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複数の薬剤をコントロールして放出できるスマート包帯を開発|ネブラスカ大学リンカーン校、ハーバード大学医学部、MIT【論文・エビデンス】




■複数の薬剤をコントロールして放出できるスマート包帯を開発|ネブラスカ大学リンカーン校、ハーバード大学医学部、MIT

複数の薬剤をコントロールして放出できるスマート包帯を開発|ネブラスカ大学リンカーン校、ハーバード大学医学部、MIT
複数の薬剤をコントロールして放出できるスマート包帯を開発|ネブラスカ大学リンカーン校、ハーバード大学医学部、MIT

参考画像:Smart Bandage|YouTubeスクリーンショット

ネブラスカ大学リンカーン校のプレスリリースによれば、ネブラスカ大学リンカーン校、ハーバード大学医学部、MITの研究者らは、感染を防止するための抗生物質や組織再生増殖因子、鎮痛剤などの複数の薬剤を収容し、放出できるスマート包帯を設計しました。

Smart Bandage

「薬の飲み忘れ」を根本から解決!複数の薬を異なる速度で自在に放出できるゲルの開発に成功|東京農工大学で取り上げた「複数の薬を異なる速度で自在に放出できる」というアイデアに導電性繊維を加えた、面白い包帯ですよね。

また、この包帯にはグルコースやpHといった他の健康関連指標を測定することができる糸ベースのセンサーを組み込むことで、自律的に治療を行う包帯を目指しているそうです。

【肌の上のラボ】汗を分析するデバイスで病気診断|ノースウエスタン大学では、Glucose(ブドウ糖)、pH(酸性・アルカリ性の度合い)、Lactate(乳酸)、Chloride(塩化物イオン)を分析し、水を飲むタイミングや電解質を補給するタイミングを知らせることができるデバイスの開発というニュースを紹介しましたが、この機能を包帯に組み込もうとしているようですね。




■まとめ

最近では、ファッションアイテムにセンサーを織り込む技術が開発されています。

●ソックスの生地に温度センサーを織り込む

siren care
siren care

参考画像:[500 STARTUPS DEMO DAY 2016] BATCH 18, Siren Care|スクリーンショット

SIREN CARE|糖尿病患者の足の炎症や傷害を温度センサーでリアルタイムに見つけるスマートソックスでは、温度センサーをソックスに織り込み、糖尿病患者が炎症や傷害をリアルタイムで検出するスマートソックス(靴下)を紹介しました。

●Project Jacquard|伝導性繊維をあらゆるファッションアイテムに織り込むプロジェクト

Project Jacquard: Making the Jacket

グーグル・Project Jacquardの「衣服ハック」

(2016/1/13、wired)

プーピレフのアイデアの正式名称は「Project Jacquard」(プロジェクト・ジャカード。その名称は伝統的な機械織りの技法にちなんでいる)。その目標は、伝導性繊維を地球上のすべての衣類と布に織り込んで、タッチセンサーや触覚フィードバックなどの機能を、ジーンズからクルマのシート、カーテンに至るまで、あらゆるものに搭載することだ。

「センサーを素材として生地に織り込むことができれば」とプーピレフは言う。「それはエレクトロニクスからの解放を意味する。身の回りにあるベーシックな素材をインタラクティヴにできるのだ」

グーグルの先進技術プロジェクト部門、ATAP(Advanced Technology and Projects)が取り組んでいるのが「Project Jacquard」という伝導性繊維をあらゆるファッションアイテムに搭載できるような技術の開発です。

伝導性繊維をあらゆるファッションアイテムに搭載できるようになるとどうなるでしょうか?

プーピレフはそれが意味することを想像し始める。着替えていることを電話が認識し、蝶ネクタイを結ぶと同時にUberでクルマを呼んでくれたらどうだろう? ランニングシューズを履くと同時に、自動的に運動記録が開始するとしたら? あるいは服の袖を一度軽くスワイプしただけで通話ができ、相手の声も聞こえるとしたら?

いま私たちが使っているスマホやウェアラブルデバイスの操作を服に触れるだけでできるようになるのです。

しかし、伝導性繊維を開発しても問題になるのは、現実の製造工程に組み込めるのかどうかです。

製造の現場に飛び込んだイヴァン・プーピレフはその製造工程の過酷さ(伝導性繊維にとっての)を目の当たりにします。

「飛び出た余分な糸の繊維を除去するために、直火にかけるなどというプロセスすらあった」と彼は言い、その荒々しさに首を振る。「そんなことが行われているとは知らなかったが、それはほんの一例に過ぎない。伸ばして水に漬け、ホットプレスにかけ圧縮する。布の種類によっては金属の爪で引き裂くことすらある。電子部品(を組み込む)とすれば、致命的だ」

製造工程では火にかけたり、水につけたり、圧縮したりするなど電子部品を組み込んだ電導性素材にとっては様々な課題が見つかりましたが、編み込みの技術や製造工程に取り入れる方法について解決していったそうです。

