■アメリカ人は摂取するカロリーの約6割、砂糖の9割を「超加工食品」から摂取している!?
by Samat Jain(画像:Creative Commons)
米国人の摂取カロリー、6割が「超加工食品」からと判明 調査結果
(2016/3/15、Forbes Japan)
調査結果によると、米国人は摂取するカロリーの58%、砂糖の90%を清涼飲料水やシリアル、袋詰めされたパンや焼き菓子、袋入りのスナック類、その他の菓子類、デザート類、再構成肉(チキンナゲットなどの材料)、即席めん類、スープなどの「超加工食品」から取っていた。
英医学誌ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル(BMJ)の調査結果によれば、アメリカ人は摂取するカロリーの約6割、砂糖に至っては9割を「超加工食品」から摂取していることがわかったそうです。
■超加工食品とは?
米全国健康・栄養調査(NHANES)の2009~10年のデータに基づき、米国人9,000人以上が摂取している超加工食品とそれらが及ぼす影響について調べたブラジル・サンパウロ大学の研究チームは、これらの加工食品を「塩、砂糖、油脂に加え、料理には使用されない物質を含み、工業的に形成されたもの」と定義した。
■砂糖
●砂糖と健康の関係
砂糖の過度の摂取は、肥満や2型糖尿病の原因となり、心臓病や脳卒中を招くリスクを高める。そのほか、高血圧や中性脂肪の増加、HDL(善玉)コレステロールの減少、インスリン抵抗性の発症とも関連している。最近では、添加された砂糖の摂取と非アルコール性脂肪肝疾患の関連性に関する研究も進められている。
砂糖入り飲料を習慣的に飲むと糖尿病リスクが上昇する!?によれば、英・ケンブリッジ大学の今村文昭氏らの大規模な調査によれば、砂糖入り飲料を習慣的に飲むことで糖尿病のリスクが高くなることがわかったそうです。
徳島県が糖尿病死亡率最下位脱出|徳島県はどんな糖尿病対策を行なったのか?で紹介した徳島大学大学院心臓血管病態医学分野の島袋充生特任教授によれば、徳島県が糖尿病死亡率が高い理由として、「肥満」と「糖質摂取」を挙げており、食習慣として、ご飯に砂糖をかけて食べたり、饅頭のあんこの量が全国的にも多いなど「甘党」であることが関係しているようです。
●砂糖の摂取量
米農務省(USDA)と保健福祉省(HHS)が5年に一度公表する「米国人のための食生活指針」(2015年版)と世界保健機関(WHO)は、添加された砂糖の摂取量は、成人の1日当たりのカロリー摂取量の10%未満にとどめるべきだとしている。子供も含め、ティースプーン12.5杯以下にすべきだということだ。
「一日の砂糖25グラムまで」|肥満・虫歯・慢性疾患の予防―WHO新指針によれば、WHOは成人が1日に取る砂糖をティースプーン6杯分の25グラム程度に抑えることを奨励する砂糖摂取の新指針を発表しました。
アメリカの炭酸飲料離れ 10年連続で販売量減|健康志向の高まり(2015/3/30)によれば、健康志向の高まりが影響しているのでしょうか、アメリカでの炭酸飲料の販売量が10年連続で減少しているそうです。
アメリカの2〜5歳の子供の肥満率が低下によれば、子供の肥満率が減少した理由として、CDCは、理由は明確ではないとしながらも、食生活の改善や運動、糖分の多い飲料を控える傾向などが寄与しているとの見方を示しています。
■まとめ
この問題の背景にあるのは経済格差(貧困)です。
肥満と生活保護・貧困との関係-米によれば、肥満率が高い州は南部に多く、またフードスタンプ(日本で言えば生活保護のようなもの)の受給者も南部に偏っているということから肥満と貧困には相関関係があるのではないかと考えられます。
低収入ほど野菜不足-厚労省栄養調査によれば、厚生労働省が発表した2011年の国民健康・栄養調査によれば、低収入ほど野菜の摂取量が不足しているという結果が出たそうです。
低所得者ほど生活習慣に問題=野菜食べず、運動しないという記事によれば、低所得者ほど野菜を食べる量が少なかったり、運動の習慣がなかったりと、生活習慣に問題がある傾向があることがわかったそうです。
アメリカ人の食生活が1日3食からスナック(軽食)を頻繁に食べる食習慣に移行している!?によれば、単身世帯、子供が独立したベビーブーマー世代、それに慌ただしい生活の共働き世帯が増えていることによって、食事の計画や買い物、料理の時間はもとより、食事をする時間さえ確保することが困難になり、アメリカ人の食生活が1日3食という食習慣からスナック(軽食)を頻繁に食べる食習慣へと移行しつつあるそうです。
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だからといって、アメリカ全体が食に対していい加減というわけではなく、アメリカは健康に対する個人の意識・関心の高さの差が大きいによれば、ベジタリアンやヴィーガン、グルテンフリーという食事があるように個人間での食に対する意識・関心の差が大きいようです。
「所得と生活習慣等に関する状況」のグラフから見えてくるものー厚生労働省調査でも、年収が高い人ほどよい生活習慣を持っている(よい生活習慣を持っている人ほど年収が高い)傾向にあります。
健康格差とはや健康格差は、収入・学歴などが要因?でも取り上げましたが、社会的・経済的な格差が健康の格差を生んでいるということがWHOでも一つの問題として注目されているようです。
超加工食品の摂取を減らすことが砂糖やカロリーを減らすことにつながるというのは実にシンプルな対策です。
『スイッチ!「変われない」を変える方法』(著:チップ・ハース&ダン・ハース)によれば、アメリカ人に健康的な生活をさせる方法として次のような提案をしていました。
「もっと健康的に行動しよう」と訴えるのではなく、「次にスーパーの乳製品コーナーに立ち寄ったら、ホールミルクではなく低脂肪乳に手を伸ばしなさい」というべきなのだ。
飲食行動を変える必要でなく、購入行動を変える。
「もっと健康的に行動しよう」と伝えても、具体的な行動が示されていないと、人は行動に移れないものです。
ですから、超加工食品ではなくて、別の食品を手に取ろうとうながすことによって、飲食行動を変えるのではなく、購入行動に変化を与え、結果的に健康的な行動につながるのです。
人々がそのような行動をとると、自然と会社側もそうした食品を販売するようになるはずなので、より健康的な食品を選択するようになるのではないでしょうか。
【参考リンク】
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