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「鮭は焼かずに茹でる」が話題!ゆで鮭はいつからある?高タンパク・アスタキサンチン・ビタミンDから考える鮭の魅力

「鮭は焼かずに茹でる」

そんな鮭の食べ方がSNSで話題になっています。

話題の投稿では、

「鮭を焼かずに茹でると、冷凍の鮭でもふっくらしっとり仕上がる」

という調理法とともに、「タンパク質」「アスタキサンチン」といった美容や健康に関心がある人ならつい気になってしまうキーワードが紹介されています。

この投稿を見ていて面白いと思ったのは、

1.鮭はタンパク質を摂れる食材
2.鮭にはアスタキサンチンが含まれる
3.「焼く」ではなく「茹でる」という意外性

の3つが重なっていることです。

さらに考えていくと、鮭にはビタミンDというもう一つの特徴もあります。

でも、その前に一つ気になることがあります。

そもそも「鮭を焼かずに茹でる」という調理法は、最近生まれたものなのでしょうか?

以前ハクライドウでは、SNSで話題になった「アイラップでにんじん1本まるごとレンチン7分」について、その起源を調べました。

すると、SNSによって突然新しい調理法が誕生したというより、以前から存在していたアイデアが、SNSによって「これ便利じゃない?」と再発見されたという流れが見えてきました。

→ 「アイラップでにんじん1本まるごとレンチン7分」の起源は? バズる前からあったアイデアを調べてみた

そこで今回は「ゆで鮭」について調べてみました。

■「鮭は焼かずに茹でる」は最近生まれた調理法?

結論からいうと、

「鮭を茹でる」という調理法そのものは、今回のSNS投稿で初めて生まれたものではありません。

前回調べたところ、少なくとも2021年には料理メディアで、

「鮭は焼かずにゆでるべし!」

として「ゆで鮭」が紹介されています。

その後も「焼かずに茹でる」「茹でるとしっとり仕上がる」といった鮭の調理法はたびたび紹介されていました。

さらに広い視点で見ると、魚を液体の中で穏やかに加熱すること自体、珍しい調理方法ではありません。

西洋料理にも「ポシェ(poaching)」と呼ばれる、水やスープなどの液体を使って魚などを加熱する調理法があります。

つまり、

「鮭を茹でる」という技術そのものが新しいわけではない。

むしろ面白いのは、

昔からある調理法が、SNSによって「焼かなくてもいいんだ!」と再発見されていること

なのではないでしょうか。

■SNSで「茹で鮭」「鮭は焼かずに茹でる」が話題になったのはいつ?

X上の関連投稿の由来は、主に脱サラ料理家・ふらおさん(@furafurafufu)の投稿がきっかけで「茹で鮭」「鮭は焼かずに茹でる」の話題が広がったそうです。

作り方は「塩鮭は焼かずに、酒大さじ3を加えた水で5〜6分茹でる」で、メリットとして「しっとりふっくら」「優しい塩味」「グリルが汚れない」を挙げています。

2025年9月30日の投稿が特に大きな反響で、「何度でも伝えたい 『塩鮭』は焼かずに食べると美味しい」で、焼くデメリット(グリル汚れ・パサつき・塩辛さ)を挙げた上で茹で方を紹介し、いいね約1.5万、表示回数100万超規模のバズになりました。

この投稿は複数のニュースサイト(Yahoo!ニュース)でも取り上げられています。

2015年頃:フーディストノートなどで「え、塩鮭をゆでちゃうの?」という記事が出ており、「テレビでも紹介され話題になった」と記載。酒を入れた弱火で5〜6分ゆでる基本レシピが既に広がっていました。

2022年頃:「「鮭」はもう焼かない。冷めてもふっくらしっとりする「鮭」の簡単調理術」などのWeb記事で同様の方法が紹介されています。

クックパッドなどにも「鮭は焼かずに茹でる!」系のレシピが複数あり、つくれぽも付いています。

2026年2月頃、スーパー・マルエツ公式(@maruetsu1945)の鮮魚部バイヤー投稿(同様の酒入りゆで方)もいいね2万超と大きく広がりました。

■なぜ鮭を茹でると「ふっくら・しっとり」が注目されるの?

鮭を焼いたときにありがちな失敗が、

火を入れすぎて身がパサパサになってしまうこと。

そこで「茹でる」という方法が注目されます。

過去に紹介されている「ゆで鮭」でも、

「しっとり」

「ふっくら」

「やわらかい」

といった食感がメリットとして紹介されています。

ただし、ここで重要なのは、

「茹でれば必ず柔らかくなる」という意味ではない

ということです。

加熱時間や温度によって仕上がりは変わるため、「焼くより茹でる方が優れている」というより、鮭をおいしく食べるための調理法の選択肢が一つ増えた、と考えるのがよさそうです。

そう考えると、

「焼くか茹でるか」

という二者択一というより、

鮭をおいしく食べるための選択肢が一つ増えた

と考えるのがよさそうです。

■鮭がバズる理由(1)「プロテイン代わり」という見方

ここから今回の話が面白くなります。

鮭は単に「焼かずに茹でるとおいしい魚」というだけではありません。

今の食生活のトレンドと非常に相性がよい食材です。

その一つが、

タンパク質。

タンパク質を意識して摂る場合、

プロテイン
鶏むね肉
サラダチキン
卵

などを思い浮かべる人も多いでしょう。

でも、鮭もタンパク質を摂ることのできる食品です。

実はハクライドウでは以前、プロテイン価格の上昇をきっかけに、

「プロテインだけを見るのではなく、魚や大豆などのリアルフードを含めた食生活を考えてみてはどうか?」

という記事を書いています。

→ プロテイン価格の急上昇はホエイプロテインから魚肉(特に銀鮭)やソイプロテインを含めた『リアルフードを中心とした食生活』へのシフトを加速させる!?プロテイン値上げの背景にあるのは?

