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肝臓から分泌されるホルモン「ヘパトカイン」であるセレノプロテインPが運動の効果を無効にする|運動効果に個人差がある原因の一つを解明|金沢大学【論文・エビデンス】

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肝臓で作られるホルモン「セレノプロテインP」が血糖値を上げ、インスリンによる糖尿病治療を邪魔していることを発見されていましたが、今回の研究では、セレノプロテインPが、運動の効果を無効にすることがわかりました。




【目次】

■肝臓から分泌されるホルモン「ヘパトカイン」であるセレノプロテインPが運動の効果を無効にする

肝臓から分泌されたヘパトカインであるセレノプロテインPは、筋において受容体LRP1を介して作用し、運動抵抗性を誘導する
2型糖尿病や脂肪肝の患者の一部では、過剰に産生されたセレノプロテインPが受容体LRP1を通じて筋肉で作用します。筋に取り込まれたセレノプロテインPは、GPX1やSeWなどの抗酸化タンパクを誘導します。その結果、運動で生じる活性酸素の量が抑えられてしまうため、運動したとしてもその健康増進効果が出ない病態「運動抵抗性」に陥ります。

参考画像:肝臓ホルモン「ヘパトカイン」が運動の効果を無効に 運動の効果に個人差がある原因の一つを解明!(2017/2/28、金沢大学・同志社大学・筑波大学・科学技術振興機構(JST))|スクリーンショット

肝臓ホルモン「ヘパトカイン」が運動の効果を無効に 運動の効果に個人差がある原因の一つを解明!

(2017/2/28、金沢大学・同志社大学・筑波大学・科学技術振興機構(JST))

研究グループは、2型糖尿病、脂肪肝の患者、高齢者で多く発現している「ヘパトカイン」であるセレノプロテインP注3)に着目して研究を行いました。

マウスや細胞の実験によって、過剰なセレノプロテインPは、受容体であるLRP1注4)を介して筋肉に作用することで、運動したにもかかわらず、その効果を無効にする「運動抵抗性」という病態を起こすことを見い出しました。

また、セレノプロテインPを生まれつき持たないマウスでは、同じ強さ・同じ時間の運動療法を行っても、通常のマウスと比べて運動のさまざまな効果が倍増することが分かりました。

さらに、健常者を対象にした臨床研究では、血液中のセレノプロテインPの濃度が高かった人は、低かった人に比べて、8週間の有酸素運動トレーニングをしても運動の効果が向上しにくいことが分かりました。

金沢大学の金子周一教授、篁俊成教授、御簾博文准教授らの研究グループによれば、肝臓から分泌されるホルモン「ヘパトカイン」であるセレノプロテインPが、受容体であるLRP1(Low densiity lipoprotein receptor-related protein 1)を介して骨格筋に作用することで、運動を行なってもその効果を無効にしてしまう「運動抵抗性」という病態を起こしていることを発見したそうです。




■研究の背景

運動不足が肥満糖尿病高血圧脂肪肝などの様々な生活習慣病につながっており、これらの生活習慣病の予防や治療には運動することを薦められていますが、運動してもあまり効果が得られない人がいることがわかっていたそうです。

■金沢大学における「ヘパトカイン」であるセレノプロテインPに関する研究

血糖値上げる肝臓ホルモン「ヘパトカイン・セレノプロテイン P」発見=糖尿病の新たな治療法に期待|金沢大(2010/11/6)

金沢大の金子周一教授らの研究チームは、
肝臓で作られるホルモン「セレノプロテインP」が血糖値を上げ、インスリンによる糖尿病治療を邪魔していることを発見しました。

糖尿病患者を調査したところ、抗酸化物質セレンを運ぶ役割を持つ「セレノプロテインP」と呼ばれるホルモンの血中濃度が高いことに着目し、マウス実験でセレノプロテインPを打ったマウスは血糖値が上がりインスリンが効きにくくなることや肝臓でのセレノプロテインP生成を抑える薬を打ったマウスは血糖値が下がることも分かったそうです。

肝臓に蓄積した脂肪が多いほど、他の臓器におけるインスリン抵抗性が強い!?|金沢大学(2014/3/28)

金大医薬保健研究域の篁俊成教授と金子周一教授らの研究グループは、肝臓に付いた脂肪が、血糖値を下げるインスリンの働きを、筋肉など肝臓以外の部位でも妨げることを確認しています。

