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抗炎症食品で慢性炎症を抑えよう!




最近興味があることに共通するのが「炎症・抗炎症」なんですよね。

もっと抗炎症食品をとる必要がある、もしくは炎症を抑える生活習慣を取り入れるべきなのではないかと思っているんです。

食いしばりをやめたら歯茎の膿が消えた話、アトピーのかゆみがお風呂の後・運動後に悪化する理由、臓器ごとの老化のタイミング、和食の弱点と地中海式の組み合わせ、エストロゲンの抗炎症作用と閉経、亜鉛サプリ、うつ病と腸内細菌・環境汚染物質による炎症、炎症を引き起こす食事と認知症リスク……。

【関連記事】

これらをつなぐ共通のキーワードが「低度の慢性炎症(inflammaging)」です。

加齢やホルモン変化、生活習慣の積み重ねで体内に持続的な弱い炎症が広がると、心血管疾患、代謝異常、認知機能低下、関節や皮膚のトラブルなど、さまざまなリスクが高まります。

逆に言えば、日常の食事と生活習慣でこの炎症を抑える方向にシフトできれば、健康寿命を延ばす可能性があるのではないか?

ここでは論文をベースに、抗炎症食品についてまとめます。

■慢性炎症とは何か? なぜ食事が重要なのか

急性炎症はケガや感染に対する体の防御反応ですが、低度の慢性炎症は「静かに続く炎」のようなものです。

C反応性蛋白(CRP、特に高感度hs-CRP)やインターロイキン-6(IL-6)、腫瘍壊死因子α(TNF-α)などの炎症マーカーがわずかに上昇した状態が長く続くと、組織の損傷や老化を加速させます。

女性の場合、エストロゲンに抗炎症作用があることが知られており、閉経前後でそのブレーキが弱まることで慢性炎症が広がりやすい「炎症イベント」の時期になる、との指摘もあります(Journal of Neuroinflammation 2020のレビューなど)。

加齢全体でも「inflammaging」という概念で説明されます。

また、睡眠不足により身体の中で炎症を起こす物質が増加し、がんや感染症、神経変性疾患や心血管性疾患、そして糖尿病のリスクが高まる場合があります。

さらに見逃せないのが「体の糖化(AGEs)」との悪循環です。

精製された砂糖や炭水化物の過剰摂取、高温調理などにより体内で作られる「AGEs(最終糖化産物)」は、細胞の受容体(RAGE)と結びつくことで強い炎症シグナルを発生させます。

「糖化(体の焦げ)」が「慢性炎症(体の火事)」を招き、それがさらに組織の老化を加速させるという負のスパイラルが形成されるのです。

食事はこの「糖化」と「炎症」の両方を左右する大きな要因です。

西洋型の食事(加工食品・精製炭水化物・過剰な飽和脂肪・砂糖中心)は炎症マーカーを上げやすい一方、植物性食品・良質な脂質・食物繊維が豊富な食事パターンは下げやすいことが、複数の観察研究と介入試験で示されています。

→ 糖化を防ぐ食べ物(抗糖化成分)・食事法 について詳しくはこちら

■論文が支持する抗炎症食事パターン

●地中海式

最もエビデンスが蓄積されているのが地中海式食事です。

最近の系統的レビューとメタ分析(2024年までのRCTを対象、33試験・約3500人)では、地中海式食事が対照食に比べてhs-CRP、IL-6、IL-17を有意に低下させることが報告されています。

特に60歳未満や心血管疾患のある人、介入期間が比較的短い場合で効果が明確だったケースもあります。

PREDIMED試験などの大規模研究でも、エクストラバージンオリーブオイルやナッツを加えた地中海式が心血管イベントを約30%減らしたことが知られ、その一部は抗炎症・抗酸化作用によると解釈されています。

MIND食(地中海式+DASH食を脳の健康向けに調整したもの)やAlternative Healthy Eating Index(AHEI)のような「健康的な食品を積極的に、悪い食品を控える」パターンも、認知症リスク低下と関連するデータがあります(UK Biobankを用いた研究など)。

一方、伝統的な和食は魚のオメガ3、大豆、発酵食品、海藻といった優れた点を持ちますが、野菜量が不足しがち・煮物や調味料による隠れ砂糖・塩分過多・タンパク質がやや少ない、といった弱点が指摘されることもあります。

