「Health」カテゴリーアーカイブ

なぜ窓ガラス越しの日光浴ではビタミンDが作られないの?その理由とビタミンDを補給する方法




研究によれば、窓ガラス越しの日光浴では、通常の場合、皮膚でビタミンDがほとんど(または全く)作られません。

理由は、ビタミンD合成に必要な紫外線B(UVB)が一般的な窓ガラスでほぼ完全に遮断されるためです。

■ ビタミンD合成の仕組み

日光に含まれるUVB(波長約290–315 nm)が皮膚の表皮に存在する7-デヒドロコレステロールに当たると、プレビタミンD3が生成されます。

これが熱によって異性化し、ビタミンD3(コレカルシフェロール)になります。

肝臓と腎臓で活性化され、カルシウム吸収や骨代謝に働きます。

UVBが鍵で、UVA(約315–400 nm)はビタミンD合成に寄与しません。

皮膚の色素沈着、加齢、日焼け止めの使用なども合成量を減らしますが、窓ガラスは物理的にUVBを大きく遮断します。

■ 窓ガラスがUVBを遮断する理由

一般的な窓ガラス(住宅・車・オフィスで使われるソーダ石灰ガラスなど)は、短い波長のUVBを吸収・反射します。

透過率はほぼ0%(またはごくわずか)で、可視光やUVAの多くは通ります。

Holick MF(1995)のレビューでは「窓ガラスは紫外線Bを吸収するため、ガラス窓越しの日光曝露ではコレカルシフェロールは全く生成されない」と明記されています。

■ まとめ

窓際で日差しを浴びても、ビタミンDの合成は期待できません。

日光から得るには直接屋外で適度に肌を露出させる必要があり(皮膚がんリスクとのバランスを考慮)、食事(鮭・きのこなど)やサプリメントでの補給も有効です。

ビタミンD不足とビタミンD欠乏症は高齢者、特に虚弱で日光に当たらない人や、冬季に日光によるコレカルシフェロール生成が得られない緯度に住んでいる人に多く見られることが現在では認識されています。

ビタミンD不足と欠乏症は骨粗鬆症を悪化させ、骨軟化症を引き起こし、骨折のリスクを高めますので、注意しましょう。

→ 骨粗鬆症とは|骨粗しょう症の症状・原因・予防する方法(食べ物・運動) について詳しくはこちら

【参考文献】

■【補足】【家庭料理の視点から】

日焼け止めを週3回以上使う人はビタミンD不足!?|大阪樟蔭女子大などで紹介した大阪樟蔭女子大などの研究チームの調査によれば、日焼け止めを週3回以上使うグループの血中ビタミンD濃度の平均が欠乏状態であることが分かったそうです。

ビタミンDは日光を浴びることで体内で作られる栄養素で、ビタミンDが不足すると、骨粗しょう症などになりやすくなるといわれています。

紫外線環境保健マニュアル2015

ビタミンDをつくる紫外線の波長は日焼けをする紫外線の波長とほぼ同じで、SPF30の日焼け止めをしていると、皮下でのビタミンD産生は5%以下に落ちてしまうことにも注意が必要です。

環境省の「紫外線環境保健マニュアル2015」によれば、ビタミンDを作る紫外線の波長と日焼けをする紫外線の波長はほぼ同じであるため、日焼け止めをしているとビタミンDの産生が落ちてしまうそうです。

また、日焼けを避ける女性の増加は乳幼児のビタミンD欠乏症にも影響を与えているそうです。

紫外線環境保健マニュアル2015

日本では近年、特に乳幼児のビタミンD欠乏症が増加しており、高度のO脚や、けいれんで外来に受診する乳幼児が急増しています。

日焼けを避ける若年女性が増えたことがあり、妊婦さんがビタミンD欠乏状態にあり、元々骨量の少ない赤ちゃんが多いうえに、完全母乳栄養やアトピー性皮膚炎に対する除去食、生後の日光浴不足が重なることがリスク要因と考えられています。

環境省の『紫外線環境保健マニュアル2015』によれば、次のような理由で乳幼児のビタミンD欠乏症が増加しているそうです。

  • 日焼けを避ける若い女性が増えたことにより、妊婦のビタミンDが欠乏
  • 母乳栄養の赤ちゃんやアレルギーなどで食事制限をしている赤ちゃんは、骨の成長に必要なビタミンDが不足しがち

そのため、ビタミンDを食事から摂取することや適度に日光を浴びるといった対策が必要になります。

具体的にはどのようにすればよいのでしょうか?

