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デジタル認知症はウソ?テクノロジーで認知症リスク42%減!認知的予備力理論にテクノロジーが役立つ




Technology use may be associated with a lower risk for dementia, study finds(2025年4月14日、CNN)では、テクノロジーの使用が高齢者の認知機能低下リスクに与える影響について、テキサス州の2大学の研究者が行ったメタ分析(Nature Human Behavior, 2024年)は、「デジタル認知症仮説」(テクノロジー依存が認知能力を弱める)を検証し、以下の主要な発見を報告しています。

【参考リンク】

●認知機能低下リスクの低下

411,430人を対象とした57の研究を分析した結果、テクノロジー使用(コンピューター、スマホ、インターネット、メール、SNSなど)は、認知障害(軽度認知障害や認知症)のリスクを42%低下させる関連が示されました。

●テクノロジー使用が認知障害リスクを増加させるという報告は1件もない

●ソーシャルメディアの使用に関しては、認知機能への影響が一貫せず、結論が不明確

●現在の高齢者世代(研究開始時の平均年齢68歳)は、テクノロジーを使いこなすために努力が必要だった時代に育ち、脳がすでに形成されていたため、若い世代への適用可能性は不確実。

●認知的予備力理論

デジタル認知症仮説とは対照的に、テクノロジー使用が複雑な精神活動を通じて「認知的予備力」を高め、加齢に伴う脳の変化に対する耐性を強化する可能性が示唆されました。

テクノロジーは神経活動を刺激し、社会的つながりを促進することで認知症リスクを軽減する可能性があり、社会的孤立が認知症リスクを高めることが知られています。

●過度な使用(例:無意識なスクロール)は推奨されず、適度な使用が有益

【補足】

認知予備力の概念とその臨床的理解

脳の病理と実際の認知機能の水準が必ずしも一致しないことの説明として,認知予備力(cognitive reserve)という概念が近年提唱されてきた。認知予備力とは,脳の病理や加齢の影響を受けても認知機能の低下を抑える個人の潜在的な能力を意味する。認知予備力の高い人は低い人より,脳に損傷を受けても機能障害が生じにくく,また,健常加齢でみても認知機能の低下の程度が異なることが予測されてきた。

【関連記事】

フレイルは「予備力の低下」が主要因として起こりやすい!?

若かったり、健康である人は身体を守る力に予備力(健康を守る余力)があるため、無理ができるのですが、加齢や生活習慣病などの持病などによって、この予備力が低下すると、ちょっとした不調で寝込んでしまったりします。だからこそ、若いうちからこの予備力を保つようにしておくことや生活習慣病対策をすることが重要になってくるわけですが、この「予備力」の考え方は若い人にも活かせますよね。

若い時によく勉強した人はアルツハイマー型認知症になりにくい?認知機能の予備力を鍛えて認知症が予防できる?

認知症の予防につながる9つのリスク要因|中年期の聴力低下・中等教育の未修了・喫煙・うつ・運動不足・社会的孤立・高血圧・肥満・2型糖尿病

■まとめ

20代でも物忘れ!?スマホ認知症(デジタル認知症)とは|症状・原因・予防法では、デジタル認知症とは、スマホやタブレットに依存しすぎることによって、書けたはずの字が書けない、昨日食べたものを忘れる、自宅の電話番号、人の名前が思い出せないなど物忘れがひどくなる、という症状が出ることを言います。

デジタル認知症が現れる理由として、さまざまな情報は前頭前野で処理されますが、スマホのヘビーユーザーはこの前頭前野が過剰な情報のために疲弊した状態「脳疲労」を起こしてしまい、集中しにくくなったり、もの忘れの症状が現れると考えられるそうです。

しかし、今回の研究によれば、適度なテクノロジー使用が認知機能低下のリスクを軽減する可能性を強く示唆し、デジタル認知症仮説を否定しています。

ただ、具体的な使用方法や世代間での影響の違いについてはさらなる研究が必要となります。

万博、高齢者に冷たい?予約も地図もスマホ頼み(2025年4月29日、時事通信)によれば、スマホ予約ができない、紙の地図がいいというように、テクノロジーに否定的な意見も多いですが、今回の研究を参考にすると、決してテクノロジーを活用することが認知症を進めるわけではなく、高齢者がテクノロジーを学んでいくことはプラスに働く可能性があるので、テクノロジーに触れていきたいですね。

→ 認知症予防に良い食べ物・栄養 について詳しくはこちら







バナナやブロッコリーを食べる方が減塩だけよりも高血圧予防に役立つ可能性




ウォータールー大学の研究によれば、ナトリウムの摂取量を減らすよりも、食事中のカリウムとナトリウムの摂取量の比率を増やすことの方が血圧を下げるのに効果的かもしれないそうです。

