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#Apple、Apple Watch に不整脈などを探知する心電図モニター機能を開発中|#Bloomberg




【目次】

■Apple、Apple Watchに不整脈などを探知する心電図モニター機能を開発中|Bloomberg

Apple Watch - Green Sport Band

by William Hook(画像:Creative Commons)

アップルが心臓異常探知するモニター開発中、ウオッチ向け-関係者

(2017/12/22、Bloomberg)

関係者の1人によるとテスト中のモデルでは、スマートウオッチをはめていない方の手の指2本でフレームを強く押すと、胸部に微弱電流が流れて心臓の電気信号を読み取り、心臓発作や心不全などのリスクを高める不整脈などの異常を探知する。

  心電図やエコーといった検査は病院や救急車でよく行われるものの、短時間の測定に限られるため、潜在的な異常の探知には限界がある。ホルター心電図などのウエアラブル型の機器もあるが、連続測定は長くて数日が通常だ。現在のアップルウオッチには心拍数測定モニターが搭載されているが、アップルは単にデータを残すだけでなく、最先端のセンサーを使って将来の病気予測に役立てようとしている。

Bloombergによれば、Appleがスマートウォッチの「Apple Watch」に心電図モニター(英: Electrocardiogram, ECG、独: Elektrokardiogramm, EKG)機能を開発中なのだそうです。

Apple Is Developing an EKG Heart Monitor for Its Smartwatch(2017/12/21、Bloomberg)

今回のニュースから考えられることは2つ。

1.Appleはヘルスケア事業への関心が高いのではないか?

2.スマートウォッチの未来は医療用デバイスにあるのか?




1.Appleはヘルスケア事業への関心が高いのではないか?

アップルが心臓異常探知するモニター開発中、ウオッチ向け-関係者

(2017/12/22、Bloomberg)

ブルームバーグが集計したデータによれば、米国のヘルスケア支出は16年の約3兆5000億ドル(約397兆円)から25年までに5兆5000億ドルに拡大する見込み。

APPLEの次のターゲットは「健康(ヘルスケア)」!?(2014/9/19)では、医療保険制度改革法(通称オバマケア)では再入院の多すぎる病院に罰則が科せられるため、医師が合併症の兆候に対して治療を行った後、アップルウォッチとヘルスケアアプリによって患者を遠隔で監視し、問題を早期発見することができれば、病院は費用を節減できるのではないかという話を紹介しました。(※ただし、2017/12/21のBloombergによれば共和党の税制改革法案で医療保険制度改革法(オバマケア)が事実上廃止されるとトランプ大統領がコメントを出しています。)

APPLE、スマホのカメラで心拍数などの健康管理に必要なデータを計測できる技術を特許出願・登録(2017/8/10)によれば、Appleが、カメラやLEDライトなどを利用して、簡単に脈拍などを計測する技術を考案し、米国特許商標庁(USPTO)へ出願し、「ELECTRONIC DEVICE THAT COMPUTES HEALTH DATA」(特許番号「US 9,723,997 B1」)として登録されたそうです。

また、これまでのニュースでもAppleはヘルスケア事業に対する関心を見せています。

もしかすると、ヘルスケア事業にアプローチするアップルの答えはApple Watchに心電図モニター機能を付けることで脳卒中の主な原因である心房細動(AFib)を見つけることで、予防医療を行っていくことではないのでしょうか?

もう一つ先まで想像を膨らませると、アメリカでは、雇用主が従業員の健康保険料を負担することが多く、肥満など健康が悪化することによる医療費の増大は問題となっていますが、Apple Watchを付けることで不整脈や脳卒中を早く見つけることができることが証明されれば、それを医療保険契約に盛り込むことで、Apple・保険会社・保険加入者・企業がWin-Winの関係になるという可能性も考えられます。

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2.スマートウォッチの未来は医療用デバイスにあるのか?

