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遺伝子変異だけでは膵臓がんにならない!膵臓がんの発生において遺伝子変異だけではなくエピジェネティックな変化が重要|京大【論文・エビデンス】

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■遺伝子変異だけでは膵臓がんにならない!膵臓がんの発生において遺伝子変異だけではなくエピジェネティックな変化が重要|京大

脱分化を起こしたマウスの膵臓|CiRA
マウスの膵臓をヘマトキシリン・エオシン(HE)染色した像。4週齢のマウスに3日間のみ初期化因子を働かせ、その後1週間初期化因子を働かないようにすることで、脱分化させている。遺伝子変異のないマウス(C-OSKM)では特に異常は見られないが、Kras遺伝子に変異があるマウス(KC-OSKM)では組織全体で線維化が見られる。Krasとp53遺伝子に変異があるマウス(KPC-OSKM)ではさらにがん化が進行している。図中のスケールバーは500 μm

参考画像:膵臓がんが発生する新たなメカニズムを解明 遺伝子変異とは異なるがんの原因(2018/5/25、CiRA)|スクリーンショット

膵臓がんが発生する新たなメカニズムを解明 遺伝子変異とは異なるがんの原因

(2018/5/25、CiRA)

山田教授らのグループは、がんの原因となる代表的な遺伝子であるKrasやp53の変異によって誘導される膵臓がんを対象として、膵臓の細胞を部分的に初期化することで脱分化を起こし、がん発生に与える影響を検証しました。膵臓の細胞を脱分化すると、膵臓の細胞を特徴づける遺伝子の働きが一時的に抑制されました。これは膵臓がんの危険因子の一つとされる膵炎で見られる現象に似ていました。Kras遺伝子に変異を持つマウス、あるいはKrasとp53遺伝子に変異をもつマウスでは、がんの代表的な細胞内シグナル伝達注3に関わるタンパク質であるERKが十分に活性化されておらず、膵臓がんにまでは至りませんでしたが、Kras変異マウスに一時的に初期化因子を働かせて膵臓細胞を脱分化させると、ERKが活性化され、膵臓がんを形成しました。

柴田博史特別研究学生(元 京都大学CiRA, 岐阜大学大学院医学系研究科)および山田泰広教授(元 京都大学CiRA、現 東京大学医科学研究所、AMED-CREST)らの研究グループは、膵臓がんが発生するメカニズムとして、遺伝子変異以外のメカニズムを解明しました。

重要なポイントは2つ!

1. 遺伝子変異だけでは膵臓がんにならない

2. 脱分化と遺伝子変異を組み合わせると膵臓がんになる

一般的にがんは遺伝子変異が原因であることが知られていますが、研究グループによれば、がんの原因となる代表的な遺伝子であるKrasやp53の遺伝子変異だけでは膵臓ががん化するには不十分であり、部分的な初期化(脱分化:分化して役割が決まっていた細胞が、その特徴をなくして未分化な状態へと変化すること)を行うことで初めてがん化が進行することがわかりました。

つまり、膵臓がんの発生において、遺伝子変異だけではなくエピジェネティックな変化が、重要であることがわかりました。

【用語解説】

エピジェネティックとは

DNAの塩基配列の変化に依存せず、表現型や遺伝子発現量を変化させる仕組みに関する学問領域のことをエピジェネティクスという。細胞は分化をするに従って持っているゲノムのうちのよく使う遺伝子は読み出しやすいように、使わない遺伝子は深くしまい込むような修飾を行い、細胞分裂の際にもこの修飾が維持される。細胞の種類によって修飾の状態に特徴が見られる。こうした修飾の状態が変化することをエピジェネティックな変化という。

→ エピジェネティクスとは?意味|簡単にわかりやすくまとめました【入門編】 について詳しくはこちら







【参考リンク(論文・エビデンス)】
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楽天、がん光免疫療法(近赤外線光免疫療法)の実用化に取り組むアスピリアン・セラピューティクスに出資|きっかけは三木谷さんの父親が膵臓がんを患ったこと




