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世界初!iPS細胞から作った心臓の筋肉細胞を重症心不全患者に移植する大阪大の臨床研究計画を条件付きで承認




■世界初!iPS細胞から作った心臓の筋肉細胞を重症心不全患者に移植する大阪大の臨床研究計画を条件付きで承認

Surgery

by Army Medicine(画像:Creative Commons)

<厚労省部会>iPS細胞の心臓病臨床研究、条件付き承認

(2018/5/16、毎日新聞)

承認された臨床研究計画は、血管が詰まって血液が十分に届かず心臓に障害が出る虚血性心筋症の患者が対象。18歳以上80歳未満の3人に、他人のiPS細胞から作った2枚の心筋の円形シート(厚さ0・05ミリ、直径数センチ)を心臓表面に張り付ける。がん化や免疫拒絶反応などに対する安全性を調べ、心機能の変化についても観察する。

厚生労働省の再生医療等評価部会は、iPS細胞(人工多能性幹細胞)から作った心臓の筋肉細胞をシート状にして重症心不全患者の心臓に移植する大阪大の澤芳樹教授(心臓血管外科)のチームが2018年3月に届け出ていた臨床研究計画を条件付きで承認したそうです。

研究チームは既に患者自身の脚の筋肉細胞から作製する細胞シートを開発し、2015年に国から条件付きで再生医療製品として承認を受けている。シートから出るたんぱく質が心臓の働きを改善するとみられ、iPS細胞の方がより高い効果が期待できるという。

大阪大学の澤芳樹教授は、2009年には、IPS細胞で心筋梗塞改善=マウス使った実験で確認|阪大によれば、三木健嗣研究員らのチームが行なったマウスの実験によれば、iPS細胞を使い、心筋梗塞の改善に成功し、2016年には重い心臓病の子供のふくらはぎの細胞から作った心筋シートを心臓に移植する治験を始める|阪大によれば、澤芳樹教授らは、重い心臓病の子供のふくらはぎの細胞から作ったシート(心筋シート)を心臓に移植する治験を始めていました。

【参考リンク】







ザッカーバーグ夫妻、人類の病気を予防・治療するプロジェクトで30億ドルを投資




■ザッカーバーグ夫妻、人類の病気を予防・治療するプロジェクトで30億ドルを投資

czs_marc_zuckerberg

参考画像:Live with Priscilla from San Francisco for a Chan Zuckerberg

ザッカーバーグ夫妻、疾病撲滅に30億ドルを投ずると発表―世界的研究者をリーダーにバイオハブを建設

(2016/9/22、TechCrunch)

今日(米国時間9/21)、チャン・ザッカーバーグ・イニシアティブ(CZI)はチャン・ザッカーバーグ・サイエンス(CZS)と呼ばれる新しいプロジェクトを発表した。人類の疾病を予防し治療するため、向こう10年間に30億ドル(約3000億円)が投ぜられる。

ザッカーバーグ夫妻が取り組むのは、心臓疾患、感染症、神経系疾患、ガンといった人類の病気を予防・治療するプロジェクトで、30億ドルを投資するそうです。

ザッカーバーグは「アメリカでは病気にかかった人々を治療するための支出に比べて、そもそも人々が病気にならないように研究するための支出はわずか50分の1しかない」と述べた。

以前紹介したGOOGLE Xのプロジェクト「BASELINE STUDY」に近いコンセプトであるように感じます。

Verily(元Google X)のProject Baseline studyの目的は、病気のサインを見つけ病気の予防をすること!?

