変化が脂肪肝や高中性脂肪血症の原因であることを突き止めました。

あなたの腸内は肉派?野菜派?どんな食べ物を食べているかで腸内細菌叢が変わる!その影響は健康や環境にも関わってくる!

学術誌「Nature Microbiology」で発表された研究によれば、食べ物によって腸内細菌叢(ちょうないさいきんそう;マイクロバイオーム)が変わり、そしてそれが健康に直結していることがわかります。

腸内細菌叢は、腸に住む何兆もの微生物のコミュニティで、消化や免疫、心臓代謝の健康に深く関わっており、食べ物の種類によって細菌の種類や働きが大きく左右するため、食習慣が健康や病気リスクにどうつながるかを理解する鍵になります。

大事なことはあなたが選択する食べ物によって腸内細菌が変わるということであり、健康になれるかどうかも決まるということ。

日本人の食物繊維摂取量が少なくなっている!その理由とは?

日本人は食物繊維が不足していて、WHOの摂取基準は「1日25g以上」に対して、日本人の若者は13gほどしか摂っていないことや「フレイル」の高齢者は圧倒的に食物繊維の摂取量が少ないことなどが紹介されています。

血液透析患者においてグラノーラの摂取による血圧の低下や腸内環境の改善を確認/カルビーと順天堂大学の研究

カルビーと順天堂大学の共同研究によれば、血液透析患者においてグラノーラの摂取による血圧の低下や腸内環境の改善を確認したそうです。

血液透析を受けている患者さんは、腎臓の機能が低下していて塩分や果物・野菜の摂取を厳しく制限する必要があるため、食物繊維が不足して腸内環境が悪化し、便秘症状を抱えていて、腸内環境の悪化は高血圧にも関与していることがわかっていることから、塩分が少なくなおかつ食物繊維が多い食品を摂るのが良いのではないかと考えられます。

オレンジなど柑橘類を1日1個食べるとうつ病リスクが20%低下する可能性/ハーバード大学

ハーバード大学の研究によれば、オレンジを1日1個食べると、うつ病のリスクが20パーセント低下する可能性があるそうです。

これは、柑橘類が人間の腸内に生息する細菌の一種であるフェカリバクテリウム・プラウスニッツィイ(F.プラウスニッツィイ)の増殖を刺激し、神経伝達物質である幸せホルモン(セロトニンとドーパミン)を作りやすくしてくれて、それが脳に届き気分を良くしてくれるそうです。

■まとめ

最近の研究では、食べ物によって腸内細菌叢が変化し、健康(体も心も)に影響を与えることがわかってきていています。

あるものを摂りすぎると病気になり易かったり、あるものを食べるとうつ病リスクが低下したりと腸内細菌(腸内細菌叢)を意識することが大事なんですね。

メタボリックドミノを予防するカギは「腸と腎臓」!腸の炎症と慢性腎臓病を避けるにはどんな食事をするといいの?肥満になっても腸管で炎症が起こらないと糖尿病になりにくい!?|慶大で紹介した慶應義塾大学医学部内科学教室の川野義長助教、中江淳特任准教授、伊藤裕教授らが行なったマウスの実験によれば、高脂肪食の過剰摂取による大腸の慢性炎症がインスリン抵抗性を引き起こし、糖尿病の発症につながるという新たな糖尿病発症メカニズムを解明しました。

この研究のポイントは、「肥満になっても、腸管で炎症が起こらないと糖尿病になりにくい」ことを示すものです。

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肥満になったからと言って必ず糖尿病になるわけでではなく、腸管で炎症が起こらないと糖尿病にはなりにくい、つまり腸管での炎症がポイントになるんですね。

また、腸の炎症を抑制するとメタボの症状が引き起こされないこともわかったことにより、メタボリックドミノは腸の炎症から始まるということもわかりました。

そして、腸の炎症が起こりやすくなる食べ方も分かったそうです。

 脂肪と糖分を同時に摂取すると、腸の炎症が起こりやすくなることがわかりました。糖分の過剰摂取は腸内細菌の働きを抑制し、腸内の免疫細胞が持つ防御力を弱めます。その後、腸管の表面を覆う細胞によって作られる防御壁が壊れ、そこから脂肪が体内に入りやすくなるのです。体内に脂肪が入り込むと、炎症を引き起こす化学物質「炎症性サイトカイン」が大量に分泌され、腸炎を起点としたメタボリックドミノの最初の駒が倒れはじめます。脂肪と糖分は過剰に摂取すると体に悪いのはもちろん、一気にメタボリックドミノを進めてしまうのです。

