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【子供の虫歯二極化】歯科の受診が確認できない子供が65%、「口腔崩壊」の子どもがいる学校の割合も35%




■【子供の虫歯二極化】歯科の受診が確認できない子供が65%、「口腔崩壊」の子どもがいる学校の割合も35%

Dental Project

by ND Strupler(画像:Creative Commons)

子どもの虫歯二極化、口腔崩壊も 経済格差背景か

(2017/5/19、神戸新聞NEXT)

兵庫県内の小中高・特別支援学校で2016年度に行われた歯科検診で、虫歯などが見つかり「要受診」とされた約3万5千人のうち、歯科の受診が確認できない児童・生徒が約2万3千人、65%に上ることが県保険医協会の調査で分かった。未治療の虫歯が10本以上あるなど「口腔(こうくう)崩壊」の子どもがいる学校の割合も35%に上った。

兵庫県保険医協会の調査によれば、歯科の受診が確認できない子供が65%、「口腔崩壊」の子どもがいる学校の割合も35%にのぼったそうです。

むし歯(齲歯)の者の割合の推移|平成 27 年度学校保健統計(学校保健統計調査報告書)の公表について
むし歯(齲歯)の者の割合の推移|平成 27 年度学校保健統計(学校保健統計調査報告書)の公表について

参考画像:平成 27 年度学校保健統計(学校保健統計調査報告書)の公表について|スクリーンショット

子どもの虫歯が激減|就寝前の歯磨き習慣やフッ素を使ったうがいの予防策の浸透が背景によれば、虫歯の割合は幼稚園・小中高校とも1980年ごろから低下傾向が続いているにもかかわらず、今回の調査結果を合わせて考えると、二極化が進んでいる可能性があります。

同協会によれば、この背景には「貧困(仕事が忙しく、子供の歯に気をつかう時間的・経済的余裕がない)」があると考えられるそうです。

口腔崩壊の児童・生徒がいる場合、家庭状況について尋ねた(複数回答)ところ「一人親家庭」が37%で最も多く、「保護者の健康への理解不足」(33%)、「経済的困難」(32%)などが目立った。

「所得」「地域」「雇用形態」「家族構成」の4つが「#健康格差」の要因|#NHKスペシャル低所得者ほど穀類摂取が多く、野菜・肉類は少ない、喫煙者の割合が多いによれば、低所得者の人には、歯の本数が20本未満の人の割合が多いそうで、所得の高さと健康な歯の本数とには関連があると考えられそうです。

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■まとめ

歯の健康と生活習慣病との関係が最近注目されています。

例えば、糖尿病と歯周病との関連 免疫低下で原因菌増加で紹介した愛知学院大歯学部歯周病科の野口俊英教授によれば、歯周病と糖尿病には共通点があるそうです。

  1. 初期に顕著な自覚症状がない
  2. 罹患率が高い
  3. 生活習慣病
  4. 慢性疾患
  5. 病気の進行のメカニズムが似ている

糖尿病と歯周病の関連性は疫学調査や動物実験などで明らかにされており、糖尿病を多く発症する米アリゾナ州のピマインディアンを対象にした調査では、歯周病の発症率が糖尿病ではない人に比べて二・六倍高い、といったことも分かっているそうです。

糖尿病を発症すると歯周病の進行が早くなるのはなぜでしょうか。

  1. 糖尿病が進行すると、免疫機能が低下し、歯周病を起こす細菌が増えることから。
  2. 歯周病が重症化すると、その細菌と戦おうと「TNF-α」と呼ばれるタンパク質が出されるが、そのTNF-αがインスリンの働きを悪くして、血糖値のコントロールをも悪化させるから。