Baseline Studyの目的は、心臓疾患や癌など病気の兆候を早期に発見すること。病気を発症してからではなく、健康な人体が病気になりそうなサインを見つける。これにより医師は、病気予防に重点を置いた措置が可能となる。東洋医学に「未病」という言葉があるが、この研究はこのコンセプトに近い。

ザッカーバーグ氏のコメントにもあるように、病気が起きてから治療をするということに比べて、病気を予防するということに関してはまだまだ進んでいないのが現状なのでしょう。

日本でも2015年度の医療費は41.5兆円|高齢化や抗がん剤などの高額な新薬が増えているがニュースになりましたが、予防医療・予防医学に取り組んでいくことは医療費の削減するためにも今後重要になっていくと考えられますし、また、QOL(生活の質)の向上といった間接的なコスト削減も期待できると考えられます。




■疾病の治療と予防を変革するような新しいテクノロジーの開発

CZSはまた疾病の治療と予防を変革するような新しいテクノロジーの開発にも力を入れる。ザッカーバーグは望遠鏡や顕微鏡の発明を例として「新しいツールの発明が科学にまったく新しい分野を切り開いた。疾病の場合にも新しいツールが画期的な役割を果たすことを想像するのは簡単だ」と述べた。

ザッカーバーグが開発の目標として例示したテクノロジーには「脳の活動を視覚化するAIソフト…ガンの遺伝子を解析する大規模な機械学習応用データベース…あらゆる感染症に対応する解析能力をもったICチップ、疾病の早期発見を可能にする連続的血流モニター・システム、人体のすべて部分の細胞のマッピングとモニター、個人の疾病と身体特性に合わせて薬品を即座にカスタマイズするシステム」などを挙げた。

人体各部の細胞のマッピング、あるいは細胞地図(cell atlas)は医学上の重要なブレークするーになり得るという。クウェイク教授は「人体にどれだけの種類の細胞があるのか、誰も正確なことは知らない」と述べた。すべてのタイプの細胞がシークェンシングされ、遺伝子が編集可能になればガン、糖尿病、感染症その他重大な疾患の治療に革命が起きるという

ザッカーバーグが考える疾病の治療と予防を変革するような新しいテクノロジーの開発の例として挙げられたものからは、身体をモニタリングして、データを収集・分析・解析し、個人に合わせた治療を行なっていく未来を考えているのではないかと思います。

こうしたプロジェクトで期待したいのは、病気が起こる前の「サイン」を見つけることと予防医学の普及です。

●病気のサインを見つける

先ほどのプロジェクトの目標例を見ると、病気の予防に重点が置かれているのではなく、病気の治療に重点が置かれているように感じます。

今回のプロジェクトでは、西洋医学に東洋医学の「未病」の考えをミックスするようなものになることで、より病気の予防につながるのではないかと思います。

人によっては、健康診断などの検査結果で異常がないにもかかわらず、体がだるい、疲れやすい、頭痛、肩こり、めまい、眠れないなどといった体の不調に悩まされた経験もあるのではないでしょうか。

「はっきりとした症状はでていない」「数値には現れないけどなんだか体調がよくない」というときを、健康な体から病気の身体へと向かう途中だと考えるとすれば、その途中で起きる「サイン」に着目して、何らかの対処を行なうことが最も効果的な医療になっていくのではないでしょうか。

●予防医学の普及

現在では様々な研究機関が病気になるリスクが高い生活習慣やリスク要因について発表を行なっています。

心臓疾患、感染症、神経系疾患、ガンといった人類の疾病にもすでにわかっているリスク要因がありますが、実際には対処できずに病気になっていることも多いのではないでしょうか。

大腸がん予防

1975年型食事が健康によい!?|世界一受けたい授業によれば、2000年代は脂質が多くなってくるのですが、肉を多く食べると大腸がんになるリスクが高いによれば、肉を多く食べる日本人は大腸がんになるリスクが高いことが、約8万人を対象にした約10年におよぶ国立がん研究センターの追跡調査でわかっています。

また、長時間イスに座っているのは、健康に良くないらしいで紹介したアメリカン・ジャーナル・オブ・エピデミオロジー誌に発表された研究によると、デスクワーク(長時間椅子に座ったままでの仕事など)は大腸がんのリスクを増加させる可能性があるそうです。