Apple Watchの用途がフィットネスから心臓モニタリングのような医療用デバイスに移行する可能性があるということから、スマートウォッチの未来は医療用デバイスにあるのではないかという仮説を考えました。

健康管理に対する関心は高いのに、なぜウェアラブルデバイス市場の成長は鈍化しているのか?|「リストバンド型」から「腕時計型」へでは、スマートウォッチやフィットネストラッカー部門に転換期が訪れているのではないかと感じられるいくつかのニュースを紹介しました。

活動量計「UP」のJawboneが会社清算。CEOらは新会社Jawbone Health Hubへ移行(2017/7/7、Engadget)によれば、Jawboneは会社清算手続きを行ない、Jawbone Health Hubへ移籍し、医療用ウェアラブルに切り替えていくという報道がされています。

また、インテルは、スマートウォッチやフィットネストラッカー部門を廃止するという報道がされています。

【参考リンク】

これらのニュースを見ると、一般消費者向けのスマートウォッチ・フィットネストラッカーが伸び悩んでいるように感じ、撤退もしくは医療用といった専門ウェアラブルデバイスへの道を模索しているという印象を受けます。

そして、ウェアラブルデバイスが今後も成長していくには、用途をはっきりさせることが重要で、その一つとして、ウェルネス・ヘルスケア分野に用途を絞ることが提案されています。

そこで、Appleが出した回答がApple Watchに心電図モニター機能を付けることで医療用デバイスにしたのではないかという仮説です。

APPLE HEART STUDY|APPLE WATCHの心拍センサーを使って心房細動を通知するアプリ スタンフォード大学と提携によれば、Appleは、スタンフォード大学と提携して、Apple Watchの心拍センサーを使って不規則な心臓リズムに関するデータを収集し、心房細動(AFib)を経験しているユーザーに通知するアプリ「Apple Heart Study」アプリを発表しました。

今回のニュースにあるようにApple Watchに心電図モニター機能を付けるのであれば、この考えをさらに一歩進めたといえるでしょう。

APPLE WATCHの心拍数を表示する機能によって、17歳の青年の命が救われた!?(2015/10/12)では、17歳の青年が自身が危険な状況にある事をApple Watchの心拍モニターで気づくことが出来たというニュースを紹介しましたが、このことがきっかけの一つとなっていたのかもしれません。

■まとめ

Apple Watch、健康関連機能の実装を見送る可能性−内臓センサーに問題?(2015/2/18)にも取り上げましたが、Apple Watchの健康関連機能の実装についてはいくつも噂が出ては消えてを繰り返しています。

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その要因の一つとして、センサーの動作に一貫性がないため、望ましい結果が得られないことが考えられます。

「Apple Watch」、健康関連機能の搭載を断念の可能性–センサの問題で

(2015/2/18、CNET japan)

センサの動作があまりにも一貫せず、同社の望む結果が得られないためだという。4年間にもわたる研究、開発、試験にもかかわらず、バンドの締め付け具合、皮膚水分量の変化、装着者の腕の毛深さといった変数の補正が難しすぎることが明らかになった。

バンドの締め付け具合や皮膚水分量の変化、装着車の腕の毛深さなどによって、望むような結果が得られなかったため、これまで技術の搭載を見送ってきたのではないかと考えられます。

例えば、皮膚貼り付け型ナノメッシュセンサーの開発に成功|1週間貼り続けても炎症反応がない|東大・JST・慶大・理研によれば、医療やスポーツで利用する場合には一週間以上の長期測定が必要であり、フィルムやゴムシート型のデバイスの場合、汗の分泌を阻害するため安全性についての問題があるそうです。

スマートウォッチの未来は医療用デバイスにあるのかどうか、アップルがヘルスケア業界でどのような立ち位置に立つのか、今後も気になるところです。







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スマホユーザーの約58%が健康関連アプリをダウンロード|どんなアプリが人気なのか?




■スマホユーザーの約58%が健康関連アプリをダウンロード|どんなアプリが人気なのか?

adidas miCoach Reggie Bush

by adifansnet(画像:Creative Commons)

調査:スマホユーザーの58%がフィットネスや健康アプリをダウンロードしている

(2015/11/17、mHealth Watch)

NYU Langone Medical Centerは、2015年6月にアメリカ国内のスマートフォン所有者1,604名を対象に実施した調査で、約58%のスマートフォンユーザーが健康関連アプリをダウンロードしたことがある、と回答した。

2015年にスマホ所有者を対象に実施した調査によれば、スマホユーザーの約58%がフィットネスや健康アプリをダウンロードしたことがあるそうです。

具体的に、どのようなアプリをダウンロードしたのでしょうか。

約52%のユーザーは、運動をトラッキングする目的で健康アプリをダウンロードし、その一方で47%は食事のトラッキングを望んでダウンロードしたことを回答。46%は体重を減らすためにダウンロードし、34%はエクササイズを学ぶために健康アプリを使いため、と答えた。