歯周病になり、歯を失う最大の欠点は、食べ物をかめなくなることです。

噛みごたえのある食事ができなければ、少ない食事量では食事の満足感が得られなくなってしまいます。

子供の時から虫歯が多いということは、将来の健康リスクにも影響する恐れがあります。

経済格差が原因にあるのであれば、子供の歯の健康を守る仕組みを作っていく必要があるのではないでしょうか。

→ 歯周病の症状・原因 について詳しくはこちら

→ 歯周病は糖尿病の合併症の一つ!?糖尿病と歯周病の関係 について詳しくはこちら

→ 歯周病を予防する方法(歯磨き・歯ブラシ) について詳しくはこちら







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むし歯(う歯)は中学生・高校生で過去最低|2017年度学校保健統計調査




■むし歯(う歯)は中学生・高校生で過去最低|2017年度学校保健統計調査

むし歯(う歯)の者の割合の推移|平成29年度学校保健統計速報
むし歯(う歯)の者の割合の推移|平成29年度学校保健統計速報

参考画像:平成29年度学校保健統計速報(学校保健統計調査の結果速報)の公表について(2017/12/22、文部科学省)|スクリーンショット

平成29年度学校保健統計速報(学校保健統計調査の結果速報)の公表について

(2017/12/22、文部科学省)

むし歯(う歯)は中学校及び高等学校で過去最低,裸眼視力1.0未満の者の割合は小学校及び中学校で過去最高となったほか,耳疾患が小学校,中学校及び高等学校で過去最高となっている。

平成29年度学校保健統計速報(学校保健統計調査の結果速報)で気になるデータは3つ。

1.むし歯(う歯)は中学生・高校生で過去最低になったこと、2.裸眼視力1.0未満の小学生・中学生の割合が過去最高になったこと、3.耳疾患が小中高で過去最高になっていることです。

今回は「むし歯(う歯)は中学生・高校生で過去最低になったこと」について取り上げてみたいと思います。

子どもの虫歯が激減|就寝前の歯磨き習慣やフッ素を使ったうがいの予防策の浸透が背景によれば、歯磨き習慣が身についていることやフッ素を使ったうがいなどによる予防策が浸透していることが良い結果を生んでいるようです。




ただ気になるニュースもあります。

【子供の虫歯二極化】歯科の受診が確認できない子供が65%、「口腔崩壊」の子どもがいる学校の割合も35%で紹介した兵庫県保険医協会の調査によれば、歯科の受診が確認できない子供が65%、「口腔崩壊」の子どもがいる学校の割合も35%にのぼったそうです。

虫歯の割合は幼稚園・小中高校とも1980年ごろから低下傾向が続いているのですが、一方で未治療の虫歯が10本以上あるなど「口腔(こうくう)崩壊」の子供がいる学校の割合も35%あることがわかったことから、二極化が進んでいる可能性があります。

同協会によれば、この背景には「貧困(仕事が忙しく、子供の歯に気をつかう時間的・経済的余裕がない)」があると考えられるそうです。

むし歯は生活習慣や教育と大きく関係すると考えられます。

なぜ虫歯は、長時間メディア(特にゲーム)利用、睡眠不足、朝食欠食の子供に多いの?|富山大学で紹介した、富山大学地域連携推進機構地域医療保健支援部門によれば、虫歯は、長時間メディア(特にゲーム)を利用する子供、睡眠時間が短い子供、朝食を欠食する子供に多いことがわかったそうです。

富山大学地域連携推進機構地域医療保健支援部門が考える仮説としては、長時間メディア(特にゲーム)利用、睡眠不足、朝食欠食といった生活習慣が自律神経の活動に影響を与え、唾液分泌の量や質に変化が起きていることにより、むし歯になりやすいと考えられるそうです。

親の教育歴が低い家庭の子どもほど未就学児の虫歯治療経験が高くなっている|東北大学【#健康格差】によれば、東北大学大学院歯学研究科国際歯科保健学分野の相田潤准教授のグループが、厚生労働省が実施している「21 世紀出生児縦断調査」の追跡データを分析したところ、親の教育歴が低い家庭の子どもほど未就学児の虫歯治療経験が高くなっていることがわかったそうです。

