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ネットワーク格差が機会の格差、健康格差、収入格差を生む!?|貧困や社会の不平等を減らすには、いかにネットワークにつないでいくかが重要!




■ネットワーク格差が機会の格差、健康格差、収入格差を生む!?|貧困や社会の不平等を減らすには、いかにネットワークにつないでいくかが重要!

team meeting

by woodleywonderworks(画像:Creative Commons)

クレディスイス「わずか4%が、ビットコインの97%を所有」についてネットワークの性質の視点から考えてみたでは、ネットワークの性質上、すでに多くのリンクを持つノードほど選ばれやすい、つまり、良質な情報源と多くつながっている人ほどネットワークを広げやすく、社会的ネットワークにおける、状況的不平等(一部の人は社会経済的によりよい状況にある)と位置的不平等(一部の人はネットワーク上でよりよい位置を占めている)によって、「豊かなものはますます豊かに」になると紹介しました。

最近では「健康格差」「教育格差」「収入格差」についての問題が話題になっています。

この問題を解決するためにも、お金を支給したり、職業訓練などのリカレント教育に取り組んでいますが、大事なのは「ネットワーク格差」の問題にあるのかもしれません。

「つながり 社会的ネットワークの驚くべき力」(著:ニコラス・A・クリスタキス ジェイムズ・H・ファウラー)

つながり 社会的ネットワークの驚くべき力

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マサチューセッツ州フレーミングハム出身の12万67人からサンプル集団を作り、その内の1020人を人間関係のつながりと本人の幸福度を比較した。

第1に、ネットワーク内では幸福な人は幸福な人同士で、不幸な人は不幸な人同士で群れを作っていた。

第2に、不幸な人はネットワークの周縁に位置するようだ。つまり、社会関係の連鎖の末端、ネットワークの外れに存在する傾向が高いのである。

人間関係と本人の幸福度の比較によれば、1.幸福な人は幸福な人同士で、不幸な人は不幸な人同士で群れを作る、2.不幸な人はネットワークの端っこに位置することが高いということがわかったそうです。

ネットワーク格差が機会の格差を生み、拡大する。実際、つながりの多い人が同様につながりの多い人とつながる傾向が社会的ネットワークの特徴であり、神経、代謝、機械、人間以外のネットワークなどと異なる点だ。
つながりの乏しい人達は、その友人や家族も大きなネットワークから切り離されていることが多い。
つまり、社会の不平等に立ち向かうには、肌の色や懐具合よりもつながりが重要であると認識しなければならない。
教育、健康、収入の格差に立ち向かうには、援助しようとする人の個人的つながりにも向き合わなければならない。※
貧困を減らすには、金銭の支給だけでは足りないし、職業訓練を加えてもなお不十分だ。困窮者が社会の他の構成員と新たな関係を築くのを助けるべきなのだ。ネットワークの周縁に的を絞って人々のつながりの再構築を促すのは、末端の恵まれない人たちだけでなく、社会の仕組み全体に手を差し伸べることになる。

日本のフィンテックは「貧テック」!?日本はフィンテックの前にITや金融の活用度を上げていく必要がある!|#FINTECHでは、多くの人が金融の仕組みからはじき出されているということではないかと取り上げました。

「ブロックチェーン・レボリューション」(著:ドン・タプスコット+アレックス・タプスコット)

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貧しい地域の人たちにとって、銀行口座を持つための最低残高や、決済の最低支払い額、システム手数料といった壁はあまりに高すぎる。金融機関のインフラにコストがかかりすぎるせいで、貧しい人たちのささやかな経済活動は犠牲になっているのだ。p66

日本のフィンテックは「貧テック」だと揶揄する(読み方「やゆ」意味:からかう)人もいます。

ただそういう人は現状で苦しんでいる人のことが見えていないのかもしれません。

例えば、給与前払いサービスとは?|給料前借りアプリが注目のきっかけ!?人手不足で悩む2018年以降は給与前払いサービスが求人に応募するポイントになる?で紹介した大手求人サイトの検索キーワードによれば、常に日本全国で「日払い 」「週払い」がベスト10にランクインするほどなのだそうで、求職者にとっては、「前払い」「日払い」「週払い」ということは重要な求人募集の要素となっているそうです。

奨学金による貧困問題|大学生の仕送りは減少傾向、アルバイトの就労率・収入金額の増加、返済に対する不安もによれば、仕送り10万円以上をもらっている学生は減少傾向にあり、アルバイトの就労率・収入金額ともに増加傾向にあり、アルバイトを増やすことで暮らし向きを良くしようとしているのがわかります。

「インクルージョン」という考え方を知れば、あなたの周りの世界はやさしくなる!?で紹介した「インクルージョン(Inclusion)」には、包含・含有・包括性・包摂・受け入れるといった意味を持ち、誰も排除せず、様々な人を受け入れるという考え方があります。

「ネットワーク格差」が機会の格差、健康の格差、収入の格差を生むのであるならば、貧困や社会の不平等を減らすには、いかにネットワークにつないでいくかを考えていく必要があるということではないでしょうか?

