「Health」カテゴリーアーカイブ

クルクミンが大腸腺腫(大腸ポリープ)の増大を抑える?徳島大学が約600人を2年間調査

カレーの黄色い色のもととして知られる「クルクミン」。

ウコン(ターメリック)に含まれる成分ですが、このクルクミンと大腸がん予防について興味深い研究結果が発表されました。

徳島大学などの研究グループが全国26施設、約600人を対象に2年間のランダム化比較試験を行ったところ、クルクミンを摂取したグループでは、6mm以上の比較的大きな大腸腺腫(ポリープ)の発生リスクが約44%低かったことがわかりました。

ただ、この研究は「クルクミンを摂れば大腸がんを予防できる」という研究ではありません。

では、何がわかったのでしょうか?

■クルクミンを2年間摂取するとどうなった?

今回の研究対象となったのは、大腸腺腫を内視鏡で摘除した約600人です。

研究では対象者を、

高吸収型クルクミン「セラクルミン®」を摂取するグループ
有効成分を含まないプラセボを摂取するグループ

に無作為に分けました。

患者と医療者の双方がどちらを摂取しているかわからない「二重盲検法」で2年間投与し、その後、大腸内視鏡検査で新たに発生した腺腫を調べています。

その結果、まず押さえておきたいのは、主要評価項目である「大腸腺腫全体の発生率」については、クルクミン群とプラセボ群で有意な差がなかったことです。

つまり、クルクミンを摂取すれば大腸ポリープそのものができなくなる、という結果ではありませんでした。

ところが、腺腫の「大きさ」に注目すると違いがありました。

■6mm以上の比較的大きな腺腫が13.3%から7.5%に

6mm以上の腺腫の発生率は、

プラセボ群:13.3%
クルクミン群:7.5%

となり、クルクミン群では発生リスクが約44%低くなりました(相対リスク0.56、95%信頼区間0.33~0.95)。

さらに、6mm以上の腺腫の個数もクルクミン群で少なく、発生した腺腫全体についても、その大きさが小さかったことがわかりました。

研究グループは、この結果について、クルクミンは腺腫ができること自体を完全に防ぐというより、腺腫が大きくなることや進展することを抑えている可能性を示しています。

では、なぜ「腺腫が大きくならなかった」ことが重要なのでしょうか?

■大腸がんと「腺腫」の関係

ここで知っておきたいのが、大腸がんと「大腸腺腫(腺腫性ポリープ)」との関係です。

大腸がんには複数の発生経路がありますが、国立がん研究センター「大腸がんファクトシート2024」でも、大腸がんの主な発生経路の一つとして「adenoma-carcinoma sequence(腺腫・がん連続説)」が挙げられています。

また、国立がん研究センター「大腸がんのリスクファクター」では、大腸がんの大部分は腺腫性ポリープから発生する一方で、ほとんどの腺腫性ポリープは良性であり、がん化するのは一部であると説明されています。

大事なのはここからです。

ポリープは大きいほど大腸がんになるリスクが高く、また、ポリープのできやすい人は大腸がんになるリスクが高いとされています。

つまり、大腸がん予防を考えるうえでは、

腺腫を見つけて適切に取り除く

ことに加えて、

「大きくしない」「繰り返し増えるのを抑える」

というアプローチも研究する価値があるわけです。

以前HAKURAIDOUでも、「大腸ポリープの手術内容・大腸ポリープ切除後の食事の注意点」の記事で、ポリープの大きさとできやすさに注目し、「大腸ポリープをいかに小さく、またできにくくするかは大腸がん予防の一つのアプローチ」と紹介しました。

今回のクルクミン研究は、まさにこの点で興味深い研究なのです。

■ポリープができやすい人にも注目

もう一つ興味深い結果があります。

今回の研究では、過去に摘除された大腸腺腫の数が多い人ほど、クルクミンによる再発抑制効果が高くなる傾向がみられました。

特に過去に6個以上の腺腫を摘除していた人では、2年後に4個以上の腺腫が発生するリスクが、プラセボ群より低くなりました(リスク比0.40)。

つまり今回、

「比較的大きな腺腫が少なくなった」

だけでなく、

「もともと腺腫を繰り返していた人ほど効果が大きくなる可能性が示された」

という結果が出たわけです。

ポリープの大きさが大きいほど大腸がんになるリスクが高く、ポリープのできやすい人ほど大腸がんリスクが高いとされていることを考えると、この2つに関係する結果が得られたことが今回の研究の興味深いポイントといえます。

■「クルクミンで大腸がんを予防できる」という研究ではない

ただし、ここは非常に重要です。

今回確認されたのは、大腸がんそのものの発症が減ったことではありません。

研究グループも、今後さらに長期間追跡することによって、クルクミンが大腸がんそのものの発症予防につながるのかを検証する必要があるとしています。

そして、もう一つ注意したいポイントがあります。

今回の研究で使われたのは、普通のカレーやウコンそのものではなく、通常のクルクミンより吸収性を高めた高吸収型クルクミン「セラクルミン®」です。

したがって今回の結果から、

「カレーをたくさん食べれば大腸がんを予防できる」

と考えたり、市販のクルクミンサプリメントに同じ結果をそのまま当てはめたりすることはできません。

■それでも今回の研究が面白い理由

今回の研究の面白さは、「クルクミン=がん予防」という単純な話ではありません。

むしろ、

「大腸がんにつながる可能性がある腺腫を、大きくしない、繰り返し増やさないための方法になりうるのではないか」

という可能性を、実際に人を対象とした臨床試験で調べたところにあります。

約600人を対象に、全国26施設が参加するランダム化・二重盲検・プラセボ対照試験として2年間検証され、6mm以上の腺腫の発生率・個数・大きさについて抑制が認められました。また、有害事象の発生頻度について両群に差はありませんでした。