この研究のポイントは、肝臓に蓄積した脂肪が多いほど、肝臓と離れた場所に存在する骨格筋でインスリン抵抗性が強いということです。

※インスリン抵抗性とは、肝臓や筋肉、脂肪などでのインスリンの働きが低下する状態で、インスリン抵抗性が強いと、糖尿病脂肪肝メタボリックシンドローム高血圧脂質異常症高脂血症)・動脈硬化を招く原因となります。

骨格筋についた脂肪は他の臓器におけるインスリン抵抗性とは関連しておらず、肝臓に蓄積した脂肪が多いほど他の臓器におけるインスリン抵抗性が強いことから、肝臓と全身をつなぐ何らかのネットワークが存在すると考えられるそうです。

1.肝臓の脂肪量は、肝臓だけでなく、骨格筋のインスリン抵抗性と強く関連する

肝臓に蓄積する脂肪量が多いほど、肝臓および肝臓と離れて存在する骨格筋のインスリン抵抗性が強いそうです。

2.骨格筋についた脂肪は、肝臓などのほかの臓器のインスリン抵抗性と関連しない

3.体脂肪量は、脂肪組織のインスリン抵抗性と関連しない

以上のことから、脂肪肝の悪化は、肝臓だけでなく、全身のインスリン抵抗性の悪化において中心的な役割を果たしており、また肝臓と骨格筋を結ぶ何らかのネットワークの存在があることが考えられます。

研究グループによれば、肝臓から分泌される「ヘパトカイン」が骨格筋のインスリン抵抗性の原因になっている可能性があると考えて研究を進めているそうです。

■まとめ

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by ThoroughlyReviewed(画像:Creative Commons)

セレノプロテインPの血中濃度は、2型糖尿病や脂肪肝の患者、高齢者で上昇していることが報告されています。このような方たちは、セレノプロテインPが過剰にあるため、運動を行ったにもかかわらず、その効果が起こらないという病態が身体の中で生じている可能性があります。
今後、セレノプロテインPの肝臓での産生を抑える薬や、筋肉での受容体であるLRP1に拮抗する薬を探すことで、運動の効果を高める「運動効果増強薬」の開発につながることが期待されます。

今回の研究で、肝臓から分泌されるホルモン「ヘパトカイン」であるセレノプロテインPが骨格筋に作用することで、運動を行なってもその効果を無効にしてしまうことがわかりました。

これまでこのブログでは脂肪肝の予防・改善に運動をすすめていましたが、人によってはその効果が得にくい人がいることがあるとわかりました。

【関連記事】

今後この研究が進むことで、血液中のセレノプロテインP濃度をあらかじめ測ることによって、事前に運動効果が得られやすい方と得られにくい方を予測したり、セレノプロテインPの産生を抑える薬や、筋肉での受容体であるLRP1に拮抗(互いに反対の作用を同時に行う)する薬を探すことで、運動の効果を高める「運動効果増強薬」の開発ができれば、同じような運動効果を得られるようになることが期待されます。







【参考リンク(論文・エビデンス)】
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高血圧ワクチン(アンジオテンシンⅡ の働きを弱めることで高血圧を治療するワクチン)|従来よりも長く半年間持続するワクチンの開発に成功|大阪大

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【目次】

■「高血圧ワクチン」の接種により最大6カ月の降圧を実現

「高血圧ワクチン」の接種により最大6カ月の降圧を実現
「高血圧ワクチン」の接種により最大6カ月の降圧を実現

参考画像:高血圧ラットの降圧を半年間持続させることに成功!(2015/5/27、Resou 大阪大学)|スクリーンショット

高血圧ラットの降圧を半年間持続させることに成功!

(2015/5/27、Resou 大阪大学)

最近、アンジオテンシンIIに対するワクチンによって、高血圧症を治療する治験が海外の研究者により行われましたが、効果は数週間しか続きませんでした。本研究で開発したワクチンを高血圧ラットに投与したところ、少なくとも半年間も降圧を持続できました。

大阪大学の郡山弘寄附講座助教、中神啓徳寄附講座教授、森下竜一寄附講座教授らの研究グループが行なったラットの実験によれば、従来より長く半年間持続するワクチン(血圧を上げる性質を持つ物質「アンジオテンシンⅡ (AngII)」の働きを弱めることで高血圧を治療するワクチン)を開発することに成功しました。