  • 運動をトラッキングするため(52%)
  • 食事のトラッキングをするため(47%)
  • 体重を減らすため(46%)
  • エクササイズを学ぶため(34%)

このブログでもこれまで様々な健康・医療・美容アプリを紹介してきましたが、今回の記事を参考にすれば、スマホユーザーが最も関心が高いのは、ダイエットに関することなんでしょうね。







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毛髪診断コンソーシアム|毛髪に蓄積された健康データで健康診断|理研など




■毛髪診断コンソーシアム|毛髪に蓄積された健康データで健康診断|理研など

ASEC

by Chris Yarzab(画像:Creative Commons)

毛髪に蓄積された健康データによる新しい診断技術と、その活用によるヘルスケア・医療事業の開発を目指して理化学研究所と多彩な企業群がコンソーシアムを結成-「毛髪診断コンソーシアム」の設立と共同研究の開始について-

(2017/12/27、アジュバンコスメジャパン)

毛髪は、毛包器官(毛髪をつくるいわば工場)の毛母細胞(上皮細胞)が細胞分裂して生み出され、内部にケラチンが蓄積して死んだ細胞の集合体であり、いわば「最近まで生きていた細胞の標本」です。毛髪は、非侵襲的に採取できる数少ない生体組織です。毛髪(頭髪)は、1 か月に約 1 ㎝伸びるため、根元から 1 ㎝には最近 1 か月の健康情報が、12 ㎝先には 1 年前の健康情報が蓄積した過去ログを持っている細胞標本と言えます。

理化学研究所とオーガンテクノロジーズ、ヤフー、アデランスなど、計 18 社の機関が参加して、毛髪診断コンソーシアムを設立し、毛髪に蓄積される健康指標や疾患指標による新たな非侵襲型診断システムの確立に向け、科学的なエビデンスに基づくビッグデータの構築を目指し、共同研究を開始するそうです。

病気を早期に検出するような目印となるマーカー物質を特定するため、個人の健康や習慣などの情報と毛髪の解析データをもとにビッグデータを構築していくそうです。

参画するのは、理化学研究所、オーガンテクノロジーズ、ヤフー、アデランス、アジュバンコスメジャパン、京セラ、コンピュータ技研、島津製作所、ダイキン工業、東ソー、NEC ソリューションイノベータ、公益財団法人先端医療振興財団、三井物産、アジュバンコスメティック、アデランスメディカルリサーチ、京セラオプテック、他2社(非公開)です。




■まとめ

今回は「毛髪」に蓄積された健康データで健康診断をするという研究に関するニュースですが、現在がん診断に関しては、「血液」「尿」「唾液」「呼気」から診断する研究が行われています。

いかに肉体的・精神的負担がなく診断ができるのかに注目してみていきたいですね。







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Apple、スマホのカメラで心拍数などの健康管理に必要なデータを計測できる技術を特許出願・登録




■Apple、スマホのカメラで心拍数などの健康管理に必要なデータを計測できる技術を特許出願・登録

アップル、スマホのカメラで心拍数などのヘルスケアデータを計測–特許が成立

(2017/8/10、CNET Japan)

実施例によると、ユーザーがスマートフォンの正面カメラに指をあてるとLEDライトが点灯し、その反射光をカメラや光センサでとらえることで、心拍数や酸素飽和度、灌流指標などのデータが取得できるという。

Appleが、カメラやLEDライトなどを利用して、簡単に脈拍などを計測する技術を考案し、米国特許商標庁(USPTO)へ出願し、「ELECTRONIC DEVICE THAT COMPUTES HEALTH DATA」(特許番号「US 9,723,997 B1」)として登録されたそうです。

■スマホの機能を使った健康管理システム

これまでにも、スマホの機能を使った健康を管理する技術が次々と研究されています。

スマホのフラッシュやカメラ機能を使い、血糖値管理ができる技術が研究されている!?で紹介したコーネル大学(Cornell University)ではスマートフォンのフラッシュ機能やカメラ機能を活用して、血糖値の検査を行ない、血糖値コントロールができないかという研究が行われているそうです。

