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「AI野々村真」が介護施設で高齢者の話し相手になり認知機能が改善するかの実証実験




高齢者の認知機能改善に向け、「野々村真」氏のAIキャラクターを活用する実証実験に全研ケアが参画!~AI技術を活用し介護施設で有名人と会話を楽しめる実験に協力~(2024/6/17、Zenken)によれば、AIキャラクターに野々村真さんを起用し、「AI野々村真」を介護施設で活用し、施設利用者の認知機能の改善やサービス満足度の向上を目指す実証実験を行なうそうです。

野々村真AI・デジタルヒューマンプロジェクト開始!撮影裏側&製作の途中経過を大公開!

12の危険因子を知って認知症を予防しよう!には認知症を予防する方法として「社会的交流・社会的接触を増やして社会的孤立を防ぐ」があります。

つまり、今回の実証実験ではデジタルヒューマン(AI野々村真)との会話も社会的交流の一つになり得るかというのがポイントになります。

オキシトシンで痛みやストレスが和らぎ、血圧が下がる|簡単タッチケアの方法|#ガッテン(#NHK)によれば、安心できる人と電話をするだけでもオキシトシンというホルモンが出てストレスが軽減するそうです。

有名人というのは全く知らない誰かではないため、もしかすると「安心できる人」に含まれるかもしれません。

そう考えると、AIを活用したデジタルヒューマンとの会話によっても、オキシトシンが出てストレスが軽減されることになれば、介護の現場でも役立ちそうですね。

■まとめ

今回もう一つ気になったポイントは認知症の改善効果が期待されるコミュニケーション用ロボット「テレノイド」が宮城県の介護施設に導入という記事との比較です。

2017年のニュースによれば、大阪大学の石黒浩教授が開発した、認知症の予防や症状の進行を抑える効果が期待されるコミュニケーション用ロボット「テレノイド」が宮城県の介護施設に導入されました。

デンマークと日本における存在感対話メディアの実証的研究によれば、ほとんどの認知症高齢者がテレノイドに強い愛着を示し、うつ傾向がある人や無反応な人が自ら話しかけるようになるそうです。

また、テレノイドには積極的に身体的接触を図る傾向があるそうで、これには「触れ合い」によるストレス軽減効果があると考えられるそうです。

オキシトシンで痛みやストレスが和らぎ、血圧が下がる|簡単タッチケアの方法|#ガッテン(#NHK)によれば、カラダに触れられると脳から出てくる「オキシトシン」というホルモンは、痛みやストレスを緩和し、血圧を下げたり、認知症にも効果的だったり、ストレスや不安も軽減してくれるそうです。

乱暴な言動や徘徊をしていた認知症の人にタッチケアをすると、乱暴な言動が減り、徘徊もしなくなったそうです。

痛みやストレス、強い不安に襲われると脳の中では、扁桃体が興奮します。

前頭前野が扁桃体の興奮を抑えているのですが、慢性的にストレスや痛みがかかり続けると、前頭前野では扁桃体の興奮を抑えることができずに、血圧が上がったり、不眠になってしまうそうです。

そこで、身体に触れられることによりオキシトシンが出ると、扁桃体の興奮を鎮めることにより、血圧が下がったり、痛みが治まるそうです。

オキシトシンは触れられることによってだけ出るわけではなく、安心できる人と電話をするだけでもオキシトシンが出てストレスが軽減するそうです。

オキシトシンを効果的に出す方法として紹介されたのは、抱き枕を抱きながら安心できる人と電話をすることで、声+触り心地によって、オキシトシンが出るそうです。

声を聞くだけよりも、抱き枕など抱えて抱き心地が加わると、より相手の存在を強く感じるため、安心の効果が大きくなるという研究結果があるそうです。

この研究と先ほどの実証実験を組み合わせて考えると、抱き枕など触れられるものを抱えて行えば、より安心の効果が大きくなるではないでしょうか?

→ 認知症対策|認知症に良い食べ物・栄養 について詳しくはこちら







奥歯を失うとアルツハイマー型認知症になるリスクが高まる?




奥歯失うと認知症になるリスク増加か 九州大の研究グループ(2024/6/10、毎日新聞)で紹介されている九州大大学院歯学研究院の鮎川保則教授の研究によれば、奥歯のかみ合わせが全てそろっている人に比べ、歯の欠損でかみ合わせが一部失われた人は、認知症の症状が1.34倍表れやすく、前歯も含めてかみ合わせが全くない人だと1・54倍高かったそうです。

奥歯がなくなることと認知症の進行に関係があるのでしょうか?

