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人間の関節や筋肉を模した外骨格スーツ「Soft Exosuit」を開発 DARPAが290万ドルを支援|ハーバード大

Army evaluates DARPA's futuristic soft exosuit

by U.S. Army RDECOM(画像:Creative Commons)




■人間の関節や筋肉を模した外骨格スーツ「Soft Exosuit」を開発 DARPAが290万ドルを支援|ハーバード大

「柔らかい外骨格スーツ」、ハーヴァード大が開発:DARPAが290万ドルを支援

(2014/9/17、Wired)

ハーヴァード大学ワイス応用生物学エンジニアリング研究所のチームが、軟質材料を使って、人間の関節や筋肉を模した外骨格スーツ「Soft Exosuit」を開発している。

ハーバード大の研究チームが開発したのが、人間の関節や筋肉を模した外骨格スーツ「Soft Exosuit」です。

これまでも外骨格スーツやパワードスーツについて取り上げてきましたが、どうしてもかさばってしまうという弱点がありました。

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今回取り上げた記事によれば、柔らかい素材とセンサーを使って、身体にフィットするように設計することで、これまで抱えていた問題を解決しようというのが外骨格スーツ「Soft Exosuit」なのだそうです。

ハーヴァード大学のコナー・ウォルシュは次のように説明している。「われわれは、生体力学と生理学の観点から人間の歩行を研究し、なぜ人間の歩行は効率がいいのかを理解しようとしている。そしてその知識を、人間の筋肉や腱と並行して作動し、それらの機能を模倣するロボットのソフトウェア設計に応用する計画だ」

なぜ人間の歩行は効率が良いのかという視点からアプローチしているそうです。

ただ、歩行に適した義足を作る上では、人間の脚そっくりにデザインするのは間違いかもしれない?によれば、筋肉のない義足においては、人間の脚の形状を真似しないほうが、より人間らしい歩き方にすることができるようで、また、見た目を人間の脚と同じ形状にせず、足首をできるだけ高くすれば、狭い歩幅で素早く歩くというようなより自然で人間らしい歩き方が可能になるそうです。

外骨格スーツの場合には、人間の体にフィットするほうが良いため、義足のデザインとはアイデアが違ってくるかと思いますが、いろいろな視点から見たほうがよりよいものができるのではないかと思います。







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P.S.

米国防総省の国防高等研究計画庁(DARPA)は、同チームの研究に期待が持てると考えているらしく、つい最近、Soft Exosuitの開発資金として290万ドルを提供した。

DARPAは、10年以上前からこの分野の研究を支援している。

「サードウェーブ」(著:スティーブ・ケース)によれば、ARPA(高等研究計画局のことでのちに国防高等研究計画局に改名)の任務は、はるか先の未来を見据えたアイディアを研究することにあるそうです。

P.P.S.

「Exosuit」の意味は何なのでしょうか?

パワードスーツ|Wikipedia

パワードスーツは、人体に装着される電動アクチュエーターや人工筋肉などの動力を用いた、外骨格型、あるいは衣服型の装置である。 SF作品に登場したことから日本で多く用いられるようになった名称であり、英語では一般的にpowered suitではなくpowered exoskeleton(強化外骨格)と総称される。

本来であれば、英語圏では、Soft Exoskeltonという名称になってもよかったはずです。

もしかすると、日本でよく用いられているパワードスーツという言葉を意識してつけたのかもしれませんね。

PillPackは人の習慣を活用して薬の飲み忘れを防ぐリマインダーアプリを開発中




pillpack_app

参考画像:WIRED|スクリーンショット

人の習慣を利用して「ちゃんと薬を飲む」ようにしてくれるアプリ

(2015/8/8、WIRED)

「PillPack」は、薬を1回分に小分けした袋を2週間ごとにユーザーに届けるサービスですが、現在、患者が薬を飲み忘れないように教えてくれるリマインダーアプリを開発中なのだそうです。

【参考記事】

高齢者宅には年475億円分の残薬(飲み残し・飲み忘れの薬)がある!?|解決する4つの方法によれば、何らかの理由で「飲み残し」「飲み忘れ」が起きていて、日本では、高齢者宅の残薬の年総額は475億円にもなっているそうです。

そこで、様々な企業が飲み忘れを防ぐシステムを提供しています。

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Pillpackの場合は、「1回分のパック」をつくると、飲む時間を選択し、飲む時間が来るとプッシュ通知が来るという、いわゆるリマインダーアプリです。