→ あなたがお金持ちになりたいなら、世界の中心に近づいていくか、自分が世界の中心になる必要がある! について詳しくはこちら







P.S.
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DFRobot’s BOSON Kit|モジュール化したロボットキットがコーディング・IoTなど子供のSTEM教育に役立つ

STEM教育のための知育玩具の可能性として、ロボット×プログラミング×遊び=トイ・プラットフォームtoio(sonyのおもちゃ)を紹介しましたが、STEM玩具として注目を集めそうなKicstarterで面白いキットを見つけました。




■DFRobot's BOSON Kit

参考画像:DFRobot’s BOSON Kit: Powerful Building Blocks For LEGO STEM|スクリーンショット

DFRobot’s BOSON Kit: Powerful Building Blocks For LEGO STEM|Kickstarter

「ウェアラブル人工すい臓」、機能ごとにモジュール化|インスリン治療を低コストにするアイデアとは?では、(1)血糖値モニタリング、(2)血糖値を下げるためのインスリン投与、(3)血糖値を上げるためのグルカゴン投与という機能ごとにモジュール化されたデバイスと同様に、今回のBosonキットは、複雑な回路をわかりやすく、シンプルに、機能ごとに分解してモジュール化していて、そのモジュール化したブロックをコーディングやはんだづけをすることなく、STEM教育ができるキットになっています。

Amazonは、“STEM”の分野に絞った教育おもちゃの定期購入サービスを始めるというニュースを以前取り上げましたが、STEM分野にフォーカスした知育玩具が注目されているのを感じます。

STEM教育とは、Science(科学)・Technology(技術)・Engineering(工学)・Mathematics(数学)のこと。

おもちゃと触れて遊んでいるうちに、好奇心をもって試行錯誤をしながら、自然と学ぶというのがこれからの教育の形になっていくのではないかと思っているのですが、toioのコンセプトも同じように、手を動かして(工作)遊んで、触れあっていくうちに新しい遊びを考えていき、自然と新しい発見をしていくというものです。

猪子寿之の〈人類を前に進めたい〉第6回「もう一つの“体育”で、『身体的知』(身体を固定しない“知性”)を鍛えたい」

(2016/3/1、ほぼ日刊惑星開発委員会)

これまでの学校や知的な訓練って、身体を固定して、もっと具体的に言えば椅子に座って働かせる知性なんだと思うんだよ。

<中略>

「図書室は静かに」というじゃない。この言葉に象徴されるように、従来の知性というのは、まさに美術館でパースペクティブのある絵画を見るときのように身体を固定して、他者も意識していなくて、インプットの情報量がほとんどない中で大脳をフル回転させる知性なんだよね。そもそも文章や記号というもの自体が、情報量としてはバイト数のほとんどないものだしね。でもさ、一方でたとえば、「IQよりも社会性のほうが社会的成功には関連性がある」みたいな主張の論文なんかがあるんだよ。
 それって、「社会性」がバズワードになっているだけで、要は椅子に座っていなくて、図書館みたいな特殊な状況ではない――外部からのインプット情報が極めて多くて、目も耳も感覚を全て使っているような――状態での、人間の能力のことなんじゃないかな。

「チームラボアイランド 学ぶ!未来の遊園地」は未来の教育の形!?で今回体験してみて感じたのは、『身体的知』の話です。

『移動する知性』|「アイデアと移動距離は比例する」(高城剛)をダニエル・ゴールマンと猪子寿之を参考に考えてみる。では、自分なりに猪子寿之さんの考え方を次のように解釈しました。

従来の知性というのは、身体を固定して働かせる知性が重視されていましたが、その状態というのは、自分自身が固定されていた状態で、相手も意識していない状態のため、インプットされる情報量が限られています。

『身体的知』(身体を固定しない知性)というのは、自ら移動しながら(身体が固定されておらず)、相手を意識した状態であるため、そこには五感をフルに働かせたことでおびただしい量のデータのインプットが得られます。

今回体験した「チームラボアイランド 学ぶ!未来の遊園地」ではこの考えを実際のモノとして表現したもののように感じました。

ものがどのようにしたら変化をするのか、お互いがどのように影響しあうのかなどを遊ぶように体験する中で自然と学んでいくことができる、アートでありながら、いろんなことを学ぶことができる新しい形の教育のように感じました。

これからの教育は「遊びながら学ぶ」という方向に進んでいくのではないでしょうか。




■SonyのtoioとDFRobot's BOSON Kitとの違い

両者ともSTEM教育やロボット、プログラミングを目的としていて、入口と出口はほとんど同じように感じるのですが、Sonyのtoioがカートリッジで機能を変えることができるのに対して、Bosonキットはブロックに単一の機能を持たせているという違いがあり、途中のアプローチが違うのが興味深いです。

まるでSonyのtoioがゲーム機のようにソフトを入れ替えることで遊び方を変えているようであり、Bosonキットは一つの機能を持たせたLEGOブロックを組み合わせることで新しい動かし方・遊びを創造しようというものであるように感じます。

Sony PlayStation at GDC

by Josh Hallett(画像:Creative Commons)

P1140398

by Bill Ward(画像:Creative Commons)

