ローマ教皇、死因は脳卒中と心不全。高血圧や糖尿病も患っていた。

ローマ教皇、死因は脳卒中と心不全-慈悲の教会目指した指導者(2025年4月22日、Bloomberg)によれば、88歳で死去したローマ教皇フランシスコの死因は、教皇庁が発表した死亡証明証に基づく声明によると、脳卒中による昏睡と心不全だったそうです。

教皇は2月中旬に気管支炎で入院、両肺の肺炎へと悪化していていて、2月14日から約5週間入院し、2度にわたり命の危ない状況に陥っていました。

晩年は健康状態の悪化が報じられており、ローマ教皇の死因は脳卒中と心不全、バチカンが発表…遺言で質素な墓を希望(2025年4月22日、読売新聞)によれば、高血圧糖尿病も患っていたことも明らかになったそうです。

■心不全とは?

心不全とは、心臓の働きが不十分なことが原因で起きている体の状態のことで、病名ではないそうです。

心不全の症状としては、血液を送り出す能力の低下による症状と血液のうっ滞によって起こる症状があります。

血液を送り出す能力の低下による症状としては、心拍出量が減ったことが原因で、「疲れやすい」「だるい」「動悸がする」などの症状があります。

血液のうっ滞によって起こる症状としては、血液を送り出す能力が低下すると、心臓から前方へ血液が進みにくくなり、心臓の後方、血液を受け取る側で血液のうっ滞が起こります。

心不全の種類、程度、原因が様々あるように、その症状も多様で、紹介した症状が全ての患者さんに当てはまるわけでもなく、また、紹介した症状があるからといって心不全と判断できず、また他の病気の可能性もあるそうです。

息切れや動機、疲労感というのは年齢のせいかなとも思ってしまう症状ですので、自己判断が難しいようですね。

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■心不全になりやすい人とは?

●血糖値が高い糖尿病患者

血糖値高い糖尿病患者ほど心不全にー国循研究センターで紹介した国立循環器病研究センターによれば、血糖値が高い糖尿病患者ほど心不全で入院する割合が多いということから、血糖値と心不全には関係があることがわかったそうです。

「HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)」は、赤血球に含まれるヘモグロビンにブドウ糖が結びついたもので、赤血球の寿命が長いため、過去1~2カ月の血糖状態を把握できます。

HbA1cが8.4%以上のグループでは心不全入院が多かったそうです。

また、心筋梗塞の持病をもともと持っている患者では、HbA1cが 8%以上と6.9%以下で心不全の危険性が高まる傾向にあり、心筋梗塞の持病をもともと持っていない患者では、HbA1cが低い方が心不全が少ない傾向がわかったそうです。

●メタボリックシンドローム

慢性心不全患者:メタボの人の割合、一般の2倍--厚労省が全国調査で紹介した厚生労働省研究班の全国調査によれば、慢性心不全患者の人は、メタボリックシンドロームの人の割合が一般の人の2倍以上であることそうです。

メタボを放置すると心筋梗塞(こうそく)を発症し、慢性心不全へと移行する可能性が示唆されています。

●高血圧

心不全の原因は様々で、心筋梗塞などの心臓病だけでなく、高血圧で心臓に負担がかかっている場合も心不全の原因となるそうです。

高血圧以外にも、動脈硬化やアルコール、遺伝、感染症が原因となって心臓病になり、過労やストレス、暴飲暴食、風邪などの因子が加わって、心不全の症状が現れるそうです。

●鉄分不足

心臓は1日に約10万回鼓動していて、加齢とともに心臓機能は落ちていきます。

心臓では収縮や拡張が繰り返されていますが、心臓の機能が弱くなると、十分な血流を送ることができずに、心不全に陥りやすくなってしまいます。

いま心臓が衰えた人が増えているそうで、例えば、体を動かすと息切れを起こす、疲れやすいという方は、心不全の一歩手前の心不全の予備軍の可能性があります。

心臓の機能が低下・衰えている理由として、心臓に必要な栄養素が足りていないのではないかという説があるそうです。

その栄養素とは、「鉄分」。

身体の中には、3~5gの鉄分(釘1本分)が含まれていて、鉄分を含むヘモグロビンが全身に酸素を送っています。

また、鉄分は筋肉を動かすエネルギー源になり、鉄分が不足することによって心臓も動きが悪くなると考えられます。

スタミナアップ!ミトコンドリアを増やす2つの方法|ためしてガッテン 8月26日によれば、「鉄」はミトコンドリアがATP(エネルギー)を作り出すのを助ける働きをしてくれるそうです。