高血圧ワクチンで6カ月の降圧実現【米国心臓協会】

(2015/6/9、m3.com)

同研究では、高血圧DNAワクチンを高血圧ラットに2週間隔で3回、無針注射器を使って接種した。その結果、最長6カ月間血圧の低下が認められるとともに、高血圧に関連する心血管組織の損傷も軽減した。

米国心臓協会(AHA)が紹介した大阪大学の研究によれば、高血圧DNAワクチンの接種により最大6カ月の降圧を実現したそうです。

今回の研究のポイントは、高血圧ワクチンによって血圧が低下し、大きな副作用がなかったものの、その効果は数週間しか続かなかったのですが、今回の研究によって最大6か月間効果が持続することができたという点です。

■「高血圧ワクチン」とは?簡単なメカニズム

高血圧治療にワクチン、阪大チームが開発成功 ラットで効果

(2015/5/27、日本経済新聞)

高血圧ワクチンは、血液内のリンパ球の一種に血圧を上げる性質を持つ物質「アンジオテンシンⅡ」を攻撃するよう指令を出すことにより、リンパ球の一種が作った抗体がアンジオテンシンⅡを攻撃することで血圧の上昇を防ぐという仕組みになっています。

■背景

高血圧治療にワクチン、阪大チームが開発成功 ラットで効果

(2015/5/27、日本経済新聞)

血圧を下げる薬はすでにあるものの、毎日飲む必要があります。

高齢者宅には年475億円分の残薬(飲み残し・飲み忘れの薬)がある!?|解決する4つの方法によれば、厚労省がまとめた75歳以上の患者の薬剤費から推計すると、残薬の年総額は475億円になると考えられるそうです。

そして、処方された薬を適切に服用できずに、その結果、症状が悪化して薬が増えてしまい、また、その薬を飲み残してしまい、症状が更に悪くなっていく悪循環に陥ってしまうこともあるようです。

どんなに効果のある薬があっても、適切に服用できなければ、悪化してしまいますので、薬の飲み忘れをいかに防ぐか、もしくは薬を飲む回数を減らす方法を考える必要があるわけです。

今回の高血圧ワクチンはその薬の飲む回数を減らす方法の一つだということですね。




■心配される点

高血圧ラットの降圧を半年間持続させることに成功!

(2015/5/27、Resou 大阪大学)

ワクチン投与により、アンジオテンシンII (AngII)とHBcの融合蛋白が発現します。これを認識するB細胞は、ヘルパーT細胞からのサイトカイン刺激などを受けることにより、抗AngII抗体を産生します。その結果、血中AngII濃度が低下し、収縮期血圧の低下が長期間持続します。
一方でワクチンに使用したAngIIは非常に短く、細胞障害性T細胞に認識される配列を持たないため、有害な細胞性の自己免疫反応は起こらず、安全性が高いと考えられます。

心配されるのが自己免疫反応ですが、ラットの実験においては起こっておらず、安全性が高いと考えられますが、今後のヒトにおける治験の結果が待たれるところです。

また、血圧を下げる薬には様々な種類のものがあり、今回の高血圧ワクチンはアンジオテンシンⅡに関するものであるため、全てのものに当てはまるものではないということです。

■いつ頃から利用できるの?

アンジェスMGと阪大、高血圧治療ワクチンを17年から治験

(2016/12/9、日本経済新聞)

血圧下げるワクチンの治験…阪大発ベンチャー

(2018/5/2、読売新聞)

 日本で開発された血圧を下げるワクチンの臨床試験(治験)が先月、オーストラリアで始まった。

高血圧を治療するワクチンの治験は2018年4月よりオーストラリアで始まったようです。

現在はラットの段階で、次はオーストラリアでの治験が始まり、日本での治験は数年以内に行われ、治験が全て順調に進んだと考えても、実際に利用できるまでには5~6年かかるとみておいた方がよいようです。

■まとめ

「高血圧ワクチン」ができれば、薬の飲み忘れで病気が悪化する人も減り、医療費も減ることが期待されるため、注目してみました。

ただ、「高血圧ワクチンを利用したい!」と考えても利用できるまでには数年かかるようですから、まずは高血圧予防のためにも、生活習慣を改善をしていきましょう。

→ 高血圧とは|高血圧の症状・食事・予防・原因・対策 について詳しくはこちら

→ 血圧を下げる方法(食べ物・サプリメント・運動) について詳しくはこちら







【高血圧関連記事】
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急性腎障害の早い段階で、酸化ストレスの抵抗性を高める薬を飲むことにより、慢性腎臓病の進行を抑制できる|東北大学

