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細胞同士の反発の原理を活用したがん細胞が組織から排除される仕組みの解明|#京都大学

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■細胞同士の反発の原理を活用したがん細胞が組織から排除される仕組みの解明|京都大学

Rush hour in London

by SarahTz(画像:Creative Commons)

「Slit」と「Robo」が細胞間接着に関わるE-カドヘリンというタンパク質の働きを抑制することで変異細胞と正常細胞との接着性が低下し、変異細胞が組織からすり抜けるように排除される
「Slit」と「Robo」が細胞間接着に関わるE-カドヘリンというタンパク質の働きを抑制することで変異細胞と正常細胞との接着性が低下し、変異細胞が組織からすり抜けるように排除される

参考画像:がん細胞が組織から排除される仕組みをハエで解明 -神経同士の反発の原理を使いがん細胞が組織から飛び出す-(2016/12/26、京都大学ニュースリリース)|スクリーンショット

がん細胞が組織から排除される仕組みをハエで解明 -神経同士の反発の原理を使いがん細胞が組織から飛び出す-

(2016/12/26、京都大学ニュースリリース)

今回の研究ではショウジョウバエの眼の上皮細胞を使い、正常組織中に生じたがんの元になる細胞を排除するのに必要な遺伝子を探索しました。その結果、「Slit」や「Robo」といったタンパク質を作り出す遺伝子を破壊すると、変異細胞が排除されなくなることがわかりました。

 さらに、「Slit」と「Robo」が細胞間接着に関わるE-カドヘリンというタンパク質の働きを抑制することで変異細胞と正常細胞との接着性が低下し、変異細胞が組織からすり抜けるように排除されることがわかりました。

井垣達吏 生命科学研究科教授、John Vaughen 同研究生(現スタンフォード大学大学院生)らの研究グループは、「Slit」と「Robo」と呼ばれる2種のタンパク質の神経系細胞同士を反発させる性質を利用してがん細胞を排除しているというメカニズムを明らかにしました。




■まとめ

正常な細胞はがん細胞を排除するという細胞の社会性を応用したがん治療法|北海道大学では、北海道大学藤田恭之教授が2005年に「がんの初期段階で、正常な細胞が隣接するがん細胞を認識し、血管などの管腔側にはじき出す能力がある」と発見したと紹介しました。

この時には、細胞には”おしくらまんじゅう”のように、正常な細胞ががん細胞を認識してはじき出す能力があるんだなと感じたことを覚えています。

がんの元になる変異細胞が正常細胞に囲まれると、「細胞競合」と呼ばれる現象によって変異細胞が組織から排除されます。この現象は、細胞間コミュニケーションを介した新たながん抑制メカニズムとして注目されています。

今回発見したメカニズムを利用することができれば、がん細胞だけを正常な組織から排除するという新しいアプローチのがん治療につながることが期待されますが、正常な細胞はがん細胞を排除するという細胞の社会性を応用したがん治療法|北海道大学の中でいくつかの疑問が浮かんできたのを覚えています。

  • なぜ正常細胞からがん細胞が生まれるのか(意味のないことがあるのだろうか)
  • 正常細胞ががん細胞を認識し、駆逐する能力があるのであれば、なぜそれが失われてしまうのか
  • 社会性という視点で語るのであれば、排除するのではなく、それをも受け入れて、不活性化するなどの対策の方法はないのだろうか

がん細胞が組織から排除される仕組みをハエで解明―神経同士の反発の原理を使いがん細胞が組織から飛び出す―

(2016/12/26、京都大学ニュースリリースPDF)

本研究の成果は、異常な細胞や不必要な細胞を積極的に組織から排除する現象に普遍的に関わる可能性があり、基礎生物学だけではなく関連する医学研究にも寄与する、射程の長い成果だと考えられます。

異常な細胞や不必要な細胞を積極的に組織から排除する現象がなぜ起こるのか、そして、それがなぜできなくなるのかといったことを解明することが様々な研究に活用できることが期待されます。







【関連記事】
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酢を毎日飲むと、内臓脂肪や中性脂肪が減少し、メタボリックシンドロームの改善や予防に役立つ




【目次】

■酢を毎日飲むと、内臓脂肪や中性脂肪が減少し、メタボリックシンドロームの改善や予防に役立つ

Vinegar

by Mike McCune(画像:Creative Commons)

酢、毎日大さじ2杯で… メタボすっきり

(2009/5/15、産経新聞)