大腸腺腫そのものを完全に防ぐことはできなかった。

けれども、「大きくなるのを抑える」という別の可能性が見えてきた。

そして、その意味を考えるとき、大腸がんと腺腫の関係が重要になってくるわけです。

今後、長期追跡によって大腸がんそのものの発症予防につながるのかが明らかになれば、さらに興味深い研究になりそうです。

→ 大腸がんの症状(初期症状)チェック・原因・予防 について詳しくはこちら

【関連記事】
大腸がんになりにくい体質にするための方法|#ガッテン(#NHK)
腺腫と大腸がんの関係について紹介しています。
大腸ポリープの手術内容・大腸ポリープ切除後の食事の注意点
実際に大腸ポリープの手術を受けた方へのインタビューです。
ドランクドラゴン塚地さんにガン化の可能性の高い直径8mmの大腸ポリープが見つかる
ポリープの大きさと大腸がんリスクについて紹介しています。

【参考文献・参考資料】
徳島大学「カレー粉成分クルクミンが大腸前がん病変の再発を抑制 ~全国26施設・約600人のランダム化比較試験を実施~」、2026年9月25日。
Takayama T, Okamoto K, Ishikawa H, et al. Curcumin Suppresses Growth of Recurrent Colorectal Adenoma After Endoscopic Resection: A Randomized, Double-Blind, Placebo-Controlled, Multicenter Trial. The American Journal of Gastroenterology. Accepted manuscript, August 28, 2026. DOI: 10.14309/ajg.0000000000004193.
国立がん研究センター「大腸がんファクトシート2024」。大腸がんの発がんメカニズム、リスク、検診などについての資料。
井上真奈美・田島和雄「大腸がんのリスクファクター」国立がん研究センター。腺腫性ポリープの大きさ・できやすさと大腸がんリスクについて。
国立がん研究センターがん対策研究所「有効性評価に基づく大腸がん検診ガイドライン 2024年度版」。







「本記事は医療行為の代替ではなく、テレビ・論文・公的資料を一般の生活者向けに噛み砕いたものです」

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脳の「老廃物を排出する仕組み」を外から動かす?アルツハイマー病研究で注目されたグリンパティック系

SNSで「アルツハイマー病の脳内プラークを、手術や薬を使わず10分ほどで排出する方法が見つかった」という興味深い情報を見かけました。

メガネを超音波洗浄機できれいにするように、脳に超音波を当てて老廃物を洗い流す。そんなイメージを持ってしまいそうですが、原論文を確認すると少し違います。

研究で使われたのは超音波(ultrasound)ではなく、40.68MHzの超短波(ultrashort wave:USW)です。

また「10分」というのも、アルツハイマー病のプラークが10分で消えたという意味ではありません。健康なマウスに超短波を照射したところ、10分以内にグリンパティック系の液体の流れが増強したという結果です。

では、この研究の何が興味深いのでしょうか。

■脳には老廃物の排出にかかわる仕組みがある

私たちの脳では、脳脊髄液などが循環しながら、代謝によって生じた老廃物の排出にかかわっています。

その仕組みの一つとして注目されているのが「グリンパティック系(glymphatic system)」です。

脳脊髄液が脳組織へ入り、組織の間にある液体と物質を交換しながら、代謝によって生じた老廃物の排出にかかわっています。この働きには、アストロサイトに存在する「AQP4(アクアポリン4)」という水チャネルが関係しています。

アルツハイマー病との関係では、この排出機能の低下によって、アミロイドβやタウといったタンパク質が病的に蓄積することとの関連が研究されています。

■この「排出システム」を外から動かせないか?

今回の研究の面白さはここにあります。

研究者らがマウスに40.68MHzの超短波を照射したところ、グリンパティック系への液体の流入と流出が促進されました。

その際、脳ではデルタ波の神経活動の同期が増え、さらにAQP4の働きにかかわる変化が確認されました。AQP4を薬理学的に阻害すると、この効果はみられなくなりました。