■まとめ

DFRobot’s BOSON Kit: Powerful Building Blocks For LEGO STEM

「ファンタジア」(著:ブルーノ・ムナーリ)では「創造力」と「遊び」についてこのように書かれています。

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創造力を刺激する遊びを通じて、子供の知識が広げられないと、すでに知っている事柄同士の関係を築くことはできない。仮に関係を築くことができたとしても、それは非常に限定された方法でなされたにすぎず、それでは子供のファンタジアを発達させるに至らない。

子供を創造力溢れ、のびのびしたファンタジアに恵まれた人間に育てたいなら、可能な限り多くのデータを子供に記憶させるべきだ。記憶したデータが多ければ、その分より多くの関係を築くことができ、問題に突き当たってもそのデータをもとに毎回解決を導き出すことができる。

創造力とは、知識同士の関係性をつなぎあわせ、それを表現する方法であるとするならば、Bosonキットが提供するモジュールを組み合わせて新しいモノを生み出すというのがその発想に近いのではないでしょうか。

子供が描いた絵に対して大人が「創造力がある」と表現することがありますよね。

なぜ大人は子供が描いた絵に対して創造力があると表現するのでしょうか。

それは、無関係なもの同士をつなげたことによって、大人では想像できなかったものを描いたからです。

ただ、それは、ランダムに組み合わせたものが意図せず偶然作られたもの(子供によっては意図して作るケースもあるかと思います)であり、また、子供たち自身がメッセージ性をもって作り上げたものではありません。

「ファンタジア」(著:ブルーノ・ムナーリ)にはこう書かれています。

無知こそが最大の自由を与えると信じるのは間違っている。
むしろ知識こそが自己表現の手段を完全に操る力を与えるのだ。
それにより、手段とメッセージに一貫性をもたせ、明確に自己表現できるようになる。

子供に対しては、遊びや授業を通して、様々な表現方法があることを記憶させることによって、自分が本当に伝えたい・解決したいことができた時に、最も気持ちと一致した表現方法で表現することができるはずです。

言葉で表現することや絵で表現すること、映像で表現すること、写真で表現することなど様々な表現方法がありますが、多くの知識を持つことが自己表現に役立つのです。

「ファンタジア」(著:ブルーノ・ムナーリ)

創造力を欠いた人は、人生で避けて通ることのできない様々な変化にうまく適応できない。例えば、多くの親が自分の子供を理解できなくなってしまうのがそうだ。

創造力のある人は常に共同体から文化を受け取り、そして与え、共同体とともに成長する。創造力のない人はだいたい個人主義的で頑なに自分の意見をほかの個人主義者のそれと対立させようとする。

創造力が欠けていると、それぞれの関係性を結びつけることが難しく、変化に対応するのが苦手になってしまうのでしょう。

創造力は人生を楽しく生きる上での大事な力になってくれるはずですので、子供の時から遊びや授業を通じて教えてほしいですね。







【関連記事】
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#SONY ロボット・プログラミング学習ができるSTEM教育キットKOOV|「Tinkering(ティンカリング)」とデザイン力を育てる




【目次】

■Sony ロボット・プログラミング学習ができるSTEM教育キットKOOV

ソニーのロボット・プログラミング学習キット「KOOV」
ソニーのロボット・プログラミング学習キット「KOOV」

参考画像:KOOV Play. Code. Create|YouTubeスクリーンショット

ソニーのロボット・プログラミング学習キット「KOOV」は、簡単に言うと、ブロックと電子パーツを組み合わせてロボットを作る学習キットです。

KOOVアプリは、ロボットの動きを直感的に理解し組み立てることができる「ビジュアルプログラミング」を採用されています。

プログラムをロボットに転送すると、プログラミングされた動きを行ない、思い通りの動きのロボットを作ることができます。

【参考リンク】

■KOOVの価格設定は高すぎる?

ブロックと電子パーツの全種類を揃えたKOOVアドバンスキットの価格は49,880 円+税となっています。

正直子供向けの教材としては高いと感じる人も多いのではないでしょうか?

実際にそうした反応もあるようですが、ただ、この価格設定にも意味があるそうです。

KOOV――「300年前」と「300年先」をつなげるプログラミング教育

(2017/2/21、ハフィントンポスト)

実はKOOVは、発売の発表以降、予想通りに「価格が高い」という反応をいただいているんですが、モデリングと学習コースをひと通りやるには、早い子でも30時間近くかかります。

ロボット教室だと1年分のカリキュラムくらいの内容が、オールインワンで最初から入っているのが、KOOVです。

ロボット・プログラミング教室に1年通わせる内容が入っているのが「KOOV」であるというのを考えると、値段相応の価値があるといえそうです。

■KOOVを実際に試してみました

KOOVが届いたのでやってみました。

まずは「はじめてのロボットプログラミング」からスタートしました。

プログラミングとはどういうものなのか、わかりやすく説明してくれたので、すんなりと理解することができました。

(人間は他人に対していかにあいまいにお願いをしているのかも改めて感じることができました。)

ロボットレシピにある「ギター🎸」と「UFO」、「機関車🚂」を試してみました。

このロボットレシピはすでにプログラミングが行なわれているので、ブロックを組み立てるだけなのですが、このブロック組み立てが大変で、プログラミングで試行錯誤する前に、ブロックの組み立てで試行錯誤を繰り返しました。