高血圧は世界中で成人の30%以上に影響を与え、冠動脈疾患、脳卒中慢性腎臓病、心不全、認知症などの重大な疾患の主要な原因です。

ナトリウム(Na⁺)の過剰摂取は血圧上昇の要因として知られていますが、カリウム(K⁺)は逆に血圧を下げる効果があります。

今回の研究で分かったことははこちら。

●Na⁺の過剰摂取は血圧を上昇させるが、K⁺の摂取は腎臓でのナトリウム利尿作用(Na⁺排泄促進)とカリウム利尿作用(K⁺排泄促進)を介して血圧を低下させる。

●モデルシミュレーションによると、K⁺摂取を増やす(例:バナナ、ブロッコリー、ほうれん草、アボカドなどのK⁺豊富な食品の摂取)は、単にNa⁺摂取を減らすよりも血圧低下に効果的。

●高Na⁺摂取と高K⁺摂取を組み合わせた場合でも、K⁺の効果により血圧は大幅に低下。

●女性(特に閉経前)は、腎臓のトランスポーター(腎臓の尿細管でNa⁺やK⁺の再吸収・排泄を調節するタンパク質)の存在パターンが異なるため、高Na⁺摂取による血圧上昇が男性よりも抑制的。

●男性は高血圧のリスクが高いが、K⁺とNa⁺の摂取比率を増やすことに対してより強い血圧低下反応を示す。これは、男性の腎交感神経活動やRAAS活性(血圧と体液量を調節するホルモンシステム。Na⁺保持を促進し、血圧を上昇させる。)が女性より高いためと考えられる。

つまり、今回の研究によれば、高血圧を予防するためには、ナトリウムを制限するだけよりも、バナナやブロッコリーなどのカリウムが豊富な食品を摂取することが血圧をコントロールするのに役立つということです。

また、今回の研究は性差があることを意識した高血圧の個別化医療の研究としても重要な結果と言えます。

【参考リンク】

■まとめ

塩分(ナトリウム)の多少に関わらず、カリウムの量が少ないと高血圧になりやすい!?で紹介した韓国の翰林大学校医科大学を含む研究グループによれば、ナトリウムの多い少ないに限らず、カリウムの量が少ないと高血圧のリスクが20%高かったことがわかったそうです。

高血圧を予防・改善する食事療法「DASH(ダッシュ)食」とは?増やす食品・減らす食べ物によれば、DASH食とは、米国立保健研究所などが提唱している高血圧患者のための食事療法のことで、簡単に言えば、1 野菜・果物・低脂肪の乳製品を充分摂る、2 肉類および砂糖を減らす、という食事をすることです。

カリウム・カルシウム・マグネシウム・食物繊維には、増えすぎた塩分を効率よく体外へ排出させる効果があります。

カリウムは、血液での濾過装置である腎臓に作用すると考えられており、余分な塩分をより多く体外へ排出すると考えられています。

つまり、高血圧の予防には減塩にばかりファーカスしがちですが、塩分を体外に排出する仕組みをうまく利用すれば、より効果的に高血圧が予防できるということなんですね。

→ 高血圧の症状・食事・数値・予防・原因・対策 について詳しくはこちら







【免疫力UP】リポポリサッカライド(LPS)が多く含まれる食べ物|#世界一受けたい授業(杣 源一郎)

2016年4月2日放送の世界一受けたい授業では「リポポリサッカライド」について取り上げました。




【目次】

解説 杣 源一郎 先生

香川大学医学部統合免疫システム学寄附講座客員教授、新潟薬科大学特別招聘教授

「免疫ビタミン」のすごい力 – ガンも認知症も寄せつけない – (ワニブックスPLUS新書)

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■リポポリサッカライドとは?

リポポリサッカライド(LPS、リポ多糖)は、土壌や自然に含まれる微生物にあるものです。

マクロファージ(貪食細胞)が悪い菌や死んだ細胞を食べてくれているのですが、免疫力が低い人はマクロファージがあまり活動していません。

リポポリサッカライド(LPS)はこのマクロファージを活性化させてくれるのです。

リポポリサッカライドを取り入れると、マクロファージを活性化させることで、免疫力がアップし、風邪やインフルエンザの予防、肌荒れ改善、花粉症がん糖尿病認知症骨粗しょう症の予防ができると期待されるそうです。

■リポポリサッカライドが少ない人=免疫力が低い人の特徴とは?

