英国の40~69歳の約13万人(131,209人)のデータを用いて、食事の種類が認知症のリスクにどう影響するかを調べた研究によれば、地中海式ダイエット(野菜、果物、魚、オリーブオイルなどが中心)など健康的な食事をしている人は認知症のリスクが低く、反対に炎症を引き起こす食事をしている人は認知症のリスクが高いことがわかりました。
【参考リンク】
- Youn JE, Kwon YJ, Lee YJ, Heo SJ, Lee JW. Association of Mediterranean, high-quality, and anti-inflammatory diet with dementia in UK Biobank cohort. J Nutr Health Aging. 2025 May 1;29(7):100564. doi: 10.1016/j.jnha.2025.100564. Epub ahead of print. PMID: 40315790; PMCID: PMC12172995.
■結果
●13.5年の追跡で、1,453人が認知症を発症しました。
●良い食事の効果:地中海式ダイエット、MINDダイエット(脳の健康に良いとされる食品を重視)、RFS(推奨食品スコア;健康的な食品の摂取頻度を点数化)、AHEI(代替健康食指数;バランスの良い食事を評価)のスコアが高い人(=これらの健康的な食事をしっかり実践している人)は、認知症のリスクが低い(約20~30%低下)。
●悪い食事の影響:EDII(エネルギー調整食事炎症指数;炎症を引き起こす食事の指標)スコアが高い人(炎症を引き起こす食事、例えば加工食品や赤身肉を多く食べる人)は、認知症のリスクが30%高まる。
●特に効果が強いグループ:60歳以上、女性、非肥満の人、特定の遺伝子(ApoEε4)を持たない人で、良い食事の効果がより強く見られた。
■まとめ
野菜や果物、魚、ナッツを多めに食べる地中海式ダイエットやMINDダイエットなどの健康的な食事は認知症のリスクを下げ、反対に炎症を起こす食事は認知症のリスクを上げる可能性があります。
今回の研究では健康的な食事に含まれている「何」が効果的なのかは書かれていませんでしたが、ヒントとなるのは「炎症」にありそうです。
認知症予防のために毎日食べたい!抗炎症力や抗酸化力を持つ○○科の野菜とは何?によれば、認知症リスクを減らすために毎日食べたい食材としてアブラナ科の野菜を紹介しています。
その理由としては、アブラナ科の野菜には、認知症予防に欠かせない「抗炎症力」「解毒力」「抗酸化力」という3つの力が備わっているから。
ブルーベリーやイチゴなどフラボノイドを豊富に含むベリー類を摂取すると、高齢女性の記憶力低下を2.5年遅らせることができる!では、ブルーベリーやイチゴに含まれる**フラボノイド(特にアントシアニン)**が活性酸素(細胞を傷つける物質)を減らし、脳の神経細胞を老化やダメージから守る抗酸化作用があり、また、脳の炎症を抑え、認知症やアルツハイマー病のリスクを下げる抗炎症作用があると紹介されています。
つまり、認知症リスクを下げる方法の一つとして、抗炎症作用のある食品を選択するといいのではないでしょうか?
普段の食事を意識することが将来の認知症リスクを下げることにつながると思って、食事を見直してみませんか?
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