そこで、鉄分を補給することによって、心不全を予防できるのではないかという説が立てられたのです。

→ 鉄分の多い食品 について詳しくはこちら

●新型コロナウイルス感染

コロナ感染が心不全のリスクを高める?によれば、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の持続的な感染が心不全のリスクを高める可能性があることを、ヒトiPS細胞を用いた実験で明らかにしました。

■心不全のサイン

【たけしの家庭の医学】握力を鍛えて血管年齢若返り!NO分泌入浴法のやり方!によれば、握力を維持できていない人は心血管疾患による死亡リスクが高いと考えられ、反対に握力が維持できている人は心血管疾患による死亡リスクが低いそうです。

【補足】

握力が強いほど長生き?|循環器病の発症リスクも低い|厚生労働省研究班(2012/2/20)

厚生労働省研究班の約20年間にわたる追跡調査によれば、握力が強いほど長生きする傾向があり、死亡リスクだけでなく、心臓病や脳卒中といった循環器病の発症リスクも下がっていたことがわかったことで、健康状態を表す指標として、握力が使える可能性があるそうです。

”#血圧サージ”が危ない~命を縮める血圧の高波~|タオルグリップ法(ハンドグリップ法)|#NHKスペシャル #ガッテンで取り上げたカナダ・マクマスター大学の研究者によれば、8週間のアイソメトリックハンドグリップ(IHG)トレーニングをしてもらったところ、血圧が低下し、動脈の拡張能力が増加することがわかったそうです。

高血圧の代替療法として効果的なのはウォーキングなどの「有酸素運動」と「ハンドグリップ法」であるとして、その理由として、有酸素運動やハンドグリップ法をすると、血管の内皮細胞から血管の壁を柔らかくして血管を広げる作用がある一酸化窒素が出てくるためと紹介されています。

握力は健康のバロメーター!?|握力低下は心臓発作・脳卒中リスク増加に関連(2015/5/15)

カナダ・マクマスター大学(McMaster University)が主導した国際研究チームは、握力が健康のバロメーターになる可能性についての研究を行ない、その結果、握力が低下すると、心臓発作や脳卒中の発症リスクの増加に関係していることがわかったそうです。

具体的には、握力が5キロ低下するごとに、何らかの原因による死亡リスクが16%増加する関連性が認められ、この握力低下は、心臓発作リスクの7%増、脳卒中リスクの9%増にそれぞれ関連していたそうです。

■まとめ

ローマ教皇の死因が脳卒中と心不全であり、心不全になりやすい人の特徴として糖尿病や高血圧を思っている方がなりやすいということが当てはまっています。

心不全が急激に増えている 「心不全パンデミック」時代の3つの予防法

(2018/10/12、保健指導リソースガイド)

心不全が増加している理由は、心不全の原因になる心筋梗塞や狭心症などの心臓病が増えていること。心臓病を起こす最大の原因は「動脈硬化」だ。

<中略>

心不全の患者は、超高齢社会において急激に増え続けると予想されており、専門家の間では「心不全パンデミック」とも言われている。

心不全が増加しているのは、動脈硬化の増加→心臓病(心筋梗塞・狭心症など)の増加であり、超高齢化社会においては心不全の患者は急激に増えることから「心不全パンデミック」といわれています。

心不全による入院患者数は、2012年の約21万人から2016年には約26万人と、毎年1万人ずつ増加しているそうです。

ニュースを見ていると心不全で亡くなった有名人の方のニュースをよく見かけるため、新型コロナウイルスの後遺症やワクチンの副作用によるものを疑う声も多いのですが、実は大きなトレンドとして超高齢化社会においては心不全の患者が増えるというものがありました。

そのため、今後注目すべきは心不全の患者の増加のスピードが以前よりも増えているのかどうかを見ていくこと(超高齢化社会以外に別の要因があるのかどうか)、そして心不全を予防するには、内臓脂肪を減らしてメタボを改善して動脈硬化を防ぐこと、定期検査をして早期発見をすることですね。

→ 動脈硬化改善・予防に良い食べ物 について詳しくはこちら

「京都で”1泊2食付き”をやめる旅館が続出」には実はチャンスが隠されている!?