 今回の研究で奥歯の喪失と認知症の進行との因果関係が特定されたわけではないが、鮎川教授は奥歯の喪失により▽脳血流の減少▽栄養状態の低下▽会話困難や自信喪失による社会活動の低下――が進み、認知症の進行リスクが高まるとみている。

今回の研究では奥歯の喪失自体が認知症の進行に関連しているというものでしたが、これまで紹介した研究を参考に一つの仮説を考えると、歯周病によって奥歯を失われた人は歯周病によって認知症が悪化してしまうのではないかということが考えられます。

歯周病で認知症悪化の仕組み解明|歯周病治療と口腔ケアによるアルツハイマー病発症予防に期待|#名古屋市立大学によれば、マウスの実験で、歯周病菌の毒素がアルツハイマー病の原因となるアミロイドβを増やし、認知機能が低下したことがわかりました。

歯周病がアルツハイマー病の原因の一つ!?|歯周病菌が作る「酪酸」が酸化ストレスを引き起こすによれば、1)歯周病の原因菌「ジンジバリス菌」などが作る酪酸が細胞内に取り込まれる→2)「鉄分子(ヘム)」「過酸化水素」「遊離脂肪酸」が過剰に作り出される、3)細胞に酸化ストレスを起こして壊してしまう→アルツハイマー病というメカニズムがあると考えられています。

またもう一つの仮説として「脳糖尿病仮説」があります。

九州大の生体防御医学研究所によれば、アルツハイマー病患者は、脳内の遺伝子が糖尿病と同じ状態に変化することがわかったそうです。

【参考リンク】

糖尿病患者の半数でアルツハイマーの初期症状を確認で紹介した加古川市内の病院に勤務する医師らの臨床研究によれば、糖尿病の通院患者の半数以上に、「海馬傍回(かいばぼうかい)」と呼ばれる脳の部位が萎縮(いしゅく)するアルツハイマー病の初期症状がみられることがわかったそうです。

インスリンには記憶、学習機能を高める作用もあり、糖尿病でインスリン反応性が低下することが、アルツハイマー病発症につながっている可能性があるようです。

インスリン抵抗性を伴った2 型糖尿病にアルツハイマーのリスク|九大研究によれば、インスリン抵抗性を伴った2型糖尿病の場合、アルツハイマーの発症に関係があるとされるプラークが形成されるリスクが高くなるという研究結果が発表されたそうです。

九州大学の研究によれば、血糖値の異常が認められた患者にはプラークが形成されるリスクが高いという結果がでたそうです。

論文を執筆した九州大学の佐々木健介さんによれば、インスリン抵抗性がプラーク形成の原因と結論するにはさらに研究を進める必要があるものの、糖尿病をコントロールすることによってアルツハイマーを予防できる可能性があるとしています。

【関連記事】

最近の研究では、歯周病は糖尿病の合併症の一つといわれており、糖尿病の人はそうでない人に比べて歯肉炎や歯周病にかかっている人が多いといわれています。

それは、糖尿病になると、唾液の分泌量が減って歯周病菌が増殖したり、免疫機能や組織修復力が低下して、歯周病が発症・進行しやすくなるからだと考えられます。

糖尿病と歯周病との関連 免疫低下で原因菌増加によれば、糖尿病と歯周病の関連性は疫学調査や動物実験などで明らかにされており、糖尿病を多く発症する米アリゾナ州のピマインディアンを対象にした調査では、歯周病の発症率が糖尿病ではない人に比べて二・六倍高い、といったことも分かっているそうです。

なぜ、糖尿病の人は歯周病になりやすく、また治りが遅いのでしょうか?