だから「和食をやめて地中海式に切り替え」ではなく、和食の長所を残しつつ地中海式の強みを足すハイブリッドが現実的です。

ただ、砂糖やみりんを多く使う煮物は、味付けとして美味しい反面、血糖値を上げやすく「糖化→慢性炎症」につながりやすいので、AGEsを増やさないように調理に工夫が必要です。

AGEsは「高温での加熱(揚げる・焼く)」で特に増えやすいため、野菜やタンパク質は『焼く・揚げる』だけでなく、「低温での加熱(生・蒸す・煮る)」や「クエン酸(酢やレモン)」を活用することで糖化(AGEs)の発生も抑えられます。

■抗炎症に寄与する食品・栄養素

●野菜・果物(特にカラフルなもの)

ポリフェノール、カロテノイド、ビタミンCなどが抗酸化・抗炎症に働きます。

アブラナ科野菜(ブロッコリー、キャベツなど)は解毒・抗炎症・抗酸化の三拍子、ベリー類(ブルーベリー、イチゴ)のアントシアニンは脳の炎症抑制と関連する報告があります。

摂取量が多いほどCRPやTNF-αが低い傾向があります。

アブラナ科野菜に多く含まれるイソチオシアネートや抗酸化性ビタミンの持つ抗炎症および抗酸化作用が死亡リスクの低下に寄与している可能性を指摘しています

→ アブラナ科の野菜 について詳しくはこちら

●全粒穀物・豆類・食物繊維

腸内細菌を育て、短鎖脂肪酸を増やして炎症を抑える経路が重要です。

精製穀物より全粒の方が有利です。

●ナッツ・種子類

不飽和脂肪酸、抗酸化物質、マグネシウムなどが寄与。

アーモンドなどでCRP・IL-6低下の報告があります。

●青魚・オメガ3脂肪酸(EPA・DHA

炎症性サイトカインを抑制する強いエビデンスがあります。

魚をあまり食べない人ではサプリでもCRPなどがわずかに下がるデータ(VITAL試験など)があります。

筋損傷後の炎症緩和にも有用とされています。

→ オメガ3を多く含む食べ物

●エクストラバージンオリーブオイル

オレイン酸に加え、ポリフェノール(オレウロペインなど)が抗炎症・抗酸化を担います。

●スパイス・ハーブ

ターメリック(クルクミン)は条件付きで有望(吸収を高める工夫が必要)。生姜なども。

●その他

亜鉛はインスリン抵抗性や炎症改善の可能性が指摘され、ビタミンDも一部病態で有効との報告があります。

→ 亜鉛を含む食べ物 について詳しくはこちら

タウリンの摂取により、炎症の重要な指標である「CRP」などが低下することがメタアナリシスなどで報告されています。

※CRP(C反応性蛋白)とは、体内で炎症や組織の損傷が起きると、肝臓から血液中へ放出されるタンパク質のことです。体のどこかで細菌感染やケガ、手術、膠原病などの異常が起きると、数値が急激に上昇しますので、炎症のサインともなります。

→ タウリンの多い食べ物 について詳しくはこちら

■炎症を促しやすい食べ物

逆に炎症を促しやすいのは、加工肉・赤身肉の過剰、砂糖入り飲料、揚げ物、過度に精製された炭水化物などです。

エネルギー調整した食事炎症指数(EDII)が高い人は認知症リスクが約30%高まるとのデータもあります。

■和食をベースにした実践的な取り入れ方

・白米に玄米・雑穀・もち麦を混ぜ、食物繊維を増やす。
・野菜は加熱だけでなく生や蒸しを意識的に増やし、1日の量を確保。
・魚や豆腐に加え、卵や適量の肉もバランスよく。仕上げにオリーブオイルやえごま油を。
・味付けは出汁・酢・薬味・ハーブ・スパイスで減塩・減糖。
・毎日の習慣にナッツ(ひとつかみ)やベリー類を。
・発酵食品(納豆、味噌など)は腸内環境を整える味方として継続。

できるところから少しずつ取り入れていきましょう。

また、体重管理、適度な運動(激しすぎない有酸素+筋トレ)、質の良い睡眠、ストレス軽減も炎症抑制に寄与します。

運動直後は一時的にヒスタミンや血管拡張で症状が悪化することがあるので、アトピーなどがある人はクールダウンを意識するとよいでしょう。

■まとめ

抗炎症を意識して、健康寿命を延ばす方向にシフトしませんか?

