江戸時代のことわざ「医者に金を払うよりもみそ屋に払え」は予防医療・医療費の節約・味噌の健康効果といった現代にも役立つものだった!




「医者に金を払うよりもみそ屋に払え」

病気になる前に、みそを日常的に食べて健康維持に努めるべきだという意味の江戸時代のことわざがあったそうです。

『本朝食鑑』(1695年、元禄8年刊)は、江戸時代初期の食文化を記した実在の書物(著者;細井広沢)で、「みそはわが国ではむかしから上下四民とも朝夕に用いた」「1日もなくてはならないもの」など味噌の効能について書かれています。

この格言は、味噌が「百薬の長」(万病に効く薬)として民間で広まった表現で、『本朝食鑑』では、味噌(大豆と麹の組み合わせ)が消化促進、血行改善、毒素解消などの効果を持つとされ、病気を防ぐ予防食として推奨され、これが「医者より味噌屋に金を使う方が得」という形でことわざ化したものなのだそうです。

江戸時代には庶民が手前味噌を仕込み、味噌を中心とした食生活が根付いていましたが、これは、味噌が栄養価が高く、飢饉時にも健康を守るために欠かせない食品だったことを示しています。

興味深いのは、健康を守るためには予防医療が大事という考え方だったり、医療費を節約する考え方であったり、味噌の健康効果を伝えるものだったりと現代に通づるものがあります。

■予防医療で健康を守る

予防医療・予防医学に取り組んでいくことは医療費の削減するためにも今後重要になっていくと考えられますし、また、QOL(生活の質)の向上といった間接的なコスト削減も期待できると考えられます。

積極的に計画・実行する人はがん・脳卒中・心筋梗塞の死亡リスクが低い|国立がん研究センターで紹介した国立がん研究センターによれば、日常的な出来事に対して、積極的に解決するための計画を立て、実行する「対処型」の行動をとる人は、そうでない人に比べて、がんで死亡するリスクが15%低く、また、脳卒中リスクが15%低く、脳卒中心筋梗塞などで死亡するリスクが26%低いという結果が出たそうです。

その理由としては、日常的な出来事に対して、積極的に解決するための計画を立て、実行する「対処型」の人は、がん検診や健康診断を受診するため、病気の早期発見につながり、病気による死亡リスクが低下して可能性があるようです。

つまり、定期検診などの予防医学・予防医療を導入するということは、病気による死亡リスクが減少し、医療費の削減にもつながるということです。

■予防医療で医療費を節約する

国民皆保険による医療、医師の半数「持続不能」|「#健康格差」を広げないために私たちができることで紹介した日本経済新聞社などが実施したアンケート調査によれば、医師の半数が国民皆保険による医療が「持続不能」と答えているそうです。

年齢階級別一人当たり医療費(平成25年度)
国民医療費の約2割が80歳以上の医療費であり、その多くを入院費用が占めている。(年齢階級別一人当たり医療費(平成25年度))

参考画像:不安な個人、立ちすくむ国家~モデル無き時代をどう前向きに生き抜くか~|経済産業省PDF

健康保険組合の4分の1超が2025年度に解散危機を迎える試算ー健保連|改善するために必要な2つのプランで紹介した厚生労働省「人口動態調査」, 「医療給付実態調査報告」, OECD Health Data 2014 OECD Stat Extractsによれば、国全体医療費の23%(9.2兆円)が80歳以上の医療費であり、その多くを入院費用が占めているそうです。

日本の人口の推移|平成28年版情報通信白書|総務省
日本の人口の推移|平成28年版情報通信白書|総務省

参考画像:少子高齢化の進行と人口減少社会の到来|平成28年版情報通信白書|総務省スクリーンショット

つまり、高齢化は今後も進んでいき、医療費の増大が見込まれることから、財政が悪化していく傾向は変わりないでしょう。

この状況を変えるためにも、大きく舵を切る必要があるのではないでしょうか?

