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【レビュー】「小売再生-リアル店舗はメディアになる」を読んで、”小売りの未来”を考える!




【目次】

■【レビュー】「小売再生」を読んで、”小売りの未来”を考える!

長崎島原手延べえごまそばを販売するハクライドウはお店での試食販売をおこなうポップアップストア(ポップアップショップ)を開催しています。

→ えごまそば・はちみつポップアップストアを開催しました!(生産者市場マルカズ)|9月29日

そこで、どんな風にしたら小売店舗を応援することができるのかなと考えているのですが、そのヒントを探ろうと「小売再生-リアル店舗はメディアになる」(著:ダグ・スティーブンス)を読んでみました。

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ネット通販事業者だろうと、5000店の実店舗を擁する小売チェーンだろうと、行く手には、今日の小売とは似ても似つかない未来が待ち構えている。今後、何十年か先には、店という概念も、消費者のショッピングのあり方も、小売のビジネスモデルさえもがらりと変わる。小売が根底からつくり直されようとしているのだ。

小売に携わっている人で、この文章を読んでピンとくる人と、全く何を言っているのかわからないという人とでは大きな差が生まれるんじゃないかと感じています。

もうすでにその兆しが現れています。

一つはアマゾンの動きです。

Amazon、「予測出荷」の特許を取得 ― 注文される前に商品を出荷(2014/1/20、TechCrunch)によれば、アマゾンの特許に関するニュースで、購入者が何を買うかを、実際に買う前に予測して配達時間を短縮するシステムがありました。

こんなアイデアバカげていると思う人もいるでしょうが、予測出荷しなかったとしても、Amazon Dash Buttonのようにポチっとするだけで注文が完了したりするアイデアもありますし、また、IoTを活用して重量や使う回数から判断してレコメンドするアイデアが出てきてもおかしくありません。

アマゾンは注文におけるステップを減らそう、減らそうとしていて、最終的にそのステップをゼロにした場合、商品を新しいものにスイッチングする(変える)機会がなくなってしまうわけですから、小売店舗ではモノを売ることができなくなります。

このことは、メーカーのマーケティング担当者にとっても恐ろしいニュースとなることでしょう。

つまり、アマゾンは、アマゾンさえあれば日用品の買い物が済んでしまう未来を考えているのであり、品揃えしている商品数が世界一多くて、当日配達で、商品を選ぶことさえもなくしてしまったとしたら、現在存在する従来型のほとんどの小売店舗は必要がなくなり、姿を消してしまうでしょう。

もう一つは新リテールの時代の到来の予感です。

これからはEC(Eコマース)がなくなり、全ての小売がインターネットと結合する「ニューリテール」の時代が到来するというのがアリババのジャック・マーの言葉です。

現在、リテール各社はネットからリアル店舗への進出を行ない、「オンラインとオフラインの融合(Online merge Offline)」という動きが始まっています。

なぜネットから実店舗へと動き始めているのでしょうか?

理由としては、顧客のショッピングにおけるデータを知り、その情報をフィードバックして、次に生かすこと、そして、ユーザーと交流する機会を増やすことで、信頼感を得ること、体験型マーケティングをすることでしょう。

すでに旅行の際のお土産屋さんではニューリテールの兆しが見られます。

旅行先ではお土産物を買わずに自宅に帰ってから購入するという動きが始まっているのです。

その理由としては、あるお土産屋さんで購入した土産品が別のお店でもっと安く売られているとショックを受ける、お土産物は重くてかさばるからです。

お土産物屋さんは、ニューリテールの時代を感じていないと、旅行客は試食だけを行なってしまって購入されないということが起こりうるのであり、そのためにも、自宅に帰った後、ECサイトでの購入を促す仕組みを早急に作り上げる必要があります。

■美団点評のケース

「美団点評」はフードデリバリー事業のケースですが、このケースを大きく小売りと捉えると、全ての消費データを基にして新しいサービスを作り、リリース後にアンケート調査やSNSでの反応、実際の利用データを収集しフィードバックして、サービスをブラッシュアップするということが標準になっていくことでしょう。

コロナ以降ではその傾向が顕著に表れてくるでしょう。

■中国の農村ライブコマースのケース

【関連記事】

■小売店舗はどうなっていく必要があるのか?

ショッピングのあり方が変わる時代に小売店舗はどう変化していけばいいのでしょうか?

「お客様にとって必要なものをメーカーと開発する」

これも一つの答えでしょうが、モノがあふれる時代に一つのものが消えたとしても消費者はそもそも気づかないかもしれません。

だってAmazonの陳列棚から一つの商品が消えたとしても、気づかない人がほとんどではないでしょうか。

気づくとしたら、希少価値のあるもの、もしくは昔ながらの記憶を思い起こさせるような愛着のあるもの。

小売店舗が提供するものとして考えられる答えは「体験」です。

印象に残る体験を生み出す小売業者になることです。

「小売再生」には今の小売店舗のことを

「これまでの店は商品が集まる場であり、有体に言えば、見てくれのいい倉庫のようなものだった」

と書かれています。

小売店舗側が一生懸命努力して選び抜いた商品が並べられていたとしても、その思い入れを感じされるものがなければ消費者にとっては同じモノです。

では体験といっても、どのようなものを提供すればよいのでしょうか?