【参考文献】

  • McCarthy M, Raval AP. The peri-menopause in a woman’s life: a systemic inflammatory phase that enables later neurodegenerative disease. J Neuroinflammation. 2020;17(1):317.
  • Mediterranean Diet Reduces Inflammation in Adults: A Systematic Review and Meta-analysis of Randomized Controlled Trials. Nutrition Reviews. 2025.(33 RCTs, n≈3476)
  • Youn JE, Kwon YJ, et al. Association of Mediterranean, high-quality, and anti-inflammatory diet with dementia in UK Biobank cohort. J Nutr Health Aging. 2025;29(7):100564.
  • Estruch R, et al. Primary Prevention of Cardiovascular Disease with a Mediterranean Diet Supplemented with Extra-Virgin Olive Oil or Nuts. N Engl J Med. 2018;378:e34.(PREDIMED試験改訂版)
  • AGEs-RAGE axisに関するレビュー(例:Activation and modulation of the AGEs-RAGE axis: Implications for inflammatory pathologies. 2024など)
  • VITAL Research Group. Vitamin D and Omega-3 Trial関連論文(オメガ3と炎症マーカー)

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食いしばりをやめたら歯茎の膿が消えた話|抗生物質が効かなかった本当の理由




以前歯茎が腫れて膿が出てくるようになって、歯医者さんで治療を受けた際に、3日分の抗生物質をもらったんですけど、全然効かずに、ずっと腫れが続いていました。

それとは別に「食いしばりがあるようなので注意してください」と言われていたので、自分自身を観察してみると、日ごろから上下の歯同士が接触する機会が多いことに気づきました(TCH)。

そこで、歯を触れないように心掛けていたところ、そういえば、歯茎の腫れ・膿が治っていることに気づきました。

そして、こんなXの投稿を見かけたんです。

それが食いしばりやTCHといった噛み締め癖によって、あごの「咬筋」や、頭の横の「側頭筋」がガチガチに固まってしまっていると、血流がシャットアウトされ、酸素や栄養が届かなくなり、老廃物や炎症物質が滞り、慢性的な炎症につながるというもの。

そこで生まれたのが「食いしばりがあると慢性的な炎症で歯茎が不健康な状態になるのではないか?」という仮説です。

この仮説について論文ベースで調べてみることにしました。

結論から言うと、食いしばり(咬合性外傷/機械的ストレス)は歯茎の炎症や膿を引き起こす・悪化させる大きな要因となりうるそうです。

■ 歯の食いしばりやブラキシズムが炎症(膿)を招く理由(咬合性外傷)

歯の食いしばりやブラキシズムによって、歯に過度な力が加わり続けると、歯と骨をつなぐ「歯根膜(しこんまく)」という組織に強い機械的ストレス(圧力・歪み)がかかります。

これを「咬合性外傷」と呼びます。

歯根膜細胞に物理的な負荷(機械的ストレス)がかかると、細菌がいなくても、または細菌刺激と相まって、IL-6やIL-8、TNF-αなどの「炎症性サイトカイン(炎症物質)」が過剰に放出されることが報告されています(Yamamotoら、2006年・2011年など)。

力の負荷によって歯根膜の微小血管が圧迫されて血流障害が起き、組織が一部損傷することで、強い炎症反応や組織の分解が進みます。

すでに歯周組織に軽い炎症(歯周炎)や細菌(プラーク)が存在する場合、食いしばりの力が加わることで破壊のスピードが加速し、急性化して膿(歯周膿瘍)を形成することが症例報告などで示されています。

重要なポイントは、咬合性外傷は歯周炎の「原因」そのものではない(プラーク・細菌が主因)のですが、悪化要因(修飾因子)として強く働き、炎症がある部位で膿を誘発・増悪させた可能性が高いと考えられます。

※ブラキシズムとは、睡眠中や日中に無意識で歯を強く噛みしめたり、こすり合わせたりする癖や運動のことです。一般には「歯ぎしり」や「食いしばり」と呼ばれています。

■ なぜ抗生物質が効かなかったのか?