出来上がり、動いたときは達成感があるもので、子供たちもこんな感情を抱くのではないかと期待できるものです。

ロボットレシピ「機関車」を試した際には、どうしてもDCモーター[V0]のみが回転し、DCモーター[V1]が回転せずに何か問題があるのかどうか、KOOVヘルプセンターに問い合わせたところ、赤外線フォトリフレクタに関する認識不足であることが勘違いであることがわかりました。

赤外線フォトリフレクタの値が
80未満の場合は、DCモーター[V0]のみが回転し、
80以上の場合はDCモーター[V1]のみが回転
するようにプログラミングされております。

※赤外線フォトリフレクタのセンサーを遮断することで数値が変化し、回転するDCモーターが変更いたします。

簡単にいえば、故障しているわけではなくて、「初めてのプログラミング」をすべてチェックせずに、いきなりロボットレシピに進んだために、センサーについてよく理解できていなかったことが原因でした。

LEDライト(緑・赤)についてはチュートリアルのような形でチェックができるものの、そのほかのセンサーについてはチェックが後回しになっているように感じ、こうしたセンサーに対して慣れていない私のような人にとっては残念な説明になっているように感じます。

こうした知育玩具に興味を持つ親御さんには関係がないのかもしれませんが、2020年には小学校でプログラミング教育が必修化していくといわれていますので、関心が低い子供にとってはひとつのハードルになってしまう可能性があります。

最近のゲームでは説明書がなく、チュートリアルで使い方を説明していくそうです。

そこで、KOOVアプリでも、センサーやモーター、電子部品をいったん全てチェックして、理解を深めるチュートリアルがあるといいのではないかと思いました。

【追記(2017/6/25)】

以前はこのように書きましたが、「はじめてのプログラミング」を順を追って行なえば、センサーなどについても理解できる内容になっていました。

このような失敗をしないためにも、きちんと「はじめてのプログラミング」で学ぶようにしてくださいね。

■KOOVでは「Tinkering(ティンカリング)」とデザイン力を育てる

このキットのメリットは「Tinkering(ティンカリング)」にあると考えられます。

ティンカリングの定義と性質|ティンカリングの観点を取り入れた生徒主体の「ものづくり」に関する研究|日本科学教育学会研究会

Wohlsen(2011)は「ティンカー」を、何でもいじらずにいられないという性質を持つ者、あるいはそうした振る舞いの呼称であり、「ティンカリング」は創造性(creativity)の本質であると述べている。さらに、Wohlsenは「ティンカー」は傍目には遊んでいるように見えても、すでに完成しているエンジンパーツやコンピュータ・コードの一部をまったく新しいものにつくり変えようとしており、遊戯性を伴うが、新しい何かを創りだそうとと熱意と才能を注ぐ知的競争と表現している。

Marcus Wohlsen(2011), Biopunk: Solving Biotech’s Biggest Problems in Kitchens and Garages

小学校段階における論理的思考力や創造性、問題解決能力等の育成とプログラミング教育に関する有識者会議(第2回) 議事録(2016/5/19、文部科学省)

少し手前みそなんですけれども、弊社で開発している商品の簡単な紹介をさせていただきたいんですけれども、KOOVという名前で、ブロックを使ったロボットプログラミングキットを、今、開発中でして、今年中には発売する方向で、今、準備を進めているところです。このブロックを使ってロボットを作るというところなんですけれども、教材としてのメリットは、いわゆるティンカリングと言われている、手探りをしながら試行錯誤、トライ・アンド・エラーしながら自分なりにいろいろなロボットを作っていって課題に対処するみたいな、そういった手触りで試行錯誤する過程が非常に教育効果が高いということで、このブロックを使ったロボットというのは、レゴさんなんかもそうですけれども、海外でも高い評価受けているところになります。

試行錯誤する課程を通じて課題に対処することが教育効果が高いということであり、KOOVはその「Tinkering(ティンカリング)」の観点を取り入れたキットといえると考えられます。

子供の頃に、時計や家電製品を分解したことがある人もいるのではないでしょうか。

これも一種の「Tinkering(ティンカリング)」と考えると、分解することでモノの構造を知り、大きく言えば世界を知ろうという好奇心や創造力を育てることにつながっているのではないでしょうか。

【参考リンク】

KOOV――「300年前」と「300年先」をつなげるプログラミング教育

(2017/2/21、ハフィントンポスト)

それに、一度できあがったものをもったいながって崩さないんですね。1回で終わってしまう傾向があるようです。

―― ある意味、粘土みたいな感覚で扱えるのかな?