スマホでがん診断する技術開発‐米研究で紹介した米マサチューセッツ総合病院(Massachusetts General Hospital)などの研究チームが開発した「D3」はスマホに接続することでガンを診断することができるそうで、D3システムは、がんが疑われる患者や高リスク患者の迅速なトリアージ(重症度・緊急度の判定)を可能にするそうです。

途上国に住む人の失明の危機をスマホで解決!?|スマホを使った目の検査システム『ピーク・ビジョン』で紹介したロンドン大学公衆衛生学・熱帯医学大学院の研究チームによれば、途上国でも簡単に目の検査を受けられるようためのスマホを使った目の検査システム『ピーク・ビジョン』を開発したそうです。

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スマホのカメラで耳の中を撮影して遠隔治療ができるようになる!?で紹介したCellScopeという企業が開発した「Oto Home」は、スマートフォンのカメラに取り付けて耳の中を撮影するキットで、スマホのカメラで耳の中を動画で撮影し、医師に診察してもらえるサービスがあるそうです。

スマホでHIVと梅毒を検査する技術を開発-米コロンビア大学で紹介した米コロンビア大学(Columbia University)の技術者らによる研究によれば、新たに開発されたスマートフォン向けのアクセサリー機器で、血液数滴を用いたHIVと梅毒の抗体検査が実施可能なのだそうです。

また、光で健康に関する数値を測定するという視点から見れば、指先に光を当てるだけで中性脂肪値が測定できる装置が開発される!?で紹介した産業技術総合研究所によれば、指先に光(「近赤外光」と呼ばれる可視光と赤外線の間の波長の光)を当てるだけで中性脂肪値を測定できる装置が開発されたそうです。

「HEMAAPP」|採血なしでスマホで手軽に貧血チェックができるアプリを開発|ワシントン大学で紹介した米国ワシントン大学の研究チームが開発したアプリ「HemaApp」は、スマホのフラッシュ部分に指を当てながら撮影し、血液のヘモグロビン濃度を調べて貧血かどうかを判断することができるそうです。

スマホとアプリでできる精子セルフチェックサービスに注目!不妊の原因の半分は男性!で紹介した株式会社リクルートライフスタイルは、スマートフォン顕微鏡レンズとアプリで自分の精子の濃度と運動率がセルフチェックできる『Seem(シーム)』の提供を始めたそうです。




■まとめ

これまでにも、ウェアラブルデバイスなどをつけることにより、血圧や脈拍数、体温などのバイタルサインをセンサーで読み取り表示する仕組みをこれまでいくつも紹介してきました。

一般の人々が使うようになるまでには2つ考えておく必要があるように感じます。

1つは、わざわざ測るのではなく、自然と計測できるような仕組みにすること。

もう1つは、計測したデータを活用しやすい形にどのように変換するかということ。

●わざわざ測るのではなく、自然と計測できるような仕組みにする

毎日毎日生体データを計測するというのは面倒くさいことです。

そう考えると、スマホのカメラ機能やフラッシュ機能を活用して生体データを計測するというのは続かないのではないでしょうか?

その視点で考えると、スマートウォッチもしくは耳に取り付けるヒアラブルデバイスが将来的に使われるようになるのではないかと考えられます。

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●計測したデータを活用しやすい形にどのように変換するか

健康管理がどんなに大事だとわかっていても、情報にあふれる現代では数字だけで表現されていても直感的には理解できずに、継続できなければ意味がありません。

健康管理に対する関心は高いのに、なぜウェアラブルデバイス市場の成長は鈍化しているのか?|「リストバンド型」から「腕時計型」へでも取り上げましたが、ウェアラブルデバイスが「リストバンド型」から「腕時計型」へ移りつつあるのも、リストバンド型では直感的に理解できないことが関係しているのかもしれません。

そのため、これからは健康管理をする上で、いかにその情報(言葉、画像、テキスト、動画など)をわかりやすく、受け取りやすい形に編集して、製品やサービスを利用を通じて得られる体験であるUX(ユーザーエクスペリエンス)をよいものにするかが重要だと思います。

人間は「感覚追加」を行うことで新しい世界を見ることができるかもしれない!?|デイヴィッド・イーグルマン「人間に新たな感覚を作り出すことは可能か?」よりによれば、例えば、血糖値を計測して、数値で血糖値が〇〇と出たとしても、人によっては生活習慣を改善しようとまでは思わない人もいると考え、血糖値の高さを別の形で表現するとしたら、どうでしょうかと提案しました。