その理由は、原因が「細菌の増殖」だけではなく「機械的な破壊(力)」も大きく関わっていたためだと考えられます。

抗生物質(抗菌薬)は「細菌を殺す・増殖を抑える」ための薬です。

標準的な歯周膿瘍の治療は排膿と機械的清掃(デブライドメント)が中心で、抗生物質は全身症状(発熱など)がある場合や免疫低下時の補助的な使用に限られることが多いです。

通常の歯周病や感染症であれば細菌を抑えることで膿や腫れが引きますが、今回の膿の主因に「食いしばりによる物理的な組織破壊と血流障害」が含まれていた場合、原因である「力(圧迫)」がかかり続けている以上、抗生物質を飲んでも炎症物質の放出や組織の損傷は止まらないため、「抗生物質が効かない(効果を感じられない)」という現象が起こり得ます。

■ 食いしばりを意識したら膿が消えた理由:物理的ストレスの除去による組織のリモデリング(修復)

食いしばりに気をつけて減らしたことで、「炎症の元凶の一つ(機械的ストレス)」が取り除かれたため、膿が消えたと考えられます。

歯根膜への圧迫が解除されると、途絶えていた微小血流が再開します。

血流が戻ることで、体自身の免疫細胞や栄養が届くようになり、溜まっていた炎症物質が洗い流され、壊れた組織の修復(自己治癒)が進みます。

歯周病治療の領域でも、「歯周病治療(清掃)だけを行うより、咬合調整(噛み合わせや過度な力を減らすこと)を併用した方が、炎症の大幅な改善とポケットの縮小が得られる」という臨床的知見が報告されています。

■ まとめ

この解説はあくまでも「そういう可能性がある」というもので、正確に診断するものではありません。

ただ、食いしばりが間接的に歯茎の炎症を悪化させる要因になりうるということがわかったことから、一つの対策として覚えておいて損はないようです。

もちろん他の問題(ポケットの残存、噛み合わせの異常、根の破折など)があることも考えられますので、詳しくは専門の歯科医(できれば歯周病専門医)に診てもらうことを強くお勧めします。

【参考文献】

  1. Yamamoto T, et al. Mechanical stress induces expression of cytokines in human periodontal ligament cells. Oral Diseases. 2006;12(2):171-177.
  2. Yamamoto T, et al. Mechanical stress enhances production of cytokines in human periodontal ligament cells induced by Porphyromonas gingivalis. Archives of Oral Biology. 2011;56(3):251-257.
  3. Fan J, Caton JG. Occlusal trauma and excessive occlusal forces: Narrative review, case definitions, and diagnostic considerations. Journal of Periodontology. 2018;89(Suppl 1):S214-S222. / Journal of Clinical Periodontology. 2018;45(Suppl 20):S199-S206.
  4. Leone et al. (または関連するスコープレビュー) Occlusal Overload and Periodontitis: Integrating Mechanisms, Clinical Evidence, and Emerging Perspectives—A Scoping Review. International Journal of Dentistry. 2026.
  5. Yegin Z, et al. Treatment of periodontal abscess caused by occlusal trauma: A case report. Journal of Pediatric Dentistry. 2013;1(2):50-52.
  6. Mascarenhas R, et al. Management of occlusal trauma-related periodontal abscess: A case report and mini-review of the literature. World Academy of Sciences Journal. 2025;7:23.
  7. 日本歯周病学会. 歯周治療のガイドライン2022.
  8. 日本歯周病学会. 歯周病患者における抗菌薬適正使用のガイドライン2020.







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運動がなぜうつ症状を改善するの?運動すると筋肉がアペリンを出して、脳に届いて海馬を元気にし、うつを軽くする




今回紹介する論文(Molecular Psychiatry、2026年発表)は、「運動がなぜうつ症状を改善するのか」を、筋肉と脳のやり取りという視点から詳しく調べた研究です。

■背景:運動がうつに効く理由はまだ不明だった

うつ病は世界的に大きな健康問題で、運動が薬に頼らない有効な対策のひとつとして知られています。

特に、脳の海馬(記憶や感情に関わる部位)で新しい神経細胞が生まれたり、シナプス(神経同士のつながり)が強くなったりする「可塑性」が高まることが重要です。

しかし、「筋肉が動くと、どうやって脳にその効果が伝わるのか」という分子レベルの仕組みはよくわかっていませんでした。

最近、運動で筋肉から分泌される「マイオカイン」(筋肉由来のメッセンジャー物質)が注目されており、この研究ではそのひとつであるアペリン(apelin)に着目しました。