つまり単純に、「外から刺激して脳の汚れを洗い流した」という話ではありません。

脳がもともと持っている老廃物の排出システムの働きを、外部からの刺激によって高められる可能性が示されたというところが重要です。

■アルツハイマー病モデルマウスでも研究

さらに研究者らは、アルツハイマー病モデルマウスでも実験を行いました。

その結果、グリンパティック機能が改善し、認知機能の低下も改善したと報告しています。

ただし、これはあくまでマウスを使った前臨床研究です。人のアルツハイマー病を超短波で治療できることが確認されたわけではありません。

■「老廃物を取り除く」から「排出する仕組みを動かす」へ

最初は「10分で脳内プラークを取り除く」という情報に目を引かれました。

しかし原論文を確認してみると、この研究の興味深さは別のところにありました。

脳に蓄積した物質を直接取り除くのではなく、脳が本来持っている老廃物排出システムの働きを外部から調節する。

そんなアプローチの可能性が動物実験で示されたことです。

以前、「脳のゴミ捨てルートが鼻にあった?Cell論文から考える嗅覚と認知症」という記事で、脳脊髄液が嗅球周辺から硬膜リンパ管、鼻腔リンパ管などを経て排出される経路について紹介しました。

前回が「脳の老廃物はどこを通って排出されるのか」という研究だとすれば、今回は「その排出システムの働きを外から高めることはできないか」という研究です。

まだ人のアルツハイマー病治療につながるかどうかは分かりません。

それでも、こうした研究を続けて見ていくと、「脳にはどのような老廃物排出の仕組みがあり、その働きをどう維持・調節できるのか」というテーマが、アルツハイマー病などの神経疾患を考えるうえで注目されていることが見えてきます。

→「脳のゴミ捨てルートが鼻にあった?Cell論文から考える嗅覚と認知症」

【参考文献】

Noninvasive ultrashort wave neuromodulation enhances glymphatic clearance to alleviate traumatic brain edema and Alzheimer’s pathology. Science Advances. 2026;12(42):eaeh8870. DOI: 10.1126/sciadv.aeh8870.

【関連記事】
脳のゴミ捨てルートが鼻にあった?Cell論文から考える嗅覚と認知症







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魚を食べて舌がピリピリは「ヒスタミン食中毒」のサインかも?|加熱しても防げない理由

魚を食べたときに、「あれ?舌がピリピリする」と感じたことはありませんか?

香辛料などを使っていないのに、唇や舌先にいつもとは違う刺激を感じた場合、もしかすると「ヒスタミン食中毒」が関係しているかもしれません。

ヒスタミン食中毒は、魚などの食品中に高濃度に蓄積した「ヒスタミン」を摂取することで起こる、アレルギーによく似た症状を引き起こす食中毒です。

2026年10月には、「塩こうじ仕込みの真サバ竜田揚げ」から大量のヒスタミンが検出されたとして自主回収が行われたことが報道され、改めてヒスタミン食中毒に注目が集まりました。

きっかけとなったニュースはこちら → 【回収】大量のヒスタミン検出「塩こうじ仕込みの真サバ竜田揚げ」健康被害につながる恐れ、約1万5千袋対象

今回のニュースそのものだけでなく、私たちが普段魚を購入・保存・調理するときにも知っておきたい「ヒスタミン食中毒」について見ていきましょう。

■ヒスタミン食中毒とは?

ヒスタミン食中毒とは、ヒスタミンが高濃度に蓄積した食品、特に魚類やその加工品を食べることで発症する食中毒です。

「ヒスタミン」という言葉を、花粉症やアレルギーの話で耳にしたことがある人も多いでしょう。

食品の場合は、魚などに含まれる「ヒスチジン」というアミノ酸に、ヒスタミン産生菌の酵素が作用することでヒスタミンが生成されます。

簡単にすると、

魚などに含まれるヒスチジン
↓
ヒスタミン産生菌の酵素が作用
↓
ヒスタミンが生成・蓄積
↓
その食品を食べる
↓
アレルギーに似た症状が起こる

という仕組みです。

特に、ヒスチジンを多く含む魚を常温に放置するなど、不適切な温度管理をすると、ヒスタミン産生菌が増殖してヒスタミンが生成されやすくなります。

■どんな魚で起こりやすい?

厚生労働省によると、主な原因食品として報告されているのは、

・マグロ
・カジキ
・カツオ
・サバ
・イワシ
・サンマ
・ブリ
・アジ

など、ヒスチジンを多く含む魚とその加工品です。

つまり、生魚だから起こるという話ではありません。

干物などの加工品も原因となる可能性がありますし、東京都では「カジキの照り焼き」「メカジキの味噌漬け」「イワシのつみれ汁」による実際の食中毒事例も紹介されています。

このことが、ヒスタミン食中毒を理解するうえで大切なポイントにつながります。

■食物アレルギーとは何が違うの?

