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筑波大学教授(眼科学) 大鹿哲郎さんによる基調講演をまとめたこの記事では、白内障の症状・原因・治療について詳しく紹介されています。
⇒ 白内障 についてはこちら。
この記事から白内障のポイント・特徴を抜き出してみたいと思います。
(2010/6/9、読売新聞)
まず白内障です。目には水晶体というレンズがあります。このレンズが年齢とともに濁ってくるのが白内障です。水晶体が濁ってしまうと、光が少ししか通らず、よく見えないという症状が出ます。
濁り方のタイプによってちょっとずつ違いますが、かすむのと視力低下が代表的です。水晶体がまだらに濁るタイプでは、光を反射してまぶしい、外に行くと目を開けていられないという症状が出る人がいます。
眼鏡がだんだん合わなくなってくるという症状もあります。水晶体がだんだん硬くなってくると、度数が変わってきてしまう。眼鏡を毎年、作り替えなくてはいけないという方は、もしかすると水晶体が硬くなっているのかもしれません。
白内障の患者は多く、40歳代でも、水晶体に濁りが出た初期の方が結構います。年齢とともに増え、70歳、80歳代になると、ほとんどの方が何らかの形の水晶体の濁り、白内障があります。もちろん全員が手術を受ける必要があるわけではありません。50歳代以降はどんどん増えていきます。
白内障はご自分で目をのぞき込んでもわかりません。眼科に行って、細隙灯顕微鏡という専門の機械を使って検査をします。目に光を当て、目を拡大して見る検査です。薬で瞳孔を大きくしてから見ることで、水晶体の様子がよくわかります。
正常なら濁っていません。真ん中がちょっと白く、硬くなってきたら、軽度の白内障です。進行して水晶体全体が真っ白になってしまうと、ほとんど人の形もわかりません。昔はこのようなお年寄りはたくさんいました。最近は早めに手術を受けられるので、ここまで悪い方はいません。
■白内障の症状
- 白内障とは、水晶体が濁ってしまう目の病気で、よく見えなくなるという症状が現れる。
- 目のかすみと視力低下が代表的。
- 水晶体が硬くなっているため、メガネが毎年あわなくなるという症状が現れることもある。
- 白内障は、40歳代でもかかることがある。
白内障の原因はいくつかありますが、一番多いのは年齢です。
加齢現象で、誰でもなるわけです。
糖尿病の方も白内障になりやすい。最近、増えています。
高校生や中学生でも、アトピー性皮膚炎だと、白内障の子がたまに外来にきます。
ステロイドという薬を長い間使っていても、白内障になりやすい。
近視が強い方も白内障になりやすい。
これは体質的なこともあります。
ただ、なんといっても年齢が一番大きな原因です。
■白内障の原因
次に、白内障の治療です。初期は経過観察でいいと思います。目薬で白内障を治すことはできません。進行をやや遅らせるだけです。あえて使う必要はなく、普通にしているだけでも構いません。
根本的な治療法は手術しかありません。では早く手術を受けた方がいいのでしょうか。あとでお話しする緑内障や加齢黄斑変性との一番大きな違いは、白内障はよっぽどのことがない限り、手遅れにならないことです。そんなに急いで手術を受ける必要はありません。
■白内障の治療
- 初期は経過観察。
- 目薬は白内障の進行をやや遅らせるだけで、あえて使う必要はない。
- 白内障の根本的な治療は手術しかないが、急いで受ける必要はない。不自由だと感じたときに受けた方がよい。
さて、手術のために眼科へ行くと、医師から問診がありますが、そこで聞かれるポイントは、まず、いつ頃から見えづらいのかということです。だいたいでいいので伝えてください。見えづらくなる前の、矯正視力も知りたい情報です。
他に病気があるのか、例えば糖尿病があるのか、血圧が高いのかなど体のことも尋ねられます。目の病気も重要です。白内障だけなのか、他に病気があるのかをしっかり伝えてください。
どんな薬を飲んでいるのかも聞きます。特に重要なのは二つ。ひとつは心筋梗塞や脳梗塞に用いられる、抗凝固剤、ワーファリンとかヘパリンとかですが、これを服用している方は血液が固まりにくくなる。手術の時にちょっと問題になるので、事前に言ってほしい。
つい最近分かったことですが、前立腺肥大症の治療薬、α1ブロッカーが目にも作用します。手術の時は瞳孔を開いて手術をするのに、この薬は虹彩の筋肉に効いてしまい、どんどん瞳孔が縮んできてしまう。手術がやりづらくなる。だから最初に、この薬を飲んでいると先生に伝えておいていただきたい。
■白内障の手術
問診で聞かれるポイント
- いつごろから見えづらいのか
- 見えづらくなる前の矯正視力
- 他の病気(糖尿病・高血圧・目の病気)
- どんな薬を飲んでいるか(抗凝固剤・前立腺肥大症の治療薬)