【目次】

■楽天、がん光免疫療法(近赤外線光免疫療法)の実用化に取り組むアスピリアン・セラピューティクスに出資|きっかけは三木谷さんの父親が膵臓がんを患ったこと

アスピリアン・セラピューティクス
アスピリアン・セラピューティクス

参考画像:アスピリアン・セラピューティクス|スクリーンショット

楽天、がん治療に参入 米免疫VBに2割超出資

(2017/11/27、日本経済新聞)

楽天は新しいがん治療法として注目されている「光免疫療法」の実用化に取り組んでいるアスピリアン・セラピューティクスに出資し、三木谷浩史会長兼社長が経営に参画しているそうです。

→ がん光免疫療法、3月から日本(国立がん研究センター東病院)でも治験開始|アスピリアン・セラピューティクス について詳しくはこちら

【参考リンク】

医療で世界にイノベーションを起こす~がん治療法の実用・事業化に向けて~

(2017/9/6、Rakuten today)

三木谷 4年前、私の父がすい臓がんを患いました。すい臓がんは、もっとも治療が難しいと言われるがんです。私は父の病気をどうにかして治したいと、最先端の治療法を求めて世界中を飛び回りました。論文をたくさん読み、ハーバード、スタンフォード、パリ大学など、各国で最先端の研究をしている名医と呼ばれる医者にも数多く会い、どうすれば父のがんを治せるか、あらゆる可能性を探しました。

小林 医者として、がんと向き合ううちに、外科手術、放射線、抗がん剤という、これまでのがん治療に限界を感じ、基礎研究の道に入りました。20年を超えるNIHでの研究でたどり着いたのが、がん細胞だけを狙い打ちする「近赤外線光免疫療法」という、まったく新しいがん治療法です。

その治療法の技術ライセンスに基づき、実用化に向けた臨床試験(治験)に取り組んでいるのが、三木谷さんに出資いただいているアスピリアン・セラピューティクス社です。

楽天の三木谷さんのお父さんが膵臓がんを患っていて、最先端の研究・治療法などがんの治療に関心を持ち調べている中で紹介されたのが「光免疫療法」だったそうです。

お父さんの治療には残念ながら間に合わなかったそうですが、「近赤外線光免疫療法」の開発者である米国立衛生研究所(NIH)の主任研究員の小林久隆さんから臨床で実用化するための資金集めに苦労しているという話を聞いたことから個人での資金援助を始め、現在ではアスピリアン・セラピューティクス社に楽天から出資を行なうようになっています。

【参考リンク】




■がん光免疫療法(近赤外線光免疫療法)とは?

近赤外線光免疫療法では、がんをやっつける方法として2つの方法があるそうです。

1.がん細胞を直接攻撃する治療法

がん細胞の表面にある突起物だけに結合する特殊なタンパク質(抗体)に「IR700」という色素を乗せて、静脈に注射する。すると全身を駆け巡る抗体がIR700と共に、がん細胞の表面の突起を見つけてドッキングする。

ドッキングした細胞がある場所を目掛けて近赤外線を当てると、「IR700」が化学反応を起こして細胞膜を傷つけ、その傷口から水が入ることによってがん細胞は、ものの1分程度で膨張し、破裂して無くなります。

2.がん細胞を匿っている「共犯者」の制御性T細胞を破壊する治療法

制御性T細胞に結合する抗体を使って、この抗体に「IR700」を乗せます。腫瘍の中にいてがんを匿っている制御性T細胞にドッキングした抗体を狙って近赤外線を当てると、制御性T細胞が破壊され、がん細胞は隠れ家を失い丸裸になります。すると、患者本人の免疫システムが作動し始め、がん細胞は体内の免疫細胞の総攻撃を受けて、死んでしまうのです。

日本でも治験が始まる!#がん光免疫療法(#近赤外線光免疫療法)とは?簡単にわかりやすく!によれば、「がん光免疫療法(近赤外線光免疫療法:Near Infrared Photoimmunotherapy, NIR-PIT)」は、がん細胞に結合する抗体と近赤外光を吸収して化学反応する特殊な色素を組み合わせた抗体薬物複合体(Antibody-Drug Conjugate, ADC)を使用し、近赤外光が照射されると、がん細胞が膨潤して破裂し、がん細胞が死滅するという治療法です。

■がん「光免疫療法」2020年にも使用できる可能性







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浅香光代さん死去、病名は膵臓がん

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浅香光代さんが膵臓がんで亡くなりました。92歳でした。

■すい臓がんの5年生存率はあらゆるがんの中で最も低い!