今後はこうした家庭の子供をフォローすることができれば、さらにむし歯で悩む子供を減らすことができるのではないでしょうか。

→ 歯周病の症状・原因 について詳しくはこちら

→ 歯周病は糖尿病の合併症の一つ!?糖尿病と歯周病の関係 について詳しくはこちら

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人工的に歯のエナメル質を形成することに成功|エピプロフィンを発現させることで、虫歯によって失われたエナメル質の再生を行う歯の治療を目指す|東北大学




■人工的に歯のエナメル質を形成することに成功|東北大学

歯の構造|人工的に歯のエナメル質を形成することに成功|東北大学
歯の構造|人工的に歯のエナメル質を形成することに成功|東北大学

参考画像:人工的に歯のエナメル質を形成することに成功 〜次世代のむし歯の治療や歯の再生への応用が期待〜(2016/11/7、東北大学)|スクリーンショット

人工的に歯のエナメル質を形成することに成功 〜次世代のむし歯の治療や歯の再生への応用が期待〜

(2016/11/7、東北大学)

私たちの歯の最外層はエナメル質という構造で守られており、体の中で最も硬い組織です。

骨や軟骨などの硬組織と異なり、歯のエナメル質は皮膚の上皮細胞や毛や爪と同じ歯原性上皮細胞とよばれる上皮細胞によって形成されます。

また、歯の生える場所に応じて変化する歯の歯冠や歯根のかたちは、この歯原性上皮細胞が制御しています。

本研究では、転写因子の 1 つであるエピプロフィンをマウスの全身の上皮細胞に発現するような遺伝子操作したマウス(K5-Epfn マウス)を作製し解析しました。

そのマウスの歯を解析してみると、野生型(通常のマウス)ではエナメル質を形成しない場所にエナメル質を形成していることが明らかとなりました。

東北大学歯学研究科歯科薬理学分野の中村卓史准教授、小児発達歯科学分野の福本敏教授らと、米国国立衛生研究所との共同研究によれば、どのように歯のエナメルが作られ、また、歯のかたちを制御しているのかをわかったそうです。

「歯のばんそうこう(ハイドロキシアパタイトシート)」で虫歯にさようなら?(2012/9/19)では近畿大学生物理工学部の本津茂樹教授と大阪歯科大学の吉川一志准教授が、「歯のばんそうこう(1つ1つの歯を虫歯から守ったり、より白く見せることのできる極薄の膜)」を共同開発したというニュースを紹介しました。

「曲げられる」ハイドロアパタイトシートは、歯の保護やエナメル質の修復など、歯科治療での実用化を目指しているものですが、東北大学の研究では、人工的に歯のエナメル質を形成することによって虫歯治療や歯の再生を目指しているそうです。

歯の発生初期においてエピプロフィンは、歯原性上皮細胞に発現し、Shh や FGF9 の発現誘導を行うことにより、未分化な歯原性間葉細胞(Nestin 陽性細胞)の増殖を促進させ、歯胚の成長に重要な役割を演じていることが分かりました。

また、発生後期では歯原性上皮に発現しているエピプロフィンが、Shh の発現を誘導し、歯冠や歯根の形態形成を制御していることが明らかとなりました。

また、エピプロフィンは歯原性上皮細胞をエナメル芽細胞に分化誘導し、エナメル基質であるアメロブラスチン(Ambn)発現を促進させ、エナメル質の形成を行っていることが解明されました。

今後は、上皮細胞を歯原性上皮細胞に人工的に誘導し、その細胞にエピプロフィンを発現させることで、虫歯(齲蝕・うしょく)によって失ったエナメル質の再生や歯冠や歯根のかたちまでもコントロールできる技術開発に応用する研究を行なっていくそうです。







■pH5.5以下になると、歯の表面のエナメル質が溶ける

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「口がクサイという理由で友達と距離をとる」98%もいると判明|多くの女性が自分・他人の口臭に悩んでいる