ヒスタミン食中毒では、

・顔が赤くなる
・じんましん
・頭痛
・発熱
・おう吐
・下痢

など、食物アレルギーとよく似た症状が現れることがあります。

多くの場合、食べた直後から1時間以内に症状が現れます。

そのため、

「魚アレルギーになったのかな?」

と思ってしまうかもしれません。

しかし、ヒスタミン食中毒は食物アレルギーそのものではありません。

東京都保健医療局によると、食品中にできたヒスタミンを食べることが原因なので、アレルギー体質とは関係なく、誰にでも起こる可能性があります。

同じ魚料理を食べた複数の人に、似た症状が出ることがあるのも、このためです。

■「魚はしっかり加熱すれば大丈夫」とは限らない

ヒスタミン食中毒で特に覚えておきたいのが、

「一度できてしまったヒスタミンは、加熱しても分解されない」

ということです。

厚生労働省は、ヒスタミンは熱に安定しており、調理加工工程で除去できないため、食品中に一度生成されると、調理時の加熱などでは分解できないと説明しています。

つまり、

「焼いたから大丈夫」
「揚げたから大丈夫」

とはいえません。

食品安全委員会も、焼く・揚げるといった加熱調理をした食品でもヒスタミン食中毒が発生することを紹介しています。

一般的な細菌性食中毒では「十分に加熱する」ことが重要な対策の一つですが、すでにヒスタミンが生成していた場合には、この考え方だけでは防ぐことができないのです。

■大切なのは「加熱」よりも「作らせない」こと

では、どうすればヒスタミン食中毒を防げるのでしょうか。

ポイントは、

できてしまったヒスタミンを取り除くのではなく、そもそもヒスタミンを作らせないこと。

そのために重要なのが温度管理です。

厚生労働省は、ヒスタミン産生菌の増殖と酵素作用を抑えるため、原材料の段階から食べるまでの一貫した温度管理が重要だとしています。

家庭では、

・魚を購入したら常温に放置せず、速やかに冷蔵する
・エラや内臓はできるだけ早く取り除く
・鮮度が低下したおそれのある魚は食べない
・冷蔵していても長期間保存しない
・冷凍した魚は冷蔵庫など、できるだけ低温で短時間に解凍する
・冷凍と解凍を繰り返さない

といった対策が推奨されています。

特に注意したいのは、

「冷蔵庫に入れておけばずっと大丈夫」とも限らない

ことです。

厚生労働省によると、10℃で低温管理した場合でも、長期間保存するとヒスタミン量が増える場合があります。

東京都も、0~10℃で発育するヒスタミン産生菌があるため、冷蔵中でも長期間保存するとヒスタミンが生成される可能性があるとしています。

「低温で保存して、できるだけ早く食べる」ところまでが大切なのです。

■魚を食べて「舌がピリピリ」は見逃さない

ヒスタミン食中毒を知ったうえで、ぜひ覚えておきたいサインがあります。

それが、

唇や舌先に感じる、普段とは違う「ピリピリ」とした刺激

です。

厚生労働省は、高濃度のヒスタミンを含む食品を口に入れたとき、唇や舌先に通常とは異なる刺激を感じることがあり、その場合は食べずに処分するよう注意を呼びかけています。

東京都も、ヒスタミンが大量にできている食品では、食べたときに舌が「ピリピリ」することがあると説明しています。

もちろん、舌がピリピリしたからといって、必ずヒスタミンが原因とは限りません。

ただし、香辛料など思い当たる理由がないのに、魚を口にして普段とは違う刺激を感じたら、

「もったいないから食べてしまおう」ではなく、食べるのをやめる。

これは覚えておいて損のない知識だと思います。

■症状が出たらどうする?

ヒスタミン食中毒では、食べた直後から1時間以内に、顔の赤み、じんましん、頭痛、発熱などの症状が現れることがあります。

消費者庁は、発症した場合には速やかに医療機関に相談するよう呼びかけています。

東京都によると、重症の場合には呼吸困難や意識不明になることもあります。

魚を食べたあとに急にアレルギーのような症状が現れた場合には、「魚アレルギーだろう」と自己判断するのではなく、食べたものや症状が出た時間などを医療機関に伝えることが大切でしょう。

■ヒスタミン食中毒は今も毎年発生している

ヒスタミン食中毒は、過去の珍しい食中毒ではありません。

厚生労働省の統計では、2025年(令和7年)に国内で13件、患者431人のヒスタミン食中毒が報告されています。2015年以降の掲載データを見ると、毎年発生が確認されています。

家庭で発生することもありますが、保育園や学校などの給食施設に関係する大規模な食中毒も報告されています。

だからこそ、魚を食べる私たち自身が知識として覚えておく意味があります。

■まとめ|「加熱すれば安心」ではなく「ヒスタミンを作らせない」

ヒスタミン食中毒について、最低限覚えておきたいことをまとめると、

1.魚などに含まれるヒスチジンから、細菌の働きによってヒスタミンが作られる

2.マグロ、カツオ、サバ、イワシ、サンマ、ブリ、アジなどと、その加工品が主な原因食品として報告されている

3.アレルギーに似た症状が出るが、アレルギー体質とは関係なく誰にでも起こる可能性がある

4.一度できたヒスタミンは、焼いたり揚げたりしても分解されない

5.だからこそ、魚を常温に放置せず、適切な低温管理をすることが大切

6.魚を食べて唇や舌先に普段とは違うピリピリした刺激を感じたら、食べるのをやめる

という6点です。

食中毒対策というと「しっかり火を通す」というイメージがあります。

しかしヒスタミン食中毒については、

「加熱してやっつける」のではなく、「適切な温度管理でヒスタミンを作らせない」。

これが大切です。

「魚を食べたとき、なんだか舌がピリピリする」

もし今後そんな場面に出会ったとき、この記事のことを思い出してもらえればと思います。

【参考文献・参考資料】

厚生労働省「ヒスタミンによる食中毒について」
ヒスタミンの生成機序、原因となる魚種、予防方法、国内の発生状況など。

消費者庁「ヒスタミン食中毒」
主な症状、ヒスタミンの生成、家庭での予防方法など。

東京都保健医療局「ヒスタミンによる食中毒」
症状、食物アレルギーとの違い、ヒスタミン産生菌、家庭での保存・解凍方法など。

東京都保健医療局「実際の食中毒事例」
カジキの照り焼き、メカジキの味噌漬け、イワシのつみれ汁など、実際のヒスタミン食中毒事例。

食品安全委員会「食中毒を引き起こす ヒスタミンのファクトシート紹介」
ヒスタミンの性質、人への影響、加熱調理との関係、予防方法等。







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ここまで書いてきた内容は、
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もし、