がん患者の「5年相対生存率」推計62.1%|国立がん研究センターによれば、男性におけるがんの種類ごとの生存率によれば、すい臓がんが最も低い7.9%、女性もすい臓がんが最も低い7.5%となっています。

すい臓がんになった有名人の方も多くいらっしゃいます。

■すい臓がんはなぜ「最悪のがん」だといわれるのか?

すい臓がんが最悪のがんだといわれる理由は3つ。

1.検査で発見しにくい

すい臓は胃の裏側の体の深部にあり、他の臓器に囲まれているため、がんが発生してもレントゲン検査などでは発見しにくい。

すい臓の位置が体の奥深く(肝臓や胃などの裏側の隠れた場所)にあるため、検査が難しいそうです。

2.がんが転移しやすい

また、すい臓がんの多くは中を通る「すい管」という部位に発生するが、すい管はリンパ管や血液とつながっているため、がん細胞が周辺の臓器や体の遠い部位まで転移しやすい。

3.特徴的な自覚症状がない

その上、すい臓がんには特徴的な自覚症状がない。症状として腹痛、黄だん、腰や背中の痛み、食欲不振、体重減少が挙げられるが、胃炎やすい炎の場合も同じ症状になる。

すい臓がんが早期に発見されにくい理由は、自覚症状がなかなか現れず、また、すい臓がん特有の特徴的な症状がないためです。

すい臓がんの症状として共通しているのが、胃のあたりや背中が重苦しい、お腹の調子がよくない、食欲不振やだるさ、体重の減少などがありますが、いずれもすい臓がん特有の症状ではなく、胃腸の調子が悪い程度のもので見過ごしてしまいがちです。

すい臓がんがある程度進行すると、はっきり黄疸が出たり、腹痛も強くなり、背中や腰に痛みが走り、体重の減少といった症状もみられるようになります。

小さなすい臓がんの場合は、腹痛や黄だんなどの症状が出ないことが多く、発見時にはすでに手術ができない状態が多いのだ。

しかし、小さなすい臓がんでは腹痛や黄疸などの症状も出ないことがあるため、すい臓がんが見つかった時にはすでに手遅れという場合も多いそうです。

■すい臓がんの検査方法

  • 腹部超音波(エコー)検査と血液検査は早期発見率が低い。
  • 「コンピューター断層撮影法」(CT)が比較的有効とされるが、撮影のために使用する「造影剤」には、重篤な副作用リスクがある。
  • MRI(核磁気共鳴画像法)を利用した「MRCP」という検査が、早期発見にある程度有効
  • より高度な検査方法として「内視鏡的逆行性胆管膵管造影」(ERCP)や「超音波内視鏡」(EUS)があるが、実施している医療機関が少ないうえ、費用が高額。

エコー検査や血液検査といった一般的な検査ではすい臓がんの早期発見は難しく、有効な検査方法にも副作用がある造影剤が必要であったり、費用が高額なものであったり、気軽に検査ができるものではなく、今後新しい検査方法が期待される分野といえそうです。

■すい臓がんのリスク要因

●タバコ

喫煙者が発症するリスクは、非喫煙者に比べ、男性は1.6倍、女性は1.7倍だ。

がんになっても長生きできる生活習慣|たけしの本当は怖い家庭の医学によれば、すい臓がんのリスクを上げる条件として「喫煙」が挙げられています。

●燻製や加工肉、血糖値の上がりやすい食品を多くとる

また、燻製や加工肉、血糖値の上がりやすい食品を多くとることもリスク上昇につながる。

加工肉を毎日50グラムを摂取すると「がんリスク」18%増|WHOで紹介した世界保健機関(WHO)の専門組織である国際がん研究機関によれば、ハムやソーセージなどの加工肉を食べると、がん発症リスクが高まるという発表をしたそうです。

