by Dylan(画像:Creative Commons)
> 健康・美容チェック > 糖尿病 > 肥満になっても、腸管で炎症が起こらないと糖尿病になりにくい!?|慶大
■肥満になっても腸管で炎症が起こらないと糖尿病になりにくい!?|慶大
(2016/8/10、慶応義塾大学医学部)
本研究チームは、マウスに脂肪分を60%含む高脂肪食を摂取させることで、脂肪組織よりも先に、免疫細胞のマクロファージの集積を促す蛋白質Ccl2(Chemokine C-C motif ligand 2)の産生が増加し、マクロファージが集積することで、大腸の慢性炎症が引き起こされることを明らかにしました。さらに、大腸腸管上皮だけでCcl2が欠損するマウスを作製し、大腸の慢性炎症を抑えると、インスリンの効きが良くなり、血糖値の上昇が30%程度低下する事も明らかにしています。
慶應義塾大学医学部内科学教室の川野義長助教、中江淳特任准教授、伊藤裕教授らが行なったマウスの実験によれば、高脂肪食の過剰摂取による大腸の慢性炎症がインスリン抵抗性を引き起こし、糖尿病の発症につながるという新たな糖尿病発症メカニズムを解明しました。
今回の研究のポイントは、「肥満になっても、腸管で炎症が起こらないと糖尿病になりにくい」ことを示すものであり、将来的には腸の炎症を抑えることによって糖尿病の発症を防ぐ薬の開発が期待されます。
→ 糖尿病の症状・初期症状 について詳しくはこちら
【関連記事】
■インスリン抵抗性
インスリンの働きが不足する原因には、分泌自体が不足する「インスリン分泌障害」の他に、肝臓や筋肉、脂肪などでの働きが低下する状態があり、これを「インスリン抵抗性」と呼んでいます。
インスリン抵抗性は、塩分が尿に排せつされにくくして血圧を上昇させたり、脂肪の合成と分解のバランスを崩して脂質異常症(高脂血症)を招いたりします。
また、動脈硬化を進めることも明らかとなっており、これら生活習慣病のすべてに関係しています。
インスリン抵抗性は糖尿病患者にだけ限った話ではなく、お酒の飲みすぎで肝臓に脂肪が蓄積した状態の「脂肪肝」の方、内臓脂肪が蓄積した状態の「メタボリックシンドローム」の方、それらを含めた肥満の方にもインスリン抵抗性とは関係があるようです。
また、インスリン抵抗性は、高血圧、高脂血症、動脈硬化を招く原因ともなりえます。
【関連記事】
- 腸内細菌を元気にすると糖尿病になりにくくなる!?|血糖値が下がりやすい体質にする方法
- 腸内フローラ|太りやすい身体の原因は「腸内細菌のバランスの崩れ」|#たけしの家庭の医学
- 食物繊維(イヌリン)を摂って糖尿病改善|ためしてガッテン(NHK)
- 肥満やメタボの第3の要因に腸内フローラ(腸内細菌叢)が関係している?和食を食べて予防しよう!
- やせない原因は腸にあった!?やせ型腸内細菌と肥満型腸内細菌|腸サビ|#世界一受けたい授業
- 酸化ストレスが糖尿病を引き起こすメカニズム解明|東北大・筑波大
- 糖尿病の新治療法に期待 「CD44」の働きを抑えると、血糖値を下げるだけでなく、脂肪細胞の炎症も抑えられる|北里大・スタンフォード大
- 肥満から糖尿病や高血圧などの生活習慣病になる仕組み解明|阪大
- 内臓脂肪型肥満で免疫力が老化するメカニズムをマウスの実験で解明|慶応大学
糖尿病関連ワード
■薬局でもできる糖尿病の検査|検尿(尿糖検査)と採血による血糖検査