礒津 「また違うのをつくろう」とあまり抵抗なく思えるようです。そのあたり、つくっていじくりまわして、またつくっての「ティンカリング」※10に向いているキットになっているかと思います。

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「ファンタジア」(著:ブルーノ・ムナーリ)

集団で作った作品を壊すのは、特に幼年期の場合、模倣のモデルを作らせないため。

保存されるべきは、そのやり方であり、企画を立てる方法であり、出くわす問題に応じて、再びやり直すことを可能にさせる柔軟な経験値である。

礒津政明(株式会社ソニー・グローバルエデュケーション 代表取締役社長)さんによれば、他のロボット教材は一度出来上がったものをもったいないと思って崩さない傾向にあるようです。

しかし、ブルーノ・ムナーリによれば、保存しなければならないのは、作品ではなく、そのやり方や企画の立て方であり、問題に対して何度もやり直せると感じられることが重要だとあります。

できたものを壊したくないという気持ちはわかります。

でもそれにこだわることなく、壊れても作り方はわかっているのだから何度もやり直せばいいと思うことは大事なことなのではないでしょうか。

そうした意味でも、緻密すぎず、パーツが多すぎないというKOOVはロボット教材としての設計が上手といえそうです。




■まとめ

「Tinkering(ティンカリング)」の重要なポイントは、「頭で考えるだけでなく、手を使い触りながら考えることも大事である」ということなのではないでしょうか。

手を動かし、組み合わせながら考えることがクリエイター、メイカーへの入り口になるTinkering Studio

(2016/3/14、fabcross)

Tinkeringには「いじり回す」という意味合いもあり、目的に一直線に進むと言うよりは、なんとなく触ってみる、しっかり考えるより触りたいという感覚や手を優先させるニュアンスがある。

頭で考えしっかりと設計図を作ってからモノを作ることも大事ですが、とりあえず手を動かしたり、素材に触れているうちにアイデアが思い浮かぶということもあるのだと思います。

おもちゃと触れて遊んでいるうちに、好奇心をもって試行錯誤をしながら、自然と学ぶというのがこれからの教育の形になっていくのではないかと思っているのですが、KOOVでも、手を動かして、触れあっていくうちに、ロボット・プログラミングについて自然と学んでいくことを大事にしているように感じます。

これからの教育は「遊びながら学ぶ」という方向に進んでいくのではないでしょうか。

猪子寿之の〈人類を前に進めたい〉第6回「もう一つの“体育”で、『身体的知』(身体を固定しない“知性”)を鍛えたい」

(2016/3/1、ほぼ日刊惑星開発委員会)

これまでの学校や知的な訓練って、身体を固定して、もっと具体的に言えば椅子に座って働かせる知性なんだと思うんだよ。

<中略>

「図書室は静かに」というじゃない。この言葉に象徴されるように、従来の知性というのは、まさに美術館でパースペクティブのある絵画を見るときのように身体を固定して、他者も意識していなくて、インプットの情報量がほとんどない中で大脳をフル回転させる知性なんだよね。そもそも文章や記号というもの自体が、情報量としてはバイト数のほとんどないものだしね。でもさ、一方でたとえば、「IQよりも社会性のほうが社会的成功には関連性がある」みたいな主張の論文なんかがあるんだよ。
 それって、「社会性」がバズワードになっているだけで、要は椅子に座っていなくて、図書館みたいな特殊な状況ではない――外部からのインプット情報が極めて多くて、目も耳も感覚を全て使っているような――状態での、人間の能力のことなんじゃないかな。

従来の知性というのは、身体を固定して働かせる知性が重視されていましたが、その状態というのは、自分自身が固定されていた状態で、相手も意識していない状態のため、インプットされる情報量が限られています。

『身体的知』(身体を固定しない知性)というのは、自ら移動しながら(身体が固定されておらず)、相手を意識した状態であるため、そこには五感をフルに働かせたことでおびただしい量のデータのインプットが得られます。

最近ではSTEMにARTを加えたSTEAMといわれるようになっていますが、KOOVもArtの要素が含まれていて、ものがどのようにしたら変化をするのか、お互いがどのように影響しあうのかなどを遊ぶように体験する中で自然と学んでいくことができる、アートでありながら、いろんなことを学ぶことができる新しい形の教育のように感じます。

【関連記事】

もう一つ、「Tinkering(ティンカリング)」が重要だといわれているのは、もしかすると不器用な子供が増えていることも関係しているのかもしれません。

近年不器用な子供が増えているといわれているのですが、園児の紐を結べない、箸が使えないといった日常生活の技能が低下|手を動かすことが、いかに脳を使うことにつながっているかで紹介した全国国公立幼稚園・こども園長会が公表した調査によれば、幼稚園に通う子供たちに、紐(ひも)を結ぶ、箸(はし)を正しく持って使うといった日常生活の技能の低下が起きているそうです。

その理由の一つとしては、紐を結ばずに済む靴が普及したことや握る動作が必要なジャングルジムなどの遊具の減少によって、手足を使う遊びの機会が少なくなり、手先の器用な動かし方や力加減を学びにくくなっているからであると紹介しましたが、もしかすると、とりあえず手を動かしてみることや手で触れるということ自体が少なくなっていることも原因のひとつかもしれません。

【関連記事】

手先を使う動作が減ったことで、生活技能が低下していることが心配されていますが、もう一つ心配されるのは手や指を動かすことが脳の発達とも関係している点です。

こちらの画像は有名なホムンクルス人形です。

homunculus

by Mike(画像:Creative Commons)

「海馬 脳は疲れない」(著:池谷裕二・糸井重里)によれば、ホムンクルス人形(体のそれぞれの部分を支配している「神経細胞の量」の割合を身体の面積で示した図)によれば、手や舌に関係した神経細胞が非常に多いそうです。

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また、「愛撫・人の心に触れる力」(著:山口創)でも同様の説明がなされています。