「プロテイン」と「鮭」のどちらかを選ぶという話ではありません。

大事なのは、

普段の食事からどのようにタンパク質を摂るか

ということ。

ご飯と味噌汁に鮭を一品。

昔からある日本の食事ですが、見方を変えれば「リアルフードからタンパク質を摂る食事」でもあるわけです。

今回「鮭はタンパク質が豊富」とSNSで注目されたのも、現在の高タンパク・プロテインへの関心とつながっているのかもしれません。

■鮭がバズる理由(2)「アスタキサンチン」

そして今回のSNS投稿で、タンパク質以上にインパクトを持っているのが、

アスタキサンチン

です。

アスタキサンチンはカロテノイドの一種で、鮭の赤い色にも関係しています。

美容や健康に関心がある人なら、

「抗酸化」

「アスタキサンチン」

という言葉を一度は聞いたことがあるかもしれません。

→ アスタキサンチンの健康効果・食べ物

今回の投稿でも、

「アスタキサンチンの抗酸化力はビタミンCの6000倍」

という非常にインパクトのある数字が紹介されています。

ところが、この「6000倍」という数字には注意が必要です。

■「ビタミンCの6000倍」は、身体への効果が6000倍という意味ではない

この「約6000倍」という数字は、アスタキサンチンとビタミンCについて、特定の実験条件下で一重項酸素に対する消去能力を比較した研究に由来します。

つまり、

鮭を食べれば、人間の体内でビタミンCの6000倍の抗酸化作用が得られる

という意味ではありません。

ここはSNSで数字だけが一人歩きすると誤解されやすいところです。

アスタキサンチンが興味深い成分であることと、

「6000倍」という数字が何を意味しているのかは、

分けて考える必要があります。

「○○倍」という数字を見たときには、「何と何を、どのような条件で比較した数字なのか」を確認することが大切です。

■鮭がバズる理由(3)実は「ビタミンD」も見逃せない

今回のSNSではアスタキサンチンが主役になっています。

でも、鮭の栄養を考えると、もう一つ忘れてはいけないのが、

ビタミンD

です。

ハクライドウでは以前、ビタミンDについて調べた記事でも、ビタミンDを含む食品として魚類に注目しています。

→ ビタミンDはどんな栄養素?必要摂取量は?ビタミンDを含む食品・サプリメントがこれからの健康食材としてビジネスの将来性はある?ない?どっち?

つまり鮭という食材を改めて見直してみると、

タンパク質
+アスタキサンチン
+ビタミンD

という複数の視点から見ることができます。

SNSでは一つの栄養成分が大きく取り上げられがちですが、

食品は一つの栄養素だけでできているわけではありません。

そこがサプリメントやプロテインと「食べ物」の違いを考える上でも面白いところです。

■そして「焼かずに茹でる」という意外性

ただ、

「鮭にはタンパク質があります」

「鮭にはアスタキサンチンがあります」

「鮭にはビタミンDがあります」

だけだったら、ここまでSNSでは話題にならなかったかもしれません。

今回、非常に強いフックになっているのが、

「焼かずに茹でるのです……」

という部分です。

私たちにとって鮭といえば、

「焼き鮭」

というイメージがあります。

そこに、

焼かない。

茹でる。

という提案が来る。

すると、

「えっ?鮭って茹でていいの?」

という小さな驚きが生まれます。

これはSNSで情報が広がる上では、とても大きなポイントなのではないでしょうか。

■実はもう一つある。「冷凍鮭でもできる」

そして今回の投稿でもう一つ重要だと思ったのが、

「冷凍の鮭でも」

という部分です。

どれだけ健康にいい食品でも、

高い
手に入りにくい
調理が難しい
面倒

となるとなかなか続きません。

ところが、

冷凍庫に鮭をストックしておく
↓
食べたいときに調理する
↓
タンパク質を摂れるおかずになる

ということであれば、普段の生活にも取り入れやすくなります。

健康習慣では、

「何が体にいいか」だけでなく「続けられるか」

も大切です。

アスタキサンチンの「6000倍」という派手な数字以上に、「冷凍鮭を普段の食事に取り入れやすい」という点の方が、実生活では意味があるのかもしれません。

■「焼き鮭」と「ゆで鮭」、結局どちらがいいの?