リポポリサッカライドは、土壌や自然に含まれる微生物にあるため、キレイ好きでよく掃除をしたり、殺菌をする人は免疫力を下げてしまう可能性があるそうです。

■リポポリサッカライドの推奨摂取量

一日500μg(マイクログラム)

一日500μgのLPSを摂取する食事の例

  • 玄米 150g
  • めかぶ 50g
  • 岩のりの佃煮 5g
  • ヨーグルト 180g




■リポポリサッカライドを含む食材ベスト5

第一位 玄米(玄米の周りのヌカにLPSが含まれている)

par cooked brown rice

by jules(画像:Creative Commons)

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第二位 めかぶ

第三位 れんこん

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第四位 ヒラタケ

第五位 岩のり

■リポポリサッカライドの多い食品と一緒に食べると良い食べ物とは?

リポポリサッカライドの多い食品と一緒に食べると良い食べ物とは、「ヨーグルト」。

ヨーグルトに含まれる乳酸菌とリポポリサッカライドを同時に摂取すると、相乗効果が生まれるそうです。

■LPSは加熱してもよい

LPS(リポポリサッカライド)は加熱しても物質は残りますので、安心して調理してよいそうです。

■「そば」にもリポポリサッカライドが含まれる

Soba 蕎麦

by happynick(画像:Creative Commons)

今回新しくリポポリサッカライドが含まれる食材として紹介したのは「そば」。

リポポリサッカライドは皮の部分に含まれているので、お米であれば玄米、そばであれば十割そばがオススメです。

蕎麦を茹でた蕎麦湯にもリポポリサッカライドは含まれているので飲むほうがいいそうですよ。

外皮以外の全てが含まれている全粒粉の蕎麦粉で作った十割蕎麦にすると一食分のリポポリサッカライド量が多いそうです。

■免疫力を高めるとろとろそば
  • 十割そば
  • めかぶ
  • なめこ
  • 自然薯(じねんじょ)
  • レンコン(すりおろしたレンコンをスープに入れる)

■LPS食材を3週間食べると免疫力はアップするか?

免疫力が低いと診断された俳優の竹内涼真さんが免疫力を高めるためにLPSを多く含む食材を3週間食べるという実験を行なったところ、免疫力の高さを判断する基準であるマクロファージの貪食能が5倍以上になったそうです。

■まとめ

子供の頃から土いじりなどの土に触れる生活というのはアレルギー体質にならないようにすることにつながっているんですね。

LPS食材はまとめてとっても免疫力の改善に繋がるわけではなく、継続して取り入れることが重要です。

アレルギーを予防するためにも、病気にならないためにも、リポポリサッカライド(LPS)を含む食品を摂っていきたいですね。







【関連記事】
続きを読む 【免疫力UP】リポポリサッカライド(LPS)が多く含まれる食べ物|#世界一受けたい授業(杣 源一郎)

コホート研究|葉酸とうつ|前立腺がんと薄毛|ほくろの数と乳がん|脈拍と糖尿病|ヨーグルトと糖尿病|ヤセと認知症|#世界一受けたい授業

Nurse

by Walt Stoneburner(画像:Creative Commons)




2015年9月5日放送の世界一受けたい授業のテーマは「コホート研究でわかったこと」です。

解説 池谷敏郎先生

 

■コホート研究とは

精神保健疫学・コホート研究|国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所精神保健計画研究部

コホート研究とは、疫学研究の中でも、特定の集団(コホート)を対象として長期的に経過を追跡する調査手法のことを言います。

特定の集団を長期的に追跡調査する手法をコホート研究といいます。

■葉酸が自殺の原因となるうつに効果的

食事パターンと自殺との関連について|多目的コホート研究

今回の研究では、男女ともに、野菜や果物、いも類、大豆製品、きのこ類、海そう類、脂の多い魚、緑茶などが関連した健康型食事パターンにより自殺のリスクが低下するという結果が得られました。この理由として、この食事パターンのスコアが高い群では、葉酸や抗酸化ビタミン(ビタミンCやカロテン)の摂取が多いことによると考えられます。葉酸や抗酸化ビタミンは、自殺の危険因子として知られているうつに対して予防的に働くことが報告されており、食事パターンとして総合的にみることで、これらの栄養素の相乗効果も期待できます。

→ 葉酸とは|葉酸の多い食べ物・葉酸の効果・妊娠と葉酸 について詳しくはこちら

【関連記事】

■前立腺がんと薄毛に関連がある

アメリカの国立がん研究所による調査によれば、薄毛(おでこが後退し、頭頂部が薄い)だと、前立腺がんの発症する確率が39%アップするそうです。

男性ホルモンと前立腺がんに関係していることが考えられます。

→ 薄毛・抜け毛の原因・対策・予防 について詳しくはこちら

 

■ほくろの数が多いと、乳がんリスクが高くなる!?

