■厚生労働省の通達に対応した遠隔医療機能を持たせたサービスがいよいよスタート
by NEC Corporation of America(画像:Creative Commons)
遠隔医療で動画・メッセに厚労省がゴーサイン、医療メッセンジャー「メディライン」が新機能
(2017/7/20、TechCrunch)
この通達は遠隔医療だけでも法に触れないケースを明確化することが目的。テレビ電話やSNSを活用した遠隔医療について触れている点は大変興味深く、遠隔医療を手がける企業には大きな影響を及ぼすはずだ。
厚生労働省が7月14日付けで出した通達「情報通信機器を用いた診療について」に対応して遠隔医療機能を持たせたサービスの展開が始まりそうです。
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- 情報通信機器を用いた診療(いわゆる「遠隔診療」)について(2017/7/14、厚生労働省)
シェアメディカルによると、たとえば肛門科や泌尿器科、婦人科などの診療科では治療内容が想像できず羞恥心や恐怖心が初診を受ける際の大きな障壁になっているという。
遠隔医療におけるメリットは、遠隔地に住んでいて直接医師に診てもらうことが困難な人が受診できるだけでなく、肛門科や泌尿器科、婦人科などの直接診てもらうことが恥ずかしかったり、怖かったりする人が受診をするハードルを下げる効果も期待できると考えられます。
情報通信機器を用いた診療(いわゆる「遠隔診療」)について(2017/7/14、厚生労働省)によれば、「テレビ電話や、電子メール、ソーシャルネットワーキングサービス等の情報通信機器を組み合わせた遠隔診療についても、直接の対面診療に代替し得る程度の患者の心身の状況に関する有用な情報が得られる場合には、直ちに医師法第20条等に抵触するものではない」と明確化されましたが、どの程度動画・音声・静止画・チャットなどを組み合わせれば、この要件に当てはまるのかは気になるところです。
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■【ケース1】遠隔診療で漢方処方
メドピア、北里大学東洋医学総合研究所の漢方外来で「first call」の遠隔診療システムを導入
(2017/7/31、メドピア株式会社 PR TIMES)
漢方鍼灸治療センターでは、遠方などを理由に通院が困難な患者向けに、半年分の処方を予め決定した上で、1ヶ月毎に生薬を調剤して郵送する「長期処方」を行っています。しかし、漢方の効果を最大限に高めるためには、医師と薬剤師からの定期的な診察と指導によって、漢方の正しい理解の促進とその時々の患者の状態に合わせた処方薬の調整を行うことが重要であり、この点において長期処方の患者に対して課題がありました。
メドピアの連結子会社であるMediplatは、北里大学東洋医学総合研究所は、同研究所の漢方外来患者向けに「first call(ファーストコール)」を使った遠隔診療を導入(導入開始は2017年9月を予定)することを発表しました。
テレビ電話を活用した遠隔診療システムにより、遠方などを理由に通院が困難な患者に対して、漢方薬に対する正しい理解をしてもらいながら、患者の状態に合わせた処方薬の調整を行なうことを目指していくそうです。
■【ケース2】iPadを活用したパーキンソン病や認知症の患者さんへの遠隔診療サービス開始|順天堂医院・IBM
iPadを活用したパーキンソン病や認知症の患者さんへの遠隔診療サービス開始|順天堂医院・IBMによれば、順天堂大学医学部附属順天堂医院は、IBMの遠隔診療支援アプリを用いて、パーキンソン病や認知症といった神経疾患や慢性疾患による通院困難な患者さんのために、 日本初の遠隔診療サービスを開始するそうです。
「オンライン診療の導入で、禁煙治療の継続効果は1.5倍に」
(2017/9/12、日経デジタルヘルス)
オンライン診療と対面診療を組み合わせた禁煙治療は、対面診療のみの治療と比べて約1.5倍の治療継続効果がある――。
メドレーの川田裕美医師と自治医科大学 地域医療学センターの小谷和彦氏によって論文化が進められている臨床研究によれば、オンライン診療と対面診療を組み合わせた禁煙プログラムは、対面診療のみの治療と比べると治療継続効果が高いという結果が得られているそうです。
なぜ対面診療のみよりもオンライン診療と対面診療を組み合わせた禁煙治療のほうが治療継続効果が高いのでしょうか?