酢を毎日大さじ1~2杯飲み続けると、内蔵脂肪や血中中性脂肪が減少することが、ミツカン中央研究所(愛知県半田市)が行った臨床試験で分かった。

21日に長崎市で開かれる日本栄養・食糧学会大会で発表する。主成分の酢酸が脂質の合成を抑制し、燃焼も促進するためという。

同研究所は「メタボリックシンドロームの予防や改善に有効」としている。

ミツカン中央研究所の臨床試験によれば、酢を毎日大さじ1~2杯飲むと、内臓脂肪や血中中性脂肪が減少し、メタボリックシンドロームの改善や予防に役立つそうです。

同研究所によると、酢酸には血圧や血中コレステロール値を下げる効果もある。

「メタボリックシンドロームの改善には非常に有効だが、摂取をやめると脂肪は元の水準に戻ってしまうので、継続的に摂取してほしい」としている。

酢は高血圧コレステロールが気になる方にも良いようです。

普段の食事に酢を取り入れていきたいですね。




【補足】お酢の健康効果

LDLコレステロールを下げるための食品(青魚・大豆・食物繊維・酢)によれば、
酢に含まれるクエン酸やアミノ酸には、血液がドロドロになるのを防ぎ、血流をよくする働きがあり、血液中の中性脂肪を抑える働きがあるそうです。

酸化悪玉コレステロールとは・原因・数値(基準値)・測定(検査)・対策について詳しくはこちら

酢&クルミ(オメガ3)は血液&血管改善食材|主治医が見つかる診療所によれば、お酢には、美肌・高血圧・心疾患・脳梗塞認知症に効果があるとされています。

※どの研究結果でも、お酢を摂ることを止めてしまうと元の数値に戻ってしまうそうですので、続けることが重要なようです。

  • ブドウ糖と酢を同時に摂る(例:お寿司)と、血糖値の上昇が抑えられていることがわかったそうです。
    白米だけ食べた場合と、白米+お酢で食べた場合の食後の血糖値の上昇を比較すると、お酢と一緒に食べた方が血糖値の上昇が緩やかになったそうです。
    炭水化物を食べると、消化・分解され、ブドウ糖になって腸から血液の中に吸収されます。
    お酢はその消化・分解を抑えるため、糖の吸収が緩やかになって、食後の血糖値が急激に上がるのを防ぐと考えられます。

→ 中性脂肪を下げる食事・運動・サプリメント について詳しくはこちら







糖尿病性腎症の発症メカニズム解明|サーチュインの働きを高めて、糖尿病性腎症の発症を防ぐ|慶應義塾大学・米MIT

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■糖尿病性腎症の発症メカニズム解明|サーチュインの働きを高めて、糖尿病性腎症の発症を防ぐ|慶應義塾大学・米MIT

Dialysis Nursing

by Steve Davis(画像:Creative Commons)

糖尿病性腎症、仕組み解明…早期診断に道

(2013/10/21、読売新聞)

慶應義塾大学の伊藤裕教授らのグループが糖尿病性腎症(糖尿病腎臓の機能が低下する病気)の発症メカニズムを解明したそうです。

【参考リンク】




■糖尿病性腎症とは?

糖尿病の患者数は推計1000万人で、人工透析の最大の原因になっている。

腎臓で血液を濾過ろかする糸球体という部分が傷つき、尿に微量のたんぱく質が漏れ出すのが、糖尿病性腎症の第1段階と考えられていた。

糖尿病の合併症の一つが糖尿病性腎症です。

腎臓の機能として最も大事なのが、体の中に溜まった老廃物などをろ過する機能ですが、腎臓機能が低下し、ろ過できなくなると、人工透析をする必要があります。

腎臓が突然ダメになる 急増!沈黙の新現代病|#ためしてガッテン(#NHK)

血液をいったん体の外に出し「人工腎臓」と呼ばれる機器でろ過をする人工透析が必要になります。

人工腎臓の中には、細い管が約1万本入っています。

その管1本1本の壁にはミクロの穴が無数に開いていて、分子の大きさで、老廃物と体に必要な糖やたんぱく質などを選り分けることができるのです。

腎臓でこのろ過を担当するのは「糸球体」と言う毛細血管の塊です。

糸球体は片方の腎臓に約100万個、両方で約200万個あると言われています。

※人工透析には機器で血液をろ過する「血液透析」と、自分の腹膜を利用する「腹膜透析」があります。

■今回解明された糖尿病性腎症の発症メカニズムとは?