アメリカの看護師7万人を調査した結果、腕に3ミリ以上のほくろが15個以上ある場合は35%乳がんリスクが高くなるそうです。

→ 乳がんの症状・原因・検査・予防法 について詳しくはこちら

 

■脈拍の速い人は糖尿病になりやすい!?

脈拍の正常値は50から100回なのですが、100回を超えると糖尿病リスクが23%高くなるそうです。

→ 糖尿病 について詳しくはこちら

 

■ヨーグルトを食べると糖尿病になりにくい!?
  • ヨーグルトをスプーン2杯半食べるだけでリスクが下がる
  • ヨーグルトの乳清(汁のようなもの)は捨てないようにする
  • 食事前に食べると、血糖値の上昇を抑えてくれる

→ 血糖値(正常値・食後血糖値・空腹時血糖値)・血糖値を下げる食品 について詳しくはこちら

 

■痩せている人が認知症になりやすい!?

BMI(肥満度)が20以上の人と20未満の人を比べると、35%も違うそうです。

肥満度を表現する指標として体格指数=BMIが用いられます。

BMI(body mass index)=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)

BMI22が基準で、BMI25以上を肥満とされています。

→ 認知症の症状|認知症予防に良い食べ物・栄養 について詳しくはこちら

 

■標高が高いところに住んでいると肥満になりにくい!?

A:124m未満 B:455m未満 C:456m以上

AとBは肥満になり、Cは体型が変わらなかった

→ 肥満 について詳しくはこちら







【世界一受けたい授業】MCI(軽度認知障害)|認知症予防にカマンベールチーズ

健康・美容チェック > 認知症 > MCI(軽度認知障害)|認知症予防にカマンベール|#世界一受けたい授業

2015年8月29日放送の世界一受けたい授業では「MCI(軽度認知障害・軽度認知機能障害)」について取り上げました。

解説:東京医科歯科大学 特任教授 朝田隆 先生




■MCI(軽度認知障害)とは?

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by Quinn Dombrowski(画像:Creative Commons)

軽度認知障害、運動で防ぐ 暗算しながらで効果増

(2015/8/23、日本経済新聞)

MCI(軽度認知障害)とは、わかりやすく言えば物忘れが出ることで、日常生活を送るのが困難なほどの支障がないものだそうです。

厚生労働省研究班によれば、MCIに該当するに人は2012年の段階で約400万人で、65歳以上の高齢者の約13%に上るそうです。

MCIが注目されるようになったのは、MCIの段階で発症が抑えられるケースも多く、認知症になる人を減らすことができると考えられるようになってきたからです。

オーストラリアの研究によれば、認知症の発症時期を平均2年遅らせることができれば、2050年時点の同国内の認知症の有病率を20%下げることができ、さらに、5年間遅らせると有病率は43~49%下がるそうです。

認知症の高齢者は2025年には730万人と推計|認知症に役立つ食べ物と生活習慣によれば、2025年には認知症の高齢者は多い場合で730万人に達すると推計されるというニュースを以前お伝えいたしました。

また、世界の認知症患者、2050年に1億3200万人によれば、国際アルツハイマー病協会(Alzheimer’s Disease International、ADI)による「世界アルツハイマー報告書2015」によれば、認知症の数は世界の高齢化につれて増えていき、2050年には今の3倍の1億3200万人になるという予測が発表されています。

今後も認知症患者は急増することが予想されますので、MCIの段階で抑えられれば、認知症になる人を減らせるようになるかもしれないことから、注目が集まっているそうです。

■認知症予防にカマンベール

認知症(アルツハイマー病)予防にカマンベールチーズがよい!?−東大などによれば、カマンベールチーズに含まれる成分に認知症の一種であるアルツハイマー病の発症を抑える可能性があることがわかったそうです。

チーズの発酵工程で生成する物質が、アルツハイマー病の原因物質「アミロイドβ(Aβ)」の脳内での沈着を抑えることをマウスによる実験で特定したそうです。

軽度認知障害、運動で防ぐ 暗算しながらで効果増

(2015/8/23、日本経済新聞)

アミロイドβが蓄積したことでMCIになると考えられており、カマンベールに含まれる成分がアミロイドβの沈着を抑える可能性があることから、認知症予防につながることが期待されています。

→ 認知症の症状|認知症予防に良い食べ物・栄養 について詳しくはこちら







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