食品中のビタミンD含有率(一日必要量は10-25μg)|紫外線環境保健マニュアル2015
食品中のビタミンD含有率(一日必要量は10-25μg)|紫外線環境保健マニュアル2015

参考画像:紫外線環境保健マニュアル2015|スクリーンショット

ビタミンDは食物としては、きのこ類や脂身の魚類に多く含まれていますが、その他の食品には少ししか含まれておらず、必要量を食事だけから摂るのは困難です(表2-2)。そのため、多くの人は必要ビタミンD(一日400-1000単位、10-25μg)の半分以上を日光紫外線に依存しているのが現状です。

ビタミンDを補充するためには、食事から摂取することや適度に日光を浴びるといった対策が挙げられますが、ビタミンDに含まれている食品は限られているため、食事だけで摂るのは難しく、また紫外線には発がん作用があるため浴び過ぎには注意が必要なのも事実です。

そのため、環境省の「紫外線環境保健マニュアル2015」では、食べ物からの摂取や日光浴によりビタミンDの補充が難しい場合には、ビタミンDのサプリメントを利用することも一つの方法であるとアドバイスをしています。

■骨粗しょう症を予防する方法

骨粗しょう症を未然に防ぐためにも、若いうちから骨密度を高めるために、骨を健康に保つ6つの栄養を摂るようにしましょう。

  1. カルシウム:牛乳・ヨーグルトを意識して増やす
  2. タンパク質
  3. ビタミンD
  4. ビタミンK
  5. マグネシウム
  6. 亜鉛

2019年2月5日放送の「たけしの家庭の医学」では「骨粗しょう症」を取り上げました。

骨が折れやすくなる原因である骨粗しょう症の街の人の対策はカルシウムの摂取ですが、中村幸男先生(信州大学医学部附属病院)によれば、栄養を適切に摂取し運動をしても骨折する患者がいるそうです。

中村先生によれば、カルシウム、ビタミンDの他に骨の健康に欠かせない重要な栄養素があり、それが「亜鉛」!

亜鉛の摂取を指導したところ、骨密度が大幅に改善し、また、何歳でも骨密度は上がるそうです。

→ カルシウムの多い食べ物 について詳しくはこちら

→ 亜鉛の多い食べ物 について詳しくはこちら

また、日を浴びることや運動をすることも骨を強くすることになるので、天気のいい日は運動をするように心がけましょう。

骨密度が治療が必要なほど低い場合には、薬や注射による治療を行なう必要があります。







「本記事は医療行為の代替ではなく、テレビ・論文・公的資料を一般の生活者向けに噛み砕いたものです」

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この記事は、例えるなら「ばあちゃんの料理教室(ハクライドウ)」という街の中の「ひとつの家」です。

この街には、生活・料理・健康についての記事が、
同じ考え方のもとで並んでいます。

ここまで書いてきた内容は、
単発の健康情報やレシピの話ではありません。

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「何を食べるか」よりも
「どうやって暮らしの中で調整してきたか」を大切にしています。

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なぜこういう考え方になるのか

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「人の生活を、断定せず、文脈ごと残す」
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食後15分以内にウォーキングやスクワットをすると血糖値スパイクを抑えられる!




