■介護施設で「パワーリハビリ」を導入 約8割に介護度を改善したり重症化を防ぐ効果|弘前
by Stephanie Young Merzel(画像:Creative Commons)
弘前の介護施設が「パワーリハビリ」導入
(2016/6/21、WEB東奥)
「正座が楽になった」「つえなしで歩ける」-。弘前市内の介護施設が、利用者の動作機能を維持するため、専用マシンで筋力アップを図る「パワーリハビリ」を取り入れたところ、約8割に介護度を改善したり重症化を防ぐ効果があり、利用者や職員が手応えを感じている。
弘前市内の介護施設が専用マシンで筋力アップのトレーニングを行う「パワーリハビリ」を取り入れたところ、約8割の人に介護度を改善したり重症化を防ぐ効果があったそうです。
■筋肉を鍛えることで寝たきりを防ぐ
老化のスピードが速い大腿筋を鍛える方法|大腿筋の老化のスピードは最も速いで紹介した石井直方さん(東京大学大学院筋生理学・トレーニング科学専門)によれば、筋肉量は30才をピークに減少しはじめ、40代半ばからそのスピードは加速していきます。
その中でも「大腿筋(だいたいきん)」は30~70才までの40年間で、前側の筋肉である「大腿四頭筋(だいたいしとうきん)」は2分の1、後ろ側の筋肉である「ハムストリングス」は3分の2にまで落ちることが実証されているそうです。
筋肉が衰えると、「椅子から立ち上がれない」「転びそうになっても体を支えられない」ということが起こってきます。
また、骨は、筋肉を使えば使うほど刺激を受けて強化され、基本的に、太ももの筋量が多い人ほど骨の強度も高いそうです。
一方、筋肉が衰え、動けなくなると骨への刺激も減ってしまうため、骨粗鬆症などによる転倒や歩行困難、最悪の場合は寝たきりになることもあります。
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スポーツ庁の2014年度体力・運動能力調査によれば、高齢者(65~79歳)で、ほとんど毎日運動している人と運動をしない人では、体力に大きな差があることがわかりました。
「ロコモティブシンドローム(運動器症候群)」は、運動器の障害のために要介護となる危険の高い状態のことを言いますが(ロコモティブシンドロームとは)、その原因には加齢による筋力やバランス能力の低下が考えられています。
ロコモティブシンドロームにならないためには、筋力を鍛えることが重要になります。
■ロコモティブシンドロームの予防に取り組む目安の5項目
日本整形外科学会は、ロコモティブシンドローム予防に取り組む目安として5項目を紹介しています。
- 片脚立ちで靴下がはけない
- 階段を上るのに手すりが必要
- 横断歩道を青信号で渡りきれない
- 15分くらい続けて歩けない
- 家の中でつまずいたり滑ったりする
この5項目のうち、一つでも当てはまる人は、ロコモティブシンドロームを予防するロコモーショントレーニングを薦めているそうです。
筋肉の老化は高齢者だけの問題ではなく、若い人も老化のサインが現れていることがあります。
そこで、筋肉が老化しているかもしれない5つのチェックポイントを紹介します。
1.階段は使わずエスカレーター・エレベーターを使う
老化のスピードが速い大腿筋を鍛える方法によれば、階段を「降りる」動作は、大腿筋にとって比較的強い刺激になると同時に、前の筋肉がブレーキとして機能していることを認識できるそうで、階段を降りることが怖くなってきたら、筋量が落ち非常に危険な状態なのだそうです。
階段の登り降りは、体を鍛えられるだけでなく、自分の筋力のチェック方法としても使えそうです。
2.長時間立つのがイヤ
直立姿勢を維持するには、背骨を伸ばす筋肉、骨盤と脊柱の姿勢を保つ筋肉、ふくらはぎの筋肉が必要です、これらの筋肉は加齢の影響を受けやすいそうです。
最近では、座り仕事であったり、スマホ・ケータイを見る動作で姿勢が崩れている人が多いようです。
3.健康のためではなく、足が疲れるという理由でハイヒールを履かなくなった
ハイヒールを履くとかかとが上がり、重心が前に移動するため、前に倒れる危険性が高くなるので、直立姿勢を保つための筋肉を使うことが必要になります。
また、膝が曲がっていると貧相に見えるため、ハイヒールを履く人は、膝を伸ばすことを意識しているのですが、このことが膝関節を支える筋肉に大きな負担をかけています。
つまり、ハイヒールを履くと疲れるという人は、これらの筋肉が衰え始めたということなのです。
4.パンツを履くときにバランスを崩してしまう
お尻の筋肉が弱ってくると、パンツを履く時にバランスを崩してしまいます。
パンツを履くときにバランスを崩す人は、お尻の筋肉が弱っている証拠なのだそうです。
5.落ちているものを、腰を落として拾う
腰痛予防のために、腰の負担を考えると、落ちているものを腰を落として拾うというのは決して悪いことではないと思います。
ただ、できるけどしないのか、できないからやらない、というのでは意味合いが違います。
もしできないのであれば、腰の柔軟性がなくなってきていると言えそうです。
■ロコモティブシンドロームを予防する方法
●開眼片足立ちのやり方(方法)
- 1日3回、左右1分間ずつ、床につかない程度に片足を上げる。
※骨の強度が弱まることを防ぐとともに、バランス能力を鍛えて転倒しにくくする
ロコモティブシンドロームとはによれば、片脚立ちは両脚立ちに比べ2.75倍の負荷がかかり、一日3回、左右1分間の片脚立ちは、約53分間の歩行に相当するそうです。
また、支えが必要なら、机に手をついて行ってもよいそうです。
●スクワットの方法
- 1日に3度(1度に5・6回ずつ)椅子に腰をかけるようにお尻をゆっくり下ろす。
※お尻や太ももの筋肉の訓練
「スクワット」はお尻を低く下ろせばより筋力が鍛えられますが、安全性を考えると浅い角度にすることをおすすめします。
脚はかかとから30度くらい外側に開き、体重が脚の裏の中央にかかるように意識するようにするとよいそうです。
●スロトレ
筋トレの弱点としては、
- 筋肉や関節のケガが起こることがある
- 血圧が上がるので、高血圧の人には勧めにくい
という点があります。
しかし、スロトレは、そうした筋トレの弱点をカバーしてくれます。
スロトレは、筋トレに嫌なイメージを持っている方や日頃あまり運動をしていない方、高血圧の方、もちろんダイエットしたい方にもおすすめです。
→ スロトレ について詳しくはこちら。
■まとめ
フレイルティ及びサルコペニアと栄養の関連|高齢者|厚生労働省によれば、サルコペニアの定義とは、筋肉量(骨格筋量)の減少に加えて、筋力の低下(握力など)または身体(運動)機能の低下のいずれかが当てはまる場合、サルコペニアと診断するというものです。
「フレイル(高齢者の虚弱)」の段階で対策を行ない、要介護状態の高齢者を減らそう!によれば、高齢者は健康な状態から急に要介護状態になるわけではなく、食欲の低下や活動量の低下(社会交流の減少)、筋力低下、認知機能低下、多くの病気をかかえるといった加齢に伴う変化があり、低栄養、転倒、サルコペニア、尿失禁、軽度認知障害(MCI)といった危険な加齢の兆候(老年症候群)が現れ、要介護状態になると考えられます。
要介護状態になる前段階である「フレイル(フレイルティ)」の段階で、筋力アップのトレーニングを行う「パワーリハビリ」を行なうことにより、筋肉量の減少や筋力の低下、運動機能の低下を抑えることができれば、要介護状態になる高齢者を減らすことにつながることが期待されます。
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