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■『アドレナルファティーグ(副腎疲労症候群)』とは?
疲労・うつに新たな概念 米国で注目の「アドレナルファティーグ(副腎疲労症候群)」 「朝起きられない」うつと間違われやすい“まじめ疲労” ビジネスマンの食事と治療法(2017/12/21、一般社団法人 日本オーソモレキュラー医学会)
「アドレナルファティーグ」とは、副腎の機能低下により、疲労やうつ症状が起こる副腎疲労症候群のことで、米国で生まれた概念です。
重症化すると代謝や循環器系などにも異常をきたすので注意が必要です。
米国では、ストレスの治療として採用されるなど、拡がりを見せています。
溝口徹新宿溝口クリニック院長によれば、それまでやる気満々だった人が、突然朝起きられなくなったり、一晩寝ても疲れがとれず元気がなくなったり、普段感じたことのない強い疲労感で、仕事も手につかなくなったりといったことで、心の疲労である「うつ」を疑うのですが、実はこれらの疲労感は栄養失調で起きている場合が多いと指摘しています。
以前テレビ番組で「ストレスホルモンのコルチゾールというホルモンが増加すると、鬱病に似た症状が起こることがある」と紹介されていました。
うつ病→脳の病気
副腎疲労症候群(アドレナルファティーグ)→副腎の病気
うつ病とうつ状態は違い、うつ病は病気で、うつ状態は症状。
うつ病以外の病気でもうつ病のような症状が出ることがあり、うつ状態の人にうつ病の治療をしてもうつ病でなければ治らないと紹介されていましたが、栄養失調によってコルチゾールが減少するとうつ病に似た症状が出てしまうんですね。
仕事への気合が空回りしてストレス+過剰なアルコール摂取
→ビタミンB(神経の働きを正常に保つ働きのある)を消費
→エネルギー不足が起こり強い疲労感や抑うつ感を引き起こす
もちろん食生活も大きくかかわってきます。
食事を簡単に済ませてしまう人ほど炭水化物だけの食事をとってしまいがちですが、炭水化物=糖質を過剰に摂取すると、その代謝に大量のビタミンB群が消費されてしまい、ストレスでビタミンBを消費しているところへ、さらに消費→欠乏という悪循環に陥ってしまうそうです。
基本的にはバランスの良い食事をすることなのですが、より具体的に言えば、ホルモンの材料となる栄養素を摂ることという「足し算」と副腎に負担をかける食べ物を減らすという「引き算」をすることです。
ではどのような食べ物を食べて、どのような食べ物を減らしていくとよいのでしょうか?
■良質なたんぱく質と脂質
まずホルモンの材料となる栄養素を摂るためには、良質なたんぱく質と脂質が欠かせません。
良質なたんぱく質としては、豚肉・鶏肉・牛肉などの肉類やアジやイワシ、サンマなどの青魚。
良質な脂質としては、オメガ3系(n-3系)脂肪酸を含むえごま油や亜麻仁油。
青魚も良質な脂質であるオメガ3を含む食べ物です。
■ビタミンB群とミネラル
ビタミンB群は、ホルモンの生産過程で消費されるため、副腎疲労の人が不足しやすい栄養素であり、また、副腎が上手く働かない人は、腸にも不調を抱えるため、ミネラルの吸収が上手くできずに不足しやすくなるそうです。
そのため、ビタミンB群とナトリウムやカリウム、亜鉛、マグネシウム、カルシウムといったミネラルが大事になります。
ビタミンB群を含む食べ物は、豚肉・ウナギ・豆腐・さば・さんま・のり・納豆・レバー・卵・海苔・玄米などです。
ミネラルを含む食べ物は、魚介類・海藻・海苔・チーズなどです。
ビタミンB群の一種である葉酸を含む食べ物
[葉酸を摂ることのできる食品]
ほうれん草・小松菜・ブロッコリーなどの緑黄色野菜、豆類、レバー、のり、茶葉(抹茶、玉露)
葉酸含有量ランキング
【野菜以外編】(食材料100g中)
- 焼き海苔 1900μg
- 味付け海苔 1600μg
- 岩海苔 1500μg
- 鶏レバー(生)/煎茶 1300μg
- 抹茶/干し海苔/かわ海苔 1200μg
- 牛レバー(生) 1000μg