【マイオカイン関連記事】

■主な発見

【マウスを使った実験でわかったこと】

●運動でアペリンが増える

4週間の自発的なランニング(車輪を自由に回す運動)をすると、ストレスで誘発されたうつ様行動(甘いものを好む程度の低下、無気力など)が改善しました。

同時に、血液中と海馬のアペリンの量が増えました。

主な産生源は、ふくらはぎやすねの筋肉(腓腹筋や前脛骨筋)でした。

●筋肉のアペリンが鍵

筋肉だけアペリンを作れなくしたマウスでは、運動の抗うつ効果や海馬での新しい神経細胞の増加が消えてしまいました。

逆に、筋肉でアペリンを過剰に作らせると、運動しなくても似たような抗うつ効果や神経新生の促進が見られました。

つまり、運動の効果の多くは「筋肉から出るアペリン」が担っていることがわかりました。

●脳での作用メカニズム

アペリンは血液を介して海馬に届き、神経細胞の表面にある受容体「APJ」に結合します。

すると以下の流れが起こります。

・酵素「カゼインキナーゼ2(CK2)」が活性化される。
・NMDA受容体(学習や記憶に重要な神経伝達に関わる受容体)の一部(GluN2Bサブユニット)がリン酸化される。
・その結果、NMDA受容体の働きが強まり、下流のカルパイン2という酵素が活性化される。
・これらが海馬の神経可塑性(神経新生やシナプス機能の向上)を高め、うつ様行動を改善する。

海馬の特定の神経細胞でAPJを減らしたり、CK2の働きを薬で抑えたりすると、運動やアペリン過剰の効果が弱まりました。

■まとめ

「運動すると筋肉がアペリンを出して、それが脳に届いて海馬を元気にし、うつを軽くする」という仕組みが、マウス実験でかなり具体的に示された、という論文です。

人間でも同様の仕組みが働くかどうかは、今後の研究が必要ですが、加齢で筋肉が減る人(サルコペニアなど)ではアペリンが減りやすいため、運動の効果が出にくくなる可能性があり、アペリンをターゲットにした治療法(薬やサプリなど)の開発につながるかもしれません。

【補足】

【名医のthe太鼓判】サルコペニアとは?定義・予防・対策のやり方(運動・栄養)!

サルコペニアの定義とは、筋肉量(骨格筋量)の減少に加えて、筋力の低下(握力など)または身体(運動)機能の低下のいずれかが当てはまる場合、サルコペニアと診断するというものです。

【参考文献】







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アトピーのかゆみがお風呂の後・運動後に悪化する理由|ヒスタミンと血管拡張のメカニズム




Xの投稿でアトピーの人がお風呂の後、寒い外から温かい部屋、激しい運動後、緊張が解けた瞬間など「ヒスタミン」が放出されやすいタイミングがあるという投稿を見かけました。

そこで各タイミングでどのようにヒスタミンが影響するのか調べてみました。

■各タイミングの科学的な背景

●温度変化とかゆみ

皮膚表面の急激な温度変化(温かい→冷たい、またはその逆)がヒスタミン誘発のかゆみを増強することが実験で示されています。

Pfabら(2006, 2010)の研究では、ヒスタミン刺激後に皮膚温度を32℃(温)と25℃(やや冷)で交互に変えると、冷たい期間にかゆみ強度が有意に高まりました。

アトピー性皮膚炎(AD)患者では病変部で特に顕著で、日常の入浴後や気温変化でかゆみが増す現象と一致します。ガイドラインでもAD患者に極端な温度設定を避けるよう推奨されています。