LEMONADE|保険ビジネスにAIと行動経済学を活用したINSURTECHスタートアップで取り上げたInsurTechスタートアップ Lemonade、「スマホ証券会社」のRobinhood、「スマホ送金アプリ」のVenmoに共通するのは「スマホに最適化されたUI/UX」であると紹介されています。

「スマホに最適化されたUI/UX」のように、どの健康管理アプリがウェアラブルデバイスにおける最適なUI/UX見つけることができるかが、ウェアラブルデバイスの本当の普及のカギになるのではないでしょうか?

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ただ、もしかすると、健康管理の本命は、スマホでも、スマートウォッチのようなウェアラブルデバイスでもないかもしれません。

Omega Ophthalmicsはセンサー、ドラッグデリバリーデバイス、AR/VRを取り込むことができる目のインプラントプラットフォームの提供を目指すで取り上げた、眼内レンズを埋め込みで目の中に空間を作り、視力改善だけにとどまらず、様々なインタラクティブセンサー(対話するような形式で操作する)やAR/VRを表示できる仕組みを組み込んだものが実現すれば、眼内レンズに内蔵されたセンサーで計測したデータをわかりやすい形に変換してARとして表示するようになる可能性があり、健康管理デバイスの本命になるかもしれません。

ゲームをつくり続ける理由。あるいは選択、失敗、そして挑戦について──小島秀夫

(2017/8/12、WIRED)

映画ができた100年前、リュミエール兄弟が成し遂げた二次元世界をつくる手法がやがて進化し、テレビになってそれはいま、スマホになりました。しかしその100年間で、スクリーンという考え方そのものは何も変わっていません。でも、VRには、それがないんです。その没入感こそが、画期的だと思っています。

スクリーンの文化が消えるとき、その没入感をどう使うのか。スクリーンを眺めながらストーリーテリングをやってきた人たちは、スクリーンじゃないVRでどういうストーリーテリングを奏でるのか。ライヴやスポーツ観戦はどうなるか。シミュレーターとしてどういう発展の仕方があるか。いくらでも広がりはあると思います。

ただ、AR/VRになって今までと同じようなスクリーンの文化で表現をしていくのか、それともAR/VR独自の表現の仕方をしていくのかは気になるところです。







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ウェアラブルデバイス・AI(人工知能)・スマホアプリ「Join」を活用した救急医療支援システム「Cloud ER」とは?




■AIを活用した救急医療支援システム

Reviewing notifications on smart watch

by Intel Free Press(画像:Creative Commons)

救急患者をAIがトリアージ、搬送先決定も支援

(2017/1/18、日経デジタルヘルス)

救急車から患者の問診結果やバイタルの情報がAIに送信されると、患者の状態を解析し、受け入れ医療機関の選定結果を返信。同時に患者の状態は受け入れ施設に送信される。それにより救急車到着前に必要な情報などを医師が把握できる。

東京慈恵会医科大学先端医療情報技術研究講座の高尾洋之准教授のプロジェクトとは、スマホアプリ「Join」とAIを活用し、救急搬送中の患者のデータ(問診結果・バイタル)を解析し、トリアージ(患者の重症度に基づいて、治療の優先度を決めて、限られた医療資源をどう振り分けるかを決める)を実施し、受け入れ医療機関を選定する仕組みを作ることにより、情報を共有し、治療開始までの時間を短縮することで、救命率の向上や後遺症の軽減を目指すというものです。

AEDを使った措置を受けた後、社会復帰をした患者が8年間で30倍以上に増えた|京都大健康科学センターで紹介した京都大健康科学センターの石見拓教授らの研究グループの調査によれば、AEDを使った措置を受けた後、社会復帰をした患者が8年間で30倍以上に増えたことが分かったそうです。

AED 市民救命で社会復帰2倍 京大、心停止患者調査(2010/3/19)で紹介した京都大保健管理センターの石見拓助教と大学院生の北村哲久さんらのグループによれば、一般市民によるAEDによる除細動を受けた人(心室細動が起こってAEDが必要になった患者)の社会復帰率は全体の2倍だったそうです。