2018年9月29日放送の「ズームインサタデー(ズムサタ)」でキャンプ特集が取り上げられました。

そこには、キャンプを楽しむ人たちの姿がありました。

キャンパーがどんな気持ちでそのグッズを使っているのかを見ているとキャンプをしたくなりました。

これが「体験」のヒントです。

ただキャンプ用品を並べられていても「キャンプ用品が並べられているな」としか思いませんが、キャンプを心の底から楽しんでいる姿を見ると、参加してみたいなと思わせてくれます。

そして、「小売再生」にはこのようなことが書かれています。

入場チケットを払ってでもその小売店舗に行きたいか?

小売店舗はモノを売るところではなく、体験・エンターテイメントを提供する場となっていくのです。

■まとめ

この変化は小売店舗にとどまるものではないと思います。

卸売業、広告メディア、メーカーにも大きな影響が出てくるでしょう。

今まで人気だった小売店舗が急激な変化についていけずに、納入する業者に大きな打撃を与えるでしょう。

店舗がメディアになる時代に広告代理店やメディアを運営する企業も店舗を作る必要になるでしょう。

小売店舗で得られる消費者のデータをメーカーに販売する時代になるでしょう。

つまり、この本は「小売店舗」に限らず、ショッピングに関わる全ての人が読むべき本だと思います。

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■ニューリテールの兆しとなるツイート

ショッピングにおいて、Googleで検索するよりも、Amazonや楽天といったショッピングサイトで検索したほうが早いので、ショッピング分野においてGoogleが必要なくなってしまう未来だって考えられます。

移動手段のない高齢の買い物難民が増える時代には、買い物客をお店に連れてくる仕組みを作り上げたり、お店自体が移動していくことが必要になるでしょう。

【新リテールの時代】デジタルリテールと実店舗のリテールの境界線は曖昧になる!





【目次】

■【新リテールの時代】デジタルリテールと実店舗のリテールの境界線は曖昧になる!

「今日自炊しようかな?」というときに、買い物する材料を覚えておくことをメモしたり、リマインダー機能を活用したりしていると思います。

だけど、本当に必要なのは「買い物リスト」を作りたいんじゃなくて、「買い物代行」であったりするかもしれません。

その時にもしかすると「検索としてのGoogle」は必要ではなくて、直接購入できるサイトやアプリが必要なのではないでしょうか?

買い物代行で言えば、買い物リストを送ることで代わりに買い物をしてくれるスーパーがあったり、定期的に農産物を届ける定期購入サービスがあったりしますが、中国の「盒馬鮮生(Hema:フーマ)」はモバイル決済に特化してスマホアプリで注文すると配送してくれるサービスを行なっています。

最近では、オンラインショッピングだけでなく、オンラインからオフラインへの送客やオンラインとオフラインの境目がなくなったお店がトレンドになっています。

その意味で言えば、リアル店舗を持たないGoogleはトレンドに乗り遅れているような印象を受けますが、シカゴにリアル店舗を作るという噂があるそうです。

オンラインでこれまでやってきたところはオフラインでしかできないことの重要性を感じてきているのではないでしょうか?

アリババのジャック・マーに関する記事(2017/7/21、東洋経済オンライン)では、

”今後はECは消滅しすべての小売りがインターネットと結合する「新リテール」の時代が到来する”

とありましたが、オンラインとオフラインの境目があいまいになってきた時代になってきている中、オンラインとオフラインの良いところをいかに組み合わせることができるかがよいお店として注目されていきそうですね。

→ 『世界から「重力、ゲート、繋ぎ目」はなくなる。』について考えてみた についてくわしくはこちら

大事なポイントは、オンラインショッピング(EC)の良いところを最大限活かしたリアル店舗づくりであって、すでにリアル店舗があるから大丈夫というわけではありません。

これからは、規模の大小にとらわれず、共感できる価値観やカルチャーが背景にあるプロダクトやサービスを生み出し、小さな経済圏を作り上げていく「ライジングセラー」や「オーナーズ」という呼ばれ方をしている個人や企業が注目を集めていくでしょう。

→ 「ライジングセラー」「オーナーズ」の小さな経済圏が社会を変えていく! についてくわしくはこちら

それが本当の意味での「新リテールの時代」となります!




■試食販売(ポップアップストア)を通じて感じたこと

ハクライドウ(舶来堂)では長崎島原手延えごまそばやはちみつの販売をしていただいているお店で試食販売(ちょっとカッコつけて言えば、かなりちっちゃい規模のポップアップストア)をしております。

オンラインショッピングでもうすぐ20年ほど販売しておりますが、実際に試食販売をしてみると、召し上がった経験がある人はまだまだ少ないことを実感します。

ただ、実際に召し上がっていただくと、「こんなお蕎麦食べたことない!」といっていただいて、購入していただく方がたくさんいらっしゃいます。

お客様にとって、試食販売のように、直接(リアルに)食べてみたり、触れてみたり、話してみることは、安心して購入する上でとても重要なんですね。

→ 【無印良品おすすめグッズ】試食販売をより良くするためのMUJIアイテムのお買い物|えごまそばプロジェクト







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