●肥満

BMI(肥満度を表す体格指数)が30以上になると、標準体重の人に比べ発症リスクが男性で3.5倍、女性は1.6倍に上昇する。

肥満がすい臓がんの危険高めるで紹介したテキサス大の研究グループによれば、米国内での疫学調査の結果、若いころから体格指数(BMI)が25以上の「過体重」だったり、30以上の肥満だったりすると、膵臓がんを発症する危険性が高くなったそうです。

●糖尿病

実はすい臓がん患者の26%は糖尿病患者というデータがある。糖尿病の男性は、すい臓がんの発症リスクが健康な人に比べ2.1倍、女性でも1.5倍高い。

糖尿病の人の大腸がんになるリスクは1.4倍、肝臓がんは1.97倍、すい臓がんは1.85倍も高いによれば、糖尿病の人はそうでない人に比べて、すい臓がんになるリスクは1.85倍なのだそうです。

すい臓がんに関しては、すい臓はインスリンを分泌する臓器であり、糖尿病の人がすい臓がんになりやすいとは考えやすいですよね。

すい臓の病気と糖尿病によれば、膵がんができると、糖尿病を発症したり血糖のコントロールが急に悪くなったりすることがあります。

日本膵臓学会の報告によると、膵がんの方の既往歴の中で糖尿病が18%と最も頻度が高いのです。

2センチ以下の比較的小さな膵がんでも糖尿病の悪化が8%の患者さんに認められていますので早期診断のためにも糖尿病への注意が重要です。

最近、糖尿病の症状が出てきたという人、あるいは、かねてからの糖尿病が急に悪くなってきたという人などは、早めにすい臓がんの検査を受けてみることをおすすめします。

→ 糖尿病の症状(初期症状)チェック について詳しくはこちら

→ 糖尿病チェック について詳しくはこちら

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●膵炎

すい臓がんのほとんどは、すい臓が炎症を起こす「すい炎」が原因で発症する。そして、すい炎は血液中に糖分が増える(糖尿病の現象)ことによって起こる。

すい臓がんを早期発見する鍵は「血糖値」|ためしてガッテン(NHK)によれば、すい臓でインスリンを作るβ細胞が、すい臓がんができると働きが悪くなり、その結果として血糖値が急上昇することがわかってきたのだそうです。

また、脂質異常症高脂血症)はすい炎の原因となっています。

高脂肪・高カロリー食によって中性脂肪が増えると、すい臓に負担がかかり、すい炎を引き起こす原因になると考えられるからです。

●アルコール

アルコール類は、飲むとすぐ顔が赤くなる人は控えた方がいい。アルコールを分解する酵素を持たない人のすい臓がん発症リスクは、タバコを吸う場合と合わせると、10倍に上昇するからだ。

飲酒は60以上の病気やケガの原因になりうる-WHOによれば、アルコールは消化やホルモン機能を担う膵臓にも影響が出ることがわかっており、男性では急性膵炎の30%、慢性膵炎の65%が飲みすぎが原因で起きるそうです。

■すい臓がんの予防法

●運動

運動習慣がある人はない人に比べ、リスク低下がみられることが明らかになっている。

運動習慣がある人はない人に比べて、すい臓がんのリスクが低下することがわかっているそうです。

糖尿病の予防方法として運動が挙げられるように、すい臓がんの予防としても運動は効果的なようです。

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●青魚(DHA)

マグロやイワシ、サンマなどの青魚をたくさん食べ、魚に含まれているDHA(ドコサヘキサエン酸)という不飽和脂肪酸を多く摂取すると、発症リスクが3割減るという報告がある。

青魚に含まれるDHAを多く摂取すると、すい臓がんの発症リスクが減るそうです。

青魚の脂肪酸が日本人の膵臓がんを減らす?

(2015/11/27、medley)

ω-3多価不飽和脂肪酸の消費量が多いと膵臓がんを発症する危険性が30%下がる

<中略>

海産物に含まれるω-3多価不飽和脂肪酸、またはその中でもDHAの消費量が多い人では、膵臓がんを発症する危険性が低いという結果でした。

オメガ3脂肪酸の中でもDHAの消費量が多い人では、すい臓がんを発症するリスクが低いという結果が出たそうです。

●コーヒー・緑茶

コーヒー(1日3杯未満)や緑茶を飲む習慣も予防効果が期待できるという。

コーヒー・緑茶で死亡リスク減|国立がん研究センターによれば、コーヒーや緑茶を日常的によく飲んでいる人は、そうでない人に比べて死亡するリスクが低いそうです。

コーヒーを飲む量を増やした人は、糖尿病にかかりにくくなる!?によれば、コーヒーを飲む量を増やした人は、同じ量のコーヒーを飲み続けている人よりも成人で発症する糖尿病(2型糖尿病)にかかりにくくなるそうです。