血糖値を下げる方法(食事法)によれば、食後一時間以内に運動や入浴をすると、血糖値は抑えられると紹介されていましたが、食後できるだけ早く(理想は15分以内、遅くとも30分以内)、10〜30分程度の軽いウォーキングやスクワットなど運動を行うと、食後の血糖値上昇(血糖値スパイク)が抑えられることが、複数の研究で分かっています。

〇Engeroffら(2023)の研究(Sports Medicine)

健康者および耐糖能異常者(血糖の処理が少し悪くなっている人)を含む8つのRCT(クロスオーバー、参加者116名)を分析した論文です。

ウォーキングなどの運動は、食後できるだけ早く行う方が、食後しばらく時間を置いてからや食前に行うよりも、食後の血糖値の上がりを抑える効果が高い。

食事と運動の間隔が短いほど効果が大きく、間隔が長くなるほど効果が弱まる。

結論として「できるだけ早く行うのが良い」。

〇Kangら(2023)の研究(Nutrients)

過体重・肥満・2型糖尿病者を対象とした31の研究をまとめたものです。

食後運動(PPE)はグルコース食後血糖値曲線下面積(AUC)の低下は、運動時間が30分を超えた場合のほうが30分以下より大きかった。

24時間平均グルコース値の低下も、食後60分以上たってから運動したほうが60分未満より大きく、2型糖尿病の人のほうがそうでない人より大きかった。

〇Belliniら(2021、Medicine & Science in Sports & Exercise)の一連のクロスオーバー研究

食後運動は食前運動より血糖反応を改善。

食後運動は血糖反応を改善したが、食前運動では改善しなかった。

血糖ピークの抑制効果は、食事開始15分後に運動を始めた場合に特にはっきり出た。

30分後開始でも効果はあるが、ピーク抑制は15分後の方が優れる傾向。

異なる運動種目(有酸素・レジスタンス・複合)で同様の低減が見られ、連続30分程度で十分で、細切れでも累積10〜20分で効果あり。

30分および45分の速歩は、血糖値の下がり方はほぼ同じだった。

■どんな運動がいいの?

ウォーキングが一番確実に効果がでやすいですが、自体重スクワットなどの短時間・低強度レジスタンス運動も有効との報告があります。

〇日本の研究(長﨑ら、2021、糖尿病)

健常な成人男性で糖負荷後30分に自体重スクワット(10回×3セット)を実施すると、じっとしている場合に比べて血糖が有意に低下し、AUCも低減。

〇他の研究では、食後にスクワット・プッシュアップ・ランジなどを組み合わせた約7分の運動やステップ運動(階段の昇り降りのような動き)がウォーキングに近い効果を示す場合があり、等尺性ウォールスクワット(壁に背中をつけてじっと膝を曲げ続けるだけのスクワット)単独では効果が弱い例もあります。

食後血糖反応を改善するにはウォーキングが最も効果的な戦略であるが、ステップ運動、およびスクワットも食後血糖値を下げるために使用できます。

■なぜ効果があるの?メカニズム

筋肉を動かすと、筋肉が糖(グルコース)を積極的に取り込むようになり、血液中の血糖値の上昇がゆるやかになります。

軽い〜中くらいの強度で十分で、長く激しくやる必要はありません。

消化に負担をかけないよう、軽い運動のほうが現実的です。

■まとめ

食事を始めてからできるだけ早く(理想は15分以内、遅くても30分以内)に、10〜30分くらいの軽いウォーキングやスクワットなどをすると、血糖値スパイクを抑えやすくなります。

→ 血糖値とは|血糖値を下げる食品・正常値・空腹時血糖値・食後血糖値 について詳しくはこちら

【参考文献】

→ 糖尿病の症状・初期症状 について詳しくはこちら

→ 糖尿病危険度チェック について詳しくはこちら







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日本人の大腸がんの主要な原因の一つに、腸内細菌のコリバクチン毒素が関与していることが明らかに!