その他にも、糖尿病の人の大腸がんになるリスクは1.4倍、肝臓がんは1.97倍、すい臓がんは1.85倍も高いによれば、日本糖尿病学会と日本癌学会の合同委員会の報告では、糖尿病の人はそうでない人に比べて大腸がんになるリスクは1.4倍なのだそうです。

糖尿病の患者数の増加に伴い、大腸がんになる人も増えていると考えられないでしょうか。

→ 大腸がん について詳しくはこちら

→ 大腸がん危険度チェック について詳しくはこちら

■ピロリ菌除菌と胃がん検診で胃がん予防

胃がんの原因としては、最近の研究によって、ヘリコバクターピロリ(ピロリ菌)が大きく関わっているのではないかと考えられています。

胃がん検診、内視鏡検査の追加を提言 厚労省検討会によれば、胃の内視鏡検査は胃がんの死亡率を減らす効果が認められているそうです。

早期の胃がんには、自覚症状はほとんどありません。

40歳を越えたら、自覚症状はなくても、年に一回は胃の定期検査を受けましょう。

→ 胃がんの症状・原因・手術・食事 について詳しくはこちら

■肝臓がん予防のために「肝炎ウイルス」の検査

肝臓がんになるほとんどの原因はウイルス性肝炎から肝硬変になったものであるため、肝臓がんの予防するためには、肝硬変になる前に、肝炎を早期に発見し、治療を行うことが第一です。

→ 肝臓ガン について詳しくはこちら

■歯周病予防で生活習慣病予防

歯周病から糖尿病が悪化する?|そのメカニズムと歯周病予防のポイントによれば、歯周病菌の出す毒素が歯肉や歯を支える骨を侵す作用の研究が進むにつれて、これらの毒素は、全身をめぐって糖尿病や心臓血管系の疾患など生活習慣病にも影響を与えていることが明らかになってきています。

歯周病ケアをすることが生活習慣病予防につながります。

→ 歯周病の症状・歯周病とは・歯周病予防 について詳しくはこちら

■舌の汚れを清掃してがん予防

舌の汚れを清掃をすることがガン予防につながる!?によれば、舌の上に付く白い汚れ「舌苔(ぜったい)」の面積が大きいほど、呼気に含まれる発がん性物質アセトアルデヒドの濃度が高いことがわかったそうです。

こうした一つ一つを検討して、より確実だと思ったものから予防医療を行なっていくことが病気の予防につながっていくのではないでしょうか。

以前社会的インパクト投資がヘルスケア分野に活用され始めたということを知りましたが、ビル・ゲイツやザッカーバーグのような人たちの行動によって、その行動を真似していく人が増えていくといいですね。




→ 【2つの未来予測】1.未病の観点から病気のサインを見つける、2.健康的なライフスタイルがお金のような価値を持つ について詳しくはこちら




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妊娠糖尿病の女性が2型糖尿病を発症するリスクは高い!

健康・美容チェック > 糖尿病 > 妊娠糖尿病の女性が2型糖尿病を発症するリスクは高い




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by Vanessa Porter(画像:Creative Commons)

妊娠糖尿病は高リスク

(2009/6/24、47ニュース)

妊娠糖尿病の女性が2型糖尿病を発症するリスクは、正常血糖の妊婦に比べ7・43倍に上るとする研究結果を、ロンドンにある病院のグループがまとめ、英医学誌ランセットに発表した。

ロンドンにある病院のグループの研究によれば、妊娠中に糖尿病になった女性は、2型糖尿病を発症するリスクが高いそうです。

妊娠糖尿病は、上昇した血糖値を正常に戻す能力の低下が妊娠中に起きるか、初めて発見される病気。

妊婦の数%程度で起こるとされる。

2型糖尿病になる女性を少なくするためにも、妊娠糖尿病にならないように、検査などでの早期発見や食生活の改善・指導を行うようにしていく必要がありそうです。







糖尿病関連ワード

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ヒトのiPS細胞で作った膵島を糖尿病モデルの「マーモセット」に移植し血糖値が下がる|東大など