そのプランとしては2つあり、1つは、現役世代は予防医療・予防医学・予測医療に変えていくということ、もう一つは、高齢者がフレイルの段階で、適切な介入・支援を行なうことです。

フレイルについてはこちら → 「フレイル(高齢者の虚弱)」の段階で対策を行ない、要介護状態の高齢者を減らそう!|厚生労働省

健康保険組合の4分の1超が2025年度に解散危機を迎える試算ー健保連|改善するために必要な2つのプランで紹介した在日米国商工会議所(ACCJ:The American Chamber of Commerce in Japan)と欧州ビジネス協会(EBC:European Business Council in Japan)は、持続的な経済成長を促すことを目的に、健康寿命を延ばし病気による経済的負担を軽減するための政策を提言した「ACCJ-EBC医療政策白書2017年版」を共同で発表し、病気の予防や早期発見、早期治療を柱とする「予防型医療」への転換の重要性を訴えています。

例えば、がん検診といった予防医療・予防医学に取り組んでいくことは医療費の削減するためにも今後重要になっていくと考えられますし、また、QOL(生活の質)の向上といった間接的なコスト削減も期待できると考えられます。

積極的に計画・実行する人はがん・脳卒中・心筋梗塞の死亡リスクが低い|国立がん研究センターで紹介した国立がん研究センターによれば、日常的な出来事に対して、積極的に解決するための計画を立て、実行する「対処型」の行動をとる人は、そうでない人に比べて、がんで死亡するリスクが15%低く、また、脳卒中リスクが15%低く、脳卒中心筋梗塞などで死亡するリスクが26%低いという結果が出たそうです。

その理由としては、日常的な出来事に対して、積極的に解決するための計画を立て、実行する「対処型」の人は、がん検診や健康診断を受診するため、病気の早期発見につながり、病気による死亡リスクが低下して可能性があるようです。

つまり、定期検診などの予防医学・予防医療を導入するということは、病気による死亡リスクが減少し、医療費の削減にもつながるということです。

■味噌の健康効果

1日1杯みそ汁を飲むと、血圧が下がり、血管年齢が若返るって本当?

2010年に出された論文によれば、4か国の40-59歳の人を対象に塩分摂取量を調査したところ、日本人の塩分摂取量は12gとトップでしたが、日本人の血圧の平均は最も低いという結果が出ました。

【関連記事】

この研究から一つの仮説として考えられたのが、日本人が塩分を味噌から摂取しているからではないかというもの。

味噌の中の塩分はNaClとは異なる|広島大学によれば、発酵産物に含まれている塩分は食卓塩のような純食塩とは作用機序が異なるので、味噌を食べても血圧には影響しないし、脳卒中も遅延すると書かれています。

みそ汁の塩分 血圧に影響せず(1日1杯のみそ汁のある食生活が血管年齢を10歳程度改善する傾向も確認)(平成25年11月)で紹介されている上原誉志夫教授(共立女子大学)が行ったみそ汁と塩分に関する最新研究「習慣的味噌汁摂取が血管年齢に与える影響」(第36回日本高血圧学会総会/平成25年10月26日発表)によると、みそ汁の摂取頻度と血圧の間に関係性は認められなかったそうです。

また、1日1杯程度のみそ汁のある食生活が血管年齢を10歳程度改善する傾向があることも確認されました。

これまで減塩といえば味噌汁を減らすことと考えられてきましたが、減塩のために味噌汁を減らすことにほとんど意味がなく、それどころか一日一杯の味噌汁のある食生活のほうが血管年齢の指標CAVI値(心臓から足首までの動脈の硬さを反映する指標)を低下させ、血管年齢を10歳程度改善する傾向があることが確認されました。