●運動・発汗後

運動や熱環境で体が温まるとヒスタミン濃度が上昇します。

骨格筋内では運動関連の温度上昇でヒスタミンが増加(主にヒスチジン脱炭酸酵素による新規合成、マスト細胞脱顆粒ではない場合も)します。

また、AD患者では汗自体に対する即時型過敏反応(自己汗への皮膚テスト陽性率が高く、ヒスタミン放出を誘発)が報告されており、汗が残るとかゆみを悪化させます。

コリン作動性蕁麻疹でも運動・入浴・ストレスでマスト細胞からヒスタミンが放出され、症状が出ます。

●緊張が解けた瞬間

ストレス(交感神経優位)時は血管収縮しやすく、リラックス(副交感神経優位)で血管拡張が起き、血流増加とともにかゆみ閾値が下がる可能性があります。

ADでは血管反応が過剰で、ストレス後の血管拡張とかゆみの関連が指摘されています。

●掻く→ヒスタミン放出の負のスパイラル

掻く行為が感覚神経からサブスタンスPなどを放出し、マスト細胞を活性化してヒスタミンや他のメディエーターをさらに放出。

皮膚バリアが破壊され、炎症・かゆみが悪循環します。

ヒスタミンはH1/H4受容体を介してかゆみを誘発しますが、ADのかゆみは非ヒスタミン性経路(IL-31、TSLP、PAR2など)が主であることも多く、抗ヒスタミン薬の効果は限定的です(主に鎮静作用で夜間のかゆみを抑える場合)。

血管拡張とヒスタミンの関係は直接的ではなく、温度変化や発汗などが相互に絡み合って影響しているというのが正確です。

■まとめ

これらのタイミングは「体が悪い」のではなく、ヒスタミンのメカニズムによるものです。

温度管理を意識する、発汗後は優しく汗を拭き取る(またはシャワーで洗い流す)、掻かない工夫をするなどの対策が役立ちます。

食事との関係は別記事で詳しく解説しています。

謎ニキビ・蕁麻疹の原因はヒスタミン不耐症?発酵食品・青魚・保存肉が意外な落とし穴

低体温を改善するポカポカ術・ホットスムージーの作り方|#世界一受けたい授業によれば、ヒスタミンは体の熱を生み出すスイッチを入れ、体を温める効果があるそうです。

ヒスタミンは体温調節にも関与しますが、皮膚症状との直接的な因果関係はまだ明確ではありません。

ただし、ヒスタミンが「熱を生み出すスイッチ」として働き、熱の放散が追いつかない場合に皮膚の炎症(蕁麻疹、ニキビ様発疹、赤み)として現れる可能性は考えられます。

実際、皮膚科で抗ヒスタミン薬「ビラノア」と「越婢加朮湯(えっぴかじゅつとう)」を処方された経験があります。

越婢加朮湯には熱を冷まし、余分な水分を排出する作用があります。

そう考えると、低ヒスタミン食でヒスタミンの「入力」を減らすだけでなく、体内の熱を排出・コントロールしたり、ヒスタミンが過剰な場合には抗ヒスタミン薬を使うというのが、皮膚科の治療アプローチだったのかもしれません。

【参考文献】







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【NHKトリセツショー】大腸がん対策の切り札!早期発見で生存率90%超・つい受けたくなる検診の仕組み




2026年9月3日放送のNHK「あしたが変わるトリセツショー」のテーマは「がん対策(大腸がん)のトリセツ」。

■大腸がんの基本(なぜ今対策が必要か)

日本人が最も多くかかるがん。死亡者数は男性2位・女性1位で増加傾向(年間約5万人以上が命を落とす)。

早期発見なら5年相対生存率90%以上で、多くの場合、負担の少ない内視鏡手術で治療可能。

国は40歳以上の便潜血検査(検便)を推奨しているが、日本の受診率は50%未満と海外に比べ低く、これが死亡率を押し上げる大きな要因になっています。

大腸がんは自覚症状がほとんどない早期段階で発見することが最大のポイント。

進行すると血便・下血、貧血、便の変化(細くなる・残る感じ)などが現れます。

→ 大腸がんとは|大腸がんの症状・初期症状・原因・予防 について詳しくはこちら

■検診を「つい受けたくなる」仕組み

●与那国島プロジェクト

受診率が約20%と特に低い沖縄・与那国島を舞台に「大腸がん撲滅プロジェクト」を実施。

●全国自治体連携の大プロジェクト(がん対策のトリセツ/希望の虹プロジェクト連動)

大腸がん対策の「切り札」(特別な検診案内ハガキ・リーフレットなど)を47都道府県の約260万人以上の自宅に実際に届ける。

■実践的なトリセツ(行動につなげるポイント)