ここまで読むと、

「じゃあ鮭は焼かずに茹でた方がいいの?」

と思うかもしれません。

しかし、

焼き鮭をやめて、すべてゆで鮭にする必要はないでしょう。

焼いた鮭には焼いた鮭のおいしさがあります。

茹でる方法には、

「焼くとパサついてしまうのが苦手」

「冷凍鮭をしっとり食べたい」

「違う食べ方を試してみたい」

というときの選択肢になる可能性があります。

また、アスタキサンチンについてネット上では「焼くより茹でた方が残りやすい」といった説明も見かけますが、加熱方法には温度や時間などの条件も関係します。

単純に、

「健康のためには焼き鮭よりゆで鮭が正解」

と考えるのは避けた方がよさそうです。

それより、

自分がおいしく、無理なく鮭を食べ続けられる調理法を増やす

という考え方の方が実用的ではないでしょうか。

■昔からある料理法が「健康ハック」として再発見される

ここまで調べていて、以前の「アイラップでにんじん1本まるごとレンチン7分」の記事と似ていることに気づきました。

→ 「アイラップでにんじん1本まるごとレンチン7分」の起源は? バズる前からあったアイデアを調べてみた

SNSを眺めていると、

「ものすごく新しい料理法が発明された!」

ように感じることがあります。

ところが遡って調べてみると、実は似たアイデアが以前から存在している。

では、なぜ改めて注目されるのでしょうか?

今回の「ゆで鮭」の場合、

●高タンパク

プロテインなどを通じて、タンパク質を意識する人が増えている。

●アスタキサンチン

美容・健康との関連から注目されやすい。

●ビタミンD

鮭をはじめとする魚類を見るもう一つの栄養的な視点になる。

●焼かずに茹でる

「鮭=焼くもの」という先入観をひっくり返す意外性がある。

●冷凍鮭でもできる

特別な材料を必要とせず、日常生活に取り入れやすい。

こうした要素が一つにまとまった結果、

昔からある「鮭を茹でる」という料理法が、現代の健康習慣として再発見された

と考えると面白いのではないでしょうか。

■まとめ|鮭は「焼く」だけじゃない。昔からある知恵を今の食生活に

「鮭は焼かずに茹でる」という食べ方がSNSで話題になっています。

でも調べてみると、「ゆで鮭」という料理法そのものは今回突然生まれたものではなく、以前から紹介されてきました。

今回面白いのは、

昔からある調理法に、現代の健康トレンドが重なったこと

なのだと思います。

鮭を、

「焼き鮭」

として見るだけではなく、

タンパク質を摂れるリアルフード

として見る。

さらに、

アスタキサンチンを含む食品

として見る。

そして、

ビタミンDを含む魚

として見る。

昔から私たちが食べていた食材でも、時代によって見る角度が変われば、新しい価値が見えてきます。

そして「茹でる」という選択肢を知れば、

焼く・蒸す・茹でるなど、その日の気分や料理に合わせて鮭を食べる方法そのものが増える。

「健康にいいから鮭を食べなければ」と考えるより、「こんな食べ方もあるんだ」と選択肢が一つ増えること。

それが結果として、無理なく魚を食べる習慣につながるのかもしれません。

そして今回調べていて改めて面白いと思ったのは、SNSで話題になる健康・料理ハックは、必ずしも「新発明」とは限らないということです。

昔からあった調理法や食材が、時代が変わり、別の視点から見直されることで、新しい価値を持つことがあります。

今回の「ゆで鮭」でいえば、昔から身近にあった鮭という食材と「茹でる」という調理法が、現代の「高タンパク」「アスタキサンチン」「ビタミンD」「冷凍食品」「簡単調理」といった関心と結びついた。

新しい料理が生まれたというより、昔からあった知恵が、今の時代に合った形で再発見された。

そう考えると、SNSで次にバズる料理や健康法も、実は私たちが昔から知っている食材や調理法の中に眠っているのかもしれません。

【参考リンク】

2021年には「鮭は焼かずにゆでるべし!」として「ゆで鮭」が紹介されています。
https://www.lettuceclub.net/news/article/1025835/

2022年にも「鮭は焼かずに茹でる」方法が紹介されています。
https://saita-puls.com/22518

2025年には実際に茹で鮭を作り、時間が経っても柔らかかったという記事があります。
https://ameblo.jp/socchidiary/entry-12906809984.html

アスタキサンチンの「ビタミンCの約6000倍」は、一重項酸素消去に関する特定条件下での比較です。
Comparison of Astaxanthin’s Singlet Oxygen Quenching Activity with Common Fat and Water Soluble Antioxidants







「本記事は医療行為の代替ではなく、テレビ・論文・公的資料を一般の生活者向けに噛み砕いたものです」

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おいしいアボカドの選び方|『柔らかさだけ』で選ぶと失敗する?見るべき5つのポイント

「ちゃんと柔らかいものを選んだはずなのに、切ってみたら中が黒い……」

「筋っぽくて、思っていたアボカドと違った……」

アボカドを買うとき、こんな経験をしたことはありませんか?

SNSでも、

アボカド、念入りに選んだつもりがいつもハズレ引いちゃうのなぜ…!!