日本人大腸がんの主要な原因は “腸内細菌”だった ―若年発症大腸がんでは70%に毒素産生腸内細菌による変異痕跡を発見―(2026年8月10日、東京大学医科学研究所)

Nature Genetics誌に掲載された東京大学医科学研究所などの研究によれば、日本人の大腸がんの主要な原因の一つが「腸内細菌」であることが明らかになりました。

日本人の大腸がん患者の約半数(44.8%)で、特殊な大腸菌が出す毒素「コリバクチン」がDNAを傷つけた痕跡(変異シグネチャー)が見つかりました。

特に40歳未満の若年発症大腸がんでは約70%にこの痕跡がありました。

これまで「食生活の欧米化」が主な原因と考えられていましたが、細菌毒素によるDNA損傷を直接証明した点が新しいです。

この変異は1965年以降に生まれた世代で増えていました。

将来的には、胃がんのピロリ菌のように、この菌の検出・除菌で大腸がんを予防できる可能性が期待されます。

■背景

大腸がんは日本で罹患数1位・死亡数2位のメジャーながんです。

原因は「食生活の欧米化」と言われてきましたが、なぜ日本で特に多いのか、分子レベルの仕組みは不明でした。

一部の大腸菌(pks+大腸菌)は「コリバクチン」という毒素を作り、大腸の細胞のDNAを傷つけることが知られていました。

この傷は特徴的な「傷跡(変異シグネチャー)」としてゲノムに残ります。

過去の国際研究でも日本人症例で高頻度でしたが、症例数が少なく確証が弱かったことから、今回200例の大規模全ゲノム解析で調べました。

■わかったこと

〇日本人の大腸がんの約半数でコリバクチン関連の変異シグネチャーが確認されました。

〇大腸がんの発生に重要な遺伝子(ドライバー遺伝子(発がんの重要な遺伝子);APC、BRAF、TP53など)にもコリバクチンによる変異が見つかりました。

特にAPCは発がんの最初期に異常が起こる遺伝子なので、「最初のきっかけ」から関与している可能性が高いと考えられます。

〇コリバクチン関連の変異は、10歳未満という幼い時期にすでに獲得されている可能性があります。幼少期からの腸内細菌との長期的な関わりが、数十年後の大腸がんにつながるかもしれません。

〇1965年以降生まれの世代で増加 → 最近増えている若年大腸がんとの関連が示唆されます。

■まとめ

この研究によれば、大腸がんは遺伝や生活習慣だけでなく、幼少期からの腸内細菌とのかかわりによって起こる可能性があり、一部の大腸がんは、コリバクチン産生大腸菌によるDNA損傷が原因である可能性が生まれました。

将来的にはコリバクチン産生大腸菌の検出・除菌による新たな予防法の発見が期待されます。

→ 大腸がんの症状(初期症状)チェック はこちら

【参考文献】

■感想

最近、日本人の大腸がんが増えていること、日本の大腸がん患者の一部に腸内細菌のコリバクチン毒素が関係している可能性があること、若年層の大腸がんが増えていることがニュースで話題になっていましたが、これらが一つにつながるなんて驚きでした。

【関連記事】

→ 大腸がんの症状(初期症状)チェック はこちら







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「全然食べてないのに痩せない!」の原因は代謝の異常ではなく、実際の摂取カロリーが申告より多く、運動量を過大評価していたことだった!




「全然食べてないのに痩せない!」という方いますよね。

この場合、1)代謝が特別に落ちている、2)実際食べた量(カロリー)を少なく見積もっている、の2つが考えられます。

今回紹介する論文では、その2つのどちらの説明が正しいかを調べた研究です。

■実験

食事抵抗性(例:1日1200kcal未満の食事制限をしているのに体重が減らない)があるグループとないグループに分けて、実際の総エネルギー消費量と摂取量を測定しました。

■結果

〇食事抵抗性グループの総エネルギー消費量・安静時代謝量は予測値の±5%以内で正常だった(低代謝ではなかった)

〇食事抵抗性があるグループの人は実際の食品摂取量を平均で約47%(±16%)過小申告し(自己申告約1028kcal/日に対し、実際は約2081kcal/日程度)、身体活動量を平均で約51%(±75%)過大申告していました。

■まとめ

「低カロリー食を摂っているのに痩せない」という訴えの主な原因は、代謝の異常ではなく、実際の摂取カロリーが申告よりかなり多いことと、運動量を過大評価していることだとわかりました。

【関連記事】

  • Lichtman SW, Pisarska K, Berman ER, Pestone M, Dowling H, Offenbacher E, Weisel H, Heshka S, Matthews DE, Heymsfield SB. Discrepancy between self-reported and actual caloric intake and exercise in obese subjects. N Engl J Med. 1992 Dec 31;327(27):1893-8. doi: 10.1056/NEJM199212313272701. PMID: 1454084.

