『男性の家に行く・男性を家に呼ぶ=性的な行為はOK?』でSHELLYさんが上田さんに伝えたことが絶賛されています。ただこれを受け取れる人はそもそも理解度が高い人であり、本当に受け取るべきはこういうことに関して関心が低い人なのです。#上田と女がDEEPに吠える夜 https://t.co/Qz7mbSndUk
— 健康美容ブログ「HAKUR」|女性の知りたいがココにある! (@4050health) October 5, 2024
2024年10月2日放送の『上田と女がDEEPに吠える夜』では「性的同意」がテーマでした。
今回SNSで話題になっているのは、『男性の家に行く・男性を家に呼ぶ=性的な行為はOK?』というアンケートで男性は「はい」と答えた人が82%、女性は34%という結果に対して、上田さんが『男は男で、女性は家に来たからって性行為がOKだと思ってないからねって理解しなきゃいけないし、女性は女性で、男は家にきたら性行為OKと思ってるからねって認識しないといけない』とコメントしたところ、SHELLYさんがそのコメントに対して『間違っています。男性は襲う生き物だと言っているようなもの。女の子もそう思っててねっていうメッセージが家に行ったあなたが悪いんだよってことにも繋がる』と反論しました。
全員が“家に来たってことは、セックスできるっていうことじゃないよ”ということは正しいことです。
ただそのメッセージがどんなに正しいものだったとしても受け取り手が受け取らなければ社会は変わっていきません。
『「無意識」があなたの一生を決める 人生の科学』(著者:デイヴィッド・ブルックス)によれば、
いくら情報を流したところで、それだけでは人の行動を殆ど変えられないということがわかる。
例えば、2001年には、300以上もの性教育プログラムに関してその効果を確かめる調査が行われたが、総じて、性行動を変えさせる効果はなく、避妊具の使用を促す効果もないことがわかっている。
そうです。
おそらく多くの人が、性感染症(エイズ・HIVを含む)の危険性や避妊の重要性を認識しているはずです。
しかしながら、その行動は変えられていません。
コンドームは入手できる状況になっている人が多いにもかかわらず、感染率が下がっていないという現状を見ると、実際に使うかどうかはわかりません。
性感染症を防ぐには、もっと別のアプローチが必要なのでしょう。
『「無意識」があなたの一生を決める 人生の科学』(著者:デイヴィッド・ブルックス)では、次のような考えを提案しています。
人は自己の利益の最大化のために行動するという、一般に受け入れられている原理には全く当てはまらない。つまり、論理や自己利益などに注目していては、状況を変えられないということだ。彼らの人生には、それを規定する「ひな形」のようなものがあるのだ。それを変えることが最も効果的と考えられる。単にセックスの時の意思決定にだけ介入すればいいというわけではない。倫理に関する意識を根本的に変える必要がある。あらゆる刹那的な誘惑に負けない態度を国民が身につけるよう、仕向けなくてはならないのだ。
<中略>
安全なセックスは、あくまで教育によって物の見方が本質的に変わった副産物として達成されることなのだ。
<中略>
欧米諸国は、HIVやエイズについて科学的な知識、医療知識は多く提供してきた。ところが道徳面、文化面に関わる知識は十分に提供したとはいえない。人々の価値観、倫理観を変え、人生を変えるには、その知識が必要だ。人生の「ひな形」、無意識の行動パターンを変えるための知識が必要である。
人々の価値観、倫理観を根本から変えることにより、その副産物として、性感染症が予防できたり、望まない妊娠を防ぐことができればいいのではないかというのが、この本で書かれていることかと思います。
「つながり 社会的ネットワークの驚くべき力」(著 ニコラス・A・クリスタキス ジェイムズ・H・ファウラー)にこのことに関連したことが紹介されています。
性的に積極的な方が仲間に好かれると信じている若者は、愛情を伴わない気軽なセックスをしがちである。
ネットワーク内で他人とつながる経路が多ければ多いほど、ネットワーク内を流れるものの影響を受けやすくなるのである。
パートナーの多い白人はパートナーの多い白人とセックスし、パートナーの少ない白人はパートナーの少ない白人とセックスする傾向があるのだ。
結果として、性感染症は性行動の活発な白人からなる中核部にとどまる。
避妊具の使用といったさまざまな恋愛行動や性行為は、自分が属するネットワーク内でそうした行為がなされているかどうかに強い影響を受けるそうです。
「つながり 社会的ネットワークの驚くべき力」には、より効果的に性感染症を防ぐためには、どうしたらよいかということも書かれています。
セーフセックスのキャンペーンを展開する場合、コミュニティの全メンバーに平等にメッセージを送るよりも、性行動の活発なメンバー(ネットワークの中核部、すなわちハブ)に直接伝えれば最も効果があがるという結論も得られた。
人々がリスクにさらされるかどうかは、その人がどんな人であるかより、誰と知り合いであるかで決まるのだ。
今回の調査結果を元に(更に詳しく調査し)、ネットワークの全体図を描き、社会的ネットワークのハブを見つけ出し、そのハブであるメンバーに対して、メッセージを伝えるというのが最も効果的なのだそうです。
先ほどの件に戻れば、“家に来たってことは、セックスできるっていうことじゃないよ”というメッセージをすぐに受け取れる人はすでにその意見に賛同している、そういう倫理感のある人です。
しかし、一番受け取ってほしい人はこのメッセージに対して批判的なイメージを持っている人なのです。
これからは、どんな「メッセージ」を誰に伝えることが、最も効果的なのかについて考えていく必要があるのではないでしょうか。