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ネットカフェ寝泊まり利用、「住居なし」25.8%!|ネットワーク格差の視点から考える

Tokyo skyline

by tetedelart1855(画像:Creative Commons)




■ネットカフェに寝泊まりしている人で「住居なし」25.8%!|ネットワーク格差の視点から考える

「住居喪失不安定就労者等の実態に関する調査」の結果|PDF

(2018/1/26、東京都)

東京都が平成28年11月~平成29年1月に、インターネットカフェ・漫画喫茶・サウナ等502店舗を対象に行なった調査によれば、ネットカフェに寝泊まりしている人の75%は、旅行・出張中の宿泊であったり、遊び・仕事で遅くなったり、PC・漫画等の利用をするといった「住居がない」という理由でオールナイトを利用しているわけではないのですが、オールナイト利用の理由が、「現在『住居』がなく、寝泊りするために利用」である者(=住居喪失者)は、25.8%であることがわかったそうです。

また、「住居がない」を利用の理由とする人のうち、「不安定就労者」(「派遣労働者」+「契約社員」+「パート・アルバイト」)は75.8%であることもわかりました。

住居喪失者等(の年齢は、「30~39歳」(38.6%)が最も多かったそうです。

住居を確保するに当たっての問題点では、「入居に必要な初期費用の貯蓄」(62.8%)が最も多く、「住居入居後に家賃を払い続けられる安定収入がない」(33.3%)、「入居に必要な保証人の確保の難しさ」(30.9%)が挙げられています。

1か月の収入状況は、「11~15万円」(46.8%)が最も多く、「収入なし」が10.7%存在していることがわかりました。

以前の調査結果との比較をしていないため、これが多くなっているのかどうかはわかりませんが、現実としてネットカフェ利用者のうち、4人に1人が住居がなく、そのうち4人に3人が「派遣労働者・契約社員・パート・アルバイト」であり、約5割の人の1か月の収入が「11~15万円」であり、住居を確保できない理由としては、約6割の人が貯蓄ができないからを理由に挙げています。

■ネットワーク格差の視点から考える

このブログでは、主に健康について取り上げてきたのですが、知らず知らずのうちに、健康(健康的なライフスタイル)と所得(収入)の関係に関連があるのではないかと感じ、それから健康格差の問題、貧困の現状について度々取り上げるようになりました。

そこで、最近注目している考え方が「ネットワーク格差」です。

最近では「健康格差」「教育格差」「収入格差」についての問題が話題になっており、この問題を解決するためにも、お金を支給したり、職業訓練などのリカレント教育に取り組むという話題が出ていますが、大事なのは「ネットワーク格差」の問題にあるのかもしれません。

ネットワーク格差が機会の格差、健康格差、収入格差を生む!?|貧困や社会の不平等を減らすには、いかにネットワークにつないでいくかが重要!で紹介した「つながり 社会的ネットワークの驚くべき力」(著:ニコラス・A・クリスタキス ジェイムズ・H・ファウラー)では次のように書かれています。

つながり 社会的ネットワークの驚くべき力

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マサチューセッツ州フレーミングハム出身の12万67人からサンプル集団を作り、その内の1020人を人間関係のつながりと本人の幸福度を比較した。

第1に、ネットワーク内では幸福な人は幸福な人同士で、不幸な人は不幸な人同士で群れを作っていた。

第2に、不幸な人はネットワークの周縁に位置するようだ。つまり、社会関係の連鎖の末端、ネットワークの外れに存在する傾向が高いのである。

人間関係と本人の幸福度の比較によれば、1.幸福な人は幸福な人同士で、不幸な人は不幸な人同士で群れを作る、2.不幸な人はネットワークの端っこに位置することが高いということがわかったそうです。