なぜこういう考え方になるのか

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この記事で触れた内容は、以下の概念記事の一部として位置づけられています。

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豆乳・豆腐でエストロゲン過剰になる?大豆イソフラボン・エクオールと更年期の関係

これまで当サイトでは、閉経によるエストロゲン低下と慢性炎症、コレステロール、エクオールと更年期症状、毛髪などについて、さまざまな研究を紹介してきました。

そのため、私自身、「閉経後のエストロゲン低下に伴ってさまざまな変化が現れ、大豆イソフラボンやエクオールについてはその働きを補う可能性から研究されている」という理解を持っていました。

ところが最近、SNSで「豆乳や豆腐などの大豆製品を摂ることでエストロゲンが過剰になる」という趣旨の情報を目にしました。

これまで調べてきた方向とはかなり違います。

ただ、自分の理解と違う情報だからといって、すぐに「間違っている」と決めることもできません。

もしかすると、自分たちがこれまで見てきた情報にも偏りがあったのではないか?

そこで今回は「大豆は良い」「大豆は悪い」のどちらかを決めるのではなく、改めて、

大豆イソフラボンやエクオールにエストロゲン様作用があることと、「エストロゲン過剰になる」ことは同じなのか?

というところから調べ直してみます。

■更年期は「エストロゲン過剰になる時期」?

まず押さえておきたいのが、更年期に女性ホルモンがどう変化するのかです。

日本産科婦人科学会は、更年期障害の主な原因について、女性ホルモン(エストロゲン)が大きくゆらぎながら低下していくことと説明しています。

さらに加齢による身体の変化、精神的・心理的な要因、家庭や職場などの社会的要因が複合的に影響するとされています。

つまり、

更年期=単純にエストロゲンが足りない

とだけ考えるのも正確ではありませんが、

更年期=エストロゲンが過剰になっている

と一般化するのも、現在の標準的な説明とは異なります。

実際、更年期障害に対するホルモン補充療法(HRT)は、少量のエストロゲンを補充する治療です。特に、ほてり、のぼせ、ホットフラッシュ、発汗などの症状に有効とされています。

■では、大豆イソフラボンとは?

ここで大豆の話につながります。

大豆には「イソフラボン」という成分が含まれています。

イソフラボンにはホルモン作用と非ホルモン作用があり、大豆と女性の健康との関係で注目されてきた成分です。

このため、

大豆イソフラボンにはエストロゲンに似た作用がある
↓
エストロゲンが増える
↓
エストロゲン過剰になる

と連想したくなります。

でも、ここには一つ飛躍があります。

「エストロゲン受容体に作用すること」と「自分の体内で作られるエストロゲンの量が増えること」は同じ意味ではありません。

「エストロゲン様作用」という言葉を、そのまま「エストロゲンが増える」と置き換えないことがポイントです。

■エクオールって何?

もう一つ、更年期の話で最近よく登場するのが「エクオール」です。

大豆イソフラボンの一つであるダイゼインは、腸内細菌によって代謝され、エクオールという物質になることがあります。

エクオールにもエストロゲン様作用があり、とくにエストロゲン受容体β(ERβ)への作用が注目されています。

ただし、誰でも同じようにエクオールを作れるわけではありません。エクオールを産生できるかどうかには個人差があることが知られています。

ここでも、

エクオールにエストロゲン様作用がある
=エクオールを摂るとエストロゲン過剰になる

とは、そのまま結びつけられません。

■エクオールは更年期に悪いものなの?

むしろエクオールは、更年期症状との関係から研究されてきた成分です。

複数の臨床試験で、更年期症状に対するS-エクオール摂取の効果が検討されています。一方ですべての症状に効く万能な成分という意味ではなく、効果については引き続き研究が必要な領域です。

ここで大切なのは、

エストロゲンに関係するもの=危険

でも、

エストロゲンに似た働きがあるもの=更年期に必ず良い

でもないことです。

作用の仕組み、摂取量、対象となる人、症状などを分けて考える必要があります。

■ホルモンパッチも「エストロゲン過剰」とは限らない

更年期に処方されるホルモンパッチについても似ています。

日本産科婦人科学会によると、HRTには飲み薬だけでなく、貼り薬、塗り薬、腟錠など複数のタイプがあります。

通常はエストロゲンと黄体ホルモンを組み合わせますが、子宮摘出後など条件によって治療方法が異なります。主治医と相談して適切な治療法を選択することが推奨されています。

したがって、

・豆乳を飲んでいる
・エクオールを摂っている
・ホルモンパッチを使用している

という3つの事実だけから、

「自分はエストロゲン過剰だった」

と判断することはできません。

処方されているHRTを自己判断で中止するのではなく、気になる症状があれば処方した医師に相談することが大切です。

■「豆乳を飲むと体温が下がる」のは甲状腺の話?