京都で”1泊2食付き”をやめる旅館が続出。「素泊まり」「飲食店の予約代行」にシフトの背景には外国人観光客の≪正直な本音≫があった(2025年4月20日、東洋経済オンライン)によれば、外国人観光客はSNSや観光情報誌などで日本での食事を楽しみにして来日するが、食べてみて初めて自分が思い描いていた味との違いを実感し、キャンセルするパターンが続出しているそうです。

日本の料理に対するイメージは人それぞれで、映画やアニメで見る料理、自国の日本的料理、チェーン店的料理、日本の家庭料理、そしてTHE日本料理。

これを参考にすれば、元々の日本料理を出すお宿があってもいいし、外国人観光客が求める日本的な料理を出すお店・お宿があってもいいわけです。

大事なことはマッチングがうまくいかなかったということと、日本にはいろんな楽しめる味覚があるということを知ってもらうことなのだと思います。

1)マッチング

飲食店を紹介する際にもどんなイメージのものが希望かを先に聞いておけば、記事にあるようなミスマッチは起きずに、きっと満足してまた来たいと思ってくれたことでしょう。

映画やアニメで見た料理が食べられるお店とか、高級な食材を使った料理とか。

2)日本にはいろんな楽しめる味覚がある

日本には四季があって(ちょっと夏が長すぎるようになってはきましたが)、東西南北に長い弓なりの国土があり、地域に根付いた料理があります。

外国人観光客がSNSなどで日本の料理を知っていると思ったとしても、それは多くの人がおいしいと思った日本的な料理であって、実は日本らしい料理ではないかもしれません。

例えば、SNSでよく見るのがたっぷりのとろっとしたチーズを使った料理でそれが日本の料理と思うと、現実では若者・SNS向けの料理であり、京都のお宿で出てくるものではないですよね。

高級な飲食店ではスペシャリテなんて料理もありますが、スペシャリテは一口目からおいしい味付けにしているのに対して、一般の料理は一皿を完食して満足するような味付けであり、お客様がどんな料理を求めるかによって、行く店を変える必要があります。

また知らない味、知らない食材をいきなりおいしいと感じるのは難しいものです。

SNSで「味覚は教養である」という言葉に出会いましたが、知らないとそれがおいしい料理だとわからないものもあるのだと思います。

これらのことを逆に考えると、外国人観光客の日本の旅行の伸びしろというものはまだまだあるということなんですよね。

SNSには「外国人、特に西洋系は日本人と違い旅行に食べ物を別に軸としてきてないし、旅行先で美味しいものを食べに行きたいから旅行するというその軸自体が極めて日本人らしい思考」だと書いてありました。

日本の四季、東西南北に長い国土にいろんな食材があり、地域に根付いた料理があるということを活かして、それをベースとした食べ物を軸とした旅行というトレンドができたら、日本は最高の旅行先になるのではないでしょうか?







バナナやブロッコリーを食べる方が減塩だけよりも高血圧予防に役立つ可能性




ウォータールー大学の研究によれば、ナトリウムの摂取量を減らすよりも、食事中のカリウムとナトリウムの摂取量の比率を増やすことの方が血圧を下げるのに効果的かもしれないそうです。

高血圧は世界中で成人の30%以上に影響を与え、冠動脈疾患、脳卒中慢性腎臓病、心不全、認知症などの重大な疾患の主要な原因です。

ナトリウム(Na⁺)の過剰摂取は血圧上昇の要因として知られていますが、カリウム(K⁺)は逆に血圧を下げる効果があります。

今回の研究で分かったことははこちら。

●Na⁺の過剰摂取は血圧を上昇させるが、K⁺の摂取は腎臓でのナトリウム利尿作用(Na⁺排泄促進)とカリウム利尿作用(K⁺排泄促進)を介して血圧を低下させる。

●モデルシミュレーションによると、K⁺摂取を増やす(例:バナナ、ブロッコリー、ほうれん草、アボカドなどのK⁺豊富な食品の摂取)は、単にNa⁺摂取を減らすよりも血圧低下に効果的。

●高Na⁺摂取と高K⁺摂取を組み合わせた場合でも、K⁺の効果により血圧は大幅に低下。

●女性(特に閉経前)は、腎臓のトランスポーター(腎臓の尿細管でNa⁺やK⁺の再吸収・排泄を調節するタンパク質)の存在パターンが異なるため、高Na⁺摂取による血圧上昇が男性よりも抑制的。

●男性は高血圧のリスクが高いが、K⁺とNa⁺の摂取比率を増やすことに対してより強い血圧低下反応を示す。これは、男性の腎交感神経活動やRAAS活性(血圧と体液量を調節するホルモンシステム。Na⁺保持を促進し、血圧を上昇させる。)が女性より高いためと考えられる。

つまり、今回の研究によれば、高血圧を予防するためには、ナトリウムを制限するだけよりも、バナナやブロッコリーなどのカリウムが豊富な食品を摂取することが血圧をコントロールするのに役立つということです。