●検診の流れ

便潜血検査(自宅で簡単)→陽性の場合は精密検査(大腸内視鏡など)。陰性でも定期的な受診が推奨される。

便潜血検査の正しい採取方法のコツは「検便採取キットの棒を便に挿すのではなく、便の表面をこするようにするとよい」。

●心理的な壁を超える工夫

検査への抵抗感(下剤の負担、恥ずかしさなど)を軽減するナッジや、家族・友人への「案内渡し」で相互に促し合う仕組み。

※ナッジ(nudge)とは、命令や強制、大きな金銭的インセンティブを用いずに、小さなきっかけや環境の工夫によって人々の行動を自然と望ましい方向へ導く手法(行動経済学の概念)です。

●予防の視点

生活習慣(食事・運動・禁煙・適正体重など)も重要ですが、「早期発見のための検診の受診」を最優先にしましょう。

■まとめ

最近は有名人の方の大腸がんが話題になり、関心が高くなっています。

大腸がん検診を受ける方が増えることで、早期発見・早期治療される方が増えるといいですね。

【関連記事】

→ 大腸がんとは|大腸がんの症状・初期症状・原因・予防 について詳しくはこちら

【補足】

■大腸がんの症状

■大腸がんのリスク要因

■大腸がんの治療・予防

■大腸がんになりにくい体質にするための方法

大腸がんでは、直系の親族に大腸がんの人がいることは、大腸がんのリスク要因とされていますが、生活習慣を改善することによって大腸がんになりにくい体質にすることも可能なのだそうです。

●禁煙

●アルコールを控える

肥満や飲酒なども大腸がんリスクとされています。

大腸がん予防方法・大腸がんの危険度チェックによれば、最もリスクが高いのは飲酒。

飲酒による大腸がんのリスクは一日に日本酒を1合⇒1.4倍、2合⇒2.0倍、3合⇒2.2倍、4合⇒約3倍となっているそうです。

葉酸代謝と大腸腺腫との関連|国立がん研究センターのがん検診受診者を対象とした研究 |国立がん研究センター

アルコール摂取と大腸腺腫との間には、統計学的有意な正の関連が見られました(傾向性P = 0.04)。非飲酒グループに比べ、週300g以上飲酒している大量飲酒グループでは、大腸腺腫のリスクが約1.5倍上昇していました。

飲酒と大腸がんリスク|科学的根拠に基づく発がん性・がん予防効果の評価とがん予防ガイドライン提言に関する研究|国立がん研究センター

男性では、23-45.9g/日、46-68.9g/日、69-91.9g/日、92g以上/日のグループでまったく飲まないグループよりもそれぞれ1.4倍、2.0倍、2.2倍、3.0倍と、量が増えるほどリスクが高くなりました。1日のアルコール摂取量が15g増えるごとに、大腸がんリスクが約10%増えると推定されます。部位別には、結腸がんでも直腸がんでも同様の傾向が見られました。

女性では、23g以上/日のグループでまったく飲まないグループよりも大腸がんリスクは1.6倍、結腸がんリスクは1.7倍、直腸がんリスクは2.4倍高いという結果でした。男性と同様に、1日のアルコール摂取量が15g増えるごとに、大腸がんリスクが約10%増えると推定されます。

アルコールの摂取量が増えれば増えるほど大腸がんのリスクが増えるという結果が出ています。

葉酸代謝と大腸腺腫との関連|国立がん研究センターのがん検診受診者を対象とした研究 |国立がん研究センター

アルコールには、葉酸の腸吸収を阻害したり、腎排泄を促進したりする作用があるため、その摂取により体内の葉酸レベルが低下することが知られています。

●運動

運動は、大腸がん予防に非常に効果が高いことがわかっているそうです。

全身運動(水泳・ジョギング・ダンスなど)がおすすめなのだそうです。

大腸がん危険度チェックによれば、毎日合計60分歩く程度の運動をしていない方が運動不足に該当します。

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■大腸ポリープ・大腸がんを予防する方法

●葉酸

【みんなの家庭の医学】大腸がん予防に葉酸の多い海苔|10月20日によれば、大腸がんのリスクを高める大腸ポリープのできやすさと葉酸の濃度には関係があるといわれ、血液中の葉酸濃度の値が8ng/ml(ナノグラム)以上あれば、女性なら大腸ポリープの頻度が約2割減、男性なら約5割減するそうです。