糖尿病を予防することがすい臓がん予防にもつながると考えられるので、コーヒーや緑茶を飲むことが勧められているのではないでしょうか。

→ 膵臓がんの症状(初期症状)・原因・チェック について詳しくはこちら

→ 糖尿病を予防する方法 について詳しくはこちら

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BiliScreen|スマホカメラの自撮りで膵臓がんを簡単にスクリーニングできるアプリ|膵臓がんのサイン「黄疸」の原因となる「ビリルビン値」を測定|ワシントン大学

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【目次】

■「BiliScreen」|スマホカメラの自撮りで膵臓がんを簡単にスクリーニングできるアプリ|膵臓がんのサイン「黄疸」の原因となる「ビリルビン値」を測定|ワシントン大学

「BiliScreen」|スマホカメラの自撮りで膵臓がんを簡単にスクリーニングできるアプリ|膵臓がんのサイン「黄疸」の原因となる「ビリルビン値」を測定|ワシントン大学
「BiliScreen」|スマホカメラの自撮りで膵臓がんを簡単にスクリーニングできるアプリ|膵臓がんのサイン「黄疸」の原因となる「ビリルビン値」を測定|ワシントン大学

参考画像:BiliScreen: Smartphone-based App for Measuring Adult Jaundice|YouTubeスクリーンショット

ワシントン大学の研究者らが研究・開発しているのは、スマホのカメラで自撮りをすることで、膵臓がんなどの病気を簡単にスクリーニング(ふるいわけ)できるアプリ「BiliScreen」です。

膵臓がんの初期症状の一つには、ビリルビンの蓄積によって肌や目に黄色の変色が起こる「黄疸(おうだん)」があり、「BiliScreen」は、スマホカメラ、コンピュータビジョンアルゴリズム、マシンラーニングを使用して、目の強膜または目の白い部分のビリルビン値の増加を検出します。

BiliScreen: Smartphone-based App for Measuring Adult Jaundice

■なぜ膵臓がんになると黄疸の症状が現れるのか?

黄疸|メルクマニュアル家庭版

黄疸は、血液中の色素であるビリルビンの濃度が異常に高くなったことが原因で、皮膚や白眼の部分が黄色く変色することです。

黄疸|日本消化器学会

黄疸とはビリルビンという色素が何らかの原因で血液中に増加し、その結果、全身の皮膚や粘膜に過剰に沈着した状態を意味します。

黄疸とは、血液中のビリルビン濃度が高くなることによって、皮膚や白目の部分が黄色く変色することを言います。

また、尿の色が濃い、皮膚がかゆくなる、全身の倦怠感、発熱などの症状も現れます。

では、なぜ血液中のビリルビン濃度が高くなるのでしょうか。

ビリルビンは、赤血球に含まれる酸素や二酸化炭素を運ぶヘモグロビンの一部が代謝されて出来たものです。

ビリルビンは肝臓に運ばれて、グルクロン酸という物質と結合し、胆汁(肝臓で生成される消化液)として胆管を通り、便の中へ排泄されています。

しかし、何らかの原因によって、血液中のビリルビン濃度が高くなると、黄疸の症状が現れるのです。

では、なぜ膵臓がんになると黄疸の症状が現れるのでしょうか?