解剖学者のワイルダー・ペンフィールドによる有名なホムンクルスの図である。様々な身体部位を司る脳の部位は異なっており、その大きさも異なる。そこで、それぞれの身体部位に占める脳の割合の大きさから逆算して、体の大きさを描いたものである。これをみると、脳の中で背や腹よりもいかに手と口の周辺が占める割合が大きいかがよくわかるだろう。

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「海馬 脳は疲れない」(著:池谷裕二・糸井重里)によれば、指をたくさん使えば使うほど、指先の豊富な神経細胞と脳とが連動して、脳の神経細胞もたくさん働かせる結果になるそうです。

現代の幼児はスマホやタブレットなどを簡単に使いこなしているため、手先が器用なように見えるかもしれません。

ただ、それは同じような動作をしているから、うまくできるように見えるだけであって、実は手先が不器用な子供が増えているのです。

手(指)を使うことは脳の発達にもつながりますし、頭でわかったような気にならず、とりあえず手を動かしているうちに、試行錯誤を繰り返しながら、でてくるアイデアもあるということを子供のうちから学ぶためにも、KOOVのような学習キットをお子さんにプレゼントしてみてはいかがですか?




■創造力溢れる子供に育てたいなら、多くのデータを記憶させるべき

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「ファンタジア」(著:ブルーノ・ムナーリ)

子供を創造力溢れ、のびのびしたファンタジアに恵まれた人間に育てたいなら、可能な限り多くのデータを子供に記憶させるべきだ。記憶したデータが多ければ、その分より多くの関係を築くことができ、問題に突き当たってもそのデータをもとに毎回解決を導き出すことができる。

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■MESH|ソニー

【追記(2017/6/16)】

MESH Introduction

MESH:小さな便利を形にできる、ブロック形状の電子タグ|ソニー

MESHとは、IoT(モノのインターネット化)を活用した仕組みを実現できる、特定の機能(動きセンサー/ライト/ボタン/明るさセンサー/温度・湿度センサーなど)を持ったブロック形状の電子タグ「MESHタグ」を「MESHアプリ」で無線でつなげることにより、「あったらいいな」を実現できるものです。

サイトでは、暮らしに役立つものやオフィスで役立つものなどさまざまなレシピが紹介されています。

例えば、トイレの空き状況チェック

「お腹虚弱体質」なエンジニアがIOT駆使してオフィスのトイレ空き状況をスマホでリアルタイムに確認できるシステムを開発では、扉の開閉を感知する自作のセンサーを設置し、センサーを超小型コンピュータ・Raspberry Piに接続して扉の開閉情報をAPIサーバに記録し、クライアントアプリを通じてAPIにアクセスすることで、スマートフォンのWebブラウザから一目でトイレの空き情報が分かるようにしていましたが、このレシピでは、「明るさタグ」と「IFTTT」を活用して作られています。

ソニーからは面白い製品が出ていますね。

■人への説明の仕方はプログラミング思考を持つと変わる

まさに「はじめてのロボット・プログラミング」をやっているところですが、プログラマーでお子さんをお持ちの方は自分自身の仕事を伝える上で、こうした製品をプレゼントしてあげるといいんじゃないかなと思います。

プログラマーの仕事を伝えるのは難しいことだと思いますが、KOOVのようなロボット・プログラミングができるおもちゃでテクノロジーのことを学べば、子供はこんなことができるんだと感じることができるでしょう。

そして、きっと私たちが疑問を持つことなく受け入れている身の回りにあるテクノロジーの仕組みに対して、疑問を持ち、理解しようとするのではないでしょうか。

「なぜ自動ドアは開くのか?」「どのようにしてスマホが動いているのか?」という疑問が生まれた時に、大人になるにつれて「そういうものだ」とそこで思考停止してしまいがちになりますが、こうしたキットに触れることによって、知的好奇心が活発になり、こういうメカニズム・仕組みで動いているんじゃないかなという仮説を立てるなど自然と考えるようになるのではないでしょうか。

プログラマーとは、どんな職業かわからなかった子供も、どういうことに使われるのかがわかることにより、その専門家の能力・知識についてのすごさを実感することができるでしょう。

もう一つプログラミングについて触れているうちに気づいたのは、人への説明の仕方ってプログラミング思考を持つと変わるだろうなということ。

人は親しい人に対して、「アレとって」というようなあいまいなお願いをしてしまいがちですよね。

でも、プログラミングにおいては「アレ」が何かきちんと説明してあげないと行動が実行されません。

もしあなたが上司だとして部下へ仕事を頼んだ時にうまく伝わってないなという経験をしたことがありませんか?

もしかすると、それは部下が悪いのではなく、あなた自身の説明が上手くできていなかったのかもしれないのです。

この話を少し専門的な言葉で話すと、日本の文化はハイコンテクスト文化であるため、お互いの意図を察することで、コミュニケーションスキルがなくても、通じてしまうというのが背景にありそうです。

ハイコンテクストの場合、受け手(聞き手)の能力が重要であるのに対して、ローコンテクストの場合、話し手が上手く意図を伝えることができなければ受け手に伝わらないというものです。

世界の様々な人々と働くようになる時代において、プログラミング思考によって、ローコンテクスト文化を取り入れることができれば、受けて(聞き手)にとってより正確に伝える力がつくのではないでしょうか。







【関連記事】

STEM教育に役立つ学習キット「littlebits」|開発したきっかけは「専門家だけのものになっていることが納得いかなかった」から!?