「そもそも対面のみの禁煙外来は、最後まで通院しきる人は半数に満たず、通院の負担やストレスから離脱する。オンライン診療と組み合わせると1.5倍程度の治療継続が可能という結果が得られた」。
今回の研究では、オンライン診療を組み合わせたことで通院の負担やストレスが軽減されたことによって、治療を継続したそうです。
糖尿病患者の治療継続は半数にとどまる|なぜ治療が続けられないのか?によれば、患者の大半がその治療方針を理解し、治療の重要性を認識しているものの、治療に伴う経済的な負担や治療継続へのストレスから治療を続けていくことができないようです。
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治療継続を促すためにも、声をかけ続けることが大事なようで、糖尿病予備軍に電話で予防のアドバイスを続けることで発症率が4割下がる|国立病院機構京都医療センターで紹介した国立病院機構京都医療センターによれば、糖尿病予備軍の人に電話で予防のアドバイスを続けることで、発症率が4割下がったそうです。
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「オンライン診療を受けた糖尿病患者は、従来のケア(非オンライン診療)に対して有意なHbA1c改善効果があったことが示されている」
Does telemedicine improve treatment outcomes for diabetes? A meta-analysis of results from 55 randomized controlled trials.によれば、オンライン診療を受けた糖尿病患者のほうが血糖値(HbA1c)の改善効果があったという成果もえられているそうですので、オンライン診療を組み合わせることにより、これまで治療継続できなかった人が治療継続をすることによって、治療効果が高まるのであれば、今後は、こうした方法が主流になっていくのではないでしょうか?
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■【ケース4】「遠隔医療マネジメントプログラム」の実施
「遠隔医療マネジメントプログラム」の実施 情報通信技術を活用した医療連携の実用に向けた共同検討の実施について
(2017/10/4、NTT東日本・千葉大学医学部附属病院)
千葉大学病院が10月28日から開始する履修証明プログラム 「遠隔医療マネジメントプログラム」でNTT東日本が複数の講義を行うなど、遠隔医療の担い手の教育で連携するほか、将来的には専門医とかかりつけ医が効率よくつながり、患者さんを的確に診療できる仕組みの実現に向けて、情報通信技術を活用した遠隔医療の共同開発プロジェクトに発展させていくことを目指します。
千葉大学医学部附属病院は、NTT東日本と、遠隔医療の運用、開発に携わる幅広い業種の人材の養成を目的とし「地域包括医療連携の実用に向けた共同検討プロジェクト」を実施するそうです。
■まとめ
これまでにも遠隔医療につながるサービスについていくつも取り上げてきました。
参考画像:新産業構造ビジョン(2017/5/30、経済産業省)
新産業構造ビジョン(2017/5/30、経済産業省)によれば、患者のQOLの最⼤化に向けて、個⼈の健康・医療データを活かす新たなシステムが必要であるとして、患者⾃らが納得して選択できる医療、患者の満⾜度の⾼い医療、時間・場所を問わず、必要な医療が提供される環境の実現が必要とあり、その中でも「遠隔診療」、「AIを活⽤した診療」といったIoTやAI等の⾰新的技術を医療現場におけて利活⽤する取り組みが重要となるとあります。
医療とテクノロジーを組み合わせることによって、時間・場所を問わず、必要な医療が提供される環境が実現すれば、より医療が身近なものとなっていくことが期待されます。
例えば、最近では、AmazonのAlexaを搭載したスマートスピーカー「Amazon Echo」やLINEのClovaが搭載されたスマートスピーカー「WAVE」などスマートスピーカーに注目が集まっていますが、このスマートスピーカーと医療アプリを組み合わせて、ユーザーがつぶやいた言葉を記録しておき、その言葉がある一定以上の条件に当てはまると、医療情報が出てきたり、アプリの医療相談ができるような仕組みになると、面白そうですよね。
このようになっていけば、病院へのハードルが低いものとなり、深刻な病気になる一歩前の段階での治療につながっていくのではないでしょうか。
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