皮膚の「セラミド不足」がアトピー性皮膚炎の直接原因であることを世界で初実証-バリア破綻からかゆみ・アレルギー炎症へ至る新メカニズムを解明-(2026年4月3日、宇都宮大学)によれば、セラミドが不足することがアトピー性皮膚炎の直接的な原因になることが世界で初めて動物実験で実証されたそうです。
■背景
皮膚の角層は、セラミドを中心とした脂質が「レンガとモルタルのように」隙間を埋めています。
これがバリア機能(外部刺激やアレルゲンの侵入を防ぐ)と水分保持機能(肌のうるおいを保つ)を担っています。
アトピー性皮膚炎患者では皮膚のセラミド量が低下していることが知られていましたが、「アトピー性皮膚炎の炎症が起こってからセラミドが減る」のか、それとも「セラミドが先に減るからアトピー性皮膚炎が起こる」のかがわかっていませんでした。
■結果
セラミドを人工的に減少させるモデルを作ったところ、次のような変化が観察されました。
1)乾燥と鱗屑(うろこ状の皮膚)
炎症がほとんどない段階で、すでに肌がガサガサ・鱗屑だらけになりました。
2)バリア機能と水分保持機能の深刻な低下
経皮水分蒸散量(TEWL)が大幅に増加(水分が逃げやすい)。
角層のセラミド量が著しく減少。
3)神経関連の変化(かゆみの素地)
表皮内の神経線維が増殖。
神経の過敏を抑える因子(Sema3A)が減少 → かゆみを感じやすくなる状態に。
4)抗原刺激後のアレルギー反応
ダニ抗原を塗布すると、正常マウスではほとんど反応しないのに、Tg(トランスジェニック:遺伝子工学技術を用いて、他の生物から異なる遺伝子(外来遺伝子)を人工的に導入し、その遺伝情報が組み込まれた生物(個体)のこと。)マウスでは以下が強く起こりました。
・好酸球の浸潤(アレルギー炎症のマーカー)
・血中IgE抗体の上昇
・Th2型サイトカイン(IL-13など)やケモカイン(Ccl17, Ccl22など)の大幅増加
→ つまりTh2偏向型免疫応答(アトピー性皮膚炎に典型的なアレルギー型炎症)が引き起こされました。
■わかったこと
セラミド不足
↓(直接原因)
バリア破綻 + 水分保持能低下(乾燥・鱗屑)
↓
表皮神経の過敏化(かゆみを感じやすくなる)
↓
外部抗原(ダニなど)の侵入しやすさ
↓
Th2型免疫の活性化(アレルギー炎症・IgE上昇など)
従来の「inside-out仮説」(免疫異常が先で皮膚症状が出る)とは対照的に、「outside-in仮説」の皮膚の脂質異常が免疫環境を規定するという考え方を裏付ける結果となりました。
■家庭でできること
外側から:毎日セラミド配合保湿剤を継続することでバリア機能を改善。
内側から:米由来グルコシルセラミド、こんにゃく由来、植物(パイナップル、トウガンなど)由来セラミドサプリを試す。
セラミドを補うことで乾燥が軽減し、かゆみが減少し、炎症悪化を予防し、アトピー性皮膚炎の症状をコントロールすることが期待されます。
■まとめ
セラミド不足がアトピー性皮膚炎を引き起こす直接の原因であることがわかりました。
このことから、アトピー性皮膚炎の治療法として、セラミドを補充するスキンケアがより大切だということになりましたね。
また今後酸性セラミダーゼの阻害薬が新しい治療ターゲットになる可能性もありあそうです。
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