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■多くの女性が自分の口臭・他人の口臭に悩んでいる

Beautiful woman with grimace beacuse of bad smell. Isolated on white.

by Aqua Mechanical(画像:Creative Commons)

「口がクサイという理由で友達やめる」98%もいると判明

(2012/4/15、Menjoy)

口臭について悩んでいる女性は42パーセントにのぼり、虫歯に悩んでいる52パーセントに次ぐ、高い結果を示しました。

<中略>

自分の口臭が気になり、人と距離をとったことがあると回答した人は99パーセントであり、他人が自分の口臭を気にしていると考えている人は69パーセントでした。

ちなみに、他人の口臭が気になり、距離をとったことがあると回答した人は98パーセントでした。

九州歯科大学保健医療フロンティア科学分野で峰岡哲郎医員らが、若い女性を対象に、口臭意識の実態、口臭と対人関係について調査によれば、多くの女性が自分の口臭・他人の口臭に悩んでいるという結果が出たそうです。




■どのような口臭対策を行なっているのか?

口臭対策としては、飴やガムを利用するという人が72パーセントともっとも高く、次いでお茶や水を飲むが46パーセント、歯磨きをするが28パーセントでした。

<中略>

口臭に対する不安をもっているものの、本当に口臭予防に効果的な舌苔除去や歯周病予防などがおこなわれず、飴やガム、お茶といった、一時しのぎの方法がとられ、解決できていないという実態もみえてきます。

口臭に対して悩みを持っていても、アメやガムといった一時的な対策をしている人が多く、歯間ブラシやフロス、歯周病対策、舌苔除去といった根本的な対策はしていないようです。

日本の人が海外の人の(特に脇の)ニオイに敏感なのに対し、海外の人は日本人の口臭に敏感だと聞いたことがあります。

日本人は口臭対策をしない傾向にあるようですね。

→ 口臭の原因・対策 について詳しくはこちら







P.S.
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歯周病、糖尿病で合併も|糖尿病患者の死亡率は歯周病が重度になるほど高まる

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■歯周病、糖尿病で合併も|糖尿病患者の死亡率は歯周病が重度になるほど高まる

Fort Hood Dental Activity educates children

by Army Medicine(画像:Creative Commons)

歯周病、糖尿病で合併も

(2010/1/27、47ニュース)

糖尿病の合併症の中で、網膜症や腎症、神経障害などに比べ知られていないのが歯周病だ。

腎症などによる死亡にもかかわっているとされる一方、歯周病を治療することで糖尿病のコントロールもよくなったとの報告もあるといい、医科と歯科が協力して患者をケアする取り組みが始まっている。

糖尿病と歯周病の関係についてはこのブログでも取り上げてきました。

糖尿病の患者は、歯周組織の微小な血管の障害や、歯肉部分の血行の悪化、免疫機能の低下などで歯周病が悪化しやすいと考えられている。

糖尿病になると、歯周病が悪化しやすいと考えられ、また反対に歯周病が糖尿病に影響を与えているとも考えられています。

公立昭和病院(東京都小平市)内分泌・代謝内科の貴田岡正史部長によると、糖尿病患者の死亡率は、合併している歯周病が重度になるほど高まり、糖尿病性腎症心筋梗塞が原因で死亡するケースでは、約4割に歯周病がかかわるとの研究がある。

記事によれば、糖尿病患者の死亡率は歯周病が重度になるほど高まるそうです。

糖尿病網膜症などの状況が眼科医の協力で改善しているのに比べると、歯周病は合併症としての認知度がまだ低い」

糖尿病の予防のためにも、また糖尿病の合併症の予防のためにも、歯科医や眼科医などの医師同士の協力が重要になってきそうです。

→ 糖尿病の症状・初期症状 について詳しくはこちら

→ 糖尿病危険度チェック について詳しくはこちら







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