という投稿が話題になっていました。

きっかけになったX投稿を見る

これに対して紹介されていたのが、

色むらが少ない
しっかりツヤがある
ヘタのところに少しだけ隙間がある
ヘタが取れている場合は、ヘタの跡がしっかりしている
柔らかさだけで判断しない

という選び方でした。

アボカドの選び方を紹介したX投稿を見る

実はアボカド選びが難しいのには理由があります。

■アボカドは「収穫してから熟す」果物

アボカドは、木になった状態で食べ頃になる果物ではありません。

UC Davis(カリフォルニア大学デービス校)によると、アボカドは木の上では熟さず、収穫後にエチレン生成が増加して追熟が進みます。

熟してくると果肉が軟らかくなり、ハス種など一部の品種では皮の色も緑から黒っぽく変化します。

つまり、

店頭に並んでいるアボカドは、それぞれ追熟の進み具合が違う可能性がある

ということ。

これが「外から食べ頃を見抜くのが難しい」理由のひとつです。

■スーパーではこの5点をチェック

1)皮の色を見る

最初から指で押すのではなく、まず外観をチェック。

ハス種の場合、追熟すると皮が緑色から黒っぽい色へ変化します。

すぐ食べるアボカドを探す場合、この色の変化は熟度を判断する手掛かりのひとつになります。

2)色むらや傷など、皮全体を見る

単に「黒ければOK」ではなく、皮全体の状態も確認します。

色むらが少なく、大きな傷や傷みがないものを候補にします。

UC Davisでも、アボカドの品質指標として皮の色や、傷・擦れなどの欠陥がないことなどを挙げています。

ただし皮の色だけで「食べ頃」と断定するのも禁物。

品種によって特徴が異なり、ハス種では熟す過程で緑から黒へ変化します。

3)ツヤを見る

SNSで紹介されていた方法では、「色むらが少なく、しっかりツヤがある」ことがポイントとして挙げられています。

4)ヘタを見る

さらに注目したいのがヘタ。

紹介されていた方法では、ヘタのところに「ちょっとだけ隙間ができている」ものがおすすめとされています。

ヘタがすでに取れている場合には、その跡の状態も確認します。

5)最後に柔らかさを見る

そして、おそらく多くの人がやっているのが、

「指で押して柔らかければ食べ頃」

というチェック。

果肉が軟らかくなること自体は、アボカドの追熟を示す指標です。

UC Davisも「flesh softening」を熟度の指標として挙げています。

ただしSNS投稿では「柔らかさだけで選ぶと筋や変色したものに当たりやすい」と指摘されています。

そこで、

「柔らかい=絶対に中身がおいしい」と考えず、外観やヘタなども合わせて見る

というのが今回のポイントです。

■結論:「1つのサイン」で決めない

アボカドを選ぶときは、

1)皮の色 → 2)皮全体 → 3)ツヤ → 4)ヘタ → 5)柔らかさ

の順番でチェックしてみるとよさそうです。

UC Davisによると、アボカドは収穫後に追熟し、熟すにつれて果肉が軟化します。

またハス種では緑色から黒っぽい色への変化も熟度の指標になります。

一方、品質を見る際には皮の色だけでなく、傷や果肉の褐変、病害なども重要です。

特に大事なのは、

「柔らかいから大丈夫」と1つの条件だけで決めないこと。

アボカドは収穫後にも追熟していく果物です。

だからこそ、スーパーで完璧な1個を見抜こうとするより、いくつかのサインを組み合わせて食べ頃に近いものを選ぶと考えた方がよさそうですね。







「本記事は医療行為の代替ではなく、テレビ・論文・公的資料を一般の生活者向けに噛み砕いたものです」

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ここまで書いてきた内容は、
単発の健康情報やレシピの話ではありません。

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「何を食べるか」よりも
「どうやって暮らしの中で調整してきたか」を大切にしています。

もし、

なぜこういう考え方になるのか

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「和食=健康」は本当?伝統的な和食の長所と弱点を地中海食と比較して考える




最近考えているのが、「伝統的な和食は本当に健康食といえるのだろうか?」ということです。

私たちは何となく「和食=健康」というイメージを持っています。しかし、一つひとつの料理や栄養素だけを見ると気になる点もあります。

一方で、魚や大豆、海藻、発酵食品など、和食には世界の他の食文化と比べても興味深い特徴があります。

では、和食は健康食なのでしょうか。それとも改善すべき食事なのでしょうか。

この記事では「和食か地中海食か」という二者択一ではなく、伝統的な和食の良さを残しながら、現代の食生活をどう改善できるのかを考えてみます。

※伝統的な和食が悪いという意味ではありません。現代の日本人の食生活を考えた場合に、改善できるポイントがあるという意味で「弱点」と表現しています。

■日本の食事の3つの弱点

■伝統的な和食を現代の栄養学から見ると気になる3つのポイント

和食そのものを「健康」「不健康」と単純に評価することはできません。また、伝統的な和食と、現在の日本人が実際に食べている食事も同じではありません。

ここでは、魚や大豆、野菜、海藻、発酵食品などを組み合わせる和食の良さを認めたうえで、現代の栄養学の視点から、今の食生活で意識したいポイントを考えてみます。

1)野菜の摂取量が意外と少ない

伝統的な和食の「一汁三菜」では、小鉢で野菜を摂るスタイルが多いですが、一口・二口程度の量になりがちで、1日の目標量(350g)に届かないケースが多々あります。

煮物やお浸しなどの加熱調理では、ビタミンCや一部の水溶性ビタミンが調理によって減少することがあります。一方、加熱することでかさが減り、野菜を多く食べやすくなるというメリットもあります。