プーピレフは、服の袖を全面液晶ディスプレー化するという自分の夢を笑いつつ、それを本当に実現するのに関心をもつ誰かと協力することの重要性を熱っぽく語った。

脈拍数や血液中の酸素濃度などを表示し、肌に貼れる有機ELディスプレイを開発|東大で紹介した東京大学の染谷隆夫教授らの研究グループは、センサーで検知した脈拍数や血液中の酸素濃度を表示できる、肌にフィットして貼っていることに気付かないほど違和感なく装着できる有機ELディスプレイを開発したそうですので、服の袖を全面液晶ディスプレイ化するのもそう遠くない未来かもしれません。

●電導性のあるインクを使って生地を電子回路化

独自に開発した電導性のあるインクを使い、生地をワイヤレスな電子回路化するブランド「Loomia」

(2016/10/26、DiFa)

生地に特殊なインクでプリントされた電子回路は、もとのサイズから約2倍も引き伸ばすことが可能。柔軟性と伸縮性をもったスマートファブリックは、テクノロジーを使ったファッションデザインの可能性を大きく広げることになりそうです。

Loomia(ルーミア)」は、電子回路を布地に織り込むのではなく、電導性のあるインクを使って生地を電子回路化しています。

電子回路を布地に織り込む技術なのか、インクを使って布地を電子回路化するのか、それとも全く違った発想のものが出てくるのか、楽しみですね。

ファッション×テクノロジーは面白い研究が多く、着用するだけで心拍・心電位などの生体情報を取得できる機能素材があったり、バイオロジーを活用したトレーニングスーツ・ランニングシューズなどの研究が進んでいます。

●着用するだけで心拍・心電位などの生体情報を取得できる機能素材がある

着るだけで心拍数を測れる新素材 NTT・東レが開発によれば、NTTと東レは、心電計や脈拍計の電極の代わりに使える衣料用の新素材を共同開発していますし、心拍・心電位などの生体情報を取得できる機能素材「HITOE」を使ったウェア「C3FIT IN-PULSE」を活用して不整脈の臨床研究|東大病院・ドコモによれば、潜在的な不整脈検知が有効であるかを検証することを目的として、着用するだけで心拍・心電位などの生体情報を取得できる機能素材「hitoe」を活用したウェア「C3fit IN-pulse(シースリーフィットインパルス)」を活用し、長時間にわたる心拍と心電位計測を行う研究も行なうそうです。

【関連記事】

今回のスマート包帯のように、傷口を守りながら、皮膚の状態をモニタリングして、自律的にセンサーが判断して、複数の薬剤をベストなタイミングで放出できるようになれば、治療の効果が飛躍的に高まることが期待されます。







【参考リンク】
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脱水症状や血糖値が上昇したときに色を変えることによって健康状態をモニタリングできるスマートタトゥーインク開発|ハーバード大学・MIT

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■脱水症状や血糖値が上昇したときに色を変えることによって健康状態をモニタリングできるスマートタトゥーインク開発|ハーバード大学・MIT

脱水症状や血糖値が上昇したときに色を変えることによって健康状態をモニタリングできるスマートタトゥーインク開発|ハーバード大学・MIT
脱水症状や血糖値が上昇したときに色を変えることによって健康状態をモニタリングできるスマートタトゥーインク開発|ハーバード大学・MIT

参考画像:Tattoos as medical condition monitors|YouTubeスクリーンショット

MIT(マサチューセッツ工科大学)のメディアラボでKatia Vegaが率いるハーバード大学医学部の研究者が行なった研究によれば、ハーバード大学で開発された生体感受性インクとタトゥーの技術を組み合わせて、脱水症状が起きた時や、血糖値が上昇したときに、色を変えることによって健康状態をモニタリングできるスマートタトゥーインクを開発しました。

Tattoos as medical condition monitors

健康状態をモニタリングできるウェアラブルデバイスはありますが、欠点として体とシームレスに結合することは難しいことやバッテリー切れの心配があります。

今回開発したインクでは、電源やワイヤレス通信機能が不要であるため、そうした欠点をカバーできます。




■まとめ

健康管理をするためのモニタリングできるウェアラブルデバイスに対して関心が高まっています。

ただし、このウェアラブルデバイスに対して3つの課題があると考えられています。

1.ウェアラブルデバイスは皮膚に常に貼り付けておかないとモニタリングできないが、貼り付けている部分の安全性に問題はないか?