■Pillpackのアプリの特徴とは

パーカーはもともとアドヒアランスをある程度理解していた。薬剤師である父親が、処方箋を患者にわたすのを少年時代に見ていたからである。薬を飲み忘れる理由は単なる物忘れだけでなく、習慣も関係する。

アドヒアランス – 薬学用語解説 – 日本薬学会によれば、

アドヒアランスとは、患者が積極的に治療方針の決定に参加し、その決定に従って治療を受けること

を意味します。

患者の中には、積極的に治療方針の決定に参加し、治療を受ける人がいる一方で、そうではない人もいます。

「薬を受け取る余裕がない、薬にお金を使いたくない、さらに、あるいは薬が効くと信じていないという人もいる」と、アーカンソー大学薬学部の准教授セス・ヘルデンブランドは言う。これは意図的な「ノンアドヒアランス(nonadherence、患者が治療に対して積極的でないこと)」と呼ばれる。

例えば、糖尿病患者の治療継続は半数にとどまるによれば、糖尿病の合併症に不安を感じ、糖尿病の治療の重要性を認識していても、治療を継続できている人は半数なのだそうです。

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このアプリは、意図的でないノンアドヒアランスの人を対象に設計されている。「アプリを使うために多くの入力を患者に強いることで、アドヒアランスを更に高める必要はない」とヘルデンブランドは言う。

Pillpackでは、薬局や保険給付のデータを集めて、誰にどのような処方箋が出ているかがわかる「データベース」をつくることで、基本情報を入力すれば、患者の処方箋を自動で設定できるようになっているそうです。

こうした仕組みをバックグラウンドで動かすことによって、アプリユーザーの入力の手間を省き、薬の飲み忘れを防ぐためのお知らせをするシンプルなシステムになっています。

また、Pillpackは人の習慣も飲み忘れを防ぐために活用しようとしています。

パーカーはコンテクスト・アウェアネスをアプリでより実現し、より直感的なものにしている。

コンピュータが状況や変化を認識!『コンテキスト・アウェア・コンピューティング』|コベルコシステムによれば、

今までのように、個人が必要な情報を検索したり、スケジュールを確認したりするのではなく、過去の行動履歴、現在の時刻・スケジュール・位置情報などに基づいて、次の行動に必要な情報がシステムの側から積極的に提供されます。

ということで、Pillpackでは、ユーザーの位置情報に基づいてアラートを設定できるそうです。

つまり、習慣の強力な力を活用して、薬の飲み忘れを防ごうというアイデアですね。

■まとめ

なぜ高齢者の薬のもらい過ぎという問題が起きるのか?によれば、次のような理由で高齢者の薬のもらい過ぎという問題が起きています。

  • 高齢者になると複数の病気にかかることが多い
  • 複数の医療機関・複数の薬局にかかる
  • 薬剤師は「お薬手帳」で患者がどんな薬を飲んでいるか把握するが、薬の重複がわかっても、薬の整理までは手が及ばない
  • 医療機関に問い合わせてもすぐに返事がもらえず、患者を待たせないため、処方箋通りに薬を渡せばよいと考える薬剤師がまだ多い
  • 薬の情報が、医師や薬剤師間で共有されていない

処方された薬を適切に服用できずに、その結果、症状が悪化して薬が増えてしまい、また、その薬を飲み残してしまい、症状が更に悪くなっていく悪循環に陥ってしまうこともあるようです。

今回紹介したアプリはこの問題を解決するための一つのアイデアといえます。







P.S.
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アプリと薬剤ケースによる服薬忘れ防止システム「flixy」

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by e-Magine Art (画像:Creative Commons)




■アプリと薬剤ケースによる服薬忘れ防止システム「flixy

5つのデジタルヘルススタートアップをDeNA春田会長らが批評

(2015/2/20、日経デジタルヘルス)

ある調査によれば73%もの人が薬を飲み忘れ、そのうち約半数が「うっかり」によるものなのだという。flixyは薬剤ケースに小型のBluetoothモジュールを仕込み、アプリと連動させてスマートフォンに服薬タイミングを知らせる。

薬を飲むタイミングを通知するボトルを開発するADHERETECHでも取り上げましたが、服薬忘れ防止システムというのはいいアイデアだと思います。

緑内障 患者判断で治療中断18.7%によれば、「大した症状がない」、「継続受診が面倒」、「治療効果が実感できない」など病気自体への理解度が低いことや治療効果についての理解が低いという理由で、患者判断で緑内障の点眼治療を中断してしまっているそうです。