生野菜と加熱野菜のどちらかを健康的と考えるのではなく、それぞれの特徴を生かして組み合わせるのがよいでしょう。

また、漬物による野菜摂取は塩分過多の要因になります。

2)煮物や調味料による「隠れ砂糖」と「塩分過多」

実は和食の大きな特徴であり弱点でもあるのが「塩分」と「砂糖(みりん含む)」の多さです。

煮物、照り焼き、すき焼き、寿司飯、つゆ・タレ類などは、料理によって砂糖やみりん、塩、しょうゆなどを多く使うことがあります。

和食の健康面を考える際には、料理そのものだけでなく、こうした調味料から摂る糖分や塩分にも目を向ける必要があります。

3)タンパク質の不足(特に伝統的な献立)

昔ながらの一汁一菜に近い和食は、魚や豆腐・納豆などの大豆製品が中心で、質は良いものの絶対量が不足しがちです。

特に高齢者や運動習慣のある人にとっては、筋肉量を維持するためのタンパク質が足りず、フレイル(加齢による虚弱)の原因になることがあります。また、朝食でのタンパク質不足は体内のリズムや代謝の低下にも繋がります。

■ 和食が「健康食」と評価される要素

もちろん日本食、和食には健康食、長寿食と評価される要素があります。

●PFCバランスの優位性
精製油脂の使用量が少なく、脂質エネルギー比率が控えめで、肥満になりにくい(低脂質・高炭水化物)。

●発酵食品の豊富さ
味噌、醤油、納豆、漬物など、腸内環境を整える多種多様な発酵食品を日常的に摂取できる。

●魚介類(n-3系多価不飽和脂肪酸)
青魚に含まれるEPA・DHAの摂取頻度が高く、心血管疾患の予防に寄与する。

●水溶性食物繊維
昆布やわかめなどの海藻類、大豆、根菜類から質の良い食物繊維が摂れる。

伝統的な和食の長寿食として優れたポイントは大豆と魚の組み合わせ。
これは他の地域の食にない優れたポイントといえます。

→ オメガ3脂肪酸|オメガ3の効果・効能・食べ物(オイル)・ダイエット について詳しくはこちら

【関連記事】

■地中海式食事との比較

科学的根拠(エビデンス)の蓄積という点では、現時点で地中海式食事法が世界で最も高く評価されている食事パターンの一つです。

●健康的な加齢に最も効果的だった食事は健康に良い食品を積極的に食べ、悪い食品を控える食事パターンだった!で紹介した「Nature Medicine」に掲載された研究によれば、健康的な加齢(老化)に最も効果的だった食事パターンとして紹介されたのが、健康に良い食品を積極的に食べ、悪い食品を控えることを目指した食事パターン「AHEI(Alternative Healthy Eating Index)」です。

【健康的な老化を助ける食品】

  • 果物、野菜、全粒穀物(玄米や全粒パン)
  • 不飽和脂肪酸(オリーブオイルや青魚の脂肪)
  • ナッツ、豆類、低脂肪乳製品

●炎症を引き起こす食事をしている人は認知症のリスクが高い!によれば、地中海式ダイエット(野菜、果物、魚、オリーブオイルなどが中心)など健康的な食事をしている人は認知症のリスクが低く、反対に炎症を引き起こす食事をしている人は認知症のリスクが高いことがわかりました。

■地中海式食事法が推奨される理由

●心血管疾患(心筋梗塞・脳卒中)の発症・死亡リスク低下
●2型糖尿病の発症予防および改善
●認知機能低下の抑制・認知症予防

【伝統的な和食】
・脂質少なめ(魚の油、植物油微量)
・塩分高い(味噌汁、醤油、漬物)
・野菜は中程度、果物は控えめ
・精白米(白米)が中心
・魚介・大豆製品

【地中海式食事】
・エクストラバージンオリーブオイル(豊富)
・塩分低い(ハーブやスパイス、レモンで味付け)
・野菜・果物・ナッツ類が極めて豊富
・全粒穀物(パン、パスタ、雑穀)
・魚介・鶏肉・豆類(赤肉は控えめ)

地中海食の特徴は、オリーブオイルという一つの食品だけにあるわけではありません。野菜、果物、豆類、ナッツ類、全粒穀物、魚介類などを組み合わせ、赤肉などを控える「食事パターン全体」として考えることが大切です。

したがって、地中海食に関する研究成果から「日本人もオリーブオイルを増やせば健康になる」と単純化することはできません。日本人には魚や大豆を食べてきた食文化があり、もともとの食事の脂肪酸組成や食習慣も異なるからです。

この記事では地中海食そのものを日本に持ち込むのではなく、野菜や果物、ナッツ、全粒穀物などを取り入れる考え方や、塩分を抑えながらおいしく食べる工夫など、日本の食生活にも応用できる部分に注目します。

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■まとめ

今回の話は「和食が悪いから、地中海式の食事に切り替えよう」という話ではありません。

和食にも地中海式の食事にもそれぞれ素晴らしい強みがあり、また地中海式の食事が日本人の体質にそのまま合うのか、食文化として無理なく続けられるかという視点も大切です。

大切なのは、日本の伝統的な和食の長所(魚介類、大豆製品、野菜、海藻、発酵食品など)を生かしつつ、野菜や果物、ナッツ、全粒穀物など食材の選択肢を広げ、減塩などの工夫を加えた「進化系和食」を考えていくことではないでしょうか。