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【目次】

■急性腎障害の早い段階で、酸化ストレスの抵抗性を高める薬を飲むことにより、慢性腎臓病の進行を抑制できる

酸化ストレスによる急性腎障害から慢性腎臓病への進行
酸化ストレスによる急性腎障害から慢性腎臓病への進行

参考画像:腎臓病が進行するしくみを解明〜慢性腎臓病の進行を防ぐ治療薬の開発に期待〜|東北大学ニュースリリースPDF|スクリーンショット

腎臓病が進行するしくみを解明〜慢性腎臓病の進行を防ぐ治療薬の開発に期待〜

(2016/10/21、東北大学ニュースリリースPDF)

マウスに手術を施し、急性腎障害を起こすと、2週間で慢性腎臓病のような病態を生じます。

本研究グループでは、酸化ストレスを消去する能力の高い遺伝子改変マウスを作出しており、この遺伝子改変マウスでは、同様の手術を施しても、慢性腎臓病の病態が軽度であることを発見しました。

次に、急性腎障害を生じたマウスに酸化ストレスへの抵抗性を高める薬剤を飲ませました。

その結果、急性腎障害を起こした後、1日目から5日目の間に薬を飲ませることで、2週間後の慢性腎臓病への進行が抑えられることがわかりました。

一方、急性腎障害を起こしてから、7日目以降に薬を飲ませても、慢性腎臓病の病態は改善されませんでした

東北大学の祢津昌広 助教(東北メディカル・メガバンク機構地域医療支援部門)、相馬友和 研究員(大学院医学系研究科医化学分野・現 米国ノースウエスタン大学)、鈴木教郎 准教授(大学院医学系研究科酸素医学分野)、山本雅之 教授(同医化学分野・東北メディカル・メガバンク機構長)らのグループによれば、酸化ストレスが腎臓病を進行させる原因となることがわかったそうです。

また、急性腎障害となった場合には、早い段階で、酸化ストレスの抵抗性を高める薬を飲むことにより、慢性腎臓病の進行を抑制できると考えられるそうです。

■酸化ストレスによる急性腎障害から慢性腎臓病への進行

急性心不全や敗血症、大出血などにより、腎臓へ流れる血流が不安定になると、急激に大量の酸化ストレスが生み出され、腎臓を損傷します(急性腎障害)。急性腎障害は、高血圧や糖尿病などの生活習慣病を含む様々な慢性疾患を伴う場合、徐々に進行し、慢性腎臓病に至ります。

急性心不全や手術(血管手術・腎移植)、細菌感染・敗血症、大出血により腎臓へ流れる血流が不安定になると、酸化ストレスが生まれ、急性腎障害を起こします。

急性腎障害は、高血圧糖尿病などの慢性疾患を伴う場合に、徐々に進行し、慢性腎臓病になります。




■酸化ストレスとは?

※酸化ストレス:活性酸素種などの細胞に傷をつける分子が細胞内に溜まった状態。本研究グループでは、Nrf2 というタンパク質が酸化ストレスを除去する重要な役割を担っていることを世界に先駆けて発見し、研究を進めている。

酸化ストレスとは、活性酸素など細胞を傷つける分子が細胞内にたまった状態で、今回の研究で酸化ストレスの抵抗性を高める薬として考えられているのは、酸化ストレスを除去する重要な役割を担っているタンパク質「Nrf2」で、「Nrf2」を活性化させることにより酸化ストレスを減少して慢性腎臓病の進行を抑えることが期待されます。

【補足】成人の8人に1人の新国民病「慢性腎臓病」

慢性腎臓病とは、慢性的にかかる腎臓病の総称のことで、糖尿病の合併症の一つである糖尿病性腎症や慢性糸球体腎炎(IgA腎症)、腎硬化症、膜性腎症など様々な病気が含まれています。