また、糖尿病患者の治療継続は半数にとどまるによれば、糖尿病の合併症に不安を感じ、糖尿病の治療の重要性を認識していても、治療を継続できている人は半数なのだそうです。

その他の病気でも、現時点ではたいしたことがなかったり、治療効果が実感できない、面倒であるといった理由から患者判断で薬の服用をやめてしまっている人がいるのではないでしょうか。

患者さんにとってその薬がどんな価値があるのか伝えるのと同時に、服用することを楽にする仕組みを作ることも大事だと思います。

そういう面で、この薬を飲むタイミングを通知するというのは良いアイデアだと思います。







【アドヒアランス関連記事】

人工知能(AI)が”特殊な白血病”を見抜き、患者の命を救う 国内初か

IBM'S WATSON TO HELP FIGHT AGAINST LEUKEMIA AT MD ANDERSON

by ibmphoto24(画像:Creative Commons)




人工知能 病名突き止め患者の命救う 国内初か

(2016/8/4、NHK)

東京大学医科学研究所が導入した2000万件もの医学論文を学習した人工知能が、専門の医師でも診断が難しい特殊な白血病を僅か10分ほどで見抜き、治療法を変えるよう提案した結果、60代の女性患者の命が救われたことが分かりました。

<中略>

このうち60代の女性患者は当初、医師から「急性骨髄性白血病」と診断されこの白血病に効果がある2種類の抗がん剤の治療を数か月間、受けましたが、意識障害を起こすなど容体が悪化し、その原因も分かりませんでした。このため、女性患者の1500に上る遺伝子の変化のデータを人工知能に入力し分析したところ、人工知能は10分ほどで女性が「二次性白血病」という別のがんにかかっていることを見抜き、抗がん剤の種類を変えるよう提案したということです。女性は、治療が遅れれば、免疫不全による敗血症などで死亡していたおそれもありましたが、人工知能が病気を見抜いた結果命を救われ、無事退院しました。

東京大学医科学研究所の附属病院は、IBMなどと協同で、人工知能「ワトソン」に2000万件に上るがん研究の論文を学習させ、がん患者の診断に役立てる臨床研究を進めているのですが、今回60代の女性患者の1500に上る遺伝子の変化のデータを人工知能に入力し分析したところ、女性が「二次性白血病」という別のがんにかかっていることを見抜き、治療法を変えるように提案して、命が救われたそうです。




IBMの「WATSON」によってがん治療がスピードアップする!?

医療従事者は、膨大な数の情報(最新の医療研究、論文、医療データ、患者の医療記録)を取り扱っていて、すでに人の頭脳では把握することができないほどなのだそうです。

そこで、注目を集めているのが、人工知能で医師や患者をサポートするシステムであり、その代表的なものがWatsonです。

Watsonは膨大な量の医療データや論文などのデータベースが格納されており、患者のデータを高速で解析し、医療データを照らし合わせることで、患者に最も最適と思われる治療方針を提案することで、医師や患者が意思決定の支援をするシステムです。

現在でも様々ながんの治療法(外科手術、抗がん剤による化学療法、放射線治療など)があります。

そして、がんの遺伝子を解析して患者ごとの診断を行い、がんを引き起こす特定の変異細胞を狙った治療ということも実現しています。

しかし、がんと立ち向かうことは、時間との闘いなのですが、がんの遺伝子を解析して患者ごとの診断を行い、治療方針を決める際には、専門の医師によるチームでも数週間という長い時間を要してしまうのが現状です。

Watsonを活用することで、遺伝子情報の解析、医療データや論文などと照らし合わせる作業の時間短縮が可能になります。

そして、今回のケースのように、人工知能が病気を見抜くということも増えていくかもしれません。

■まとめ

宮野教授によりますと、これらの分野では論文の数が膨大になりすぎて、どの遺伝子の変化が互いにどのように影響し、がんを引き起こしているのか、医師一人一人が理解するのが不可能になりつつあります。ワトソンはこうした論文を2000万件以上読み込んでいて、数多くの遺伝子の変化がどのように絡み合いがんになるのか学習しています。

現在は、治療に役立つ膨大な数の情報(最新の医療研究、論文、医療データ、患者の医療記録・遺伝子のデータ)があるものの、それを医師一人で全てを把握することはできない段階まで来ているそうです。

そこで、Watsonのような人工知能が治療方針を決めるサポートをする機会が増えていくことになるでしょう。







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P.S.