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■葉酸代謝が大腸がんの発がんの初期段階で重要な働きを示している

葉酸代謝と大腸腺腫との関連|多目的コホート研究|国立がん研究センター

大腸発がんには、DNAのメチル化が関わっていると考えられています。適切なDNAメチル化の維持には、葉酸が重要な役割を果たしていることが知ら れています。葉酸は、メチレンテトラヒドロ葉酸還元酵素(MTHFR)、メチオニン合成酵素(MTR)、メチオニン合成酵素還元酵素(MTRR)などの酵素群とビタミンB2、B6、B12などの補酵素群の働きにより代謝され、DNAのメチル化に必要なメチル基を供給しています(図1)。

葉酸、ビタミンB2、B6、B12摂取については、大腸腺腫との間に統計学的有意な関連は見られませんでした。

大腸がんの発がんにはDNAのメチル化がかかわっていると考えられており、葉酸が重要な働きを果たしていると考えられますが、葉酸、ビタミンB2、B6、B12摂取と大腸線種との間に統計学的な関連は見られなかったようです。

メチオニン合成酵素 の遺伝子多型とアルコール摂取および葉酸摂取との間に交互作用を認めたことは、「葉酸代謝が大腸発がんの初期段階において重要な役割を果たしている」とするこれまでの研究結果を支持するものであると考えられます。

ただ、葉酸代謝が大腸がんの発がんの初期段階で重要な働きを示していることは間違いないようです。

■葉酸濃度が高くても大腸がんリスクが下がるという関連は見られない

血中の葉酸と大腸がん罹患との関係について|多目的コホート研究|国立がん研究センター

これまでの研究では、葉酸が不足している場合に、わずかに大腸がんリスクが高くなることが示されていますが、日本人の多くでは必要な量が摂取されているため、その中での差が見られなかったという可能性があります。また、葉酸は、大腸がんの多段階発がんの初期の段階では予防的に働くにも関わらず、進行した段階ではかえって促進するという可能性を示す研究結果もあります。また、ある特定の遺伝子多型のタイプの人やアルコールを多量に飲む人で、葉酸不足によって大腸がんリスクが高くなるという研究結果もあります。

葉酸と大腸がんの関係については様々な研究が行なわれています。

  • 葉酸が不足している場合に、わずかに大腸がんリスクが高くなる
    しかし、日本人の多くでは必要な量が摂取されているため、その中での差が見られなかったという可能性
  • 葉酸は、大腸がんの多段階発がんの初期の段階では予防的に働くにも関わらず、進行した段階ではかえって促進するという可能性
  • ある特定の遺伝子多型のタイプの人やアルコールを多量に飲む人で、葉酸不足によって大腸がんリスクが高くなる

多目的コホート研究では、男女とも、葉酸濃度が高くなっても、大腸がんリスクが下がるという関連はみられませんでした(図1)。また、飲酒量でグループ分けしても、結腸がんと直腸がんに分けて調べても、どのグループでも男女とも関連は見られませんでした。

国立がん研究センターが発表している多目的コホート研究によれば、葉酸濃度が高くても大腸がんリスクが下がるという関連は見られなかったそうです。

葉酸、ビタミンB6、ビタミンB12、メチオニン摂取と大腸がん罹患との関連について|多目的コホート研究|国立がん研究センター

葉酸、ビタミンB6、ビタミンB12、メチオニンは、生体内でのメチル代謝において、それぞれ異なる役割を担っています。アルコールやアセトアルデヒドはそれらの代謝経路を阻害したり、栄養素を破壊したりすることによって、大腸がん発がんの初期段階である遺伝子の低メチル化を引き起こすと考えられます。

今回、特にビタミンB6と大腸がんの関連が強かった理由として、日本人の一般的な食事からは葉酸やビタミンB12は十分取れるのに対し、ビタミンB6摂取量は不足していることが挙げられます。その最大の摂取源は白米ですが、茶碗1杯(約150g)に約0.03mgのビタミンB6しか含まれていません。ビタミンB6を多く含む食品(魚・ナッツ・穀類等)を積極的に摂取することが、大腸がんの予防につながる可能性があります。

日本人の一般的な食事からは葉酸は十分に摂取できるため、差が見られなかった可能性が考えられます。

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