例えば、
・白米に玄米、雑穀、もち麦を混ぜて食物繊維とミネラルを補う。
・味付けは砂糖や塩分を控え、出汁(昆布・かつお・干し椎茸)を効かせたり、酢や薬味、ハーブ・スパイスを活用する。
・魚や豆腐に加えてお肉類や卵も適量取り入れ、生野菜や蒸し野菜で全体的な野菜量を増やす。
・炒め物や仕上げのひと回しに、エクストラバージンオリーブオイルやオメガ3系のオイルを取り入れる。

エストロゲンには抗炎症作用があり、閉経でそれが失われると慢性炎症が広がり、病気のリスクが高まる!でも紹介したように、加齢とともに体内の慢性炎症対策は非常に重要になってきます。

和食がもつ良質なタンパク質や発酵食品のベースに、地中海式が得意とする抗炎症食材(オリーブオイル、ナッツ、生野菜など)をプラスして、日々の食事から賢く健康寿命を延ばしていきたいですね。

※ここでいう「地中海式をプラスする」とは、日本人の食生活を地中海食に置き換えるという意味ではありません。魚介類や大豆製品、野菜、海藻、発酵食品など、和食にはもともと生かしたい特徴があります。その土台を残しながら、野菜や果物、ナッツ類などを取り入れたり、料理によってオリーブオイルを使ったりするなど、現代の食生活をよりよくするヒントとして地中海食を参考にしよう、という考え方です。

【補足】地中海食をそのまま日本に持ってくる必要はない

地中海食の研究で健康との関連が報告されているからといって、日本人がこれまでの食生活をやめて、地中海地域と同じ食事をする必要があるということではありません。

食事は一つの食品や栄養素だけで成り立っているものではありません。日本には、魚介類、大豆製品、野菜、海藻、発酵食品、ごはんなどを組み合わせてきた食文化があります。

だからこそ大切なのは、「和食か地中海食か」という二者択一ではなく、和食のよいところを生かしながら、現代の食生活で改善できる部分を他の食文化から学ぶことではないでしょうか。

例えば、生野菜やトマトをおいしく食べるためにオリーブオイルを使う。間食としてナッツを取り入れる。白米だけでなく、ときどき玄米やもち麦を選んでみる。

「健康にいい食品」を追加すること自体が目的なのではなく、無理なく、おいしく、続けられる食習慣につながるかどうかという視点も大切です。

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単発の健康情報やレシピの話ではありません。

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歌舞伎俳優・中村鷹之資さんの朝ごはん「きな粉+はちみつ+ヨーグルト+めかぶ」は腸活にいい組み合わせ?

Xの投稿によれば、父は国宝!27歳の歌舞伎俳優・中村鷹之資さんの朝ごはんに欠かせないのは、「きなことはちみつをかけたヨーグルト」と「めかぶ」なのだそうです。

一見するとシンプルな朝食ですが、栄養面から眺めてみると、この組み合わせには一つの共通点があります。

それが「腸内環境」です。

ヨーグルトだけでなく、きな粉、はちみつ、めかぶまで一緒に食べているところが興味深いんですね。

■腸活は「ヨーグルトを食べればいい」だけではない?

「腸活」という言葉を聞くと、まずヨーグルトを思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。

しかし、腸内環境を食事から考える場合には、乳酸菌やビフィズス菌などを含む食品だけでなく、食物繊維やオリゴ糖などを含む食品を組み合わせて食べるという視点もあります。

そこで、中村鷹之資さんが朝食に食べている4つの食品を一つずつ見てみましょう。

■ヨーグルト

まずはヨーグルトです。

ヨーグルトは乳酸菌による発酵食品です。また、製品によってはビフィズス菌を含んでいるものもあります。

腸内環境を意識した食生活というと、ヨーグルトなどの発酵食品がよく取り上げられます。

ただし、ヨーグルトであればすべて同じ菌が入っているわけではありません。使われている菌の種類や特徴は商品によって異なります。

■きな粉

きな粉は大豆を炒って粉にした食品です。

大豆由来の食物繊維を含んでいるところがポイントです。

食物繊維というと「お通じのためにとるもの」というイメージが強いかもしれませんが、現在では腸内細菌との関係からも注目されています。

つまり、

「ヨーグルト+きな粉」

という組み合わせは、単に味の相性だけでなく、腸内環境について考えるうえでも興味深い食べ方というわけです。

■はちみつ

そして、ヨーグルトときな粉に加えているのが「はちみつ」です。

はちみつにはさまざまな糖類が含まれており、オリゴ糖も含まれています。

腸内細菌について考える場合、菌そのものだけでなく、腸内細菌が利用する食品成分を一緒に摂るという考え方があります。

「ヨーグルトに甘みを加える」というだけでなく、きな粉やはちみつを一緒に組み合わせているところが面白いですね。

■めかぶ

さらに中村鷹之資さんの朝ごはんには「めかぶ」もあります。

めかぶはワカメの根元近くの部分で、独特のネバネバとした食感があります。

海藻類は食物繊維を含む食品なので、食物繊維を食事に取り入れる選択肢の一つになります。

つまり食物繊維という視点でも、

きな粉+めかぶ

という2種類の食品を朝食の中に取り入れているわけです。

■4つを組み合わせてみると面白い

こうして一つずつ見てみると、中村鷹之資さんの朝ごはんは、

ヨーグルト → 発酵食品
きな粉 → 大豆由来の食物繊維など
はちみつ → オリゴ糖を含む
めかぶ → 食物繊維を含む海藻

という組み合わせになっています。

本人が「腸活」を目的として、この朝食を選んでいるのかどうかは投稿だけからはわかりません。

そのため、「中村鷹之資さんは腸活をしている」とまではいえません。

ただ、栄養という視点から見てみると、ヨーグルトだけを単独で食べるのではなく、食物繊維などを含む食品を複数組み合わせた、腸内環境を考えるうえで興味深い朝食といえそうです。