2.バッテリー切れの心配やワイヤレス機器との接続が必要であること

3.健康管理にどう活かせばよいかわからないこと(例:数字で表示されてもどういう意味かわからない)

皮膚貼り付け型ナノメッシュセンサーの開発に成功|1週間貼り続けても炎症反応がない|東大・JST・慶大・理研によれば、心電図や脈拍などの生体データを計測して健康管理に活かすためのウェアラブルデバイスに関心が高まっており、さらに次世代型として薄膜フィルムやゴムシートを用いて皮膚に密着することにより高精度な生体データを計測するための血中酸素濃度計やタッチセンサーアレイ(人の指などが接触する位置情報をセンシングできるデバイス)の開発が進められています。

しかし、医療やスポーツで利用する場合には一週間以上の長期測定が必要であり、フィルムやゴムシート型のデバイスの場合、汗の分泌を阻害するため安全性についての問題がありました。

そこで、東京大学大学院工学系研究科、科学技術振興機構、慶應義塾大学医学部、理化学研究所統合生命医科学研究センター、同研究所染谷薄膜素子研究室、同研究所創発物性科学研究センターの共同研究によれば、1週間皮膚に貼り続けても炎症反応がなく、装着していることを感じないほど超軽量で極薄のナノメッシュ電極の開発に成功したそうです。

また、以前紹介した【肌の上のラボ】汗を分析するデバイスで病気診断|ノースウエスタン大学で紹介したノースウエスタン大学の研究チームが開発した、皮膚に簡単に貼りつけることができる、身体が運動にどのように反応しているかを着用者の汗を測定するマイクロ流体デバイスも今回紹介したタトゥー技術と同じようなアイデアを持っています。

このデバイスを使えば、Glucose(ブドウ糖)、pH(酸性・アルカリ性の度合い)、Lactate(乳酸)、Chloride(塩化物イオン)を分析し、水を飲むタイミングや電解質を補給するタイミングを知らせることができます。

New sweat-monitoring device explained

この汗を分析するプラットフォームは、採血がいらず、電池を必要とせず、スマホなどと接続する必要とせず、その場で健康状態をチェックすることができるというのが大事なポイントです。

ウェアラブルデバイスの弱点ともいえる、つける人にストレスなく、バッテリー切れの心配なく、スマホなどのワイヤレス機器との接続をすることなく、健康状態をチェックできるというポイントがあります。

もう一つのポイントは、色が変わると健康状態が変化していることがわかるというわかりやすさです。

健康管理UXをいかに編集してわかりやすくできるか?|ドラクエにおけるレベルデザインを象徴するアイコン「橋」を参考にしてみよう!では、健康管理をする上で、いかにその情報(言葉、画像、テキスト、動画など)をわかりやすく、受け取りやすい形に編集して、製品やサービスを利用を通じて得られる体験であるUX(ユーザーエクスペリエンス)をよいものにするかが重要だと書きました。

「健康年齢®OCR サービス」|タブレット端末のカメラを健康診断書にかざすだけで体の状態をわかりやすく表示してくれるサービス|JMDC ・キヤノンMJでは、健康診断書にかざすだけで必要な項目を自動的に抽出しOCR解析を行って一覧にし、統計モデルに照らし合わせてわかりやすく表示する技術が開発されているそうです。

また、人間は「感覚追加」を行うことで新しい世界を見ることができるかもしれない!?|デイヴィッド・イーグルマン「人間に新たな感覚を作り出すことは可能か?」よりによれば、例えば、血糖値を計測して、数値で血糖値が〇〇と出たとしても、人によっては生活習慣を改善しようとまでは思わない人もいると考え、血糖値の高さを別の形で表現するとしたら、どうでしょうかと提案しました。

今回のアプローチはインクの色が変わることで体調変化を示すというわかりやすさがありますよね。

スマートウォッチは病気の早期発見に役立つ|正常値とベースライン値の確立が重要|スタンフォード大によれば、現在進行中の研究の重要な要素は、正常値またはベースライン値を確立することなのだそうです。

Verily(元Google X)のProject Baseline studyの目的は、病気のサインを見つけ病気の予防をすること!?で紹介したプロジェクト「Baseline Study」では、尿・血液・唾液・涙といった成分からデータを収集・解析し、健康の基準値(ベースライン)を見つけることで、生体の状態や病態を示す指標「バイオマーカー」を発見し、健康維持や病気の早期発見に役立てることを目指していました。

病気が発症してからではなく、健康な体が病気になりそうなサインを見つけるというアイデアは、東洋医学における「未病」という考え方に近いものです。

人によっては、健康診断などの検査結果で異常がないにもかかわらず、体がだるい、疲れやすい、頭痛、肩こり、めまい、眠れないなどといった体の不調に悩まされた経験もあるのではないでしょうか。

「はっきりとした症状はでていない」「数値には現れないけどなんだか体調がよくない」というときを、健康な体から病気の身体へと向かう途中だと考えるとすれば、その途中で起きる「サイン」に着目して、何らかの対処を行なうことが最も効果的な医療になっていくのではないでしょうか。

そのためにも、病気かそうではないかの「Baseline(ベースライン)」を見つける研究に注目が集まっていると考えられます。

今回のパッと見た目でわかりやすく変化するタトゥーインクのようなものが普及すれば、ベースライン値で体調管理をしていくという考え方が広まっていくかもしれません。







【参考リンク】
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