膵がん|東京医科歯科大学

肝臓から総胆管という管が膵臓の頭部を貫いて十二指腸に流れており、肝臓で作られた胆汁という消化液を十二指腸に運んでいます。膵がんにより胆管が圧迫されることがあり、胆管への圧迫が進むと、胆汁の流れがさまたげられ、全身が胆汁により黄色くなる黄疸という症状が出現します。

膵臓がんにより、胆管が圧迫されて胆汁の流れが悪くなることにより、胆汁中にビリルビンを排出できなくなり、血液中でビリルビン濃度が高くなり、白目の部分が黄色くなる黄疸の症状が現れると考えられます。




■すい臓がんの検査

すい臓がんはなぜ「最悪のがん」だといわれるのか?|膵臓がんの5年生存率はあらゆるがんの中で最も低い!によれば、すい臓がんが早期に発見されにくい理由は、自覚症状がなかなか現れず、また、すい臓がん特有の特徴的な症状がないためです。

すい臓がんの症状として共通しているのが、胃のあたりや背中が重苦しい、お腹の調子がよくない、食欲不振やだるさ、体重の減少などがありますが、いずれもすい臓がん特有の症状ではなく、胃腸の調子が悪い程度のもので見過ごしてしまいがちです。

すい臓がんがある程度進行すると、はっきり黄疸が出たり、腹痛も強くなり、背中や腰に痛みが走り、体重の減少といった症状もみられるようになります。

しかし、小さなすい臓がんでは腹痛や黄疸などの症状も出ないことがあるため、すい臓がんが見つかった時にはすでに手遅れという場合も多いそうです。

●すい臓がんの検査

  • 腹部超音波(エコー)検査と血液検査は早期発見率が低い。
  • 「コンピューター断層撮影法」(CT)が比較的有効とされるが、撮影のために使用する「造影剤」には、重篤な副作用リスクがある。
  • MRI(核磁気共鳴画像法)を利用した「MRCP」という検査が、早期発見にある程度有効
  • より高度な検査方法として「内視鏡的逆行性胆管膵管造影」(ERCP)や「超音波内視鏡」(EUS)があるが、実施している医療機関が少ないうえ、費用が高額。

エコー検査や血液検査といった一般的な検査ではすい臓がんの早期発見は難しく、有効な検査方法にも副作用がある造影剤が必要であったり、費用が高額なものであったり、気軽に検査ができるものではなく、今後新しい検査方法が期待される分野であり、今回紹介したワシントン大学が開発したスマホでスクリーニングできるアプリというのはよいアイデアといえるのではないでしょうか。

ただ、黄疸の症状は肝臓の機能が悪化した場合にも現れるため、膵臓がんのみを見分けるのではなく、ビリルビン値が上昇していることをチェックすることで体に何らかのサインを出していることを示すアプリというほうが正確なのではないでしょうか。

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■膵臓がんの早期発見方法に関する研究

膵臓がんの早期発見方法については様々な研究が行なわれています。

検索の質問履歴からすい臓がん早期発見につながる方法|マイクロソフトの研究者らによれば、米マイクロソフトの研究者(MSヘルス部門CTOで情報検索が専門のライエン・ホワイト博士と、MSの研究所長で人工知能を担当し医師の資格も持つエリック・ホービッツ博士、MSのインターンだったコロンビア大学の博士課程大学院生ジョン・パパリゾス氏の3人)が、病気の症状について検索した過去の検索履歴の質問パターンから、将来膵臓がんの診断を示唆する質問内容の出現を5~15%の割合で特定し、病気を予測することにつながる手法を編み出したそうです。

すい臓がんを早期発見する「尾道方式」とは?|5年生存率、全国推計の3倍で紹介した「尾道方式」とは、JA尾道総合病院の花田敬士診療部長(消化器内科)が尾道市医師会と連携して始めたもので、「糖尿病」「肥満」「喫煙」「家族に膵臓がん患者がいる」など膵臓がんのリスクの高い患者がいた場合に、膵臓の検診を受けてもらい、がんの疑いがある場合はすぐにJA尾道総合病院を紹介して、体内に内視鏡を入れるなどをしてがんの有無を調べるという仕組みです。

すい臓がんを早期発見する方法を開発したのは15歳!?将来的には生存率が100%になる可能性も?によれば、当時15歳のジャック・アンドレイカ君は2013年にすい臓がんを早期発見する画期的な方法を発見しました。

すい臓がんになると検出される8000種類のタンパク質を納めたデータベースの中から

・がんの初期段階からすべての患者において血中レベルが高くなる

・がんである場合のみ変化が見られる

というタンパク質を発見し、一種類の特定のタンパク質にだけ反応するという性質をもつ「抗体」の性質を組み合わせるというものです。

すい臓がんを血液検査で早期発見する方法を開発 RNAに着目|東大によれば、東京大学のチームによれば、すい臓がん患者の血液に特定のRNAが健康な人より多く含まれていることに着目し、膵臓がんを血液検査で見つけ出す技術を開発したそうです。