気になったのは、患者の1500に上る遺伝子の変化のデータを人工知能に入力する作業がどのように行われるのかです。

そのデートの入力を人が行なうと考えると、入力に時間がかかりそうですし、また入力ミスも起こる可能性があります。

それによって、診断に影響があるかもしれません。(イレギュラーなデータは排除するような仕組みになっているかもしれませんが)

がん治療法を人工知能(AI)が選択する時代になる!?|シカゴ大・中村教授ら

ExeterUniMedSch April2013-18

by University of Exeter(画像:Creative Commons)




がん治療法、AIが選択…シカゴ大・中村教授ら2年以内に実用化目標

(2016/10/3、読売新聞)

がんの遺伝子研究で世界的に知られる中村教授ら専門家の経験や判断の基準をAIが取り込み、膨大な医学論文から学習して患者の遺伝情報などをもとに最適な治療の候補を提案する。

 FRONTEOが持つ、人間の経験や感覚を学習するAIを使って、2年以内のサービス開始を目指す。

米シカゴ大学の中村祐輔教授と情報解析企業「FRONTEO」は、人工知能(AI)を活用して、がん患者に適した治療法を選んだり、患者が治療の悩みを解決したりできるサービスの開発に取り組むそうです。




■米シカゴ大学の中村祐輔教授とは

中村祐輔教授はがんペプチドワクチン治療の研究をされている方で、がんペプチドワクチン治療は、独自のワクチンを投与することで、ヒト本来の免疫力を飛躍的に高め、癌を退治する治療法です。

また、がん治療薬の新物質発見、シカゴ大・中村祐輔教授によれば、がん細胞を狙い撃ちする分子標的薬の候補である化合物を使ってマウスによる実験したところ、肺がんが完全に消えたそうです。

■人工知能が病気の診断を助けるようになる!?

先日も人工知能(AI)が”特殊な白血病”を見抜き、患者の命を救う 国内初かによれば、東京大学医科学研究所の附属病院は、IBMなどと協同で、人工知能「ワトソン」に2000万件に上るがん研究の論文を学習させ、がん患者の診断に役立てる臨床研究を進めているのですが、今回60代の女性患者の1500に上る遺伝子の変化のデータを人工知能に入力し分析したところ、女性が「二次性白血病」という別のがんにかかっていることを見抜き、治療法を変えるように提案して、命が救われたそうです。

今後はこうしたケースが増えていくことが予想されますが、人工知能が治療法を選択するようになるという背景には、IBMの「WATSON」によってがん治療がスピードアップする!?によれば、医療従事者は、膨大な数の情報(最新の医療研究、論文、医療データ、患者の医療記録)を取り扱っていて、すでに人の頭脳では把握することができないところまで来ていることにあります。

 医学論文は、米国の公的データベースだけで2600万件以上登録され、がん関連だけで毎年20万件増えている。最新の情報についていくのは、専門医でも難しい。インターネット上の情報は玉石混交で、患者が正しい情報になかなかたどり着けない。

 論文を学習して最適な治療法を選ぶ研究は、東京大学などが米IBMの「ワトソン」を使って行っている。今回の手法は、専門家の判断をまねして、良質な情報だけを選び、効率的に学習できるのが特徴という。

そこで、注目を集めているのが、人工知能で医師や患者をサポートするシステムであり、その代表的なものがWatsonです。

Watsonは膨大な量の医療データや論文などのデータベースが格納されており、患者のデータを高速で解析し、医療データを照らし合わせることで、患者に最も最適と思われる治療方針を提案することで、医師や患者が意思決定の支援をするシステムです。

現在でも様々ながんの治療法(外科手術、抗がん剤による化学療法、放射線治療など)があります。

そして、がんの遺伝子を解析して患者ごとの診断を行い、がんを引き起こす特定の変異細胞を狙った治療ということも実現しています。

しかし、がんと立ち向かうことは、時間との闘いなのですが、がんの遺伝子を解析して患者ごとの診断を行い、治療方針を決める際には、専門の医師によるチームでも数週間という長い時間を要してしまうのが現状です。

Watsonを活用することで、遺伝子情報の解析、医療データや論文などと照らし合わせる作業の時間短縮が可能になります。

■まとめ

専門家の経験や感覚と膨大なデータを学習したAIの組み合わせによって、適切な治療を受けられるようになるといいですね。







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