糖分の過剰摂取
→腸内細菌の働きの抑制・腸内の免疫細胞の防御力が弱まる
→腸管の表面を覆う細胞によってつくられる防御壁が壊れる
→脂肪が体内に入りやすくなる
→炎症性サイトカインが大量に分泌
→腸の炎症
→メタボリックドミノの進行

つまり、腸の炎症を起こさないような食事としては脂肪と糖分を同時に摂取しないようにすることが大事ということなんですね。

また、「腸腎連関」|腸内細菌叢のバランスをコントロールすることが慢性腎臓病の悪化を抑制するカギにで紹介した東北大学大学院医学系研究科の阿部高明教授と三島英換医学部助教、慶應義塾大学先端生命科学研究所の福田真嗣特任准教授らのグループによる研究よれば、腸管は腎臓と相互に影響を及ぼしているという「腸腎連関」の存在が近年明らかになりつつあること、そして、腸内細菌叢が腎臓病に対して良い面と悪い面の二面性を有しており、腸内細菌叢のバランスをコントロールすることが慢性腎臓病の進展予防に重要であると考えられると紹介しました。

腸内細菌叢のバランスをコントロールすることが間接的に病気の予防になるということもわかってきています。

このように考えると、もっと腸内細菌を改善する生活習慣を意識することが大事になるので、しっかりと実践していきましょう!







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「おならが臭い」「おならの回数が多い」は腸内環境が悪いサインなの?おならのにおいを良くして、回数を減らす食事とは?




犬のオナラの臭さ&頻度のランキング発表 カワイイ人気の犬種が一番くさいなんて!(2025年6月25日、よろずーニュース)では英ペットフード会社のバーンズ・ペット・ニュートリション社のローラ・クロッチ=ハーヴェイ氏は「高脂肪の食べ物、チーズやポテトチップスといった人間のおやつ、質の悪いドッグフードは全て腸内環境を悪化させます」とコメントしていますが、これが人間の腸内環境の改善にとっても重要なことなのではないでしょうか?

そこで、そもそも腸内環境の悪化がおならの臭いを強くするのかについて、科学的根拠に基づく論文や研究を調べてみたいと思います。

■腸内フローラとガスの生成

腸内細菌叢(腸内フローラ)のバランスが崩れると、硫黄を含む化合物(例:硫化水素、メチルメルカプタン)を生成する悪玉菌(例:硫酸還元菌)が優勢になることがあります。
これらの化合物は強烈な悪臭の原因となり、おならの臭いを強くします。

Suarez et al. (1998) の研究(American Journal of Physiology)では、硫化水素やメチルメルカプタンなどの揮発性硫黄化合物が、腸内細菌の代謝活動によって生成され、臭いの主な原因となることが示されています。

Magee et al. (2000) の研究(Gut)では、食事や腸内細菌叢の組成がガス生成量と臭いに影響を与えると報告されています。特に、タンパク質や硫黄を含む食品(例:ブロッコリー、肉類)の過剰摂取が悪臭を増加させる可能性が指摘されています。

■腸内環境の改善と臭いの軽減

無糖ヨーグルト
無糖ヨーグルト

腸内環境が改善すると、善玉菌(例:ビフィズス菌、乳酸菌)が優勢になり、硫黄化合物の生成が抑えられるため、おならの臭いが軽減する傾向があります。

また、プロバイオティクスやプレバイオティクスの摂取が腸内フローラを改善し、ガスの質や量を正常化するという研究も存在します:

Gibson et al. (1995) の研究(Gastroenterology)では、プレバイオティクスが腸内細菌叢を改善し、ガス生成を抑える可能性が示唆されています。

■プロバイオティクスとプレバイオティクスの違い

プロバイオティクスは、生きたまま腸に届いて善玉菌を増やし、腸内環境を改善する微生物や食品のことです。

一方、プレバイオティクスは、善玉菌のエサとなり、善玉菌の成長を助けることで、間接的に腸内環境を改善する成分のことです。

■おならのにおいと腸内細菌叢の関係について参考にした論文

1. Suarez et al. (1998)

Gas production and odor intensity in human flatus: Effects of diet and bacterial metabolism

