【目次】
■Uber、医療機関と連携して患者の送迎を助けるサービス「Uber Health」ローンチ|背景にある3つの問題とは?
参考画像:Introducing Uber Health, Removing Transportation as a Barrier to Care(2018/3/1、UBER)|スクリーンショット
Uberのニュースリリースによれば、Uberは、医療機関と連携して患者の送迎を助けるサービス「Uber Health」を立ち上げたそうです。
病院などの医療機関が患者の診察時間に合わせて配車予約をすることができ、医療機関は配車料金を1か月分まとめて払うため、患者は無料で利用できるそうです。
また、HIPPA基準を満たすため、HIPAAのコンプライアンス企業であるClearwater Complianceと協力しているそうです。
【補足】HIPAAとは?
米国のHIPAA法における個人情報等の保護に関する規定について|厚生労働省
1996年にHIPAA(Health Insurance Portabilityand Accountability Act of 1996;医療保険の携行性と責任に関する法律)が制定。
なぜUberは「Uber Health」を立ち上げたのでしょうか?
背景として挙げられているのが3つ。
1.交通機関がないために診療時間に来られない患者(交通弱者)がいること
2.そのことによって患者の治療の継続が難しいこと
3.医療機関の予約キャンセルが問題になっていること
毎年360万人のアメリカ人が交通機関がないために医師とのアポイントを逃しているそうです。
ノーショー(予約をした人がキャンセルの連絡もないまま現れないこと)率は全国的に30%と高い数字です。
医療機関と患者をつなぐ輸送手段がないことによって、医療を受けたくても受けられない患者が出てくることで医療費が増えることが考えられますし、また、予約した患者がキャンセルすることによる医療機関のロスも問題であったため、「Uber Health」というのは良いアイデアといえるのではないでしょうか。
■まとめ
以前、トヨタ、「車を売る会社」から「モビリティー・サービス企業」への転換|自動運転や電動化技術を用いた移動車両サービス「E-PALETTE CONCEPT」の特徴|AMAZONやUBER、PIZZA HUT、滴滴出行と提携| #CES2018では、自動運転や電動化技術を用いて小売りや外食、配送など様々な事業者が活用できる移動車両サービス「e-Pallete(イーパレット)」によって、買い物難民(買い物弱者)問題や物流のラストワンマイル、移動弱者(交通弱者)問題を解決する一つの方法になっていくことが期待されると紹介しました。
#インフルエンザ 予防のために病院に行くと、かえって感染する可能性があることを考えると、できる限り隔離した状態でできる #UBER の #インフルエンザ予防接種 をデリバリーするアイデアというのはもっと広まっていいのかもしれない。https://t.co/GHP5pIJxcA https://t.co/L10s22RVf1
— ハクライドウ@Healthtech (@hakuraidou) 2016年11月21日
また、#UBER、インフルエンザ予防接種をデリバリーできる1日限定のキャンペーンを実施では、日本でいう往診サービスにUBERという仕組みを組み合わせたアイデアを紹介しました。
#モバイルファーマシー|災害時に薬局が機能しない場合でも、医師の処方薬を提供できるでは、災害時に薬局が機能しない場合でも、医師の処方薬を提供できる車両「モバイルファーマシー」を取り上げました。
これらのアイデアを組み合わせれば、病院機能の集約した車両「モバイルホスピタル」によって、医療機関に行きたくても移動手段がないため行くことができない移動弱者(交通弱者)問題を解決することにつながるかもしれません。
さらに進めれば、地域の中核病院が中心となり、「モバイルホスピタル」「モバイルファーマシー」を適切に配置して、さらに動きづらいところにはドローンを活用するようになるのではないでしょうか。
参考画像:「新産業構造ビジョン」(2017/5/29、経済産業省)
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The Matternet Station|自律型ドローン配達ネットワークが配備されることで医療に革命が起こる!?|スイスでは、The Matternet Stationというネットワークシステムが全国だけでなく全世界につながれば、通信機能を持った端末同士が相互に通信を行うことにより、網の目状に作られる通信ネットワークであるメッシュネットワークのようにノードからノードへ転送を行うようにした医療用アイテムの配送が可能になるかもしれませんと紹介しました。
そのためにも必要になるのが医療データの一元化ですよね。
「お薬手帳」を避難時に持ち出すことの有効性が熊本地震で再確認によれば、お薬手帳を見ることで、それまで要観察者リストから漏れていた人も病気の特定ができ、健康状態の悪化を防ぐことができたケースがある一方で、お薬手帳がないために、適切な薬の処方を判断に苦しんだケースもあったそうです。
参考画像:「新産業構造ビジョン」(2017/5/29、経済産業省)|スクリーンショット
経済産業省の「新産業構造ビジョン」によれば、個人が自らの生涯の健康・医療データを経年的に把握するため、また、最適な健康管理・医療を提供するための基盤として、健康・医療・介護のリアルデータプラットフォーム(PHR:Personal Health Record)を構築し、2020年度には本格稼働させていくことが必要と提案されています。
参考画像:「新産業構造ビジョン」(2017/5/29、経済産業省)|スクリーンショット
厚生労働省、個人の医療データの一元管理で医療の効率化目指す 2020年度から|「PEOPLE(ピープル)」
によれば、厚生労働省は、過去の病院での治療歴や薬の使用状況、健診結果など様々な情報を一元化したデータベースを2020年度からの運用を目指すということであり、避難時に持ち出すことができなくても、個人の医療データが一元化されたデータベースがあれば、災害時にも適切な治療が受けられることが期待されます。
医療データの一元化を行ない、地域の中核病院→かかりつけの病院・薬局→モバイルホスピタル・モバイルファーマシー→ドローン・ネットワークでネットワークがつながれば、もっと助かる人が増えるのではないでしょうか。
それにしても、ぜひ「Uber Health」は活用してみたいですね!
【参考リンク】
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