高血糖状態が長く続くと、血液中に体内のタンパク質に糖が結合した糖化たんぱくが増加し、体内に侵入した細菌やウィルスを捕食・消化し、その情報をリンパ球に伝える働きを持つマクロファージを刺激し、ある特定のサイトカイン(細胞同士の情報伝達を担うタンパク質で、過剰に分泌されると、自らの組織が破壊されることがある)の分泌量が増え、歯周病が悪化するのではないかと考えられるそうです。

糖尿病と歯周病との関連 免疫低下で原因菌増加で紹介した愛知学院大歯学部歯周病科(名古屋市)の野口俊英教授によれば、糖尿病と歯周病には5つの共通点があるそうです。

  1. 初期に顕著な自覚症状がない
  2. 罹患率が高い
  3. 生活習慣病
  4. 慢性疾患
  5. 病気の進行のメカニズムが似ている

今回の研究では奥歯の喪失だけにスポットが当てられていましたが、奥歯の喪失が何によるものか、例えばそれが歯周病であったり、さらに元をたどれば糖尿病から来るものであるとしたら、糖尿病と歯周病とではアルツハイマー病になるメカニズムが違ったとしても、糖尿病と歯周病には共通点が多いということですから、アルツハイマー病を予防するには、歯周病・糖尿病になる生活習慣を改善することが大事ということが言えそうです。

→ 歯周病は糖尿病の合併症の一つ!?糖尿病と歯周病の関係 について詳しくはこちら

→ 歯周病を予防する方法(歯磨き・歯ブラシ) について詳しくはこちら







2040年の認知症患者584万人!認知症の有病率が低下した背景には何があるの?




認知症の高齢者2040年に584万人、7人に1人…九州大などの研究チーム推計(2024/5/8、読売新聞)によれば、全国の認知症の高齢者は2040年に584万人、軽度認知障害(MCI)の高齢者数も612万人になると推計されているそうです。

世帯構造別にみた65歳以上の者のいる世帯数の構成割合の年次推移|グラフで見る世帯の状況|国民生活基礎調査(平成25年)の結果から|厚生労働省
世帯構造別にみた65歳以上の者のいる世帯数の構成割合の年次推移|グラフで見る世帯の状況|国民生活基礎調査(平成25年)の結果から|厚生労働省

参考画像:世帯構造別にみた65歳以上の者のいる世帯数の構成割合の年次推移|グラフで見る世帯の状況|国民生活基礎調査(平成25年)の結果から(平成26年、厚生労働省)

高齢世帯は2040年に44.2%に、一人暮らしの高齢者も増加|「日本の世帯数の将来推計」厚労省推計で紹介した国立社会保障・人口問題研究所が行なった2018(平成30)年推計の「日本の世帯数の将来推計(全国推計)」によれば、全世帯主に占める 65 歳以上世帯主の割合は2015年の36.0%から2040年には44.2%を占めるそうです。

今回のニュースのポイントは厚労省が推計する認知症の高齢者数が大幅に下回っていることです。

認知症の高齢者は2025年には730万人と推計|認知症に役立つ食べ物と生活習慣によれば、2025年には認知症の高齢者は多い場合で730万人に達すると推計されるとしていましたが、今回のニュースではその数字を大きく下回っています。

参考画像:高齢者の健康・福祉|内閣府

認知症の有病率が低下した背景には何があるのでしょうか?

有病率が低下した背景について、研究チーム代表の二宮利治・九州大教授(疫学)は「喫煙率の低下や、高血圧、糖尿病など生活習慣病管理の改善などによって、認知機能低下の進行が抑制された可能性がある」と分析した。

MCI(軽度認知障害)の14%が認知症に進み、46%は正常に戻る|国立長寿医療研究センターで紹介した国立長寿医療研究センターによれば、「MCI(軽度認知障害)」の65歳以上の愛知県大府市の住民を4年間追跡調査したところ、14%が認知症に進んだ一方、46%は正常に戻ったそうです。

MCI(Mild cognitive impairment:軽度認知障害)とは、認知症の前段階で、認知機能が年相応といえない程度に低下している状態を指しますが、MCIになると必ず認知症になるわけではなく、正常に戻るケースも多々あることがわかっています。

12の危険因子を知って認知症を予防しよう!を参考にしてみると、難聴への対策、高血圧対策(減塩推進や降圧薬の普及)、過度のアルコール摂取を避ける、肥満対策(高脂血症薬による治療の普及)、禁煙、社会的孤立を防ぐ、運動不足を解消する、糖尿病予防(女性における糖尿病患者の減少)といったことによって、MCIの人も認知症にならずに正常に戻る可能性があるということではないでしょうか?