慢性腎臓病(chronic kidney disease;CKD)とは、簡単に言うと、腎臓の機能が60%未満に低下することを言います。

腎臓の機能が低下し、血液中の水分や老廃物のろ過機能が低下してしまい、症状が悪化すると、人工透析が必要となります。

慢性腎臓病は、自覚症状がほとんどなく、気付いた時には重症化してしまい、「サイレントキラー」とも呼ばれています。

慢性腎臓病の患者数は推定1330万人で、日本人の成人の実に8人に1人が患っていることから新国民病の一つともなっています。

慢性腎臓病を発症すると人工透析が必要になってしまうケースもあり、重症化する前に発見することが重要です。

→ 慢性腎臓病 について詳しくはこちら

【補足】高血圧が慢性腎臓病の引き金になる

高血圧になると、腎臓の血管でも動脈硬化が起こり、腎臓にある糸球体(血液をろ過する腎臓の血管)が動脈硬化を起こすことで、濾過する能力が低下し、その結果、腎機能の低下が起こると考えられます。

→ 高血圧の症状・食事・数値・予防・原因 について詳しくはこちら

→ 血圧を下げる方法(食べ物・サプリメント・運動) について詳しくはこちら

【補足】慢性腎臓病の早期発見のサイン

●夜にトイレに行きたくなり頻繁に目が覚める(頻尿)

一般的な人の尿の回数は、昼5回、夜が0から1回なのだそうです。

しかし、腎臓からSOSが出ている場合、昼夜逆転現象が起きてしまうそうです。

昼間は、腎臓の処理能力が追い付かないため、尿の量が減り、夜(睡眠)になると、腎臓の処理能力が回復し、尿の量が増えてしまうということが起きてしまうそうです。

●朝のむくみ

通常は睡眠中に尿に処理されるため、むくみというのはあまり起きません。

前の晩に水分を過剰に飲んでいないにも関わらず、朝起きたらむくみがある、あるいは毎朝むくんでいるという人は、腎機能が低下している可能性があるそうです。

●尿が濁っている(例:血が混じってコーラのような赤茶色)

●尿が泡立つ(または泡立ちがなかなか消えない)

腎臓のフィルター機能かうまく機能していないため、泡立つ性質を持つたんぱく質が出ている可能性があります。

●汗があまり出ない季節なのに、尿の量が少ない

その他にも意外な病気がきっかけとなることもあるそうです。

●感染症を繰り返している

1年に5回は熱が出てしまったり、扁桃腺がよく腫れるという人は炎症によるダメージがたまることで慢性腎臓病になることがあるそうです。

感染症にかかる、つまり体内にウイルスや細菌が侵入すると、体内ではそれらを倒すために抗体を作って攻撃をします。

しかし、長期にわたって病気が治ったりかかったりを繰り返すことで、抗体が違った形で影響し、腎臓への負担となって、慢性腎臓病になることがあるそうです。

歯周病、鼻腔炎、扁桃腺炎、膀胱炎などを繰り返している人は注意が必要なようです。







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汚れた空気(大気汚染)にさらされていると高血圧になりやすい!?

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■汚れた空気(大気汚染)にさらされていると高血圧になりやすい!?

Air Pollution in China

by Global Panorama(画像:Creative Commons)

大気汚染による年間の死者550万人以上、中印で世界の55%

(2016/2/13、apfbb)

大気汚染のため世界で年間550万人以上が死亡しており、その55%が急速な発展を遂げる中国とインドでの死者だという報告が12日、米首都ワシントン(Washington D.C.)で開催された米科学振興協会(AAAS)の年次会合で発表された。

世界では大気汚染のために年間550万人以上がなくなっているそうです。

大気汚染で年700万人死亡…家庭内の薪でも

(2018/5/2、読売新聞)

死因は、肺気腫や慢性気管支炎などの慢性閉塞(へいそく)性肺疾患、肺がん、脳卒中、心臓病が多数を占める。2年前の報告では死者数を年600万人以上としていた。

しかし、2018年の世界保健機関(WHO)の報告書によれば、年約700万人が空気の汚染に関連する原因で死亡しているそうです。

米ワシントン大学(University of Washington)保健指標評価研究所(Institute for Health Metrics and Evaluation、IHME)では、大気汚染は高血圧、食生活、喫煙に続き4番目に高い死亡のリスク要因となっている。

大気汚染は高血圧、食生活、喫煙に続き4番目に高い死亡のリスク要因となっているそうですが、大気汚染と高血圧には何らかの関係があるのではないかという研究がおこなわれています。

大気汚染物質への長期暴露で血圧値が上昇

(2012/11/11、日経メディカル)

