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単独では障害耐性の高いネットワークが相互接続すると脆弱になり、壊滅的な障害を起こしやすくなる!?

Barcelona, Spain

by NASA Goddard Space Flight Center(画像:Creative Commons)




■単独では障害耐性の高いネットワークが相互接続すると脆弱になり、壊滅的な障害を起こしやすくなる!?

「接続されたネットワーク」は脆弱:壊滅が急激に連鎖

(2010/4/19、WIRED)

ネットワークを相互接続したことで、カスケード(連鎖)効果が生まれやすくなり、障害が両方のネットワークを往復するように次々と発生していくことが明らかになった。

第1のネットワークで、あるノードがダメージを受けると、それが第2のネットワークのノードをダウンさせ、それが第1ネットワークのノードをクラッシュさせ、それが第2ネットワークのノードをさらに……という具合だ。

ボストン大学の研究者(Eugene StanleyやGerald Paulら)がNatureに発表した論文によれば、単独では障害耐性の高いネットワーク(広域的に分布したネットワークは、ランダムな攻撃への耐性が高い)が、互いに接続しあうと脆弱になり、壊滅的な障害を起こしやすくなることがわかったそうです。

【参考リンク】

送電網、水道、コンピューター・ネットワーク、道路、病院、金融システムなど、現代社会ではあらゆるものが互いに接続しあっているが、そのことは、かえってこれらを脆弱にしている可能性がある。

これからの世界は様々なネットワークが相互接続することが増えていくと考えられます。

2003年にイタリアで起こった停電の場合、送電網はコンピューター・ネットワークに接続され、それによって制御されていた。停電時のデータを、研究に用いたモデルの数学的データと照合したところ、パターンが一致した。

【2018年予測】エネルギー業界は #ブロックチェーン と #5G と #IOT によって劇的に変わる!?|「スマートホーム」「スマートエネルギー」「スマートグリッド」によれば、IoT(モノのインターネット化)時代になり、スマートホームが注目されていますが、家庭内でも様々なセンサー、例えば室内の温度を管理する温度センサーや暖房管理、ホームセキュリティーとしての窓自動開閉制御や侵入警報、その他家電製品がインターネットにつながり、いつでもどこでも家に関する情報を管理することができる時代になってきています。

それまで個々のネットワークで制御されていたものを相互に接続することによって管理する時代は到来しています。

このネットワークの考え方を大きくしていけば、送電網、水道、インターネット、道路、金融システムなどのインフラ同士を相互接続していくと考えていくのは自然です。

しかし、相互接続したことにより、一つのネットワークのノードでダメージが起こると、別のネットワークのノードをダウンさせ、両方のネットワークを往復するように障害が発生し、しかもそれが徐々に壊れていくのではなく、壊滅的な打撃が突然起こるそうです。

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アルバート、チョン、バラバシが実験から算出した結果によればノードのわずか18%破壊されただけでインターネットは瓦解すると言う。p245

ネットワークはつながっていれば、一つが壊れたとしてもそれほど影響がないと思いがちですが、重要なノード、つまり多くの接続を持つノードは数が少ないため、その重要なノードが破壊されてしまうとネットワーク全体が壊れてしまう可能性があるといえるのではないでしょうか。

ドレスデン工科大学のディルク・ヘルビングのチームはこのような場合の最善の策は接続数の最も多いノードから故障耐性を強化していくことだと提案した。これが理にかなっているのは直感的にわかるしそもそも誰にでも思いつくことだろう。だがそれはネットワークの構成を正しく認識してからの話だ。まずは扱うネットワークのパターンを理解しなければならない。p247

そう考えると、攻撃に強いネットワークにするためには、接続数の最も多いノードの故障耐性を強化していけばいいんじゃないかとは誰しもが考えるところですが、そのためにはネットワーク全体を把握する必要があるのだと思います。

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自然にまたは人為的に起こるカスケードを理解するにはネットワークの形を知る事が不可欠だ
ネットワークのハブつまり中心人物や交際人数が最も多い人をターゲットに探ってみる事

このように考えると、ネットワークを相互接続したことにより、ネットワークのパターンに変化が起きてしまったために、脆弱性が現れるということもあり得るのかもしれませんね。

『つながりすぎた世界 インターネットが広げる「思考感染」にどう立ち向かうか』(著:ウィリアム・H・ダビドウ)によれば、インターネットが推し進める環境では、物事は超高速で進展するため、問題はもっと早くに積み上がり、頻度も高くなるそうです。

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インターネットが物理的な結びつきをより強固で効率的なものにしている。

この21世紀の情報化社会の神経網は、情報を事実上ただで効率良く運び、かつて独立していたシステム同士を結びつけては相関関係を強めていく。

その結果、社会に存在する正のフィードバックは大幅に増幅される。事故が起きやすく、激しやすく、感染に対して脆弱な社会は、こうして生み出されるのである。

#CES2018 で起きた大停電が電力・エネルギーの重要性を伝えてくれた!|暗くなったことで反対に見えてきたものとは?では、ラスベガスで開催されている家電見本市「CES 2018」の会場で停電したことが話題になりました。

停電になり真っ暗になってしまったことで、どんなに新しいテクノロジーを活用したプロダクトやサービスであっても、停電になると役に立たなくなってしまうという現実が見えてきました。

停電の原因についてまでは書かれていなかったのですが、それが単なる「ブレーカー容量を超える電流が一度に流れる」とか「電気配線・設備の不良による漏電」などではなく、ネットワークが相互接続したことによって起こったのだとしたら・・・







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