適度の味噌摂取 高血圧になりにくく動脈硬化予防も 共立女子大 上原教授が研究成果発表で紹介されている共立女子大学家政学部臨床栄養研究室の上原誉志夫教授らの研究によれば、男性102人を対象に行った調査で、1日3回までの味噌汁摂取では食塩の過剰摂取時に比べ血圧への影響はなく、1日1杯味噌汁を飲んでいる場合はCAVI(動脈硬化指標)が低下する傾向がみられたことから、適度な味噌の摂取は血圧を下げ血管年齢を若く保つ作用があることがわかりました。

味噌と血圧の驚きの関係!(2018/5/1、美と若さの新常識~カラダのヒミツ)によれば、味噌の中には、発酵の過程で血圧を下げる成分が生まれているのではないかと考えられ、また、(味噌に含まれる)複数の物質で血圧が下がることが原因ではないかと考えるそうです。

【#林修の今でしょ講座】心筋梗塞検定|血管の回復に良い食事・運動によれば、味噌にはLTP(ラクトトリペプチド)が含まれています。

LTPはアミノ酸の一種で血圧降下、動脈硬化予防が期待できるそうです。

【参考リンク】

糖尿病になりにくい県ナンバーワン愛知県の食習慣から学ぶ糖尿病予防の方法|赤味噌(メラノイジン)・アサリ(マグネシウム)・喫茶店のモーニング(セカンドミール効果)|#サタプラ

愛知県にある「味噌」の食文化が糖尿病になりにくい理由の1つと考えられるそうです。

発酵食品である味噌には「メラノイジン」という抗酸化物質が多く含まれており、糖分の消化吸収のスピードを遅くし、食後の血糖値の上昇を抑える働きがあるそうです。

「メラノイジン」が多く含まれているかどうかをチェックするポイントは「色」!

「メラノイジン」は味噌の色が濃いものほど多く含まれているそうで、愛知県で多く使用されている濃い色の赤味噌にはメラノイジンが多いそうです。

一般的な味噌は大豆をゆでて作られているそうですが、赤味噌は大豆をゆでずに高温で蒸して作られており、その製造過程で大豆の糖とアミノ酸が結合し「メラノイジン」が作られているそうです。

また、赤みそは2年ほど寝かせるのですが、この長期熟成も「メラノイジン」が増える理由なのだそうです。

【補足】

みそを上手にとって健康生活

(2017/11/17、NHK)

メラノイジンとは、みそが時間をかけて発酵・熟成する中でアミノ酸や糖類が反応してできた色素成分で、食物繊維のような働きをして、腸内の善玉菌を増やし、悪玉菌を減らしてくれます。また、病気や老化の原因となる活性酸素を減少させる働きももっています。

さらにメラノイジンは、コレステロール低下作用や、血糖値の著しい上昇の抑制やインスリンの分泌亢進(こうしん)作用などが知られています。

1975年型の日本食を食べると健康になる!ヒトの実験でも証明|その食事の特徴とは?|東北大【論文・エビデンス】

醤油やみそ、みりんなどの発酵調味料は栄養価が高く、がんや脳卒中を予防し、美肌効果が期待できるそうです。

■まとめ

「医者に金を払うよりもみそ屋に払え」という言葉は味噌が消化を助け、気を穏やかにし、血を生み出すなど多様な効能を持つことを昔の人が経験的に知っていたため、味噌を中心にした食生活を推奨するものです。

現代の研究でも、味噌の発酵成分(イソフラボン、乳酸菌)が腸内環境改善や抗酸化作用に寄与することが科学的に裏付けられています

江戸時代の人々が経験的に知っていたことが現代でも健康を守るためには予防医療が大事という考え方だったり、医療費を節約する考え方であったり、味噌の健康効果を伝えるものだったりと通じるものがあるというのは面白いですね。

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コラーゲンペプチドが抜け毛を予防する可能性




ある研究によれば、コラーゲンペプチドは、毛包の成長期を長く保ち、幹細胞を健康に保つことで、加齢や脱毛症による髪の薄さを防ぐのに役立つ可能性があります。

【参考リンク】

1. どんな研究?