大気汚染物質と血圧値の関係について、およそ4万人の女性コホートを対象に調査した結果、微小粒子状物質(PM2.5)や二酸化窒素(NO2)への長期間曝露は、血圧値の上昇に関連することが報告された。米University of WashingtonのVictor C Van Hee氏らが、11月3日から7日までロサンゼルスで開催された第85回米国心臓協会・学術集会(AHA2012)で発表した。

PM2.5や二酸化窒素(NO2)などの大気汚染物質に長期間さらされると、血圧値が上昇すると考えられるそうです。

喫煙や塩分摂り過ぎだけじゃない!汚れた空気も高血圧に関係あると判明

(2016/6/1、IRORIO)

汚染レベルの高い空気を吸っている人ほど高血圧になりやすい——これが今回発見された大気汚染と血圧の関連だ。(今回の調査では、収縮期血圧140mmHg以上を高血圧としている)

オゾンや一酸化炭素、窒素酸化物、二酸化硫黄など、自動車の排ガスや石油・石炭を燃やした時に出る汚染物質が、特に血圧を高めるのではないかと見られている。

また、化学物質以外の空気の汚れ、つまり埃や粉塵なども、血圧上昇に関連していることが分った。

オゾンや一酸化炭素、窒素酸化物、二酸化硫黄などの大気汚染物質やほこり、粉塵などの化学物質以外の空気の汚れが血圧上昇に関連していると考えられるそうです。




■まとめ

最大の健康リスクは高血圧=先進国では喫煙-WHO報告(2009/10/28)によれば、高血圧が最大の健康リスクだったそうです。

高血圧予防のためには、減塩などの食生活の改善などが重要になりますが、今後は大気汚染に注意することということも重要になるかもしれません。

実際に大気汚染と高血圧の関係が一般的な常識になったとしたら、空気清浄機を使うことが世界的にも一般的になっていくかもしれませんね。

→ 高血圧とは|高血圧の症状・食事・予防・原因・対策 について詳しくはこちら

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「家庭血圧」による診断を優先する|高血圧治療ガイドライン2014

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【目次】




■診察室血圧よりも家庭血圧を重視

Disposable blood pressure cuff

by Quinn Dombrowski(画像:Creative Commons)

高血圧治療ガイドライン2014 電子版 – 日本高血圧学会(PDF)

診察室血圧と家庭血圧の間に診断の差がある場合、家庭血圧による診断を優先する

2014年4月に5年ぶりに改訂された「高血圧治療ガイドライン」(日本高血圧学会)での大きな変更点は、「診察室血圧と家庭血圧の間に診断の差がある場合、家庭血圧による診断を優先する」という「家庭血圧」を重視している点です。

家庭血圧とは、病院ではなく家庭で血圧を測ることです。

家庭血圧が重視される一つの理由は、診察室血圧・白衣高血圧という現象があります。

白衣高血圧(白衣現象)とは|病院で緊張して血圧が上がるによれば、白衣高血圧とは、通常は血圧が正常なのに、病院で血圧を測定すると血圧の値が高くなってしまうことです。

そうしたことから、平常の血圧を測定する方法として、病院ではなく家庭で血圧を測ることが重視されるようになったようです。

また、家庭血圧を測定することによって見えてきたものもあります。

それは、「仮面高血圧」という新しい病態(病気のぐあい)です。

仮面高血圧とは?健診では正常、職場では高血圧によれば、健診や病院では正常血圧なのに、職場や家庭で血圧を測ると135/85mmHg以上になる状態を「仮面高血圧」といいます。

仮面高血圧は、正常血圧とされる一般成人の10~15%が相当するといわれており、脳卒中や心筋梗塞を併発する危険性は、正常血圧の2~3倍あり、心臓の肥大や動脈硬化の進行が非常に早いこともわかってきています。

そのため、現在では、家庭血圧(病院ではなく家庭で血圧を測ること)のほうが正しい血圧の数値がわかり、また病気の発見にもつながるため、家庭血圧が重要だと考えられているようです。




■家庭血圧の診断基準

家庭血圧の診断基準は、これまでは収縮期135mmHg以上、拡張期80mmHg以上でしたが、現在は、収縮期135 mmHg以上、拡張期85 mmHg以上となっています。

→ 高血圧とは|高血圧の症状・食事・予防・原因・対策 について詳しくはこちら

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