掲載誌: American Journal of Physiology – Gastrointestinal and Liver Physiology

巻/号: Volume 274, Issue 6, June 1998, Pages G1028-G1033

DOI: 10.1152/ajpgi.1998.274.6.G1028

概要:
この研究では、食事内容と腸内細菌の代謝が、おなら(腸内ガス)の生成量と臭いに与える影響を調査しました。

特に、硫化水素(H₂S)やメチルメルカプタンなどの揮発性硫黄化合物が、腸内細菌叢の活動によって生成され、悪臭の主な原因となることが確認されました。

実験では、被験者に異なる食事(例:高タンパク食、高繊維食)を摂取させ、ガスの組成と臭いの強さを分析しました。硫黄を含む食品が悪臭を増加させる傾向が示されました。

関連ポイント: 腸内細菌叢のバランスが崩れると、硫酸還元菌などの悪玉菌が優勢になり、悪臭の原因となる化合物の生成が増えることが明らかになりました。

2. Magee et al. (2000)

Contribution of dietary protein to sulfide production in the large intestine: an in vitro and in vivo study

掲載誌: Gut

巻/号: Volume 46, Issue 5, May 2000, Pages 634-641

DOI: 10.1136/gut.46.5.634

概要:
この研究は、食事中のタンパク質が大腸での硫化物生成にどのように寄与するかを調べました。

硫黄を含むアミノ酸(例:システイン、メチオニン)が腸内細菌によって代謝され、硫化水素などの悪臭ガスを生成することが示されました。

体外(in vitro)および体内(in vivo)の実験を通じて、高タンパク食が硫黄化合物の生成を増加させ、おならの臭いを強くする可能性を報告しています。

関連ポイント: 腸内細菌叢の組成(特に硫酸還元菌の存在)が、ガスの臭いに大きく影響することが強調されています。

3. Gibson et al. (1995)

Selective stimulation of bifidobacteria in the human colon by oligofructose and inulin

掲載誌: Gastroenterology

巻/号: Volume 108, Issue 4, April 1995, Pages 975-982

DOI: 10.1016/0016-5085(95)90192-2

概要:
この研究では、プレバイオティクス(オリゴフルクトースやイヌリン)が腸内のビフィズス菌(善玉菌)を選択的に増加させ、腸内環境を改善する効果を検証しました。

※プレバイオティクスは、消化されずに大腸まで届き、腸内の有益な細菌(主にビフィズス菌や乳酸菌)の増殖を助ける成分

善玉菌の増加により、腸内発酵が最適化され、硫黄化合物の生成が抑えられる可能性が示唆されています。これにより、おならの臭いやガスの生成量が減少する傾向が観察されました。

関連ポイント: 腸内フローラの改善が、悪臭ガスの生成を抑えるメカニズムに関連していることを示しており、プロバイオティクスやプレバイオティクスが有効である可能性を裏付けています。

■おならの回数と腸内細菌叢の関係について参考にした論文

おならの回数は、腸内細菌による発酵、食事内容、消化器の健康状態、腸内細菌叢の組成などに影響されます。

1. Tomlin et al. (1991)

Investigation of normal flatus production in healthy humans

掲載誌: Gut

巻/号: Volume 32, Issue 6, June 1991, Pages 665-669

DOI: 10.1136/gut.32.6.665

概要:
この研究では、健康な人のおならの頻度とガスの組成を調査しました。1日あたりのおならの平均回数は約10~20回と報告されており、食事内容(特に発酵性炭水化物、例:豆類や食物繊維)や腸内細菌の活動が頻度に影響を与えることが示されました。

腸内細菌による発酵が活発な場合(例:乳糖不耐症や高繊維食)、ガス生成量が増加し、おならの回数が増える傾向が確認されました。

関連ポイント: 腸内細菌叢の組成がガス生成量に影響し、善玉菌(ビフィズス菌など)が優勢な場合、発酵が効率的になり、過剰なガス生成が抑えられる可能性が示唆されています。

2. Cummings et al. (1997)

タイトル: Fermentation in the human large intestine: Evidence and implications for health

掲載誌: European Journal of Clinical Nutrition

巻/号: Volume 51, Supplement 1, January 1997, Pages S32-S37

概要:
この研究は、腸内細菌による発酵がガス生成に与える影響を包括的に調査しました。発酵性炭水化物(例:オリゴ糖、食物繊維)が腸内で分解される際、炭酸ガス、メタン、水素などのガスが生成され、おならの回数が増えることが報告されています。

腸内細菌叢のバランスが崩れると、異常発酵が起こり、ガス生成量が増加する可能性が指摘されています。逆に、プレバイオティクスやプロバイオティクスによる腸内環境の改善が、ガスの過剰生成を抑える可能性が示唆されています。