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■ヒトのiPS細胞で作った膵島を糖尿病モデルの「マーモセット」に移植し血糖値が下がる

参考画像:iPS細胞を基盤とする次世代型膵島移植療法の開発拠点|文部科学省スクリーンショット

iPS移植で血糖値低下…東大などサル実験成功

(2017/3/7、読売新聞)

膵島は、膵臓にある細胞の集まりで、血糖値を下げるインスリンを分泌する。宮島篤・東大教授(分子細胞生物学)らは、人のiPS細胞で作った膵島数万個を極細のチューブに封入し、糖尿病の小型サル「マーモセット」3匹の腹部に移植。数日後に血糖値が正常値に下がり、20日後まで持続したことを確認した。

東京大学 宮島篤教授ら研究チームによれば、ヒトのiPS細胞で作った膵島数万個をチューブに封入し、糖尿病モデルの「マーモセット」に移植したところ、数日後に血糖値が正常値まで下がり、その効果は20日後まで持続したことを確認したそうです。




■背景

iPS細胞を基盤とする次世代型膵島移植療法の開発拠点|文部科学省

圧倒的なドナー不足: 日本では年間最大でも数十例のドナー

免疫抑制剤: 生涯内服が必要、副作用あり、高額医療費

長期的にグラフト機能が低下する

糖尿病の治療では、膵島移植が行われていますが、膵島を提供してくれるドナーが不足しています。

そこで、iPS細胞を使えば、人工の膵島を大量に作れる可能性があり、iPS-膵島を免疫隔離膜に封じて移植することができれば、ドナー不足も解消します。

人工膵臓|小澤純二,森脇信,宮川潤一郎(大阪大学大学院医学系研究科分子制御 内科)

免疫隔離膜は,異種膵島細胞に対する免疫反応や自己免疫性1型糖尿病患者の細胞性自己免疫からβ細胞を保護する上で必要となるが,移植膵島の機能存続のためには,内蔵される膵島細胞やβ細胞への栄養素の供給も必須である。

→ 糖尿病の症状(初期症状)チェック について詳しくはこちら

→ 糖尿病危険度チェック について詳しくはこちら







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「30代男性特有のニオイ」は加齢臭(ノネナール)とは異なるニオイ(ペラルゴン酸)であることが解明!




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by @Saigon(画像:Creative Commons)

「30代男性特有のニオイ」を解明

(ライオンプレスリリース、2008/11/13)

「30代男性特有のニオイ」を解明
~「ペラルゴン酸」が主原因であることを解明、その抑制成分の開発に成功~

ライオン株式会社(社長・藤重 貞慶)ビューティケア研究所は、男性が30代になると、“自分の体臭が変化した”と感じ始めることに着目して研究を行った結果、その特有なニオイを特徴付ける物質は、使い古した食用油臭に似た独特のアブラっぽいニオイを発する「ペラルゴン酸」であることを明らかにしました。

さらに、このニオイが発生するメカニズムを解明するとともに、抑制する成分の開発に成功しました。

ライオン株式会社ビューティケア研究所によれば、30代男性特有のにおいはノネナールを原因物質とする加齢臭とは全く異なるニオイであり、使い古した食用油臭に似た「ペラルゴン酸」が原因物質であり、皮脂が酸化することで起きているそうです。

30代男性の特有のニオイが加齢臭とは異なる物質であることには驚きですね。

この研究のまとめが紹介されていました。

(1) 「30代男性特有のニオイ」は、ノネナールを原因物質とする“加齢臭”とは全く異なるニオイである。
 
(2) 「30代男性特有のニオイ」は、使い古した食用油臭に似た「ペラルゴン酸」が原因物質であり、皮脂が酸化されることで発生する。
 
(3) 「メマツヨイグサ抽出液」には、「30代男性特有のニオイ」を抑制する効果がある。

メマツヨイグサ抽出液には、ペラルゴン酸による「30代男性特有のニオイ」を抑制する効果があるそうなので、注目ですね。