【子供・青年期】

1)子供たちに初等・中等教育を提供する

【中年期】

2)難聴への対策(補聴器など)
3)外傷性脳損傷を防ぐ(頭部のけがを防ぐ)
4)高血圧対策
5)過度のアルコール摂取を避ける
6)肥満対策

【晩年期】

7)禁煙
8)うつ病予防
9)社会的交流・社会的接触を増やして社会的孤立を防ぐ
10)大気汚染を減らす
11)運動不足を解消する
12)糖尿病予防

→ 認知症対策|認知症に良い食べ物・栄養 について詳しくはこちら

予防可能な認知症危険因子の寄与
予防可能な認知症危険因子の寄与
老年期・中年期血圧レベル別にみた病型別認知症の発症リスク
老年期・中年期血圧レベル別にみた病型別認知症の発症リスク
耐糖能レベル別にみた病型別認知症の発症リスク
耐糖能レベル別にみた病型別認知症の発症リスク

参考画像:認知症のリスク因子について|首相官邸

MCI(軽度認知障害)は女性の方が速く悪化し、腎機能の低下という特徴がみられる|東大教授の調査で紹介した東大教授の岩坪威さんらのグループによれば、軽度認知障害(MCI)の女性は男性よりも症状が悪化しやすく、また、認知障害の悪化が早い女性には腎機能の低下がみられるという特徴がみられたそうです。

軽度認知障害(MCI)の女性は症状が悪化しやすく、また認知障害の悪化が早い女性には腎機能の低下がみられるという特徴があることを参考にして、予防対策をとっていくということも認知症を防ぐ一つの手段になるでしょう。

また、「認知症予防アプリ」|歩行速度を測定し認知症・MCI(軽度認知障害)のリスクが高い場合に通知する|太陽生命によれば、歩行速度を継続的に測定し、将来の認知症・MCI(軽度認知障害)のリスク予兆が発見された場合に本人と家族に通知するアプリがあるそうです。

つまり、歩行速度を将来の認知症・MCI(軽度認知障害)の一つのサインとして対策を行なっていくことも考えられます。

「フレイル(高齢者の虚弱)」の段階で対策を行ない、要介護状態の高齢者を減らそう!によれば、高齢者は健康な状態から急に要介護状態になるわけではなく、食欲の低下や活動量の低下(社会交流の減少)、筋力低下、認知機能低下、多くの病気をかかえるといった加齢に伴う変化があり、低栄養、転倒、サルコペニア、尿失禁、軽度認知障害(MCI)といった危険な加齢の兆候(老年症候群)が現れ、要介護状態になると考えられます。

つまり、今回紹介したような、歩行速度に着目してMCIを早期発見するアプリのように、要介護状態になる前段階である「フレイル(フレイルティ)」の段階で、MCIの予防につながることを行なうことによって、認知症を防ぐことができれば、それだけ要介護状態になる高齢者を減らすことにつながることが期待されます。

今回のニュースでは生活習慣の改善によって認知症の有病率が低下した可能性もあるので、社会としてしっかりと認知症対策に取り組んでいくことが大事ですね。

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イヌを飼っている高齢者の認知症発症リスクが40%低い!ネコの飼い主はどうなの?

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「ペット飼育と認知症発症リスク」犬の飼育を通じた運動習慣や社会との繋がりにより認知症の発症リスクが低下することが初めて明らかに(2023/10/24、東京都健康長寿医療センター)によれば、犬を飼っている人は、飼っていない人に比べて認知症が発症するリスクが40%低いことがわかりました。

一方で、猫を飼っている人と飼っていない人では認知症の発症リスクに差はみられなかったそうです。

このことからペットを飼っているから認知症発症リスクが低くなるのではなく、犬の散歩での運動習慣や飼い主同士のコミュニケーションによって社会的孤立から逃れ社会とのつながりを持っていることが認知症発症リスクを下げていると考えられます。

12の危険因子を知って認知症を予防しよう!でも紹介しましたが、社会的交流・社会的接触を増やして社会的孤立を防ぐ、運動不足を解消することは認知症を防ぐ要因となっています。

認知症を予防するためにも、運動する習慣を持ち、社会的つながりを作っていきましょう!

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超加工食品を多く含む食事をすると、うつ病や認知症のリスクが高まる!?