大豆についてはもう一つ、「甲状腺機能に悪影響を与えるのではないか」という議論があります。

2019年に発表された、大豆摂取と甲状腺機能について18報を対象としたシステマティックレビュー・メタ解析では、fT3、fT4には有意な変化がなく、TSHはわずかに上昇したものの、その臨床的な意味は不明とされています。

また、別のレビューでは、甲状腺機能が正常でヨウ素摂取が十分な人については、大豆食品・イソフラボンが甲状腺機能に悪影響を及ぼすことを示す証拠は乏しいとまとめられています。

一方、甲状腺機能低下症では、大豆食品が甲状腺ホルモン薬の吸収に影響し、必要量に影響する可能性などについて検討されています。

つまり、

「大豆と甲状腺はまったく関係ない」

と切り捨てるのも適切ではありません。

しかし、

「豆乳や豆腐を食べる → 甲状腺機能が低下する → 体温が下がる」

と誰にでも当てはまる因果関係として扱うのも難しいのです。

■体の不調を「エストロゲン過剰」だけで説明しない

さらに注意したいのは、更年期には非常に多様な症状が現れることです。

日本産科婦人科学会は、

ほてり・のぼせ・発汗
めまい・動悸
頭痛
肩こり
腰や背中の痛み
関節痛
冷え
疲れやすさ
気分の落ち込み
イライラ
不眠

などを更年期障害の症状として挙げています。

しかも2026年の「女性のヘルスケアに関するガイダンス」では、更年期症状として捉えられがちな症状について、甲状腺機能低下症など鑑別を必要とする疾患も取り上げています。

だから、「最近疲れる」「冷える」「関節が痛い」「髪が気になる」といった変化を一つの原因だけで説明するのは難しいのです。

→ 更年期障害の症状・原因・チェック|40代・50代の更年期の症状 について詳しくはこちら

■「エストロゲンに似た働き」から「エストロゲン過剰」へ飛ばない

今回調べてみて、一番大切だと思ったのはここです。

健康情報では、

大豆を食べる
↓
イソフラボンを摂る
↓
エストロゲン様作用がある
↓
エストロゲンが過剰になる
↓
体調が悪くなる

と、一続きの説明のように感じてしまうことがあります。

しかし、一つひとつは別の問題です。

特に、

「エストロゲン様作用がある」ことと「体内のエストロゲン量が過剰になる」ことは分けて考える必要があります。

同じように、

「自分が豆乳を飲んでいた時期に体調が悪かった」ことと「豆乳がその体調不良の原因だった」ことも同じではありません。

自分自身の体験はとても重要な情報です。

ただ、体験から原因を特定するときには、もう一段階の検証が必要になります。

■まとめ

大豆イソフラボンやエクオールにはエストロゲン様作用があります。

しかし、それだけを理由に、

「豆乳や豆腐を食べるとエストロゲン過剰になる」

と考えることはできません。

更年期についても、現在の標準的な医学では、エストロゲンが大きくゆらぎながら低下していくことが更年期障害の主な原因とされ、必要に応じて少量のエストロゲンを補うHRTも行われています。

一方、大豆と甲状腺機能のように、条件によって注意して考える必要がある問題もあります。だからこそ、「大豆は健康に良い」「大豆は危険」とどちらか一方に決めてしまうのではなく、何が分かっていて、どこから先はまだ分からないのかを分けて考えることが大切です。

SNSなどで「これが原因だったのか」と思える健康情報に出会ったときには、

「この『→』は本当につながっているのかな?」

と一度立ち止まってみる。

その小さな疑問が、健康情報と上手に付き合うための一つの手がかりになりそうです。

【参考文献・参考情報】

日本産科婦人科学会「更年期障害」
日本産科婦人科学会ほか「女性のヘルスケアに関するガイダンス」
Otun J, et al. Systematic Review and Meta-analysis on the Effect of Soy on Thyroid Function. Scientific Reports. 2019.
Messina M, Redmond G. Effects of soy protein and soybean isoflavones on thyroid function in healthy adults and hypothyroid patients: a review of the relevant literature. Thyroid. 2006.

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「本記事は医療行為の代替ではなく、テレビ・論文・公的資料を一般の生活者向けに噛み砕いたものです」

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この記事は、例えるなら「ばあちゃんの料理教室(ハクライドウ)」という街の中の「ひとつの家」です。

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同じ考え方のもとで並んでいます。

ここまで書いてきた内容は、
単発の健康情報やレシピの話ではありません。

この街では、
「何を食べるか」よりも
「どうやって暮らしの中で調整してきたか」を大切にしています。

もし、

なぜこういう考え方になるのか

他の記事はどんな視点で書かれているのか

この話が、全体の中でどこに位置づくのか

が少しでも気になったら、
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乳糖不耐症の症状は○○をすることで軽くすることができる!