また、今回の研究は性差があることを意識した高血圧の個別化医療の研究としても重要な結果と言えます。

【参考リンク】

■まとめ

塩分(ナトリウム)の多少に関わらず、カリウムの量が少ないと高血圧になりやすい!?で紹介した韓国の翰林大学校医科大学を含む研究グループによれば、ナトリウムの多い少ないに限らず、カリウムの量が少ないと高血圧のリスクが20%高かったことがわかったそうです。

高血圧を予防・改善する食事療法「DASH(ダッシュ)食」とは?増やす食品・減らす食べ物によれば、DASH食とは、米国立保健研究所などが提唱している高血圧患者のための食事療法のことで、簡単に言えば、1 野菜・果物・低脂肪の乳製品を充分摂る、2 肉類および砂糖を減らす、という食事をすることです。

カリウム・カルシウム・マグネシウム・食物繊維には、増えすぎた塩分を効率よく体外へ排出させる効果があります。

カリウムは、血液での濾過装置である腎臓に作用すると考えられており、余分な塩分をより多く体外へ排出すると考えられています。

つまり、高血圧の予防には減塩にばかりファーカスしがちですが、塩分を体外に排出する仕組みをうまく利用すれば、より効果的に高血圧が予防できるということなんですね。

→ 高血圧の症状・食事・数値・予防・原因・対策 について詳しくはこちら







食品添加物の組み合わせで2型糖尿病リスクが上昇する可能性がある!




食品添加物って、食べ物を美味しくしたり、見た目を良くしたり、保存期間を長くするために使われているものです。

例えば、ジュースやお菓子、コンビニ弁当なんかに入っています。

これまで食品添加物の安全性は「1つずつ」調べられることが多かったのですが、実際はいろんな添加物が同時に摂取されるため、「複数の添加物が混ざったとき」に体にどんな影響があるのかが心配されており、特に、添加物間の相互作用(相乗作用や拮抗作用)が健康に及ぼす影響についてのデータは不足していました。

最近の研究で、添加物の「組み合わせ」が2型糖尿病(大人になってからかかる糖尿病)のリスクを高める可能性があることがわかったんです!

今回の研究では、フランスのNutriNet-Santéコホート(108,643人)を対象に、一般的な食品添加物の混合物を特定し、それらが2型糖尿病の発症リスクとどのように関連するかを調査したところ、2つの食品添加物の組み合わせが2型糖尿病リスクの上昇と関連していることがわかりました。

ミックス1(加工デンプン、ペクチン、グアーガム、カラギーナンなど)
→ この組み合わせをたくさん食べる人は、糖尿病のリスクが8%アップ!
(例:ゼリーやアイス、加工食品に多い)

<さらに詳しく>

●混合物1(加工デンプン、ペクチン、グアーガム、カラギーナン、ポリリン酸塩、ソルビン酸カリウム、クルクミン、キサンタンガム): 混合物スコアが1標準偏差(SD)増加するごとに、2型糖尿病リスクが8%上昇(ハザード比[HR]=1.08、p=0.006)。

ミックス2(クエン酸、アスパルテーム、スクラロース、アセスルファムKなど)
→ この組み合わせをたくさん食べる人は、糖尿病のリスクが13%アップ!
(例:ダイエット飲料や低カロリーお菓子に多い)

<さらに詳しく>

●混合物2(クエン酸、クエン酸ナトリウム、リン酸、亜硫酸アンモニアカラメル、アセスルファムK、アスパルテーム、スクラロース、アラビアガム、リンゴ酸、カルナバワックス、パプリカ抽出物、アントシアニン、グアーガム、ペクチン): 混合物スコアが1SD増加するごとに、2型糖尿病リスクが13%上昇(HR=1.13、p<0.001)。 つまり、今回の研究によれば、特定の添加物混合物(例:乳化剤や人工甘味料を含むもの)が、糖尿病リスクを高める可能性があり、1つだけなら大丈夫でも、いろんな添加物が一緒になると「相乗効果」でリスクが上がるかもしれないということなんです。 そのため、私たちができることは、加工食品(スナック菓子、インスタント食品、甘い飲み物)を毎日たくさん食べるのは控えめにする、果物、野菜、シンプルなご飯を選ぶ、お菓子やジュースの裏の成分表を見て、「添加物がいっぱい入ってるな」と気づくクセをつけるようにしましよう! 食品添加物を全部避けることは難しいけど、よりフレッシュな食べ物、食事を選ぶことを心がければ、糖尿病のリスクを下げることにつながるので、やっていきましょう。 → 糖尿病の症状(初期症状)チェック について詳しくはこちら