関連ポイント: 腸内環境が良好な場合(善玉菌が優勢)、発酵が最適化され、おならの回数が正常範囲(10~20回/日)に収まることが多いとされています。

3. Furnari et al. (2012)

Functional gastrointestinal disorders and gut microbiota

掲載誌: World Journal of Gastroenterology

巻/号: Volume 18, Issue 34, September 2012, Pages 4653-4660

DOI: 10.3748/wjg.v18.i34.4653

概要:
この論文では、機能性胃腸障害(例:過敏性腸症候群、IBS)と腸内細菌叢の関係を調査しました。IBS患者では、腸内細菌叢の乱れ(ディスバイオシス)がガス生成量の増加やおならの頻度の増加と関連していることが報告されています。

特に、悪玉菌の増加や善玉菌の減少が、過剰なガス生成や腹部膨満感を引き起こし、おならの回数を増やす要因となることが示されました。

関連ポイント: 腸内環境の改善(例:プロバイオティクスの摂取)が、ガス生成量とおならの頻度を減少させる可能性があると結論付けています。

Gibson et al. (1995)(Gastroenterology): プレバイオティクスによる善玉菌の増加がガス生成を抑え、腸内環境を正常化することで、おならの頻度や量を適切な範囲に保つ可能性を示しています。

Suarez et al. (1998)(American Journal of Physiology): 食事内容や腸内細菌の代謝活動がガス生成量に影響し、頻度にも関連することが報告されています。

■まとめ

1)おならの臭いと腸内細菌叢

腸内細菌叢(腸内フローラ)のバランスが崩れると、硫黄を含む化合物(例:硫化水素、メチルメルカプタン)を生成する悪玉菌(例:硫酸還元菌)が優勢になることがあり、硫黄化合物は強烈な悪臭の原因となり、おならの臭いを強くします。

  • 腸内細菌叢の乱れ(ディスバイオシス)により、硫酸還元菌などの悪玉菌が優勢になると、硫黄を含む化合物(硫化水素、メチルメルカプタンなど)が生成され、強烈な悪臭のおならの原因となる(Suarez et al., 1998; Magee et al., 2000)。
  • 食事中の硫黄含有アミノ酸(例:システイン、メチオニン)や硫黄を含む食品(例:ブロッコリー、肉類)が悪玉菌によって代謝され、臭いを増加させる。
  • 善玉菌(ビフィズス菌、乳酸菌など)が優勢な場合、硫黄化合物の生成が抑えられ、臭いが軽減する(Gibson et al., 1995)。
  • プロバイオティクスやプレバイオティクス(例:オリゴフルクトース、イヌリン)の摂取が腸内フローラを改善し、悪臭を減らす可能性がある。

2)おならの回数と腸内細菌叢

  • 腸内細菌による発酵がガス(炭酸ガス、水素、メタンなど)を生成し、おならの回数に影響する。健康な人のおならの頻度は1日約10~20回が平均(Tomlin et al., 1991)。
  • 発酵性炭水化物(例:食物繊維、豆類、オリゴ糖)の摂取や腸内細菌の異常発酵(ディスバイオシス)がガス生成量を増やし、頻度を増加させる(Cummings et al., 1997)。
  • 過敏性腸症候群(IBS)など、腸内細菌叢の乱れが関与する疾患では、ガス生成が増加し、おならの回数が増える(Furnari et al., 2012)。
  • 善玉菌が優勢な腸内環境では、発酵が効率的でガス生成が過剰になりにくく、頻度が正常範囲に収まる(Gibson et al., 1995)。

3)腸内環境の改善による効果

  • プロバイオティクスやプレバイオティクスによる腸内フローラの改善は、硫黄化合物の生成を抑え(臭いの軽減)、ガス生成量を最適化(頻度の正常化)する(Gibson et al., 1995; Furnari et al., 2012)。
  • バランスの取れた食事(過剰なタンパク質や発酵性炭水化物を避ける)も、臭いと頻度の改善に寄与する(Suarez et al., 1998; Magee et al., 2000)。
  • 腸内細菌叢の乱れは、IBSや腸内感染症などでガス生成や臭いを悪化させるが、腸内環境の改善によりこれらが軽減する可能性がある(Furnari et al., 2012)。

