黄砂は赤ちゃんのアレルギー症状を悪化させる!黄砂が多い日は特にリスクが1.16倍に!




砂漠の砂塵が乳児のアレルギーに与える影響を調べた研究、具体的には黄砂やPM(空気中の小さな汚染物質)が赤ちゃんのアレルギー症状(鼻水、目のかゆみ、咳など)にどう影響するかを調べた研究で、「今日、赤ちゃんの鼻水出た?目が赤い?」のような質問に答えてもらい、黄砂やPMの量が多い日と少ない日を比べて、アレルギー症状が出る確率を計算し、あわせて薬の使用や行動(たとえば外に出ない、窓を閉めるなど)が影響をどう変えるかを調べたところ、黄砂やPMが多いと症状が出やすいことがわかりました。

●PMが10µg/m³増えるごとに、症状が出るリスクが1.04倍になりました。

●黄砂だけに注目すると、黄砂の濃度が0.1/km増えるごとにリスクが1.16倍に跳ね上がりました。

●喘鳴(ゼーゼーする呼吸)というぜんそくっぽい症状がある子もない子も黄砂でアレルギーが悪化しました。

その対策としては、ロイコトリエン受容体拮抗薬(アレルギー用の薬)をちゃんと飲む、天気予報で「黄砂が多い」って聞いたら外出時間を減らす、窓を閉めて黄砂が入らないようにするとリスクが減ったそうです。

■まとめ

1)黄砂やPMは赤ちゃんのアレルギーを悪化させる(鼻水、目のかゆみ、咳が増える)。

2)黄砂が多い日は特にリスクが1.16倍に!

3)薬を飲む、外出を控える、窓を閉めるなどの対策でリスクを減らせる。

特に赤ちゃんは体が小さい分、空気をたくさん吸うから影響を受けやすいので、しっかり対策してくださいね。

→ 花粉症の症状 について詳しくはこちら

→ 花粉症対策 について詳しくはこちら

【参考リンク】







黄砂が多い日にアレルギー症状が出るリスクが高まる!花粉+黄砂のダブルパンチで鼻水や目のかゆみがひどくなる可能性あり!




日本の妊婦3,327人を対象に、黄砂が妊婦さんのアレルギー様症状にどう影響するかを調べた研究によれば、具体的には、黄砂が多い日(空気が砂塵でモヤっとする日で、1キロ先にいる人の姿が見えづらくなるくらい(濃度が0.07/km以上)と定義)と、普通の日を比べて、毎日携帯で「鼻水出る?目がかゆい?」みたいなアレルギー症状を聞いて記録したところ、黄砂が多い日にアレルギー症状が出るリスクが高まることがわかりました。

●スギ花粉にアレルギーがある人(IgE陽性)が、花粉の季節に黄砂にさらされると、リスクが1.25倍に跳ね上がった。

●花粉がない時期や、スギ花粉にアレルギーがない人だと、リスクはあまり増えなかった。

この研究で興味深い点がここです。

●黄砂の濃度が低い日でも、少しずつリスクが上がる「用量依存的」な関係が見られたこと。つまり、黄砂が増えるほどアレルギーが悪化しやすい。

「用量依存的(dose-dependent)」とは、簡単に言うと「量が増えると効果や影響も増える」という意味で、今回の研究でいえば、黄砂の濃度(量)が多くなるほど、アレルギー症状が出るリスクが比例して高くなるということです。

つまり、黄砂の濃度が低いときはアレルギー症状のリスクが少しだけ上がるけど、濃度が高くなるとリスクがもっと大きくなるという関係です。

具体的に言えば、砂漠の砂塵(黄砂)が少ない日(濃度が低い)は、鼻水や目のかゆみが出る人がちょっと増えるだけですが、黄砂がすごく多い日(濃度が高い)だと、花粉アレルギー持ちの妊婦さんの症状がさらに悪化して、リスクが高くなるという意味ですね。

黄砂には、微生物や細菌、ウイルス、大気汚染物質がくっついてることが多く、それが花粉と一緒に鼻や目に入ると、アレルギー反応を増強する「アジュバント(助け役)」として働いてしまうそうです。

つまり、花粉症の人にとって花粉だけでもその症状があるのに、黄砂によってそのアレルギー反応を増強させてしまうんですね。

■まとめ

1)黄砂はアレルギーを悪化させる、特に花粉アレルギー持ちは要注意。

2)症状悪化は黄砂の量に比例する(用量依存的)。

3)花粉+黄砂のダブルパンチで、鼻水や目のかゆみがひどくなる可能性あり。

そのため、花粉症の方は、黄砂が飛んでくると症状が悪化する恐れがあるので、黄砂のニュースが出たら、できるだけ外出を控えるか、しっかりマスクを着用することをお勧めします。

【参考リンク】

  • Kanatani KT, Hamazaki K, Inadera H, Sugimoto N, Shimizu A, Noma H, Onishi K, Takahashi Y, Itazawa T, Egawa M, Sato K, Go T, Ito I, Kurozawa Y, Konishi I, Adachi Y, Nakayama T; Japan Environment & Children’s Study Group. Effect of desert dust exposure on allergic symptoms: A natural experiment in Japan. Ann Allergy Asthma Immunol. 2016 May;116(5):425-430.e7. doi: 10.1016/j.anai.2016.02.002. Epub 2016 Mar 11. PMID: 26976782.