【参考リンク】

■まとめ

今回の研究のポイントは、個々の食品添加物に健康上の問題がなくても、食品添加物の組み合わせで、相互作用があり、2型糖尿病のリスクを上げる可能性があることを示した点です。







デジタル認知症はウソ?テクノロジーで認知症リスク42%減!認知的予備力理論にテクノロジーが役立つ




Technology use may be associated with a lower risk for dementia, study finds(2025年4月14日、CNN)では、テクノロジーの使用が高齢者の認知機能低下リスクに与える影響について、テキサス州の2大学の研究者が行ったメタ分析(Nature Human Behavior, 2024年)は、「デジタル認知症仮説」(テクノロジー依存が認知能力を弱める)を検証し、以下の主要な発見を報告しています。

【参考リンク】

●認知機能低下リスクの低下

411,430人を対象とした57の研究を分析した結果、テクノロジー使用(コンピューター、スマホ、インターネット、メール、SNSなど)は、認知障害(軽度認知障害や認知症)のリスクを42%低下させる関連が示されました。

●テクノロジー使用が認知障害リスクを増加させるという報告は1件もない

●ソーシャルメディアの使用に関しては、認知機能への影響が一貫せず、結論が不明確

●現在の高齢者世代(研究開始時の平均年齢68歳)は、テクノロジーを使いこなすために努力が必要だった時代に育ち、脳がすでに形成されていたため、若い世代への適用可能性は不確実。

●認知的予備力理論

デジタル認知症仮説とは対照的に、テクノロジー使用が複雑な精神活動を通じて「認知的予備力」を高め、加齢に伴う脳の変化に対する耐性を強化する可能性が示唆されました。

テクノロジーは神経活動を刺激し、社会的つながりを促進することで認知症リスクを軽減する可能性があり、社会的孤立が認知症リスクを高めることが知られています。

●過度な使用(例:無意識なスクロール)は推奨されず、適度な使用が有益

【補足】

認知予備力の概念とその臨床的理解

脳の病理と実際の認知機能の水準が必ずしも一致しないことの説明として,認知予備力(cognitive reserve)という概念が近年提唱されてきた。認知予備力とは,脳の病理や加齢の影響を受けても認知機能の低下を抑える個人の潜在的な能力を意味する。認知予備力の高い人は低い人より,脳に損傷を受けても機能障害が生じにくく,また,健常加齢でみても認知機能の低下の程度が異なることが予測されてきた。

【関連記事】

フレイルは「予備力の低下」が主要因として起こりやすい!?

若かったり、健康である人は身体を守る力に予備力(健康を守る余力)があるため、無理ができるのですが、加齢や生活習慣病などの持病などによって、この予備力が低下すると、ちょっとした不調で寝込んでしまったりします。だからこそ、若いうちからこの予備力を保つようにしておくことや生活習慣病対策をすることが重要になってくるわけですが、この「予備力」の考え方は若い人にも活かせますよね。

若い時によく勉強した人はアルツハイマー型認知症になりにくい?認知機能の予備力を鍛えて認知症が予防できる?

認知症の予防につながる9つのリスク要因|中年期の聴力低下・中等教育の未修了・喫煙・うつ・運動不足・社会的孤立・高血圧・肥満・2型糖尿病

■まとめ

20代でも物忘れ!?スマホ認知症(デジタル認知症)とは|症状・原因・予防法では、デジタル認知症とは、スマホやタブレットに依存しすぎることによって、書けたはずの字が書けない、昨日食べたものを忘れる、自宅の電話番号、人の名前が思い出せないなど物忘れがひどくなる、という症状が出ることを言います。

デジタル認知症が現れる理由として、さまざまな情報は前頭前野で処理されますが、スマホのヘビーユーザーはこの前頭前野が過剰な情報のために疲弊した状態「脳疲労」を起こしてしまい、集中しにくくなったり、もの忘れの症状が現れると考えられるそうです。

しかし、今回の研究によれば、適度なテクノロジー使用が認知機能低下のリスクを軽減する可能性を強く示唆し、デジタル認知症仮説を否定しています。

ただ、具体的な使用方法や世代間での影響の違いについてはさらなる研究が必要となります。

万博、高齢者に冷たい?予約も地図もスマホ頼み(2025年4月29日、時事通信)によれば、スマホ予約ができない、紙の地図がいいというように、テクノロジーに否定的な意見も多いですが、今回の研究を参考にすると、決してテクノロジーを活用することが認知症を進めるわけではなく、高齢者がテクノロジーを学んでいくことはプラスに働く可能性があるので、テクノロジーに触れていきたいですね。

→ 認知症予防に良い食べ物・栄養 について詳しくはこちら







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