研究グループはマウスの実験で、糖尿病になると糸球体が傷つく前に、尿を作る尿細管から糸球体に放出される「ニコチン酸モノヌクレオチド(NMN)」という物質の量が減ることを発見した。サーチュインという遺伝子の働きが、糖尿病で悪くなることが原因で、遺伝子改変で、糖尿病のマウスのサーチュインの働きを高めると、糖尿病性腎症の発症を防げた。

サーチュイン遺伝子といえば、長寿遺伝子とも言われ、カロリー制限をすることで、活性化することができれば、長生きにつながると言われています。

今回の実験では、そのサーチュイン遺伝子の働きが糖尿病によって悪化することが原因で、尿を作る尿細管から糸球体に放出される「ニコチン酸モノヌクレオチド(NMN)」という物質の量が減ることがわかり、サーチュインの働きを高めると、糖尿病性腎症の発症を防ぐことに成功したそうです。

→ 糖尿病性腎症の症状・原因・治療 について詳しくはこちら

→ 糖尿病の症状・初期症状 について詳しくはこちら




→ 不老長寿物質NMNでサーチュインを老化を食い止める!サーチュインを活性化させる方法 について詳しくはこちら




【サーチュイン関連記事】
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#パイオニア、医療用電子聴診器の開発|聴診における課題を解決するために広島大学大学院救急集中治療医学と共同研究




■パイオニア、医療用電子聴診器の開発

パイオニア、医療用電子聴診器の開発|聴診における課題を解決するために広島大学大学院救急集中治療医学と共同研究
パイオニア、医療用電子聴診器の開発|聴診における課題を解決するために広島大学大学院救急集中治療医学と共同研究

参考画像:~パイオニアの音響技術を医療・健康機器に応用~医療用電子聴診器「U10シリーズ」の出荷を開始(2017/1/11、パイオニアニュースリリース)|スクリーンショット

~パイオニアの音響技術を医療・健康機器に応用~医療用電子聴診器「U10シリーズ」の出荷を開始

(2017/1/11、パイオニアニュースリリース)

本製品は、生体音を正確に取得するセンシング技術をはじめとする当社独自の音響技術を用いて聴感性能を高めるとともに、同大学病院医師の監修の下、握りやすさや操作性、堅牢性など、医療従事者のユーザビリティを考慮した形状と、医療機器に相応しい白を基調としたデザインを採用しています。

パイオニアは2013年より広島大学大学院救急集中治療医学と聴診における課題を解決するために共同研究を行なっており、医療用の電子聴診器を開発しました。

聴診における課題とはどういうものなのでしょうか。




■パイオニア、聴診における課題を解決するために広島大学大学院救急集中治療医学と共同研究

医師その他医療従事者の聴感による主観的評価である聴診は、評価のばらつきや、情報共有が難しい点など、多くの課題が挙げられています。

聴覚は個人による主観であり、その評価にばらつきがあったり、情報共有が難しい点など、多くの課題があるそうです。

緑内障の診断においても同じような課題があり、緑内障のリスク要因を4つの類型に自動で分類する手法を開発|東北大・トプコンによれば、視神経の変形を肉眼で判定し、分類作業を行なう上で、従来は、医師の経験や主観的な要素が大きく、また一般的な診療所では分類が難しいことが問題となっていました。

聴診器の再発明によって、聴診のレベルが高くなり、また標準化することができたり、情報共有化することができれば、より適切な治療を選択することが期待されます。

また、聴診における課題が解決されれば、病気の予防につながるサインを見つけることができるようになるかもしれません。




→ ウェアラブルデバイス、次に注目されるのは「耳の中」!? について詳しくはこちら




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Googleの親会社のAlphabet傘下のVerily、糖尿病患者の血糖値を管理するスマートコンタクトレンズを開発中止

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■Google、糖尿病患者の血糖値を管理するスマートコンタクトレンズを開発

参考画像:Engadget

Googleがスマート コンタクトレンズを開発、血糖センサと無線内蔵の医療用。LED内蔵も検討

(2014/1/17、engadget)

Google の先端技術研究所 Google [x] が開発した Smart Contact Lens は、二層のソフトコンタクトに微細なセンサーとチップ、アンテナを挟んだ構造で、(当初の) 用途は医療用。

涙に含まれるグルコースを監視することで、糖尿病患者に血液検査より楽な血糖値管理の方法を提供するとともに、今後はLEDを内蔵して、着用者に血糖レベルの急激な変動を警告する機能も検討しています。

Googleはさまざまな分野に進出していることで話題になっていますが、今回は医療分野に進出しました。

【関連記事】

Googleが開発することを発表したスマートコンタクトレンズは医療用で糖尿病患者の血糖値管理をすることができるというもの。

血糖値の急激な変動をした際には、内蔵されたLEDで警告ができるようにする機能も検討されているそうです。

血糖値を測定するのは大変な手間だと思いますので、それがコンタクトレンズで自動で管理することができれば、すごく楽になるのではないでしょうか。

【追記(2018/11/19)】

Update on our Smart Lens program with Alcon(2018/11/16、Verily)によれば、Verily(べリリー)は血糖値を測定するコンタクトレンズの開発の中止を発表しました。







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