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妊婦が黄砂にさらされると数日後に常位胎盤早期剥離が増加する!?考えられる原因とは?




黄砂飛来の数日後に常位胎盤早期剥離が増加(2019年11月8日、国立環境研究所)によれば、東邦大学、九州大学と国立環境研究所の疫学研究グループは、妊婦が黄砂にさらされることが常位胎盤早期剥離のきっかけになる可能性を示しました。

具体的には黄砂が飛来した1~2日後に早期剥離をともなう出産が増えるという関連性が示されました。

■常位胎盤早期剥離とは?

常位胎盤早期剥離は、出産後に子宮壁からはがれてくるはずの胎盤が出産前に(子どもがお腹にいる時に)はがれてきてしまう状態で、全妊婦の1%ほどに発生するといわれています。

常位胎盤早期剥離になると、妊婦については出血が多くなる、胎児については胎盤を通した酸素や栄養供給が絶たれることなどにより、母と子と両方の命に関わってしまうのですが、その発生メカニズムについてはわかっていないそうです。

■なぜ「妊婦が黄砂にさらされると早期剥離を起こしやすくなる」という仮説に至ったのか?

1)もともと形成不全のある胎盤に炎症などの刺激が加わることで胎盤血管から出血が起こり、時間とともに大きくなる血のかたまりによって胎盤が子宮の壁からはがれてくるのではないかという学説がある

2)黄砂が全身性の炎症を引き起こして、心筋梗塞や脳梗塞などの急性疾患発生につながるのではないかと指摘されている

3)黄砂には微生物や大気汚染物質を巻き込んでおり、この微生物の中にははグラム陰性桿菌が含まれていると考えられ、グラム陰性桿菌の細胞壁の構成するリポ多糖は、妊婦に炎症を引き起こし早産の原因となることが知られている

4)黄砂とともに飛来した大気汚染物質による炎症が早期剥離につながった可能性がある

5)ぜん息は早期剥離の危険因子と言われており、黄砂によりぜん息症状が悪化し、それが早期剥離を引き起こしたとも考えられる

つまり、黄砂自体が直接早期剥離に関連しているのか、それとも黄砂と一緒に巻き込まれた微生物(グラム陰性桿菌)が関連しているのか、はたまた大気汚染物質が関連しているのか、黄砂の間接的影響によるぜんそく症状によるものなのかははっきりわかりませんが、黄砂が飛来した1~2日後に早期剥離をともなう出産が増えるということなので、妊婦の方は黄砂飛来のニュースがあるときにはできるだけ外に出ない方がいいのではないでしょうか?







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歩くのが遅い人は寿命が短い?速く歩く人は健康寿命が長い!




■「速く歩く人は健康寿命が長い!」という研究論文

ある研究では、アメリカの看護師さんたち(13,535人)で大きな病気はなく、70歳以上まで生きてた人たちを対象に、「中年(40~50代くらい)でどのくらい運動するか(特に歩くスピードに着目)が、70歳以上になっても元気でいられるかどうかに影響するのか?」かどうかについて調べました。

※ちなみに、「元気に生きる」とは、大きな病気がない・頭がしっかりしてる(認知症じゃない)・体が自由に動く(障害がない)・心も元気(うつとかがない)とします。=サクセスフルエイジング

普段の歩くスピードを聞いて、のんびり(時速3km以下)/普通(時速3~5km)/速い(時速5~6km)/めっちゃ速い(時速6km以上)で分類し、70歳以上になったときに「元気かどうか」をチェックして、歩くスピードと健康状態の関係を統計で分析しました。

その結果わかったのは、歩くスピードが速い人ほど、70歳以上になっても健康でいられる確率が高いということです。

たとえば、のんびり歩く人に比べて、速く歩く人は1.5倍くらい「健康に年を取れる」可能性が高い。

この研究論文からわかることは、中年で歩くスピードが速い人は、70歳以上になっても健康でいられる可能性が高いことであり、運動は歩くだけでも効果があるので、いつもよりちょっと速めに歩く習慣をつけることが将来の自分の健康への投資にあるのではないでしょうか?

■【補足】サクセスフルエイジングとは?