この論文は、コラーゲンペプチド(CP)と呼ばれる栄養補助食品が、髪の毛の成長や脱毛予防にどう影響するかを調べた研究です。特に、ヒトの毛包(髪の毛を生み出す小さな器官)を体外で培養し、海洋由来(魚の皮など)やウシ由来(牛の皮)のコラーゲンペプチドが毛包の機能にどう働くかを詳しく観察しました。わかりやすくポイントをまとめます!

2. 背景:なぜこの研究が大事?髪の健康と脱毛の課題

髪の毛は見た目や自信に影響を与える重要な要素ですが、加齢や男性・女性型脱毛症(AGAやFPHL)によって、髪が薄くなったり抜けたりすることがあります。これは、毛包が正常に機能しなくなるためで、特に「成長期(アナゲン)」が短くなり、「休止期(テロゲン)」が長くなることが原因です。

●コラーゲンペプチドとは?

コラーゲンペプチドは、肌や髪の健康をサポートするサプリメントとして注目されています。消化されるとアミノ酸や小さなペプチドに分解され、体内でコラーゲンやエラスチンの生成を助けたり、細胞の働きを調整したりします。これが髪にも良い影響を与える可能性があると考えられました。

●研究の目的

3.結果

この研究では、海洋由来とウシ由来のコラーゲンペプチドが毛包に異なる効果をもたらすことがわかりました。

(1) 海洋由来コラーゲン(m-コラーゲン)の効果

●成長期を延長
毛包の「成長期」を長く保ち、髪の毛が成長する期間を延ばしました。これにより、髪が抜けにくくなる可能性が示唆されます。

●幹細胞の静止状態をキープ
毛包の幹細胞(K15+細胞)が過剰に増殖するのを抑え、静止状態(休んでいる状態)を維持。これにより、幹細胞が長期間健康に保たれ、髪の成長が安定します。

●子孫細胞を増やす
幹細胞から派生するK19+やCD34+細胞(髪の成長に関わる細胞)の数を増やし、髪の生成をサポート。

(2) ウシ由来コラーゲン(b-コラーゲン)の効果

●幹細胞の数を増やす
毛包のバルジ部(幹細胞が集まる場所)にあるK15+細胞の数を増やし、幹細胞の「貯蔵」を強化。

●細胞の死を抑える
幹細胞やその子孫細胞の「アポトーシス(細胞の死)」を減らし、毛包の健康を保つ。

●子孫細胞の生成を促進
K19+細胞やK15+/K19+二重陽性細胞の数を増やし、髪の成長を支える細胞集団を強化。

(3) 共通のポイント

どちらのコラーゲンも、髪の成長をサポートする効果が確認されました。

特に、毛包幹細胞(eHFSC)の働きを調節することで、脱毛を防ぎ、健康な髪を維持する可能性が示されました。

5. どんな意味があるの?脱毛予防の可能性

コラーゲンペプチドは、毛包の成長期を長く保ち、幹細胞を健康に保つことで、加齢や脱毛症による髪の薄さを防ぐのに役立つ可能性があります。

■まとめ

この研究は、海洋由来とウシ由来のコラーゲンペプチドが、ヒトの毛包の成長をサポートし、脱毛を防ぐ可能性を示しました。具体的には、毛包の成長期を延ばしたり、幹細胞を健康に保ったり、髪の生成に関わる細胞を増やしたりする効果が確認されました。これにより、コラーゲンペプチドは、薄毛や脱毛症の予防に役立つ栄養補助食品として期待されます。将来、もっと研究が進むと、毎日の生活でコラーゲンを取り入れるのが当たり前になるかもしれません!