「骨粗鬆症(こつそしょうしょう)」とは、骨がスカスカになり、骨折しやすくなる病気です。

骨粗しょう症は、転倒から骨折、寝たきりになる危険性が高まることで知られていますが、自覚症状に乏しく、骨折してはじめて病気に気づく人も少なくありません。

60代女性の3人に1人がかかるとされる骨粗鬆症であり、骨粗鬆症の潜在患者は1千万人以上といわれるそうですが、自覚症状に乏しいため、実際に治療を受けている人は1割程度なのだそうです。

こういう事情がありながらも、牛乳などの乳製品に含まれるカルシウムが健康に良いということは多くの方はしっているのですが、女性の99%がカルシウム不足であるのはなぜなのでしょうか?

その一つの理由に日本人は乳糖不耐症(牛乳や母乳に含まれる乳糖を消化・吸収する酵素のラクターゼが不足しているために、下痢や腹痛などの症状を引き起こす病気。)であるといわれていることが影響しているのではないでしょうか?

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その前にまず知っておく必要があるのが牛乳が苦手な人の中には「乳糖不耐症」と「牛乳アレルギー」があるということ。

どちらも腹痛や下痢といった症状が出るのは同じですが、そのメカニズムが違います。

乳糖不耐症は、乳糖(ラクトース)を消化吸収のため分解するラクターゼという消化酵素が不足するために起きる病気です。

牛乳アレルギーは、カゼインやβラクトグロブリンなどのタンパク質が原因でアレルギー反応を起こす食物アレルギーです。

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【参考リンク】

改めて「日本人は乳糖不耐症である」ということについて考えてみます。

ウワサ16 日本人のほとんどは、牛乳を飲むとおなかをこわす|Jミルクを参考にすると意外な事実がありました。

1)乳糖の摂取量と下痢発生に関するヒト試験(※1)によれば、乳糖を60g(1,200mL)摂取のグループでは50%以上の割合で下痢が起こりましたが、30g(牛乳700mL相当)摂取したグループでも下痢は起こりませんでした。

2)15歳以上の男女10,000人を対象とした調査(※2)では、牛乳を飲んでお腹がゆるくなったり、ゴロゴロしたり、張ったりする症状の自覚を持つ人について、「いつもそうなる」人は7%、「いつでもではないがなる」は13%、「たまになる」は29%でした。

【参考資料】

  • ※1 奥恒行, ヒトにおける乳糖の一過性下痢に対する最大無作用量とそれに及ぼす食べ方に関する研究, 牛乳栄養学術研究会委託研究報告書, 2001, 123-141.
  • ※2 一般社団法人J ミルク, 牛乳乳製品に関する食生活動向調査2013.

この2つを参考にすると、牛乳1,200mLを飲むと50%以上の割合で下痢が起こったものの、一度に1.2リットルの牛乳を飲むことはほとんどなく、また牛乳を飲んだからと言って、常にお腹がゆるくなったり、ゴロゴロしたり、張ったりする症状があるわけではないということです。

「飲み方・飲む量によって乳糖不耐症の症状に違いが出ることがあるの?」「乳糖不耐症の症状には個人差があるの?」「乳糖不耐症であっても常に症状が出るわけではないの?」といった疑問が出てきますよね。

この疑問を解決するヒントの一つに「腸内細菌叢」があります。

乳糖が小腸で分解されない場合でも、大腸に存在する乳酸菌やビフィズス菌などの有用腸内細菌が多い人では、乳糖が良く分解されて、不快症状が出にくいことが近年の研究により明らかになってきました。

有用腸内細菌が多い人は小腸で分解されなかった乳糖を大腸で分解することにより不快症状が出にくいということがあるそうです。

この研究を参考にすれば、腸内環境が改善されれば乳糖不耐症の症状は出にくいということなんですね。

牛乳摂取習慣と乳糖不耐症

「牛乳による不快な症状を自覚しやすい人は牛乳など乳製品を取らない、すると乳糖を摂取する機会がないために乳糖分解を助ける腸内細菌叢が形成されない、細菌による乳糖分解の助けもないために牛乳をのむと益々乳糖不耐症の症状が自覚されやすい。」という循環が成り立ってしまうためである。

乳糖不耐症を自覚している人は牛乳を避ける

→牛乳を避けることで乳糖分解を助ける腸内細菌叢が形成されない

→今回飲むと大丈夫かなと思って牛乳を飲むとやっぱり乳糖不耐症の症状があらわれる

腸内環境が改善されれば、正確に言えば、乳糖分解を助ける腸内細菌叢が形成されれば、乳糖不耐症の症状が軽減されるにもかかわらず、このループによって乳糖不耐症の人は症状が軽減されないままになってしまうということなんですね。

乳糖不耐症の人が牛乳などの乳製品を避けるだけであれば何も問題がないように見えるのですが、ある調査によれば、乳糖不耐症を自覚する人はカルシウム摂取量が低いため骨密度も低いという結果が出ているそうです。

ここで問題になることは、乳糖不耐症を自覚する集団は、乳糖不耐症を自覚しない集団に比較して、カルシウム摂取量が低いため骨密度もまた低い、という疫学調査の結果が得られていることである。

そう考えると乳糖不耐症の症状を軽減するために腸内環境を改善=乳糖分解を助ける腸内細菌叢を作りたいところです。

そこで考えられる一つの方法が「毎日飲み続けること」!

