■錦織圭選手のコンディショニング戦略(栄養管理・ピリオダイゼーション・ケガの予防)|テニス
by angelicalbite(画像:Creative Commons)
【速報】錦織 日本人初のGS初優勝の快挙逃し、アジア勢最高位となる5位浮上ならず<男子テニス>
(2014/9/9、tennis365.net)
決勝では、チリッチに敗れて準優勝となるも、アジア男子勢初のグランドスラム準優勝を飾る活躍を見せた。
結果としては、日本人初のグランドスラム優勝の歴史的快挙を逃したものの、錦織圭選手の活躍は日本中をワクワクさせてくれるニュースでした。
今回は、錦織圭選手のコンディショニングサポートを行なっているウイダーの記事からUSオープン決勝の舞台に上がるまでにどのようなこと(準備)をしてきたのかを見てみたいと思います。
■栄養管理
錦織選手は、必要な各栄養素の量や試合時間から逆算した補給のタイミングなど、栄養管理の基本的な戦略についてすでによく理解しています。シーズン中は、毎度の食事内容をメールで知らせてもらいながら、現地での食材の選び方や補いたいサプリメントなどをアドバイスしています。
アスリートにとって最も重要なのは、試合や練習までに、いかに多くのエネルギー源=糖質を蓄えておけるか、そして運動で空になった糖質と、筋肉の材料となるたんぱく質をいかに素早く摂取できるかという点にあります。昨年、特に気を付けてもらったのは、運動直後の栄養補給。身体に備わっている回復力が最も発揮されるこのタイミングで、十分な糖質とタンパク質を取れていれば確実な回復ができますが、そうでなければ回復できる幅が狭くなってしまうからです。
ポイントをまとめてみます。
- 栄養管理の基本戦略
必要な各栄養素の量や試合時間から逆算した補給のタイミング - 試合や練習までに、いかに多くのエネルギー源=糖質を蓄えておけるか
- 運動で空になった糖質と、筋肉の材料となるたんぱく質をいかに素早く摂取できるか
身体に備わっている回復力が最も発揮されるこのタイミングで、十分な糖質とタンパク質を取る
マンチェスター・シティでは血液検査をして選手に食品のアドバイスや栄養ドリンクを準備しているによれば、マンチェスター・シティでは、血液検査を行なって、必要な食品のアドバイスを行ったり、選手一人ひとりに合わせて作られた栄養ドリンクを用意しているそうです。
現代のスポーツはフィジカル的要素の占める割合が高くなっており、その傾向はテニスにも現れているようです。
そのため、試合や練習前の栄養管理だけでなく、運動後の栄養管理が重要になっているようです。
■ピリオダイゼーション
まず最近のテニス界の傾向として、フィジカル的要素が占める割合が増えています。その点、私やロビー(オオハシ)から見ると、2年前までの錦織選手はシーズン中のトレーニング量が十分と言えるものではありませんでした。ロビーにトレー二ングをお願いする時には冗談で「彼を殺してくれ!」と言っていたぐらいです。
昨年は基礎作りのため大会数を減らし、ピリオダイゼーションを行なってきました。ただ、出場する試合は優先ですし、当初からの痛みでできないトレーニングもあったので、ケガのリスク管理をしつつ、長期的スタンスで取り組んできました。
テニス界でもフィジカル的要素の占める割合が増えている傾向があったのですが、以前の錦織圭選手はシーズン中のトレーニング量は十分とはいえなかったそうです。
錦織圭選手は基礎づくりのために、出場する試合を減らし、ピリオダイゼーションを行なっていたそうです。
ピリオダイゼーションとは、どういうものなのでしょうか。
(健康とトレーニング|ウェブリーグ)
試合当日にピークの状態で臨むために、年間のトレーニングをいくつかの段階に分 け、その段階ごとのトレーニングを体系的に組み合わせていくことを『ピリオダイゼ ーション(期分け)』と言います。
毎日同じ時間、同じ強度のトレーニングを行なっていると、あるところで壁にぶつかってしまいます。
その状態のままトレーニングをし続けると、場合によってはオーバートレーニングになってしまいます。
ピリオダイゼーションとは、トレーニングの量や強度を変えることでより効果的に身体能力を伸ばし、そして、試合当日にピークの状態で臨むことを目指すトレーニング理論と言えます。
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■ケガの予防
ケガの予防には色々と考え方がありますが、私は3つの点を注意しています。「アライメント(姿勢)」「正しい動き」「それを維持する筋力」です。骨の位置がそれぞれ正しい位置にあり、正しい動きができ、それを維持できれば、事故的なケースを除いて、ほとんどのケガを防ぐことができます。また痛めた場合でも、手術などによる長期の離脱は抑えることができます。
<中略>
最初は猫背で肩が前に出ている状況だったのでそれを治し、左右のバランスも改善していきました。自分が帯同し始めて3カ月位で、多くの人に身体が大きくなったと言われましたが、実は姿勢が改善して大きく見えたのが大きな理由でした。
じっとしている姿勢は意識をすればある程度修正できますが、これに動きが入ってくるとなかなか修正が難しくなります。一部の筋力が弱かったり、使うことが意識できないと、代償動作といって理想の動きとは違った動きになります。このため一部の筋肉や関節に負荷がかかり、ケガを起こしやすくなります。これは動きの癖になりますが、治すのもすぐには治りません。
パーソナル・トレーナーの中尾公一さんによれば、骨の位置がそれぞれ正しい位置にあり、正しい動きができ、それを維持できれば、ほとんどのケガを防ぐことができるそうです。
●「アライメント(姿勢)」
錦織圭選手の場合は、「アライメント(姿勢)」が良いとはいえず、猫背で肩が前に出ている状況だったそうで、猫背を改善し、また左右のバランスを改善したことで、姿勢が良くなり、周りからは身体が大きくなったと思われたのだそうです。
●「正しい動き」・「それを維持する筋力」
一部の筋力が弱かったり、使うことが意識できないと、動きの癖となって、筋肉や関節に負担がかかり、ケガを起こしやすくなるそうです。
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