参考画像:Nike Unlimited Stadium|Vimeoスクリーンショット
■Nike Unlimited Stadium|自分のアバターに勝って自分自身の限界を超えろ!
[vimeo]https://vimeo.com/191768529[/vimeo]
Nike Unlimited Stadium|Vimeo
RFIDを靴ヒモに着けて、一周目のラップタイムを計り、次の周からアバターが出現し、一回目のラップタイムで並走し、そのアバターに勝つと、新しく更新されたベストタイムでアバターが走ることにより、最高記録を伸ばしていくことができます。
【参考リンク】
- Report on NIKE UNLIMITED STADIUM(2016/8/22、Birdman Blog)
ランニングをしている人の中には、ラップタイムを計測して、自分自身の最高記録を超えようとしている人もいると思いますが、これはそれを目に見える形にしてくれているわけですね。
このアイデアはランナーのスピードを客観的に見ることができるというものですが、さらに発展させたアイデアもあります。
暦本 純一(ヒューマンインターフェース研究者)|INFORIUM
トップアスリートのなかにはパフォーマンス中の自分のフォームを客観的に眺めることができる方がいるそうです。これはメンタルのジャックアウトと言えますが、ドローンを使えば工学的にその状態をつくることが可能です。ジョギングしている人の後からドローンがついてきて、自分の後ろ姿を客観的に見ることができるシステムです。この視界に、遠隔地にいるコーチがジャックインしてきて、フォームのアドバイスをしてくれるのです。
プロのアスリートがビデオで走る姿を撮影することにより、自分の走りを客観的に見るという映像を見たことがありますが、ドローンを使って走る姿を撮影し、スピードだけではなく、フォームもチェックすることができそうです。
■人は他人をライバルとするほうが走りが速くなるのか、それとも自分自身をライバルとするほうが速くなるのか?
気になったのは、人は他人をライバルとするほうが走りが速くなるのか、それとも自分自身をライバルとするほうが速くなるのかという疑問です。
これまでにも、ライバルがいた方がダイエットが継続しやすかったり、SNSのデータを共有したほうが走る距離やスピードが増すという記事を取り上げてきました。
●社会的な「つながり」をダイエットに活用する|社会的な絆が強い人の影響を人は受けやすいによれば、近くに住んでいる人よりも社会的な絆が強い人の影響を人は受けやすいので、ダイエットを一緒に努力しているメンバーが時にはライバルとして、時には応援する人として、社会的絆が強くなればそれだけダイエットへの影響を強く与えることができます。
●ダイエットは仲間と一緒に取り組むと成功しやすい!?|米ベイラー医科大学で紹介した米ベイラー医科大学がおこなった調査によれば、ダイエットのモチベーションを保つのは一人では難しいようで、一緒にダイエットをしてくれる仲間を探すことがダイエット成功の近道なのだそうです。
●SNSの友達とジョギングのデータを共有すると、走る距離が増える|米MITで紹介した米マサチューセッツ工科大(MIT)のチームがネイチャー・コミュニケーションズに発表した論文によれば、人はSNS上で共有されているウェアラブルデバイスで記録したジョギングの距離や速さのデータを見ると、走る距離やスピードが増すということが分かりました。
また、今回の研究結果によれば、女性は他の女性から影響を受けるのに対して、男性は男性・女性の両方から影響を受けるそうです。
つまり、男性ほどワークアウトのデータを共有したほうが競争意識がかきたてられると考えられます。
今回のシステムは、誰かをライバルにするのではなく、自分自身をライバルとしてチャレンジすることができますが、目標とする誰かと競争するのと自分自身と競争するのではどちらがより闘争心がかきたてられるものなのでしょうか。(それとも変わらないのか)
■まとめ
参考画像:Nike Unlimited Stadium|Vimeoスクリーンショット
バルサも採用するサッカーのコンディショニング理論「ピリオダイゼーション/PTP」では、一人で走るときと二人で走るときにどちらの方が速くなるのかという実験が行われていました。
まず(1)を鍛えるのに適しているのが、「フットボールスプリント」だ。レイモンドは次の3つの状況を設定し、どれが一番速いかという実験を行った。
a. 1人だけで15m走る
b. 2人で同時に15m走る
c. コーチがボールを15m前方に蹴り、2人が同時に追い、先に取った選手がシュートそしてタイムを計測した結果、陸上の常識ではありえない結果が得られた。最も速かったのは「c.」のボールを追ってシュートする場合だったのだ。
レイモンドは言う。
「この実験からわかることは、サッカーの局面を作ることで、選手に刺激を与えられるということ。100%の力で走れと言われても、なかなか自分の意識だけではその限界には達せられない。だが、外部からの刺激を使えば、限界を超えられる。ライオンから追われたら、誰でも本気で走るだろ(笑)」
一人で走るよりも二人で走るほうが競争することで速くなるというのはよく言われていたことですが、さらに、外部からの刺激を与えることで、限界を超えて走ることができるというわけです。
今回紹介したシステムにこの考えを加えると、二人以上で走り、アバターとして、目標となるラップタイムで走る選手を置いたほうがより速くなるのではないかと考えられます。
「ピリオダイゼーション/PTP」によるコンディショニング理論は、「能力の限界を少しだけ超えた、101%の状態で練習する」(オーバーロード・トレーニング)という概念をもとにトレーニングが考えられていますが、このナイキのシステムを使うと、能力の限界を超えた状態でトレーニングすることが安定した状態でできるかもしれません。
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