【補足】

Xの投稿で「コラーゲンペプチドパウダー毎日摂取するようになって、まつ毛すごく長くなった、髪すぐ伸びる、爪すぐ長くなる。ここまで効果あるなら歯茎や血管にもいいはず。」というコメントがあったので、この点についても検討してみたいと思います。

1. 研究と投稿の関連性

先ほどの論文では、海洋由来やウシ由来のコラーゲンペプチドが、ヒトの毛包(髪の毛を生み出す器官)の成長期(アナゲン)を延ばし、毛包の幹細胞(eHFSC)を健康に保つ効果があることがわかりました。

これにより、髪の成長をサポートし、脱毛を予防する可能性が示唆されています。

投稿で「髪がすぐ伸びる」と感じたのは、この成長期が延びたことで、髪の毛が自然に長く育ちやすくなったのかもしれません。

特に、海洋由来のコラーゲンペプチドは、実験で成長期を有意に延長させたことが確認されています。

2. 「髪がすぐ伸びる」効果はあるのか?研究の結果

論文では、コラーゲンペプチドが毛包の成長期を延ばし、幹細胞の働きを調整することで、髪の成長をサポートすることがわかりました。

ただし、「髪がすぐ伸びる」というのは、髪の成長速度そのものが劇的に速くなるというより、成長期が長くなることで結果的に髪が長く育つ時間が増えた可能性が高いです。

自然な髪の成長速度(約1か月で1〜1.5cm程度)は変わらないものの、健康な毛包のおかげで抜けにくくなり、伸びた髪が残りやすくなったと感じるのかもしれません。

個人の体験との一致

投稿者が「髪がすぐ伸びる」と感じたのは、成長期が延びた効果や、毛包が健康になったことで髪の質が改善し、成長が目立ちやすくなった可能性があります。

また、まつ毛や爪の成長も同様に、コラーゲンがケラチン(髪や爪、皮膚の主成分)の生成を助けることで、全体的に成長が促進されたのかもしれません。

限界

ただし、この研究は体外(実験室での毛包培養)で行われたもので、実際に人が毎日コラーゲンを摂取したときの効果を直接証明したわけではありません。個人差や他の栄養素の影響も考えられるので、「すぐ伸びる」という効果が全員に当てはまる保証はないよ。

3. まつ毛や爪への効果

まつ毛や爪が長くなったと感じるのは、コラーゲンがケラチンというタンパク質の合成をサポートするからかもしれません。ケラチンは髪や爪、まつ毛の主成分で、コラーゲンペプチドがこれを強化することで、成長が促進された可能性があります。

論文では髪の毛に焦点を当てていますが、ケラチンの生成が全身で関連しているため、まつ毛や爪にも似た効果が現れるのは自然なことかも。

4. 歯茎や血管への効果はあるか?可能性

投稿者が「歯茎や血管にもいいはず」と考えたのは、面白い視点で、コラーゲンは体内の組織を支える重要な成分で、歯茎や血管の再生にも関わっています。論文では直接触れられていませんが、別の研究ではコラーゲンが歯茎の細胞成長を助けたり、血管の形成をサポートしたりすることが示唆されています(例えば、Frontiersの研究)。

だから、理論的には歯茎や血管の健康にも良い影響がある可能性はあります。

証拠の不足

ただし、この論文では毛包に特化しているため、歯茎や血管への具体的な効果はまだ証明されていません。さらなる研究が必要です。

5. 結論と注意点

効果の可能性

コラーゲンペプチドは、髪の成長期を延ばし、毛包の健康を保つことで「髪がすぐ伸びる」感じをサポートする可能性があります。まつ毛や爪の成長も、ケラチン生成の強化によるものと考えられます。歯茎や血管への効果も期待できるかもしれないけど、現在の研究ではまだ不明です。







映画・原作「国宝」からわかる!糖尿病の合併症の怖さとは?