論文で使われてる「サクセスフルエイジング(成功した老化)」とは、簡単に言うと、「年を取っても元気で、健康で、楽しく生きること」を指していて、論文ではもっと具体的に定義されています。

サクセスフルエイジングの定義は「70歳以上になっても心も体も頭も健康な状態」で、具体的には、4つの条件を全部クリアしてる人を「サクセスフルエイジング(成功した老化)達成者」と呼んでいます。

1)大きな病気がない
10種類の慢性疾患(がん、糖尿病、心筋梗塞、脳卒中、腎不全、パーキンソン病、慢性肺疾患など)や心臓の手術(冠動脈バイパス移植手術)の履歴がないこと。

2)認知機能が正常
頭がしっかりしてる、認知症とかがない状態。

3)体がちゃんと動く
身体的な障害がないこと。たとえば、日常生活で中程度の活動(歩いたり買い物したり)が問題なくできる、もっとハードな動き(走ったり重いもの持ったり)にも制限が少ない状態。

4)メンタルが安定してる
精神的に健康で、うつとかがない状態。

サクセスフルエイジングの考え方は、RoweとKahnって研究者が提唱した概念が元になっていて、単に「長生きする」だけじゃなくて、「健康で自立して、質の高い生活を送れる」ことを目指しています。

つまり、サクセスフルエイジングという考え方は、健康寿命を考えるうえで大事な視点になります。

サクセスフルエイジングの考え方を参考にして今回の研究を改めて考えてみると、70歳以上まで生きてても、「病気なし、頭も体も心も元気」という人はそんなに多くないですが、歩く速度が速い人はサクセスフルエイジングを達成しやすい、わかりやすく言えば、年取っても自分のやりたいことできる状態である可能性が高いので、若いうちから速く歩くようにすることが健康寿命を延ばす一つの方法と言えそうです。

【参考リンク】

■歩くスピードが速い高齢者は長生きする傾向がある

65歳以上の34,485人を対象に、歩行速度と生存率の関係を統計で分析した結果、歩くのが速い人は生存率が高いことがわかりました。

具体的には、歩行速度が0.1m/s(時速0.36km)速くなるごとに、死亡リスクが12%下がったそうです。

この研究結果を参考にすると、歩行速度が高齢者の生存率を予測するのに使える可能性があります。

【参考リンク】







P.S.

速く歩くことができる人というのを、少し別の視点から見てみると、速く歩いても転倒しない人と考えられるのではないかと思うです。

それは、筋力の衰えから歩行速度が遅くなるともいえるかもしれませんが、筋力が衰えると転倒しやすくなるため、転倒を避けるために速く歩くことを避ける人もいるのではないでしょうか?

またなぜ運動能力が高い人が転倒するの?注意をうまく分散できる人は転びにくい!【たけしの家庭の医学】によれば、運動能力の高い高齢者でも転倒してしまうことがあるそうで、注意をうまく分散できるヒトは転びにくく、転倒ローリスク者は、先読みして移動を行い、より遠くまでの移動経路がプログラムされた状態だとも考えられます。

先ほどのサクセスフルエイジングの考え方を少し参考にすれば、体がちゃんと動くことも大事ですが、認知機能も大事であり、物事を先読みしたり、注意をうまく分散するというのも、速く歩くうえで大事な能力であると考えれば、歩行速度の速さが認知機能と関連する材料とみてもよいのかもしれません。

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1800日以上毎日「すき家」に通う男性の健康診断の結果はどうだったの?




1800日以上毎日「すき家」に通う男性 気になる健康状態を聞いてみた(2024年12月9日、SPA)によれば、2019年から、1800日以上連続で「すき家」に通っている男性・マナリス氏(31歳)によれば、毎日食べても「すき家だけ」では太らず、また、健康診断の結果は変わらなかったそうです。

ただ1800日以上毎日「すき家」に通っているからと言って、毎日牛丼を食べているわけではなく、まぐろたたき丼やサーモン丼など海鮮メニューもよく頼んでいたようなので、正確には1800日以上外食を続けてきた男性の健康に問題がなかったという話です。

外食だと塩分摂取量が高くなりそうなイメージですが、人には飽きがあり、いろんなメニューが食べることで結果的に健康的な食事をしていた可能性もありそうです。

ちなみに、牛丼を毎日1回3カ月食べ続けても健康リスクは増えない|吉野家ホールディングスで紹介した吉野家ホールディングスの研究によれば、吉野家の牛丼を毎日1回、3カ月食べ続けても、体脂肪率や血圧中性脂肪コレステロール血糖値などに変化はなかったそうです。

【追記(2025年3月25日)】







P.S.

そういえば、毎日○○を食べ続けるチャレンジをしている人をこれまで紹介してきたことを思い出しました。

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