■大事なのは「一つの食品」ではなく組み合わせなのかも

健康情報では、

「ヨーグルトがいい」
「食物繊維がいい」
「○○菌がいい」

というように、一つの食品や一つの成分だけが注目されがちです。

しかし、実際の食事は一つの食品だけでできているわけではありません。

今回の朝ごはんの面白さも、まさにそこにあります。

・ヨーグルトを食べる。
・そこにきな粉とはちみつを加える。
・さらに海藻であるめかぶを食べる。

特定の食品だけに頼るのではなく、毎日の食事の中でいろいろな食品を組み合わせていく。

腸内環境を考えるときにも、こうした「食事全体を見る」という視点を持っておきたいですね。

便秘や腸内環境について詳しく知りたい方はこちらもどうぞ。

→ 即効性のある便秘解消方法(ツボ・運動・マッサージ・食べ物)・便秘の原因 について詳しくはこちら

【関連記事】

中村鷹之資さんの朝食と似た「ヨーグルト+はちみつ+水溶性食物繊維」という組み合わせについては、こちらの記事でも紹介しています。

【得損】むくみ腸を改善して便秘解消!ヨーグルト+ハチミツ+大根(水溶性食物繊維)
【#こんな私は何を食べればいいですか】糖尿病予防にオクラ茶レシピ!高血圧対策にサトイモポテトサラダの作り方!肩こり解消にアーモンドのはちみつ漬け!|11月26日







「本記事は医療行為の代替ではなく、テレビ・論文・公的資料を一般の生活者向けに噛み砕いたものです」

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「1日8000歩+速歩き20分」は本当に病気予防になる?論文からわかった「歩数」と「歩く強さ」の重要性

「健康のために歩きましょう」といわれても、

「いったい何歩歩けばいいの?」
「ただ歩くだけでいいの?」
「1万歩まで歩かないと意味がない?」

と思う人も多いのではないでしょうか。

2026年10月7日のウェザーニュースでは、「中之条研究」で知られる青栁幸利さんが、健康維持のための歩き方として「1日8000歩、そのうち20分は速歩き」を紹介しています。

速歩きの目安は、「歌は歌えないけれど、会話はできる」程度の中強度運動です。

では、なぜ「8000歩+20分」なのでしょうか。

実際の論文を調べてみると、面白いことが見えてきます。

■「8000歩+20分」の原点、中之条研究とは?

中之条研究は、群馬県中之条町の高齢者を対象として、歩数だけではなく、加速度計によって「どれくらいの強さで身体を動かしたか」まで測定してきた研究です。

研究の目的の一つは、

「何歩歩いたか」という量だけでなく、「どのくらいの強度で身体を動かしたか」という質も含めて健康との関係を調べる

ことでした。

2008年に発表された中之条研究の論文では、65~84歳の220人について、歩数計・加速度計を用いて1年間にわたり身体活動を測定しました。

その結果、75~84歳では、

1日8000歩以上

または

3METsを超える身体活動を1日20分以上

行っている人では、メタボリックシンドロームの診断項目が少ない傾向がみられました。

さらに10年間追跡した別の中之条研究でも、8000~1万歩程度、または20~30分程度の3METs超の活動と、メタボリックシンドロームとの関係が検討されています。