【目次】

■STEM教育に役立つ学習キットに注目!

STEMとは、Science(科学)・Technology(技術)・Engineering(工学)・Mathematics(数学)の頭文字をとった言葉で、当時のオバマ大統領が積極的に教育に取り入れようとしたことで注目されました。

President Obama on the Importance of STEM Education

そうして、STEMが世界的に注目を集める中、STEM教育に役立つ学習キットに関心をもって調べています。

【関連記事】

Twitterを見ていると、「littlebit」という製品があり、littleBitsの開発者であるAyah BdeirさんがTEDでlittlebitsについてスピーチしている動画を見つけました。

■「littlebits」とは?

Ayah Bdeir: Building blocks that blink, beep and teach

(February 2012、TED)

littleBitsは、一つ一つが特定の機能を持つ電子部品のブロックであり、磁石でくっつくようになっているので、間違ったつなぎ方ができないところが特徴です。

部品には、ライトやブザー、モーター、センサーがあり、それらを組み合わせていくことでさまざまなものを作ることができます。

ブロックは種類で色分けされていて、色それぞれに意味があります。

緑は「出力」、青は「電源」、ピンクは「入力」、オレンジは配線というように、それぞれをつなげていくことで、電源とライトをつなぐと単純な光るライトができますし、調節つまみをつけることで調光機能が付いたライト、パルス機能のブロックを間につけることで点滅するライトのようにとアイデアによっていろんなものを作ることができます。

What is littleBits?|Vimeo

Synth Kit Introduction – littleBits x KORG

The Cult of littleBits: How This Tech Toy Is Changing the Engineering Landscape




■まとめ

Taller para niños/as de littleBits, 28 de febrero 2014, Espacio Miscela, Madrid

by Ultra-lab(画像:Creative Commons)

今回紹介した動画の中で共感した点は「専門家だけのものになっていることが納得いかなかった」という点です。

Ayah Bdeirさんがlittlebitsを開発したきっかけは、トランジスタが専門家だけのものになっていることが納得いかなかったためで、エンジニアだけでなく、アーティストやデザイナーでも使えるものにするというアイデアからスタートしたそうです。

なぜこの考え方に共感したのか、理由は2つあります。

一つは、専門的なことは専門的な知識を持っている人に任せるとクリエイティビティが生まれにくくなるのではないかという心配です。

専門的なことは専門的な知識を持っている人に任せるというのは正しいことだと思います。

ただ、それはアイデアや組織の固定化を生んでしまい、クリエイティビティ(創造性)が生まれにくい環境になってしまいます。

「How Google Works」(著:エリック・シュミット ジョナサン・ローゼンバーグ)

How Google Works (ハウ・グーグル・ワークス) ―私たちの働き方とマネジメント

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「いい人ばかり」の職場は均質的なことが多く、職場の均質性は悪い結果を招きやすいからだ。視点の多様性、すなわちダイバーシティは会社が近視眼的になるのを防ぐ、極めて効果的な政策だ。

社会学者のセドリック・ヘリングによれば、人種のダイバーシティと売上高、顧客数、市場シェア、利益の増加には相関があることを発見しています。

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イノベーションのアイデアを生み出す七つの法則(著:スティーブン・ジョンソン)にはこう書かれています。

研究室で一人で仕事をして顕微鏡を覗いていたのでは、考えが一カ所にひっかかって、最初にあった自分自身の偏見から抜けられない。

集団での会話にある社会的な流れが、個人の固体的な状態を液体のネットワークに変える。

専門的な人や専門外の人など多様な人がいることによって、固定されたアイデアが流れるようになることがあるのではないでしょうか。

今回のようなキットがあれば、アーティストやデザイナーとして優れた人が専門家では出なかったようなアイデアを出すきっかけにもなるかもしれません。

Steven Johnson:スティーブン ジョンソン「良いアイデアはどこで生まれる?」(Jul 2010、TED Talk)

もう一つは、専門的なものに対して無関心になるということは知的好奇心が少なくなっている可能性があるのではないでしょうか。

素晴らしいのは子どもたちが 学校で習いもしない身の回りの電子機器の 仕組みを理解するようになることです たとえば終夜灯の仕組みや なぜ自動ドアは人を挟まないのか iPodはどうやってタッチ操作に反応するのかといったことです

興味深いと感じたのは、私たちが疑問を持つことなく受け入れている身の回りにあるテクノロジーの仕組みに対して、疑問を持ち、理解しようとする点です。

「なぜ自動ドアは開くのか?」「どのようにしてスマホが動いているのか?」という疑問が生まれた時に、大人になるにつれて「そういうものだ」とそこで思考停止してしまいがちになりますが、こうしたキットに触れることによって、知的好奇心が活発になり、こういうメカニズム・仕組みで動いているんじゃないかなという仮説を立てるなど自然と考えるようになると思います。

また、専門外のことを学ぶにつれて、そのテクノロジーのすごさを実感することができれば、どれだけ専門家が優れているのかもわかると思います。

テクノロジーのことを学べば、技術者の方々はこんなことができるんだと感じることができるでしょうし、医療のことを勉強すれば、お医者さんや看護師さんのすごさの一端を感じることができるでしょう。

