#渡辺直美 さん、英「#VOGUE」のインタビュー|「西洋社会におけるアジア女性の既成概念を壊す存在」|人気のワケを「ネットワーク」と「時代の流れ」の視点から考える!




■#渡辺直美 さん、英「#VOGUE」のインタビュー|「西洋社会におけるアジア女性の既成概念を壊す存在」

Instagramers Barcelona

by Moritz Barcelona(画像:Creative Commons)

Naomi Watanabe Is Disrupting The Stereotype Of Japanese Women

(2018/1/25、Vogue)

Naomi Watanabe is changing the perception of the Japanese woman. Loud and proud, she’s a comedian for the Instagram generation. The proof? Well, there’s the 7.6 million loyal followers that tune in to get her comical feed, that’s also packed with serious outfit inspiration. You’ll quickly rethink your approach to colour combos once you give Naomi a follow.

インスタの女王ともいわれる渡辺直美さん(760万人のInstagramのフォロワーがいる)がGapの歴代ロゴを “リミックス(再編集)” した『ロゴ・リミックス・コレクション』のキャストとして選ばれており、それを受けてVogueでのインタビューを受けています。

インタビューの中では、西洋社会におけるアジア女性のステレオタイプ(既成概念)を壊す存在としてインタビューを受けており、最も影響を受けた女性や多くのフォロワーを抱えることへのプレッシャーはないのか、美容グッズやワードローブへの質問、そして2020年に行なわれる東京オリンピックでのパフォーマンスをすることが夢であることなどが紹介されています。

Gap Logo Remix Collection (:60) – Full

Naomi Watanabe’s Guide to Glitter Eyes and Bold Lips | Beauty Secrets | Vogue




■渡辺直美さんの人気のワケを「ネットワーク」と「時代の流れ」の視点から考える!

渡辺直美さんの活躍を「ネットワークの視点」と「時代の流れ」の2つの視点で考えてみたいと思います。

■ネットワークの視点

渡辺直美さんはテレビから人気者になりましたが、それに加えて重要だったのはInstagramというSNSでの人気です。

Social Network

by Neil Cummings(画像:Creative Commons)

ネットワークの視点で大事な2冊の本を紹介します。

「枝分かれ (Branches)」(著:Philip ball)

枝分かれ (自然が創り出す美しいパターン3)

新品価格
¥950から
(2018/1/13 13:28時点)

既に多くのリンクを持つノードほど選ばれやすいのである。

リンクが2つあるノードが選ばれる可能性はリンクが1つしかないノードの2倍になるのだ。

と言う事は既に多くの接続を持つノードほどネットワークが成長するにつれてさらに接続を増やしていくわけである。p230

ページがリンクを獲得するのは誰かがあらゆるページを検討してそれが最良の参照サイトだと決めるからではなくそれがすでに有名だからなのである。

同じことが科学文献の引用にも言える。これにもべき乗則統計がある。

人は他人が引用しているからその著作や論文を引用するのであって自分がそれを読んだからではない。p231

多くの人が引用しているページや論文は有名であることが引用のされやすさと関係しているように、ネットワークの性質上、すでに多くのリンクを持つノードほど選ばれやすい、つまり、良質な情報源と多くつながっている人ほどネットワークを広げやすいのです。

「つながり 社会的ネットワークの驚くべき力」(著:ニコラス・A・クリスタキス ジェイムズ・H・ファウラー)

つながり 社会的ネットワークの驚くべき力

新品価格
¥3,240から
(2018/1/13 13:28時点)

エヴェット・ロジャーズ『イノベーションの普及」の中で、人々にとってテクノロジーとは、コップの水に垂らした一滴の青い染料のようなものだと論じた。ロジャースの理論によると、テクノロジーが広がるスピードは最初のうちは遅いが、やがて速くなり、全ての人に行き渡る頃にはまた遅くなるという。だが、社会的ネットワークの構造を考慮に入れた最近の研究では、そう単純ではないことがわかっている。

一つの特許が別の特許に引用されている事例を200万件以上調べた結果、発明家の間でアイデアが広がる際、社会的ネットワークがどんな影響を及ぼすかが明らかになった。直接協力した発明家同士は、互いに引用し合う可能性が極めて高かったのだ。何しろ、偶然に引用しあう可能性の約4倍である。だがこうした影響はネットワークを通じてさらに先まで及んでいた。二次の隔たりがあると、互いに引用しあう可能性は約3.2倍、三次の隔たりがあると2.7倍になるのだ。三次の隔たりを超えると、影響はほぼ無くなる。