■【補足】【家庭料理の視点から】

女性の8割超が「がんの罹患率」を現実の数字よりも低く予想している!|早期発見のためガン検診を受けよう!【リスク認知のバイアス】によれば、がんに罹患する日本人は何人に1人くらいだと思うか聞いたところ、「2人に1人くらい」と正しい回答をした割合は13.2%と、大多数の人が現実の罹患率よりも低く予想している傾向となっています。

私たちは高齢化に伴う健康や金融リスクを低く見積もりがち!?|英エコノミスト「リアリティ・チェック:健康・経済プラン・QOLが映し出す未来像と現実のギャップ」によれば、人びとは高齢化に伴う健康や金融リスクを低く見積もっているようです。

つまり、人は健康に対するリスクを低く見積もり、また自身の行う行動に対して過大評価する傾向があるのではないでしょうか?

またダイエットには食べ物より飲み物を見直す方がいい?で紹介したジョンズ・ホプキンス大学などによる研究によれば、食べ物(固形物)によるカロリー摂取よりも飲み物(液体)によるカロリー摂取の方が体重に与える影響は大きいそうです。

私たちは食べ物のカロリーは意識しても飲み物のカロリーに対しては意識が低く、実は飲み物からカロリーを摂取している可能性があります。

今回の研究ではすべての摂取カロリーを調べていると思いますが、実際の私たちの生活では見えていないカロリー摂取があって、それが「食べてないのに痩せない」の原因だったりするかもしれません。

【関連記事】







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【無理して1日2L飲む前に】美肌やむくみ改善には「ただ水を飲む」より「筋トレ」が理にかなっている科学的理由




「美容や健康のために、毎日無理してでも水を2リットル飲まなくちゃ…」

そう思って、喉が渇いていないのに必死に水を飲んでいませんか?