- 豚レバー(生) 810μg
- まつも 720μg
- 板わかめ 510μg
- うなぎの肝(生) 380μg
【野菜編】(食材料100g中)
- なばな(菜の花) 340μg
- 枝豆 320μg
- からしな 310μg
- バジル 290μg
- モロヘイヤ 250μg
- 芽キャベツ/しいたけ(乾燥) 240μg
- パセリ/マイタケ(乾燥) 220μg
- ほうれん草/ブロッコリー/あさつき 210μg
- すぐきな 200μg
- アスパラガス/春菊/よもぎ 190μg
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■肝臓の解毒機能を助ける食べ物
肝臓の解毒機能を助けるための食べ物を摂ることも重要です。
春の野菜と果物には「抗酸化成分」「解毒成分」が豊富によれば、解毒成分が豊富な食べ物とは、ポリフェノールやカロテノイドなどの抗酸化作用をもつ食べ物です。
具体的には、ほろ苦い菜の花や春キャベツなどのアブラナ科の野菜や、においの強いタマネギなどのユリ科の野菜は、肝臓を元気にするグルタチオンやポリフェノール、硫黄化合物をはじめ、老廃物などの毒素をつかまえて排出しやすくするケルセチンも豊富に含まれているそうです。
疲れにくくする
キャベツ、菜の花、小松菜、ニラ、ブロッコリー
グルタチオン(毒を捕まえて肝機能を高める、抗酸化作用で美肌)
硫黄化合物(肝臓の解毒酵素の働きを高める)
血流が良くなる
玉ねぎ、ほうれん草、ブロッコリー、りんご
ケルセチン(血流を改善し、巡りを良くする)
カリウム(有害金属など毒を含む尿を排出)
アボカド、玉ねぎ、りんご
オリゴ糖(ビフィズス菌の餌となり、善玉菌を増やすのに役立つ)
食物繊維
肌荒れが良くなる
ほうれん草、ブロッコリー、トマト
ポリフェノール、ビタミンC、ビタミンE(抗酸化作用により、血流をよくして、美肌に)
つまり、簡単に言えば、香味野菜やハーブ・スパイス、野菜を摂取するといいということなのですが、もう一つのポイントは、色とりどりの野菜を選ぶこと。
植物性食品には、ビタミンやミネラルなどの栄養素、食物繊維などが含まれていますが、フィトケミカルとは、「色」「香り」「苦味」といった今まで栄養素とは考えられていなかった成分のことをいい、抗酸化作用があります。
→ 抗酸化作用 について詳しくはコチラ
■副腎を守るために減らしたい食べ物
体内の炎症の原因となるグルテンやカゼインを含む食べ物:小麦や乳製品
副腎を刺激してコルチゾールの分泌を促すカフェイン:コーヒー
砂糖や炭水化物(糖質):甘いお菓子
花粉症は栄養療法で8割以上が改善|砂糖をとらない・オメガ3・ビタミンD(溝口徹)|#ジョブチューンによれば、アレルギーを抑制するコルチゾールというホルモンは血糖値の上昇を抑えるためにも使われるため、血糖値が上下動するとコルチゾールがアレルギーを抑制することに使われなくなるのです。
食品添加物
■まとめ
【ガッテン】大豆たんぱく質で筋力アップ(二川健)&心疾患予防(家森幸雄)!必要摂取量!で紹介した家守幸雄教授が行った発展途上国で尿を集めた研究によれば、長生きのカギとなる3S「Salt(塩)」「Seafood(魚介類)」「Soy(大豆)」であることがわかりました。
Avoid Salt. Eat fish and Soy. Live longer – [日本語]: Yukio Yamori at TEDxTokyo
この「Salt(塩)」「Seafood(魚介類)」「Soy(大豆)」に含まれるのは、たんぱく質と脂質、ビタミンB群とミネラルなんですよね。
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『アドレナルファティーグ(副腎疲労症候群)』から身を守るためにも、良質なたんぱく質と脂質、ビタミンB群とミネラル、肝臓の解毒機能を助ける香味野菜やハーブ・スパイスを摂りましょう!
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