映画『国宝』では、半次郎(渡辺謙)と息子俊介(横浜流星)が糖尿病を患っている描写があり、糖尿病の遺伝性や合併症(足の壊疽など)について触れられています。

映画の感想の中には、糖尿病の恐ろしさを改めて認識した、というものもあります。

●半次郎は糖尿病になり、緑内障で目が見えなくなり、すい臓がんになる

半二郎は緑内障で目が見えなくなり、糖尿病だけでなく、すい臓癌にもなって吐血をしたのです。

糖尿病になると緑内障になりやすい|血糖値コントロールと眼科検診で失明予防で紹介した米国眼科学会(AAO)のアドバイスによれば、糖尿病によって、眼底の末梢血管が冒されることにより糖尿病網膜症緑内障白内障といった目の病気になりやすく、失明を予防するためにも血糖値コントロールと定期的な眼科検診が重要なのだそうです。

糖尿病の人の大腸がんになるリスクは1.4倍、肝臓がんは1.97倍、すい臓がんは1.85倍も高いによれば、糖尿病の人はそうでない人に比べて、すい臓がんになるリスクは1.85倍なのだそうです。

●俊介は糖尿病になり、合併症で足の壊疽で切断

糖尿病で足(下肢)切断のリスクが上がる?「足の痛みがない」「足の冷え」に注意!

足の神経障害は、何かを痛みを感じるようになるのではなく、反対に、痛みを感じなくなるそうです。

足の痛みを感じなくなることによって、なぜリスクが高くなるのでしょうか。

靴擦れや足の傷ができても気づきにくく、また、細菌の感染への抵抗力が弱くなることによって、足が壊死してしまい、切断にまで至ってしまうそうです。

■有名人で糖尿病の合併症に悩まれていたケース

■森永卓郎さんと糖尿病

🍅夏の熱中症の原因は高血糖にもある!?|梅雨からの高血糖予防&熱中症対策にトマト|#その原因Xにあり(2017年)によれば、森永卓郎さんは糖尿病を告白しており、血糖値は400mg/dL、HbA1cは11.4%で、のどの渇きをコーラやジュースで水分補給をしたり、一口だけならいいかとお菓子をつまんだ生活を送っていたそうです。

その後「脚のかゆみ」という症状・違和感を感じて病院で診てもらったところ、森永さんの空腹時血糖値は600mg/dLだったそうで、森永さんに起こった脚のかゆみのような違和感は、高血糖により起こった神経障害と考えられ、神経障害があると感覚が鈍くなり、痛みを感じにくくなり、ひどい時には壊死を起こしてしまい、脚を切断しなければならない場合もあるそうです。

→ 糖尿病性神経障害 について詳しくはこちら

理想的な血糖値の幅は空腹時70mg/dL~満腹時140mg/dLなのだそうですが、つまみ食いをしたときの血糖値の変化は血糖値が下がらないことで、常に高血糖の状態が続き、膵臓が疲弊し、インスリンの分泌や働きが悪くなるそうです。

→ 糖尿病の症状・初期症状|糖尿病とは について詳しくはこちら

■元近鉄&中日の佐野慈紀さんと糖尿病

ピッカリ投法で人気だった元近鉄&中日の佐野慈紀さん、糖尿病からの感染症が進み、右腕切断手術へ

元近鉄&中日の佐野慈紀さんは糖尿病の影響で感染症が進み、右腕を切断する手術を行なうそうです。

これまでにもブログによれば、2023年4月に「重症下肢虚血」による感染症で緊急入院し、右足中指を切断し、24年1月には「心臓弁膜症の発覚 血流の悪さに懸念が増える。動脈硬化が激しく回復がままならない。糖尿病による影響は恐ろしい。これ以上感染を広げない為に洗浄の繰り返し。毎回激痛が走る」と説明しています。

■コージー冨田さん糖尿病の合併症

糖尿病の合併症を患うコージー冨田さん(58歳)、弱視で、神経障害で足の感覚がなく、腎臓が機能していないので人工透析を受けている!