最初のうちは、その人と自分自身の間にある能力の距離がわからなかったため、その人・職業のすごさを実感することはできませんが、知るにつれてその人の持つ実力を測る物差しを持つことができれば、その専門家の能力・知識についてのすごさを実感することができるでしょう。

なぜ能力が低い人ほど自信があるのか?|能力が高い人が自信がない理由によれば、能力の低い人は、自分には能力があると過信する傾向があるそうですが、その理由としては、能力に対する物差し(基準)がないからだと考えられます。

自分のことを過大評価している成績下位グループに能力を高めるトレーニングをさせ、能力が向上すると、自身の自信過剰は改善されるそうです。

知らないうちは近いように思えた距離も、能力を測る物差しができてくることによって、その距離が途方もなく遠いと経験したことが誰しもあるのではないでしょうか。

それこそが能力に対する物差しができたということだと思います。

世界にはあらゆる専門がありますが、専門家だけのものにするのではなく、知的好奇心をもって様々なものに取り組むことが、きっと新しいものを生み出すきっかけになると信じています。







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続きを読む STEM教育に役立つ学習キット「littlebits」|開発したきっかけは「専門家だけのものになっていることが納得いかなかった」から!?

【#プライムデー】Amazon、STEMおもちゃの定期購入サービスを開始|世界の教育は「遊びながら学ぶ」という方向に進んでいる!?




■Amazon、STEMおもちゃの定期購入サービスを開始|世界の教育は「遊びながら学ぶ」という方向に進んでいる!?

boys, making planes

by woodleywonderworks(画像:Creative Commons)

以前に子供のおもちゃからヒントを得て、様々な医療ツールを開発しているManu Prakash(マヌ・プラカシュ)さんの研究チームを紹介しました。

マヌ・プラカシュさんは、世界的な健康問題を解決するのに役立つことを目指すだけでなく、子供たちの科学教育にも役立てたいと考えているようですが、Amazonは、“STEM” [Science(科学)・Technology(技術)・Engineering(工学)・Mathematics(数学)]の分野に絞った教育おもちゃの定期購入サービスを始めるそうです。

Amazon、科学おもちゃの定期購入サービスを開始

(2017/1/25、TechCrunch)

今日(米国時間1/24)Amazonは、親たちに向けた新しい定期購入サービス、STEM Clubを公開した。月々19.99ドルで、毎月自宅に教育玩具が送られてくる。

STEM教育には注目が集まっています。

President Obama on the Importance of STEM Education

こうしたおもちゃと触れて遊んでいるうちに、自然と学べているというのが理想だと感じたのですが、もしかすると、子供における教育の形というのは今後こうなっていくのかもしれません。

猪子寿之の〈人類を前に進めたい〉第6回「もう一つの“体育”で、『身体的知』(身体を固定しない“知性”)を鍛えたい」

(2016/3/1、ほぼ日刊惑星開発委員会)

これまでの学校や知的な訓練って、身体を固定して、もっと具体的に言えば椅子に座って働かせる知性なんだと思うんだよ。

<中略>

「図書室は静かに」というじゃない。この言葉に象徴されるように、従来の知性というのは、まさに美術館でパースペクティブのある絵画を見るときのように身体を固定して、他者も意識していなくて、インプットの情報量がほとんどない中で大脳をフル回転させる知性なんだよね。そもそも文章や記号というもの自体が、情報量としてはバイト数のほとんどないものだしね。でもさ、一方でたとえば、「IQよりも社会性のほうが社会的成功には関連性がある」みたいな主張の論文なんかがあるんだよ。
 それって、「社会性」がバズワードになっているだけで、要は椅子に座っていなくて、図書館みたいな特殊な状況ではない――外部からのインプット情報が極めて多くて、目も耳も感覚を全て使っているような――状態での、人間の能力のことなんじゃないかな。

「チームラボアイランド 学ぶ!未来の遊園地」は未来の教育の形!?で今回体験してみて感じたのは、『身体的知』の話です。

『移動する知性』|「アイデアと移動距離は比例する」(高城剛)をダニエル・ゴールマンと猪子寿之を参考に考えてみる。では、自分なりに猪子寿之さんの考え方を次のように解釈しました。

従来の知性というのは、身体を固定して働かせる知性が重視されていましたが、その状態というのは、自分自身が固定されていた状態で、相手も意識していない状態のため、インプットされる情報量が限られています。

『身体的知』(身体を固定しない知性)というのは、自ら移動しながら(身体が固定されておらず)、相手を意識した状態であるため、そこには五感をフルに働かせたことでおびただしい量のデータのインプットが得られます。

今回体験した「チームラボアイランド 学ぶ!未来の遊園地」ではこの考えを実際のモノとして表現したもののように感じました。

ものがどのようにしたら変化をするのか、お互いがどのように影響しあうのかなどを遊ぶように体験する中で自然と学んでいくことができる、アートでありながら、いろんなことを学ぶことができる新しい形の教育のように感じました。

世界の教育は「遊びながら学ぶ」という方向に進んでいるのかもしれません。







P.S.
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