直接協力した発明家同士は、互いに引用しあう可能性が極めて高かったそうです。

つまり、何かしらのつながりがあることによって「選ばれやすい」ということなのです。

「つながり 社会的ネットワークの驚くべき力」(著:ニコラス・A・クリスタキス ジェイムズ・H・ファウラー)

「豊かなものはますます豊かに」という力学が意味するのは、社会的ネットワークを通じて、私達の社会に存在する二種類の不平等が劇的に拡大してもおかしくないということだ。

つまり、状況的不平等(一部の人は社会経済的によりよい状況にある)と位置的不平等(一部の人はネットワーク上でよりよい位置を占めている)である。

社会的ネットワークにおける状況的不平等と位置的不平等によって、「富める者はますます富み」になるというのです。

ネットワークの持つ性質上、状況的不平等と位置的不平等は存在するわけですから、いかに人とつながっていくかが大事なことになるのです。

渡辺直美さんはテレビの世界というネットワークを持ちながら、インスタのフォロワー760万人というネットワークをもっており、その影響力の大きさが今の活躍のジェットエンジンとなっているのです。

→ 「富める者はますます富み」についてネットワーク格差の視点から考える!|影響力がお金を生む時代!? について詳しくはこちら

落合陽一さんの言葉を参考にすれば、ある一分野で優れた存在になることにより、知名度が高くなると、知名度が高い人(=第一人者)と知り合いになることで、ますます影響力が大きくなると考えられます。

【関連記事】

■時代の流れ

時代背景としてあるのが、モデルのやせすぎ問題への取り組みや女性の美に対する価値観の変化が関係しているのではないでしょうか。

■モデルのヤセ過ぎ問題への取り組みの歴史

【2010年】

このブログでは、モデルの痩せ過ぎ問題について初めて取り上げたのが2010年です。

【2012年】

ファッション誌もモデルのやせ過ぎ問題について対応を始めたのが2012年で、ファッション誌「VOGUE」では、モデルの痩せすぎ問題への声明を発表し、摂食障害があるとみられるモデルは使用しないことやモデル事務所にモデルの健康状態BMIのチェックを呼びかけました。

【2013年】

2013年はカーヴィーと呼ばれる「やせすぎではない健康的な美しさ」「女性らしい曲線的なボディーライン」が注目されるようになりました。

その象徴ともいえるのが映画『プラダを着た悪魔』のモデルとも言われる編集長のアナ・ウィンターが認めたともいわれているケイト・アプトンさんです。

そして、ブランドによっては、プラスサイズモデルといわれるちょっとぽっちゃりしたモデルさんが広告に選ばれるようになりました。

【2014年】

AERIEもその流れを受けて、丸みのある自然な身体の女性を広告に起用し始めます。

【2015年】

2015年は痩せ過ぎモデルは不健康なためファッション誌がNGを出し始めます。

【2016年】

2015年末から2016年の初めにかけては、モデルの摂食障害を減らす取り組みとして規制をするという段階にまで入っています。

aerieは今までと比べると”大柄”な女性をモデルとして起用したり、写真の修正を行なわなくなったことで、売り上げが増加したそうです。

【2017年】

2017年には、女性起業家へのセクハラ問題やハリウッドでのセクハラ問題、スポーツ界でのセクハラ問題、「#MeToo」というというハッシュタグを使って性的嫌がらせ(セクハラ)や性的暴行に関する自らの体験を共有する動き、男女の多様性(ジェンダーダイバーシティ)などこれまで女性が黙って抱えていたことを公開したニュースが多くなりました。

つまり、女性に対する既成概念を壊すことがトレンドとなっており、その代表的な存在の一人として渡辺直美さんが選ばれているのではないでしょうか。

■まとめ

渡辺直美さんが時代の流れを読んだのか、それとも自然と楽しむ中で時代の波に乗ったのかはわかりませんが、「ネットワークの視点」と「時代の流れ」という2つの視点から見ると、時代に要請された存在といえるのかもしれません。