なかやまきんに君の発言をきっかけに、「水分補給と筋肉量の本当の関係」について調べてみました。

結論から言うと、「一律で大量の水を飲むこと」よりも「筋トレをして体内の水分貯蔵庫(筋肉)を増やすこと」の方が、生理学的にずっと理にかなっています。

1. 「1日2リットル」を一律で飲む必要はない

まず、「全員が毎日2リットルの水を飲むべき」という説には十分な科学的根拠がありません。

〇食事からも大量の水分を摂取している

お米、野菜、果物、スープなどの毎日の食事から、私たちは必要な水分の約20〜30%(約500〜800ml)を自然に摂っています。

〇水分必要量(水回転量)には大きな個人差がある

体格、活動量、気温・湿度などによって、1日に必要な水分の量は1〜6リットル以上と大きくばらつきます。

〇必要量を超えた分は尿として排出される

体内の水分バランスは腎臓やホルモン(抗利尿ホルモンなど)によって厳密に調整されています。

必要量を超えて飲んだ水は腸で吸収された後、血液を経て腎臓で処理され、尿として排出されます。

喉が渇いていないのに無理して飲んでも、トイレが近くなるだけで特別な美容・健康効果が得られるわけではありません。

水分補給は「喉が渇く直前〜渇いたタイミングで少しずつ飲む」のが最も自然で効果的です。

ちなみに、実際に「1日3リットルの水を飲んでみた」という人の中には、「体中から『コポォ!』という音が鳴り続けている」といった声も上がっています。

これは消化管内に水分が多くなりすぎて、腸の蠕動運動や液体の移動音(グル音・ボーボリミ)が強くなっている可能性が考えられます。

腸は水をかなり効率よく吸収できますが、短時間に大量に飲むと、一時的に消化管内に水が溜まりやすくなります。

その結果、腸の中で液体が動く音が大きくなったり、お腹がチャポチャポ・コポコポ鳴ったりします。

さらに、吸収された余分な水分は血液に入り、腎臓で処理されて尿として出されます。

水分過剰になると尿量が増え、体全体の水分の流れが活発になるため、こうした音を感じやすくなる人もいます。

無理に大量の水を摂ると、こうした不快な症状が出ることもあるのです。

2. 筋肉は身体の中で最大の「水の貯蔵庫」

では、「飲んだ水分をしっかり体に留め、代謝や美肌に活かす」にはどうすればよいのでしょうか?

その鍵を握るのが「骨格筋(筋肉)」です。

※骨格筋は総体水分量(TBW)の大きな割合を占める主要な貯蔵庫

【筋肉と水分の深い関係】

〇筋肉の約75〜76%は水分

骨格筋は体の中で最も水分を多く含む組織です(脂肪組織の水分量はわずか10〜20%程度)。

そのため、筋肉量が多い人ほど体全体の水分保持能力(タンクの容量)が高くなります。

〇グリコーゲンが水を引き連れて貯蔵される

筋肉内にエネルギーとして蓄えられる「グリコーゲン」は、1gあたり約3gの水と結合して蓄えられます。

〇クレアチンや成分の働き

筋肉内にクレアチンなどの栄養素が取り込まれると、浸透圧の働きで水分が筋肉細胞内に引き込まれます。

3. 論文が証明する「筋トレで体内の水分保持力が高まる」事実

「筋トレをすると体内の水分がどう変化するのか」については、数々の研究論文で実証されています。

〇細胞内水分(ICW)の有意な増加

16週間のレジスタンストレーニング(筋トレ)介入研究では、筋肉量の増加に伴い、総体水分量(TBW)が約+7.5〜7.6%増大。

特に細胞内水分(ICW)が男性で+8.2%、女性で+11.0%増加したことが報告されています。

「パンプアップ」と水分シフト

筋トレ直後に筋肉が膨らむ現象(パンプ)も、血液中の水分が活動した筋肉細胞内へ一時的にシフトすることで起こります。(長期的なICW増加とは区別)

このように、筋トレによって筋肉の体積が増えると、ただ水分を通過させるのではなく、細胞内にしっかり水分を保持できる身体へと変化していきます。

4. 結論:水を飲んで「綺麗になりたい」なら、まず筋トレをしよう!

「水をたくさん飲んで肌の潤いを保ちたい」「むくみを改善したい」「代謝を上げたい」と考えている方は、アプローチの順番を見直してみましょう。

× 表面的なアプローチ:喉が渇いていないのに無理して水をガブガブ飲む(結局、吸収されずに排泄されるだけ)

〇 根本的なアプローチ:筋トレをして筋肉量を増やし、「水分を適切に蓄え・活用できる体」を作る

どれだけ良い水をたくさん流し込んでも、受け止める「タンク(筋肉)」が小さければ溢れて出てしまうだけです。

「無理して1日2L飲む」のは今すぐやめて、自分の体のサイン(喉の渇き)に従って水分を摂りつつ、筋トレで「水分の貯蔵庫」を育てることから始めてみませんか?

■まとめ

一律2L神話に惑わされない:食事由来の水分もあるため、喉の渇きに合わせて飲むのが正解。

筋肉は身体の水分タンク:筋肉の約75〜76%は水分であり、筋肉が増えるほど体に水分を蓄えやすくなる。

筋トレで細胞内水分がアップ:研究でも筋トレによって細胞内の水分保持量(ICW)が増加することが証明されている。

「水を飲む」より「筋肉を増やす」:根本的なアプローチの一つとしては、水を無理に飲むことではなく、水分を活かせる体をつくる筋トレが有効。

【参考文献】

【参考情報】







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