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「超加工食品」の多い食事、うつや認知症の割合が高かった、研究(2023/11/27、ナショナルジオグラフィック)で紹介されている研究によれば、超加工食品を多く含む食事をすると、うつ病や認知症のリスクが高まる恐れがあるのではないかと考えられるそうです。

→ 認知症の症状・改善・予防に良い食べ物 について詳しくはこちら

●うつ病と超加工食品

医学誌「Nutrients」に2022年6月に掲載されたレビュー論文によると、超加工食品を多く含む食事では、うつ病のリスクが44%、不安障害のリスクが48%高かった

●認知症と超加工食品

2022年12月に医学誌「JAMA Neurology」に発表された別の研究では、1万775人のブラジルでの追跡調査により、総カロリーの20%超を超加工食品から摂取する人は、それ以下の人に比べて全般的な認知機能が28%速く低下したことが明らかになった。

英国に住む7万2083人の追跡調査から、超加工食品の摂取量が10%増えるごとに認知症のリスクが25%上昇していたという、医学誌「Neurology」に2022年9月に発表された報告だ。

超加工食品とは、ブラジル・サンパウロ大学の研究チームによれば、「塩、砂糖、油脂に加え、料理には使用されない物質を含み、工業的に形成されたもの」と定義しています。

アメリカ人は摂取するカロリーの約6割、砂糖の9割を「超加工食品」から摂取している!?によれば、英医学誌ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル(BMJ)の調査結果によれば、アメリカ人は摂取するカロリーの約6割、砂糖に至っては9割を「超加工食品」から摂取していることがわかったそうです。

なぜ超加工食品をたくさん食べる人はうつ病や認知症の発症リスクが高まると考えられるのでしょうか?

 塩分、糖分、飽和脂肪酸のとりすぎが、慢性の炎症、高血圧、高血糖、心臓病、2型糖尿病などにつながることは、一般の人々にも広く知られている。しかし、これらの疾患が脳への血流を低下させ、血管性認知症のリスクを高めることはあまり知られていない。

 また、ある種の人工甘味料やグルタミン酸ナトリウムなどの添加物も、ドーパミン、ノルアドレナリン、セロトニンなどの脳内物質の邪魔をして、精神的・感情的な満足度を低下させるおそれがある。

【仮説】血糖値との関係

糖尿病になると、認知症の発症リスクが2倍高くなる!?で紹介した東京大の植木浩二郎特任教授によれば、糖尿病になると認知症の発症リスクが2倍高くなるそうです。

駆け込みドクター 5月17日|認知症|認知症チェック・認知症予防にアマニ油・デジタル認知症によれば、糖尿病・高血圧・脂質異常症などの生活習慣病のリスクの高さと認知症(アルツハイマー病)には関係があり、アルツハイマー病の発症リスクは、糖尿病だと2倍、高血圧だと2倍、脂質異常症だと3倍になると紹介していました。

また、ワシントン大学の研究者らは、マウスの実験で血糖値を異常に高い値に引き上げたところ、脳内のアミロイドベータの生産も増加し、双方に何らかの相関性があることを突き止めたり、ピッツバーグ大学で実施された約180人の中年の成人を対象とした試験では1型糖尿病の患者は、この疾患を持たない被験者と比べ、はるかに多くの脳内病変が認められ、認知機能は低下していたそうで、血糖値の高さが脳に影響を及ぼす可能性があることが、2つの研究で示されています。

なぜ血糖値が高いとアミロイドβが生産されアルツハイマーのリスクが高まるのでしょうか。

インスリンには血液中のブドウ糖(血糖)の濃度を調節する働きがありますが、今回の記事によれば、インスリンはアミロイドから脳を守る働きもあるそうです。

アルツハイマー病は、アミロイドβタンパクが脳にたまることで、神経細胞が死滅し、萎縮し、認知機能が低下することから起きると考えられています。

つまり、インスリンの分泌が低下したり、生成されなくなるということは、アミロイドから脳を守ることができなくなり、認知機能が低下してしまうと考えられます。

『副腎疲労症候群(アドレナルファティーグ)』とは?副腎を助けるためにどんな食べ物を摂るといいの?によれば、神経の働きを正常に保つ働きのあるビタミンBを消費すると、エネルギー不足が起こり強い疲労感や抑うつ感を引き起こし、うつ病ではなくうつ状態に陥ることがあるそうです。

食事を簡単に済ませてしまう人ほど炭水化物だけの食事をとってしまいがちですが、炭水化物=糖質を過剰に摂取すると、その代謝に大量のビタミンB群が消費されてしまい、ストレスでビタミンBを消費しているところへ、さらに消費→欠乏という悪循環に陥ってしまうそうです。

もしかすると、超加工食品をたくさん食べる人はバランスの良い食事ができずにビタミンBが欠乏してしまい、うつ状態に陥っている可能性があるのではないでしょうか?