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すい臓がんを早期発見する鍵は「血糖値」|#ためしてガッテン(#NHK)によれば、膵臓がんを早期発見するポイントは、血糖値が理由がないのに急上昇することが挙げられていて、すい臓でインスリンを作るβ細胞が、すい臓がんができると働きが悪くなり、その結果として血糖値が急上昇することがわかってきたのだそうです。

スクリーニング検査とは、定期健康診断や人間ドックなどで、検査を実施する段階では自覚症状がない方を対象に行い、隠れた病気を早期発見することが目的としていますが、今回紹介したワシントン大学のアプリや検索履歴の質問パターンによる病気予測などによって、体に負担がない方法で病気を早期発見することができるようになるといいですね。

→ 膵臓がんの症状(初期症状)・原因・予防 について詳しくはこちら







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尿中マイクロRNAから「がん(肺がん、膵臓がん、肝臓がん、膀胱がん、前立腺がん)」を特定|名古屋大学

健康・美容チェック > がん > 尿中マイクロRNAから「がん(肺、膵臓、肝臓、膀胱、前立腺)」を特定|名古屋大学




■尿中マイクロRNAから「がん(肺、膵臓、肝臓、膀胱、前立腺)」を特定|名古屋大学

尿中マイクロRNAから「がん(肺、膵臓、肝臓、膀胱、前立腺)」を特定|名古屋大学
尿中マイクロRNAから「がん(肺、膵臓、肝臓、膀胱、前立腺)」を特定|名古屋大学

参考画像:尿中マイクロRNAから「がん」を特定(2017/12/16、国立がん研究センタープレスリリース)|スクリーンショット

尿中マイクロRNAから「がん」を特定

(2017/12/16、国立がん研究センタープレスリリース)

本研究では、ナノスケールの棒(ナノワイヤ)注3を用いて、尿中の細胞外小胞体を捕捉する新しい技術を構築し、そのナノワイヤが尿中細胞外小胞体を99%以上捕捉する新しい素材であることを発見しました(図1)。また、このナノワイヤで捕捉した尿中細胞外小胞体の内部のマイクロRNAを解析すると、1000種類以上のマイクロRNAが尿中に存在していることも世界で初めて発見しました(人間のマイクロRNAは2000種類以上見つかっているのに対し、従来の技術では200~300種類しか見つかっていなかった)(図2)。さらに、がん患者/非がん患者の尿を用いた解析を行うことで、がん患者/非がん患者で特異的に発現しているマイクロRNAが存在することを明らかにしました(図3)。

名古屋大学大学院工学研究科の馬場嘉信教授、安井隆雄助教らの研究グループは、九州大学先導物質化学研究所の柳田剛教授、国立がん研究センター研究所分子細胞治療研究分野の落谷孝広分野長、大阪大学産業科学研究所の川合知二特任教授との共同研究で、尿1mLから、がん肺がん膵臓がん肝臓がん、膀胱、前立腺)を特定する技術を新たに発見しました。

これまでの研究では、尿中の細胞外小胞体に内包されるマイクロRNAを解析するために、超遠心機を用いて尿20mLから200~300種類のマイクロRNAが発見されていましたが、酸化亜鉛ナノワイヤ(数10-100ナノメートルの大きさから構成される一次元の棒状ナノ構造体)を用いることで、効率的にマイクロRNA(尿1mLから1000種類以上のマイクロRNAを発見)を回収することができたそうです。

がん患者ドナーの尿と健常者の尿から回収したマイクロRNAを比較することにより、がん患者で特異的に過剰/減少発現しているマイクロRNAを発見することができ、また、泌尿器系のがん患者(前立腺・膀胱)のみでなく、非泌尿器系のがん患者(肺・膵臓・肝臓)でも、がん患者特異的なマイクロRNAを発見することができたそうです。

今後尿を使った非侵襲性(身体を傷つけることなく)のがん診断への活用が期待されます。







【参考リンク】
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