  • 25-26歳のころ、やたら喉が渇いて、糖尿病を疑い、血糖値を測定したところ270(基準が110)で糖尿病と診断される。原因は食べすぎ。
  • 40歳ごろから足の神経障害、目の衰え、腎臓が悪くなり、インスリン注射を行う
  • 58歳の今は、弱視で、神経障害で足の感覚がなく、腎臓が機能していないので人工透析を受けている

■まとめ

糖尿病を長い間治療などを行なわず、そのままにしておいた結果、ひどくなると糖尿病の合併症が起こります。

糖尿病の症状ははじめのうち、痛みなどの自覚症状がないため、検査で血糖値が高かったり、治療が必要といわれたことがあっても、そのまま治療を受けない人が多いです。

しかし、糖尿病を長い間そのままにしておき、ひどくなると糖尿病の合併症を引き起こします。

【糖尿病の合併症の例】

糖尿病性神経障害

糖尿病による腎臓障害で人工透析を始める人も多く、また糖尿病が原因の視覚障害や糖尿病神経障害(手足のしびれ・壊疽など)が発生することもあります。

糖尿病の合併症の中で最も早く出てくるのが「糖尿病神経障害(とうにょうびょうしんけいしょうがい)」です。

糖尿病神経障害の初期症状として、「足の裏のしびれ」や「疼痛(とうつう)」(ズキズキとうずくような痛み)が起こります。

その後、「手の指の先のしびれ」の症状が現れます。

人によって症状はさまざまで、ひどくなるとケガや火傷の痛みに気づかなくなることもあります。

痛みに気づかなくなるというのは怖いことで、足の痛みが感じなくなることで靴擦れや足の傷ができても気づきにくく、また、細菌の感染への抵抗力が弱くなることによって、足が壊死してしまい、切断にまで至ってしまうこともあるそうです。

特に足の冷えを感じて、糖尿病の人は、危険なのだそうです。

糖尿病網膜症

糖尿病網膜症は、糖尿病の三大合併症の一つ。

糖尿病網膜症、糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症を3大合併症と呼びます。

糖尿病網膜症は、日本の中途失明原因の第2位で、年間約3000人がこの疾患で失明しているともいわれるそうです。

アメリカの糖尿病患者の約3割が糖尿病網膜症にかかっている!?で紹介した米疾病対策センター(CDC)などの研究チームによれば、アメリカの糖尿病患者のうち3割近くが糖尿病網膜症にかかっているそうです。

糖尿病腎症

糖尿病性腎症になると、尿を作る腎臓の「糸球体(しきゅうたい)」の毛細血管が悪くなり、だんだんに尿が作れなくなります。

すると人工透析(機械で血液の不要な成分をろ過して、尿を作る)を行なわなければなりません。

週に2~3回、病院などで透析を受けるようになるので、日常生活に大きな影響を及ぼします。

現在、人工透析になる原因の1位がこの糖尿病性腎症です。

糖尿病は怖い病気なので、まずは予防を、そして糖尿病と分かったら早めに治療を行ないましょう。

→ 糖尿病性神経障害 について詳しくはこちら

→ 糖尿病の症状・初期症状 について詳しくはこちら

→ 糖尿病危険度チェック について詳しくはこちら







糖尿病になると肝硬変や肝臓がんで亡くなるリスクが高い!?




「20歳の体重」から10kg増えたら要注意…肝臓専門医が「元には戻らない」と警告する「メタボ脂肪肝」の苦しみ(2025年9月13日、プレジデントオンライン)によれば、糖尿病患者の13.3%が肝疾患で亡くなっているという衝撃のデータが紹介されています。