ネットワーク格差が機会の格差を生み、拡大する。実際、つながりの多い人が同様につながりの多い人とつながる傾向が社会的ネットワークの特徴であり、神経、代謝、機械、人間以外のネットワークなどと異なる点だ。
つながりの乏しい人達は、その友人や家族も大きなネットワークから切り離されていることが多い。
つまり、社会の不平等に立ち向かうには、肌の色や懐具合よりもつながりが重要であると認識しなければならない。
教育、健康、収入の格差に立ち向かうには、援助しようとする人の個人的つながりにも向き合わなければならない。※
貧困を減らすには、金銭の支給だけでは足りないし、職業訓練を加えてもなお不十分だ。困窮者が社会の他の構成員と新たな関係を築くのを助けるべきなのだ。ネットワークの周縁に的を絞って人々のつながりの再構築を促すのは、末端の恵まれない人たちだけでなく、社会の仕組み全体に手を差し伸べることになる。

ネットカフェに寝泊まりしている人で「住居なし」と答えた人は、つながりの乏しい人ではないでしょうか。

「豊かなものはますます豊かに」という言葉を聞いたことはないでしょうか?

クレディスイス「わずか4%が、ビットコインの97%を所有」についてネットワークの性質の視点から考えてみたでは、ネットワークの性質上、すでに多くのリンクを持つノードほど選ばれやすい、つまり、良質な情報源と多くつながっている人ほどネットワークを広げやすく、社会的ネットワークにおける、状況的不平等(一部の人は社会経済的によりよい状況にある)と位置的不平等(一部の人はネットワーク上でよりよい位置を占めている)によって、「豊かなものはますます豊かに」になるのです。

能力が同じであったとしても、つながりが乏しい人はネットワークから切り離されているため、機会の格差を生んでしまい、収入格差を生んでしまうのではないでしょうか。

日本のフィンテックは「貧テック」!?日本はフィンテックの前にITや金融の活用度を上げていく必要がある!|#FINTECHでは、多くの人が金融の仕組みからはじき出されているということではないかと取り上げました。

「ブロックチェーン・レボリューション」(著:ドン・タプスコット+アレックス・タプスコット)

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貧しい地域の人たちにとって、銀行口座を持つための最低残高や、決済の最低支払い額、システム手数料といった壁はあまりに高すぎる。金融機関のインフラにコストがかかりすぎるせいで、貧しい人たちのささやかな経済活動は犠牲になっているのだ。p66

日本のフィンテックは「貧テック」だと揶揄する(読み方「やゆ」意味:からかう)人もいます。

ただそういう人は現状で苦しんでいる人のことが見えていないのかもしれません。

例えば、給与前払いサービスとは?|給料前借りアプリが注目のきっかけ!?人手不足で悩む2018年以降は給与前払いサービスが求人に応募するポイントになる?

で紹介した大手求人サイトの検索キーワードによれば、常に日本全国で「日払い 」「週払い」がベスト10にランクインするほどなのだそうで、求職者にとっては、「前払い」「日払い」「週払い」ということは重要な求人募集の要素となっているそうです。

奨学金による貧困問題|大学生の仕送りは減少傾向、アルバイトの就労率・収入金額の増加、返済に対する不安もによれば、仕送り10万円以上をもらっている学生は減少傾向にあり、アルバイトの就労率・収入金額ともに増加傾向にあり、アルバイトを増やすことで暮らし向きを良くしようとしているのがわかります。

他にも検索すればたくさん出てきます。(下記の関連記事を参照していただければ幸いです)

「インクルージョン」という考え方を知れば、あなたの周りの世界はやさしくなる!?で紹介した「インクルージョン(Inclusion)」には、包含・含有・包括性・包摂・受け入れるといった意味を持ち、誰も排除せず、様々な人を受け入れるという考え方があります。

自らが望まずに「住居なし」という立場に陥っている人は、「ネットワーク格差」が機会の格差、健康の格差、収入の格差を生むのであるならば、いかにネットワークにつながっていくかを考えていく必要があるということではないでしょうか?







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