いかに早く救命措置を行うことがその後の社会復帰に関係するという調査結果が出ているので、いかに治療開始までの時間を短縮するか、そして、その情報を共有するかは重要だと思います。

Joinは複数の医療関係者間でコミュニケーションを取るためのアプリ。スマホでリアルタイムに会話ができるチャット機能を持ち、X線CTやMRIなどの医用画像、心電図や手術室内の映像も共有できる。

例えば、脳梗塞の場合、脳梗塞の治療は血栓を溶かす薬「t-PA」と「血栓回収療法」で劇的に改善されている!によれば、発症後4.5時間以内に「t-PA(tissue plasminogen activator:組織プラスミノーゲン活性化因子)」の治療を行なったり、発症から8時間まで血栓回収療法を行なえば、後遺症の程度を軽減することが可能なのですが、こうした迅速な判断が求められる場面で役立つことが期待されるのが、複数の医療関係者間でコミュニケーションをとることによって、チーム医療を支援する「Join」なのだそうです。

さらに、高尾准教授は、チーム医療を支援する「Join」と救急搬送時の患者への問診を行うアプリとAIを組み合わせた「Cloud ER」という仕組みを考えているそうです。

もう搬送先を迷わない!「Cloud ER」実証研究 慈恵医大など4団体、AIが搬送の要否や搬送先を「判断」

(2017/2/3、m3.com)

まず搬送要請を受けた救急隊員が、リストバンド型のウエアラブルデバイスを患者に装着。これは、カフがなくても、血圧、脈拍、体温、心電図などを測定できる端末だ。5~8問程度の簡単な問診や観察で得た情報も合わせて、スマートフォンで、クラウドサーバーに情報を転送する。AI(人工知能)が患者の容体情報と近隣医療機関の情報を基に総合的に判断して、適切な受入医療機関を選定。搬送中の患者情報も受入医療機関の救急医や専門医に対してリアルタイムに送ることで、救急隊員はコンサルティングを受けながら救急車内で応急処置できる一方、受入病院は、受入準備や患者転送にも柔軟に対応できる。

腕時計型端末が異常を検知した時に、緊急時に職員を急行させたり、救急車を手配する新見守りサービス「セコム・ホームセキュリティNEO」によれば、セコムは、高齢者らが急病で倒れたことなどを検知する腕時計型の端末「セコム・マイドクターウォッチ」を開発し、端末が異常を検知したときには、緊急時に職員を急行させたり、救急車を手配するなどの新サービスを2017年夏に始める計画なのだそうですが、「Cloud ER」という仕組みは、倒れた後の先を支えるサービスといえそうです。

「Cloud ER」の仕組みとは、患者に血圧や脈拍、心電図などのバイタルサインを測定するリストバンド型のウェアラブルデバイスをつけて、問診や観察で得たデータを解析し、受け入れ医療機関を選定を行ない、同時に救急車内での応急処置の指導もできるというものです。

この仕組みは素晴らしいアイデアだと思いますので、さらに幅広く利用してもらうために、この仕組みをオープンにして、多くの企業が乗り入れやすいものにすることが大事だと思います。




■まとめ

医療・健康分野におけるICT化の今後の方向性(平成25年12月、厚生労働省)によれば、

健康寿命を延伸するためには、ICTを利用した個人による日常的な健康管理が重要

だと書かれています。

ICTとは、Information and Communication Technology(インフォメーション・アンド・コミュニケーション・テクノロジー:情報通信技術)の略です。

ICT医療においては、ICTを活用した個人の健康管理がスタートであり、カギとなります。

例えば、ヘルスケア分野でIOTを活用する実証実験開始|IOTで市民の健康データを取得し、新サービス創出、雇用創出、生活習慣病の予防を目指す|会津若松市によれば、スマホアプリやウェアラブルデバイスなどから取得した市民の様々な健康データを集約し、オープンデータ化し、そのデータを活用して新サービスの創出、医療費の削減などを目指していくそうです。

この実証実験でもスタートとなっているのは、スマホアプリやウェアラブルデバイスなどから生体データを取得することです。

つまり、予防医療を行なっていくためには、ウェアラブルデバイスをさらに普及していく必要があるわけです。

救命率が向上する「Cloud ER」の仕組みをウェアラブルデバイスを開発している企業が取り入れやすく情報をオープンにすれば、ウェアラブルデバイスの普及につながっていくのではないでしょうか?







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