日本人の糖尿病患者1万8385例の死因を調査した報告が、日本糖尿病学会から次のように発表されています。

———-
・糖尿病患者の8.6%が肝臓がんで死亡
・糖尿病患者の4.7%が肝硬変で死亡
———-

 この2つを合計すると、糖尿病患者の13.3%が肝疾患で死亡していることになります。

―糖尿病の死因に関する委員会報告―アンケート調査による日本人糖尿病の死因―2001~2010 年の 10 年間,45,708 名での検討―によれば、2001~2010年の期間に死亡した糖尿病患者69,981例(全国の医療施設からのアンケート調査)で、糖尿病患者の死因として、肝臓がん 8.6%、肝硬変 4.7%、これらを合計した肝疾患関連死 13.3%とあります。

ただ日本糖尿病学会は10年ごとに更新しており、最新の2011~2020年調査(2024年発表、対象: 68,555例)では、肝臓がんの割合が4.1%に低下しており、これは治療進歩の影響とみられます。

※ちなみに、糖尿病症例における死因の第1位は悪性新生物38.9 %(肺がん7.8 %,すい臓がん6.5 %,肝臓がん4.1 %)。

つまり、糖尿病の人は肝臓病で亡くなっている人が多いというのは事実ですが、医療の進歩でその数は減少しているというのが事実ですね。

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医療の進歩に感謝しつつ、しっかりと糖尿病予防に取り組んでいきましょう!

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欧米型食事パターンのスコアが最も高いグループで、乳がんのリスクが32%上昇!




食事パターンと乳がんリスクとの関連について(国立がん研究センター多目的コホート)によれば、健康型・欧米型・伝統型の3つの食事パターンで比較したところ、欧米型食事パターンのスコアが最も高いグループで、乳がんのリスクが32%上昇することが分かりました。

また、閉経後の女性において、欧米型食事パターンのスコアが最も高いグループでも乳がんリスクの上昇傾向がみられました。

健康型:野菜や果物、いも類、大豆製品、きのこ類、海そう類、脂の多い魚、緑茶など

欧米型:肉類・加工肉、パン、乳製品、酒類、果物ジュース、コーヒー、ソフトドリンク、マヨネーズ、魚介類

伝統型:ご飯、みそ汁、漬け物、魚介類、果物

欧米型食事パターンでは、そのうち飲酒や肉類・加工肉の過剰摂取と乳がんとの関連はこれまでの研究から指摘されています。

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■まとめ

今回のポイントはこちらではないでしょうか?

それは、欧米型食事パターンのスコアが高いほど、ホルモン依存性の乳がんリスクが高くなりやすいことがわかったこと。

乳がんのリスク要因によれば、閉経後に肥満度が高いことが乳がんリスクを高くすると紹介しましたが、閉経前・後ともに肥満になると乳がんリスクが高くなる!によれば、閉経前・後ともに肥満は乳がんのリスクになることがわかりました。

  1. 初潮が早い(11歳以下)
  2. 閉経が遅い(54歳以上)
  3. 初産年齢が高い(30歳以上)
  4. 妊娠・出産歴がない
  5. 授乳歴がない
  6. 祖母、親、子、姉妹に乳がんの人がいる
  7. 肥満度が高い(閉経後)
  8. 喫煙している
  9. 大量に飲酒する習慣がある
  10. 運動不足

乳がんは初潮が早い、閉経が遅い、妊娠・出産歴がないという人は、女性ホルモンにさらされる期間が長くなるため、乳がんリスクが高くなると考えられているという前提。

閉経前の女性は、過体重や肥満の女性は無排卵やエストロゲンレベルが低いなどの傾向があることから、欧米ではBMI30以上の群では乳がんリスクが低いのですが、アジア人女性の場合は極端に太っている人が少ないことから、予防的な効果はないのではと考えられます。

閉経後の女性では、性ホルモン関連のメカニズムをもとに考えると、肥満になると卵巣よりもむしろ脂肪組織が主なエストロゲン供給源になるため、乳がんリスクが高くなります。

つまり、欧米型の食事パターンで閉経後に肥満度が高くなると、乳がんリスクが高くなるといえるのではないでしょうか?

→ 乳がんの症状・原因・検査・予防法 について詳しくはこちら







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