乳糖は消化に時間のかかる難消化性オリゴ糖の一種であり、腸内細菌叢に影響します。毎日飲み続けることで、乳糖分解性の腸内細菌が増加して腸内環境が改善され、乳糖の分解や代謝を増進できることが期待できます。

牛乳を毎日飲み続けることで乳糖分解性の腸内細菌が増加して腸内環境が改善され、乳糖の分解や代謝を増進できることが期待できるそうです。

ただ牛乳を毎日飲み続けるには抵抗がある人も多いでしょうが、飲み方を工夫することで少しずつ腸内環境を変えていくことができるそうです。

●数回に分けてゆっくり飲む

一度にたくさん飲むことで乳糖不耐症の症状が出やすくなるので、乳糖が分解しやすくなるように少しずつ数回に分けて飲むとよいそうです。

●温めたり、混ぜたりして飲む

牛乳を温めると消化酵素ラクターゼの働きも盛んになるそうです。コーヒーや紅茶、ココアにして飲む、料理に加えるのもよいそうです。

●牛乳にこだわらずヨーグルトやチーズを食べる

ヨーグルトは乳酸菌の発行によって乳糖が分解され減少しており、またチーズは乳糖のほとんどが製造工程の中でホエーに移って取り除かれているので、乳糖不耐が起こりやすい食品です。

■まとめ

1)牛乳を毎日飲み続けることで乳糖分解性の腸内細菌が増加して腸内環境が改善され、乳糖の分解や代謝を増進できることが期待できる。

2)数回に分けてゆっくり飲む、温めたり混ぜたりして飲む、牛乳にこだわらずヨーグルトやチーズを食べるなど工夫する。

【参考文献】

■【追記】「乳糖を消化しにくい」=「牛乳でお腹を壊す」ではない

乳糖不耐症を考える上で大切なのは、小腸で乳糖を十分に消化・吸収できないこと(乳糖吸収不良)と、実際に腹痛やお腹の張り、下痢などの症状が出ること(乳糖不耐症)は、必ずしも同じではないという点です。

2005年に日本人女性43人を対象に行われた研究では、1回に摂取した乳糖をラクターゼによって消化できる量は10g未満と推定される一方、大腸の腸内細菌は約20~30gの乳糖を発酵できると報告されました。また、一過性の下痢を引き起こさない乳糖の最大許容量は、体重1kgあたり0.72gでした。

つまり、小腸で乳糖を十分に消化できなかったとしても、それだけで必ず症状が出るとは限らず、その後の大腸での腸内細菌による発酵も関係していると考えられます。

さらに2023年には、日本人を対象に、牛乳を少量から徐々に増やしていく研究が報告されています。

牛乳や乳製品を摂ると腹部症状が出る人を調べ、乳糖吸収不良と診断された人に対して、牛乳30mLから始め、4~7日ごとに量を増やし、最大200mLまで摂取する方法を行いました。

この方法を行った32人のうち、29人(90.6%)で症状の改善がみられました。

興味深いのは、症状が改善した人が多かった一方、乳糖吸収不良を調べる20g乳糖水素呼気試験の診断値が改善したのは10人(34.5%)で、16人(55.2%)では変化がみられなかったことです。

つまり、乳糖を吸収する能力そのものが改善しなくても、少量から牛乳を摂取していくことで症状が軽減する可能性があることを示す結果といえます。

また、治療後に症状がなくなった7人では、腸内細菌の一種である「Blautia(ブラウティア)」が有意に増えていたことも報告されています。

これらの研究を見ると、「乳糖を消化しにくいから牛乳を完全に避ける」という単純な話ではなく、一度に摂る乳糖の量や、腸内細菌による発酵、牛乳を少量から徐々に摂取することなども、症状に関係している可能性がありそうです。

ただし、2023年の研究は32人を対象とした臨床試験であり、この方法がすべての乳糖不耐症の人に適しているとまでは言えません。症状が強い場合や、牛乳・乳製品を摂ることで体調を崩す場合には、無理に摂取量を増やすのではなく、医師や管理栄養士などに相談することが大切です。

【参考文献】

Oku T, Nakamura S, Ichinose M. Maximum Permissive Dosage of Lactose and Lactitol for Transitory Diarrhea, and Utilizable Capacity for Lactose in Japanese Female Adults. Journal of Nutritional Science and Vitaminology. 2005;51(2):51-57. doi:10.3177/jnsv.51.51. J-STAGEで論文を読む

Hasegawa M, Okada K, Nagata S, Sugihara S. Efficacy of incremental loads of cow’s milk as a treatment for lactose malabsorption in Japan. World Journal of Clinical Cases. 2023;11(4):797-808. doi:10.12998/wjcc.v11.i4.797. PubMedで論文情報を確認







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「何を食べるか」よりも
「どうやって暮らしの中で調整してきたか」を大切にしています。

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なぜこういう考え方になるのか

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投稿日: 2025年5月23日 10:52 編集