腸内環境が改善すると、善玉菌(例:ビフィズス菌、乳酸菌)が優勢になり、硫黄化合物の生成が抑えられるため、おならの臭いが軽減する傾向があります。

例えば、【カズレーザーと学ぶ。】梅ジュースを摂取すると赤ちゃんのような匂い(皮膚ガス)が出る!によれば、梅摂取により半数が体臭寄与成分(Octanalと2-Ethyl-1-hexanol )の減少が見られ、また2/3の人に梅摂取によるインドールの減少が見られたことから、梅の摂取は体臭・便臭に対して改善効果を示すことが期待できるそうです。

つまり、どのような食べ物を選択するかによって、おならのにおいが変わってくるということですね。

ただ、おならの臭いは、腸内細菌叢だけでなく、食事内容(例:硫黄を含む食品、発酵性炭水化物)、消化器疾患(例:過敏性腸症候群、腸内感染症)、個人の代謝など複数の要因に影響されること、臭いの強さを定量的に評価するのは難しいため、間接的な指標(硫黄化合物の濃度など)で議論されることには注意が必要です。

おならのにおいと回数は健康のバロメーターといわれますが、より具体的に言えば、腸内細菌叢のサインの一つと考えるといいのではないでしょうか?

例えば、おならの回数が正常範囲(10~20回/日)だと善玉菌が優勢な場合、発酵が効率的になり、過剰なガス生成が抑えられており、おならの回数が多いと腸内細菌叢が乱れているという風にです。

最近は腸内細菌叢と食べ物の関係に関する研究を良く調べているのですが、ちゃんと食べ物によって、腸内細菌叢は変化することがわかっています。

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将来的には「おなら外来」ができて、おならの回数、臭い、成分などによって腸内細菌叢から出るサインを見つけて、病気を予防するなんてことが起こりそうな予感です。







ブルーベリーを食べると、体重や血糖値の管理(糖尿病予防)に役立つだけでなく、腸内環境を整えることで健康をサポートすることが判明!




ブルーベリーを週2-3回食べている人は糖尿病にかかる割合が低くなる!【あさイチ】が話題でしたので、ブルーベリーがどう糖尿病リスクを下げることに役立っているのかについて調べたところ、興味深い論文がありました。

→ ブルーベリーの健康効果 について詳しくはこちら

■ブルーベリーの成分が肥満と代謝を改善する仕組み

ブルーベリーには「ポリフェノール」が含まれており、これが肥満や関連する代謝の病気(例えば糖尿病など)を防ぐのに役立つ可能性があることが知られています。

しかし、どの種類のポリフェノールが効果的なのか、また腸内細菌(腸内細菌叢)がどのように関わっているのかはよく分かっていませんでした。

今回の研究では、ブルーベリーに含まれる2つの主要なポリフェノール、「プロアントシアニジン(PAC)」と「アントシアニン(ANT)」が、肥満やインスリン抵抗性(血糖値を下げるインスリンが効きにくくなる状態)にどう影響するかを調べました。

さらに、腸内細菌の役割を明らかにするために、「糞便細菌叢移植(FMT)」という方法も使っています。

■実験結果

体重の変化:

プロアントシアニジン(PAC)を摂取したマウスは、高脂肪・高ショ糖食(HFHS)のマウスよりも体重が少なく、痩せていました。

エネルギー摂取量は同じでしたが、プロアントシアニジン(PAC)グループのマウスは身体活動量が多かったことも分かりました。

この効果は、プロアントシアニジン(PAC)グループの腸内細菌を移植された無菌マウスでも見られました。

インスリンの改善:

プロアントシアニジン(PAC)とアントシアニン(ANT)を摂取したマウスは、ブドウ糖負荷試験でインスリンの反応が改善していました。

つまり、血糖値を下げる能力が向上していたのです。

この効果も、腸内細菌を移植された無菌マウスで再現されました。

■結論

この研究から、ブルーベリーに含まれるプロアントシアニジン(PAC)とアントシアニン(ANT)に3つのことがわかりました。

1)食事による体重増加を抑える。

2)インスリン感受性を改善し、血糖値のコントロールを助ける。

3)これらの効果は、腸内細菌叢の調整によるものと考えられる。

つまり、ブルーベリーの成分であるプロアントシアニジン(PAC)とアントシアニン(ANT)は、肥満や代謝の問題を改善する可能性があり、その仕組みには腸内細菌が重要な役割を果たしていると考えられます。

ブルーベリーを食べると、体重や血糖値の管理に役立つだけでなく、腸内環境を整えることで健康をサポートしてくれるというわけなんですね!

ブルーベリーを食べましょう!

【参考リンク】

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