【仮説】オメガ3不足

えごま油で認知症対策&うつ病予防|#林修の今でしょ講座

認知症対策には、えごま油。

えごま油は、脳の神経細胞に良い働き

認知症→脳の「神経細胞」が老化やストレスなどで死んでしまっている状態

認知症対策→神経細胞を減らさないことが大事

えごま油には、α-リノレン酸(体内では作ることができない必須の脂肪酸)が含まれていて、体内に入ると脳に大切な栄養素であるEPA・DHAに変化し、弱った「神経細胞」に刺激が与えて活発になるそうです。

番組による実験によれば、油は吸収が早いため、えごま油摂取後、30分で脳への効果が現れていました。

また、えごま油はうつ病のリスクも軽減してくれるそうです。

うつ病は、認知症と同じ脳の病でもあります。

認知症の場合には進行を遅らせることは可能ですが、治すことは難しいです。

しかし、認知症と違い、うつ病の場合は神経細胞が弱っている状態なので、もう一回神経細胞を元気にすれば、病気になってしまった後でもえごま油は良い効果をもたらしてくれるそうです。

アメリカのハーバード大学公衆衛生大学院の発表によると、10年間にわたって5万人以上の女性を対象にした研究によれば、リノール酸の摂取を控え、α-リノレン酸を与えたところ、うつ病の発生が減少したそうです。

→ エゴマ油 についてさらに詳しくはこちら

→ オメガ3脂肪酸|オメガ3の効果・効能・食べ物(オイル)・ダイエット について詳しくはこちら

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■まとめ

この問題の背景にあるのは経済格差(貧困)です。

肥満と生活保護・貧困との関係-米によれば、肥満率が高い州は南部に多く、またフードスタンプ(日本で言えば生活保護のようなもの)の受給者も南部に偏っているということから肥満と貧困には相関関係があるのではないかと考えられます。

低収入ほど野菜不足-厚労省栄養調査によれば、厚生労働省が発表した2011年の国民健康・栄養調査によれば、低収入ほど野菜の摂取量が不足しているという結果が出たそうです。

低所得者ほど生活習慣に問題=野菜食べず、運動しないという記事によれば、低所得者ほど野菜を食べる量が少なかったり、運動の習慣がなかったりと、生活習慣に問題がある傾向があることがわかったそうです。

アメリカ人の食生活が1日3食からスナック(軽食)を頻繁に食べる食習慣に移行している!?によれば、単身世帯、子供が独立したベビーブーマー世代、それに慌ただしい生活の共働き世帯が増えていることによって、食事の計画や買い物、料理の時間はもとより、食事をする時間さえ確保することが困難になり、アメリカ人の食生活が1日3食という食習慣からスナック(軽食)を頻繁に食べる食習慣へと移行しつつあるそうです。

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だからといって、アメリカ全体が食に対していい加減というわけではなく、アメリカは健康に対する個人の意識・関心の高さの差が大きいによれば、ベジタリアンやヴィーガン、グルテンフリーという食事があるように個人間での食に対する意識・関心の差が大きいようです。

「所得と生活習慣等に関する状況」のグラフから見えてくるものー厚生労働省調査でも、年収が高い人ほどよい生活習慣を持っている(よい生活習慣を持っている人ほど年収が高い)傾向にあります。

健康格差とは健康格差は、収入・学歴などが要因?でも取り上げましたが、社会的・経済的な格差が健康の格差を生んでいるということがWHOでも一つの問題として注目されているようです。

超加工食品の摂取を減らすことが砂糖やカロリーを減らすことにつながるというのは実にシンプルな対策です。

『スイッチ!「変われない」を変える方法』(著:チップ・ハース&ダン・ハース)によれば、アメリカ人に健康的な生活をさせる方法として次のような提案をしていました。

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「もっと健康的に行動しよう」と訴えるのではなく、「次にスーパーの乳製品コーナーに立ち寄ったら、ホールミルクではなく低脂肪乳に手を伸ばしなさい」というべきなのだ。

飲食行動を変える必要でなく、購入行動を変える。

「もっと健康的に行動しよう」と伝えても、具体的な行動が示されていないと、人は行動に移れないものです。

ですから、超加工食品ではなくて、別の食品を手に取ろうとうながすことによって、飲食行動を変えるのではなく、購入行動に変化を与え、結果的に健康的な行動につながるのです。

人々がそのような行動をとると、自然と会社側もそうした食品を販売するようになるはずなので、より健康的な食品を選択するようになるのではないでしょうか?