ここから、

「歩数だけでなく、中強度の運動も取り入れよう」

という考え方が見えてきます。

■でも「8000歩未満ではダメ」という意味ではない

ここが一番大切です。

2025年、医学誌『The Lancet Public Health』に、歩数と健康について非常に大規模な系統的レビュー・メタ解析が発表されました。

57研究、35コホートをまとめ、全死亡、心血管疾患、がん、2型糖尿病、認知症、うつ症状、身体機能、転倒などと歩数の関係を調べています。

その結果、

健康のためには必ずしも1万歩必要ではなく、1日7000歩程度でもかなりの健康効果と関連する

ことが示されました。

1日2000歩の人と7000歩の人を比較すると、

全死亡リスク:約47%低い
心血管疾患の発症リスク:約25%低い
心血管疾患死亡リスク:約47%低い

という関連が報告されています。

がんについては少し注意が必要です。

7000歩ではがん死亡リスクは37%低い一方、がん発症リスクについては6%低かったものの統計学的に有意ではありませんでした。

したがって、

「7000歩歩けばがんを予防できる」

とまで言ってしまうのは、現在の研究からは少し言い過ぎです。

以前ハクライドウで紹介した「1日7千歩で死亡リスクが47%低下」の記事とも、ここはきれいにつながります。

■つまり8000歩は「合格ライン」ではない

ここまでを一般向けにものすごく簡単にすると、

2000歩 → 5000歩 → 7000歩

と歩数が増えるにつれて健康上のメリットとの関連が大きくなっていき、

5000~7000歩あたりから、さらに歩数を増やしたときの追加的なメリットが徐々に小さくなる

というイメージです。

2025年のメタ解析でも、全死亡、心血管疾患、認知症、転倒では、歩数との関係は単純な直線ではなく、5000~7000歩付近に変曲点がみられました。

ですから、

「今日は6500歩だった。8000歩いかなかったから意味がない」

とは考えなくてよさそうです。

今より少し多く歩くこと自体に意味がある。

これは運動を続けるうえでも大切な考え方だと思います。

■「何歩歩くか」だけでなく「どう歩くか」

そしてもう一つ興味深いのが歩く速さです。

2014年に地域在住の高齢者5000人を調べた研究では、「1分間100歩以上」の速さで歩ける人は、それ未満の人と比較して、さまざまな要因を調整した解析で全死亡リスクが21%低いことと関連していました。

また、21~40歳を対象に歩行速度と運動強度を実測した研究では、

1分間約100歩

が中強度、すなわち約3METsの身体活動を判断する実用的な目安になると報告されています。

ただし100歩/分は、年齢や体力に関係なく全員に当てはまる絶対的な数字ではありません。

一般の人には、青栁さんが紹介している

「歌を歌うのは難しいけれど、会話ならできる」

くらいを目安とする方がわかりやすいでしょう。

■最新研究からも「歩数+強度」が見えてきた

さらに、2026年9月に『British Journal of Sports Medicine』に発表された研究では、UK Biobankの参加者を対象に、1日の歩数と歩行強度を組み合わせて死亡リスクとの関係を調べています。

解析対象は64,743人で、歩数だけでなく、その日に歩いた中で最も活動的だった30分間の歩調も評価されました。

興味深いことに、歩数が5000歩未満のグループでも、歩行強度が高いほど全死亡リスクが低い関係がみられました。

また5000~7500歩のグループでも同様の関係が示されています。

つまり最新研究からも、

「たくさん歩く」だけを見るのではなく、「その中で少し速く歩く」という視点

が重要である可能性が見えてきています。

これは中之条研究が長年注目してきた「量+質」という考え方とも重なります。

■では私たちはどう歩けばいい?

ここまでの研究を踏まえると、私は「8000歩・速歩き20分」を厳密なノルマとするより、

1) まず今より歩数を増やす

5000歩の人なら、いきなり8000歩を目指さなくてもいい。

まず5500歩、6000歩と増やしていく。

2) 7000~8000歩は一つの実践的な目標

最新の大規模メタ解析では7000歩程度でも幅広い健康アウトカムとの関連が確認されています。

中之条研究で示されてきた8000歩前後とも大きく離れていません。

3) その中に少し「速歩き」を入れる

全部を速く歩く必要はありません。

通勤、買い物、犬の散歩など、普段の生活の中で、

「歌うのは難しい。でも会話はできる」

くらいの歩きを少し取り入れる。

これなら特別な運動施設も必要ありません。

「歩く」は、とても身近な健康への投資

こうして論文を追っていくと、面白いことがわかります。

研究によって、

「7000歩」

「8000歩」

「中強度20分」

など数字は少しずつ違います。

しかし共通しているメッセージはかなりシンプルです。

・座っている時間を少し減らして歩く。

・そして、その一部を少し速く歩く。

それだけでも健康上のメリットと関連することが、さまざまな研究から見えてきています。

「1万歩歩かなければ運動したことにならない」と考える必要はなさそうです。

まずは今日、

「いつもより少し歩く」

そして余裕があったら、

「そのうち少しだけ速く歩く」

というところから始めてみてはいかがでしょうか。

参考文献

Park S, et al. Year-Long Physical Activity and Metabolic Syndrome in Older Japanese Adults: Cross-Sectional Data From the Nakanojo Study. The Journals of Gerontology: Series A. 2008;63(10):1119-1123. 中之条研究では、65~84歳の日本人220人を対象に、1年間の歩数・活動強度とメタボリックシンドロームとの関連を調べています。

Ding D, et al. Daily steps and health outcomes in adults: a systematic review and dose-response meta-analysis. Lancet Public Health. 2025;10(8):e668-e681. 57研究・35コホートを対象とした系統的レビューで、歩数と全死亡、心血管疾患、がん、糖尿病、認知症などとの関連を検討しています。

Brown JC, Harhay MO, Harhay MN. Walking Cadence and Mortality Among Community-Dwelling Older Adults. J Gen Intern Med. 2014;29:1263-1269. 高齢者5000人を対象に、歩行ペースと死亡リスクとの関連を検討しています。

Tudor-Locke C, et al. Walking cadence (steps/min) and intensity in 21–40 year olds: CADENCE-adults. Int J Behav Nutr Phys Act. 2019;16:8. 中強度歩行の実用的な目安として約100歩/分を提示しています。

Wei L, et al. Combinations of stepping intensity and daily step counts against all-cause and cardiovascular disease mortality: insights from a device-based prospective study. Br J Sports Med. 2026. 歩数と歩行強度の組み合わせと死亡リスクとの関連を解析しています。

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